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2006夏の音楽祭の旅~エジンバラ(4) [2006夏2インスブルック、ザルツブルク、エジン]

9月2日(土)     ホリルードハウス宮殿見学&「ニュルンベルグのマイスタージンガー」

  今日も時々強い雨の降る涼しすぎる日。それでも午前中はなんとか晴れ間もでたので、ホリルードハウスへ。お城からまっすぐのストリートの先に イギリス王室の別邸として使われている宮殿が建っている。女王が滞在している時は旗が掲げられ、見学は不可となっている。
宮殿の前は観光センターになっていて、お土産ショップの奥から2回に上がるとクィーンズ・ギャラリー。女王のコレクションを主体にした展覧会「CANALETTO in Venice」が開催されていた。イギリスのイタリアに対する強い興味がこの見事な蒐集にも現れている。カナレットの建物の優れたデッサンなども多数。↓の絵葉書はカナレットの大作「A regatta on the Grand Canal」

昨日のエルスハイマーも何点か女王のコレクションから出品されていたし、美術品だけでも凄い財産なんだろうな~と思いながら階下へ。しかし、英国王室は商売にもご熱心なようで・・・王室ファミリーのプロマイドやグッズがずらーっと並んでいる。(当然ながら?ダイアナ元妃のはないけど)

エジンバラ最後の日に普通の観光コースとしてここを選んだのは、ドニゼッティの「マリア・ストゥアルダ」にもなったスコットランド女王メアリーにまつわる話の数々に興味があったから。またその話がここの売りでもある。日本語のオーディオガイドつきで惨事のあった部屋などを巡った。メアリーのたどった数奇な運命に 改めて驚きながら・・・。

宮殿の中庭から隣接するホリルード修道院 へ。廃墟になったAbbeyは12世紀の建立。元のロマネスクからゴシックに改築されている。廃墟になった修道院は独特の風情がある。メンデルスゾーンもここを訪れ交響曲第3番 「スコットランド」の曲想を得たとか。

スコットランドには廃墟になって残っているAbbeyが多い。この後、宮殿前の書店で Melrose,Dryburgh,Iona,Inchcolmの小冊子を 購入。次回来ることがあれば嬉しいけれど・・・眺めているだけでも充分楽しい。
 ↓絵葉書はInchcolm Abbey(孤島に浮かぶ)

スキャナーの精度が最悪になってきた。

 雨が結構強く降って来た。タクシーでホテルの近くまで帰り中華料理のランチ。点心を何点か選ぶと、可愛い中国人のウェイトレスさんが量が多いから2点で良いよという。ホントにスープ饅頭とお粥でお腹がいっぱい。日本の3倍近い量。でも安くて美味だった。ついで?にビール。
  昼寝は夕方からの公演なので1時間くらいしかとれなかったが、ほろ酔いでぐっすり眠れた。

「ニュルンベルグのマイスタージンガー」(コンサート形式)17:00開演

アッシャーホール

指揮:David Robertson      BBC Scottish Symphony Orchestra

Eva:Hillevi Martinpelto  Walther:Jonas Kaufmann  David:Toby Spence  Magdalene:Wendy Dawn Thompson   Hans Sachs:Robert holl  Pogner:Matthew Rose  Beckmesser:Andrew Shore

 コンサート形式とはいえ素晴らしいワーグナー を聴くことができた。終演は11時、2回の休憩を含め6時間。しかし、少しもだれることなく終盤の歌合戦ハイライトに向かって怒涛のように突き進み、熱の入った演奏だった。
 この公演で一番の注目はワルターのヨナス・カウフマン。生で聴いたのは4年前の「カプリッチオ」一度だけだったが、繊細な声のテノールでお気に入りになっていた。(ハンサムだし)最近はモーツアルトも歌い、声は重くなってきていたが、まさかワーグナーを歌うとは思っても見なかった。怖いもの見たさ(聴きたさ)という気持ちも・・・。(笑)
正しい?ヘルデン・テノールかといえばはっきり言って物足りないのだが、なかなかどうして カウフマンのキャリアを生かした独自のワルター。甘さも美しさも兼ね備えたテノールの強みを発揮。新しいタイプのワルターといえるだろう・・・感動!!
スペンスは変わらず良い声なのだが、少々勉強が足りないというか、ワグナーに乗らない感じがした。ザックスのホルをはじめベテランの歌唱にも大満足だった。プログラムは英語翻訳のリブレットつき。それをたどりながら熱心に鑑賞する 方たちが多かった。演奏の前にこの音楽祭のディレクターが出てきて(最後のコンサートということで)、チケットの売り上げや総動員数など自画自賛のご挨拶。すかさず「早くひっこめ~」みたいに野次が飛んで、みんながそれに同意の拍手・・・国民性の違いをつくづく感じた一幕。(笑)

