2006初夏の旅~アムステルダム(3) [2006夏1アムス、パリとノルマンディ・ロマネス]
6/28 パリ12:55~アムステルダム17:06 オペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」 AMERICAN HOTEL 2泊
最近のパリは午前10時くらいまではタクシーも呼べないほど交通が混雑する。その時間を避けるため、チェックアウトタイムの正午まで部屋にとどまり、トランクの整理と列車のなかで食べるお握りを作ったりして、のんびり過ごした。↓名残惜しくパリのプティホテルのロビーをパチリ
今日のタリスは切符を買っていなかったので、早めにタクシーを頼んだのだが、避けていたはずの交通渋滞にまきこまれ、ぎりぎりに窓口に並びヒヤヒヤ。一等席は満席で二等席も残りわずかだったので、後10分遅れていたら乗れなかった模様。ホームを一番向こう端の客車まで歩くと、大きなリックに国旗を立てたサッカー・サポーターの若者たちで混雑していた。応援ついでにヨーロッパ放浪の旅をしているのだろう。夏の暑さのなか輝く若さがまぶしく目に映った。
今夜のオペラの予習CDを聴いたりして過ごしているうちに、今回の旅の出発地アムスに再び舞戻った。ホテルは先日宿泊したところとは別の1994年に初めて一人旅で泊まったライツェ広場に面したホテル。改装されて綺麗になっている。バルコニーのついた運河側の広い部屋。↓アメリカンホテルのテラス・カフェと
アールヌーボースタイルで有名なレストラン(朝ごはんはここで)
一休みの後、ネーデルランド・オペラの本拠MUZIEKTHEATERへ。この街は自転車専用の道路がある。慣れないと自転車マークに気がつかない。初めての劇場をぼーっと眺めながら歩いていて、凄いスピードの自転車に衝突しそうになって、叱られた。自転車の人が一番威張っているが、このシステムのおかげで自動車が少ないのが有難い。
D・SJOSTAKOVITSJ「Lady Macbeth van Mtsensk」MUZIEKTHEATER 17:30開演
指揮:Meriss Jansons 演出:Martin Kusej オーケストラ:アムステルダム・コンセルトへボウ Katerina:Eva-Maria Westbroek Boris Izmajlov:Vladimir Vaneev Zinovi Borisovitsj:Ludvit Ludha Sergej:Christopher Ventris Aksinja:Carole Wilson Sjofele:Alexandre Kravets Sonjetka:Lani Poulson
ミュージックシアターはホテルからタクシーで10分くらい、市庁舎に隣接し、すぐ近くにはレンブラントの家がある現代建築の劇場。2階ロビーからはマヘレのはね橋が眺められる。座席もゆったりした配置で、前の席との高低差があり、とても観易い。今日のオペラはロビーでお話した現地の方の情報によると、大変な評判を呼んでいるとのこと。新聞にはショスタコーヴィチが指揮者ヤンソンスを神に頼んで遣わせたのでは?といわれるほどらしい。TVカメラも入っていたのでDVDになるかも知れない。プログラムの配役に一部変更がありA・Kotsjergaに替わってカテリーナの舅役をV・Vaneevが歌った。 ヤンソンスがオペラを振るというので、とても興味をひかれたのが理由のひとつ。そしてショスタコーヴィッチの生誕100年にあたる今年にこのオペラを聴けるというのも大きな魅力だった。ピットにはロイヤル・コンセルトへボウが入り万全の体制。優れた演出、神がかり的な音楽・・・いままでのオペラ経験で5本指に入ることは間違いなし。舞台で繰り広げられる人間の愛憎ドラマは作曲当時のロシアの体制的な社会風土から現代に置き換えられている。それが無理なく現代社会の生み出す閉塞感を見事に表現し秀逸。歌手陣もヤンソンスの指揮にしっかりついていく大奮闘。カテリーナのEva-Maria Westbroek は妖艶なルックスと演技に加え、凄みさえ感じられる説得力のある歌唱。すっかりこの役を自分の掌中に納めた感じ。来シーズンはロンドンのロイヤルオペラ(↓TB参照)でも同役で歌うようだ。ステージの濡れ場や殺人などのシーンに演奏されるドラマティックな音楽の凄い迫力。そしてカテリーナの悲劇が浮かび上がる陶然となるほど美しい哀しみの音楽・・・「人間は醜いけれど人生は美しい」と言ったのは画家のロートレックだったかしら?その言葉を反芻しながらの帰リ道。昼間はあまり綺麗ではない運河も夜のイルミネーションに川面がキラキラ輝いていた。
はじめまして。Eva-Maria Westbroekのコヴェントガーデンでのカテリーナ役を観ました。すばらしい歌手ですね。記事をTBさせていただきました。
by dognorah (2006-10-04 20:38)
dognorahさん、いらっしゃいませ。ブログも早速読ませていただきました。
演出はアムスのほうがより刺激的だったような・・・。神がかり的に美しい音楽と舞台に繰り広げられるおぞましいような人間の欲の姿。その乖離が恐ろしいほど人間の本性を表しているんですね。今年観たオペラではNO.1でした。
ロンドンにお住まいなのですね。舞台に接するには東京や海外に行かなくてはならない身には羨望の眼です~♪
by alice (2006-10-06 13:47)