 翌日は午後のフライトなので、朝はゆっくり荷物を整理して休養。ロンドンでJALの整備(部品取替え)のため一時間出発が遅れたが、ほぼ予定通り。関空経由で札幌に帰った。今回はてるてる坊主の旅には珍しく天候の悪い日が多かった。札幌に帰ってみると夏らしい日が留守中ずーっと続いていたようで・・・。(終)


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あがるま

カナレットやその手の風景画は好きです。
画き方は簡単なのですから、現代でも観光土産に売り出せば良いtろ思ふのですが、エッチングも見当たらないし、複製も何かぼやけてゐる。

吉田健一の『絵空ごと』と云ふ小説に、模写画を画かせて部屋に飾つてゐる人物が出てきますが、今に沢山部屋のある屋敷を手に入れてそんなことをしてみたいと夢想しました。
場所を取る絵画はとつくに諦めて、小さなテラッコッタ人形などを時々買ひます、でもそれも陳列する場所がないので、梱包したまま押入れやベッドの下に直行です。
この前京都のギリシア・ローマ美術館を見ましたが、個人で立派な収集とそれに相応しい館なので驚きました。

少し前の新聞にアリーチェさんと同じやうなオペラ見物のご婦人のことが載つてゐました。お仲間が沢山のやうですね。
by あがるま (2006-11-06 02:05) 

alice

あがるまさん、こんにちは!
レスが遅くなりました。時々インターネットが途切れていたパソコンが、3日前にとうとうダウンしてしまい、初期設定からのセットアップに手まどっていました。バックアップを取っていなかったので、写真のファイルもHPビルダーも消えてしまいました。(号泣)

エジンバラで見たカナレットのエッチング、もちろんヴェニスの建築のもので、設計図のように厳密に引かれた線(プラス美的で)に惹かれました。
あれを複製にしたらホントに売れそうですね。チャールズ皇太子も建築に造詣が深いというのに・・・。

>この前京都のギリシア・ローマ美術館を見ましたが、個人で立派な収集とそれに相応しい館なので驚きました。

個人のコレクションを見に行くのは好きです。特に当主が暮らしていた館など、趣味趣向が伺えて、さすがと思うことが多いですね。京都も観光化されたとはいえ、訪れるたびに歴史や文化の深さに感銘を受けます。北海道は特に歴史が浅いので、奈良、京都に行かれる方が多いようです。
by alice (2006-11-09 15:10) 

alice

>少し前の新聞にアリーチェさんと同じやうなオペラ見物のご婦人のことが載つてゐました。

どちらの新聞でしょうか?もしかすると知っている方かも知れません。
by alice (2006-11-12 23:04) 

天気晴朗なれど 中村

アクセス解析で、貴ブログに拙ブログリンクが貼っている事を知りました。

有難うございます。

まして、このような高尚なブログのお気に入りに、私の俗的なブログが入っているのは申し訳ない気持ちと、嬉しさとが、スパークしております。

これからもよろしくお願いいたします。
by 天気晴朗なれど 中村 (2006-12-26 02:08) 

あがるま

多分日経(夕刊か日曜版)だつたと思ひます。遅くなつて申訳ない。

元旦早々お便りしたのはカナレットでもクリヴェッリでもの色々な大きさの複製油絵がネットで簡単に買へることを今日知つたからです。

こんなサイトは皆さん疾うにご存知だつたのせうけれども。
Daniel Arasseの絵画史を探して
http://www.wga.hu/index1.htmlと云ふのに来てみると、
そこからhttp://www.bestpriceart.com/に繋がるのですね、今は25%割引ださうです。

クリヴェッリの画集はフィレンツエの本屋で安売りしてゐるのを見つけたのですが、重いのと、何だか思つたやうな色彩でないので止めました。
このサイトWebGallery of Artの方が綺麗です。

今は旅行中なので試して見ることも出来ませんが、日本に帰つたら楽しみです。
by あがるま (2007-01-01 10:18) 

alice

中村さま

こちらこそよろしくお願いいたします。ほぼ毎日ブログを覗かせていただいています。食いしん坊なので、毎回『行きたい!食べたい!』と騒いでいます。(実際はなかなか行けませんが・・・夫がおうちごはん主義なんです)
それでもゴマすり頑張って、ミュゼのワイン会に行ったりしています。中村さんのワイン会の生徒さんもいらっしゃってました。(内緒かな?)

というわけで、私は札幌に住む普通のおばさんです。しかも、子育て終了頃になんとなく美術や音楽の楽しみを見つけてしまって、図の乗っているだけのお話なので・・・人生何が起きるかわかりませんよ~(笑)
by alice (2007-01-08 16:51) 

alice

あがるまさま

ご旅行中にお返事いただいて恐縮しております。しかもお正月はMIXIに熱中していて、お返事が遅れました。日経ですね。探してみます。

お正月を海外でしかもイタリアで過ごされたのですか?羨ましい!!
一応ベテラン主婦(歳だけが)なので、家を空けられません。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートのチケットが籤で当たったら、大威張りで行けそうですが・・・。今年のもはずれてTVでした。

クリヴェッリの画集は最近出たものは重いですね。次第に書棚から出すのも億劫になってきています。

>このサイトWebGallery of Artの方が綺麗です。
ホントに!!

帰国されましたら、旅のお話をどちらかでアップされますか?
by alice (2007-01-08 17:08) 

tina

mixiのほうで、さっぱりお目にかかりませんがお元気ですか?
気になってこちらをのぞかせていただきました。
クリヴェッリの画集が最近出版されたのでしょうか?知りませんでした。
出版社を教えていただけますか?
by tina (2007-02-02 13:13) 

Bowles

tinaさん、ご旅行中のaliceさんのかわりに失礼いたします。

>クリヴェッリの画集

ここでaliceさんがおっしゃっている「重い」ものは、もう2年ほど前の出版ですが、以下のものです。画集というより、立派なモノグラム。

http://www.amazon.co.jp/Carlo-Crivelli-Ronald-W-Lightbown/dp/0300102860

ホント、重いです。
by Bowles (2007-02-04 18:18) 

あがるま

私が買はうと思つたカルロ・クリヴェッリの画集は
Zampetti,Pietro. Carlo Crivelli. Firenze, Nardini Ed. 1986, cm.24,5x32, pp.332, 130 ill.bn.e col.molte a p.pag. leg.ed.in t.tela, soprac.e custodia fig.a col. (Euro 92.96が Euro 46.00でした)
のことです。
まだhttp://www.libreriachiari.it/Splash.htmにあります。
by あがるま (2007-02-04 23:31) 

Bowles

あがるまさん、はじめまして。

ザンペッティのこの本は、私も十年ほど前、フィレンツェで買いました。その後イタリア各地で安売りになっているのを見て、自分が持っているにもかかわらず、ついまた買ってしまいたくなります。一種の病気...。

ライトボーンの本は、このザンペッティの本の倍の「重さ」!
aliceさんが「書棚から出すのも億劫になって」とおつしゃる気持ちがよくわかります。
by Bowles (2007-02-05 09:31) 

あがるま

有難う!ライトボーンの本の方が相対的に安くて、買はなくて良かつたやうですね。色も何か温かみがなくて魅力に缺けるやうでした。

昔の本は本文は軽い紙で印刷してあつたし、写真も貼り付けてあつたのに、今では中国でも何処でも安く印刷するので、本全体が重くなつてl困ります。さう云へば画集と云ふのは殆ど持つてゐない。

彼の作品は何処に行けば多く見られますか?
場違ひな質問で済みません!
by あがるま (2007-02-11 03:10) 

alice

みなさま 

留守をしていまして、コメントの返事が遅れました。15日ぶりに帰宅したのですが、その夜中に発熱して床に臥せっておりました。食べ過ぎ飲み過ぎ+疲労+風邪のトリプルパンチです。東京ではすでに嫌な咳をしていたのですが、東京の空気が悪いせいにしていたのです。

クリヴェッリの作品で質量ともに揃っているのはロンドンのナショナルギャラリーと思います。次はミラノのブレラかしら。作品数も多く、祭壇画もばらばらにされて世界に散らばっていますから、主な美術館にはほとんど収蔵されています。そのうえイタリアのマルケ地方の教会に残っているのもいくつかあります。HPで作品順に鑑賞メモを書いていますが、アクシデントがあり書き溜めていたものが消滅したりで、なかなかはかどりません。
by alice (2007-02-11 15:07) 

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