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2007年ヨーロッパ初夏の旅(パリ2) [2007夏ベルリンからブリュッセルまで周遊の旅]

5/12 (土)   ロダン美術館&オペラ「 Carmen 」
朝方雨が降ったようですが、次第に青空が広がって、気温も上がってきました。ゆっくり朝食を済ませ、地下鉄でコンコルド広場近くのオランジュリー美術館へ。改修が終わったばかりなので混雑していると思ったのですが、入り口付近は閑散としています。あらら、開館は1時からとの張り紙。オープンを待っているには時間が長すぎます。今夜は私にとってはメインのオペラですから疲れたくない・・・ということで、近場のロダン美術館に変更。15年ぶりの再訪です。入り口のチャペルだった建物がチケット売り場とブック・ショップに改装されていました。庭園に入ると薔薇の香り・・・図らずも薔薇の満開の時期に来たようです。ラッキー!!それで、戸外の彫刻を先に見学することにして、庭園のあちこちをのんびり散歩。

 土曜日とあってパリ市民も多く薔薇を見に来ていました。館内では初回ほどの感動はないものの、じっくりロダンやカミーユ・クローデルの鑿跡を鑑賞。写真は絵画のある室内風景。上はムンク「考える人」、下はゴッホ「タンギー爺さん」。

ランチはあまり遠くないところを検討の結果、帰りのメトロ一号線の途中Louvre Rivoliで降り、日本人経営のフレンチのお店NAMIKIへ。インターネットで紹介されていたレストランですが、先客は日本人の家族4人だけ。アミューズは小さなグラスの蟹とメロンのジュレ、前菜は烏賊のガスパッチョ(写真↓)、上にハーブのてんぷらがのっています。

主菜はフランス名産のブレス鶏のグリル。脚にその名前のラベルをつけて登場 笑。とても美味しかったです。量もそう多くはないのでデザートのクリーム・ブリュレ(黄な粉がかかっています)もしっかりいただきました。食前酒、ワイン、コーヒー、水。高いところはカードで払いますので、メモもなく、伝票さえ失くしてしまうずぼらな私でも請求書が証拠。たいていは高かったな~と後悔。(笑)最近は名刺大のカードをいただけるところもあるので、なるべくレストランの名前も記録することにします。お勧め度  ★★★★

   ♪~Georges Bizet「 Carmen   」シャトレ座  120ユーロ
 
Direction musicale  Marc Minkowski
Mise en scène  Martin Kusej
Decors   Jens Kilian
Costumes  Heidi Hackl
Lumieres   Reihard Traub

Carmen  Sylvie Brunet
Don José  Nikolai Schukoff
Escamillo  Teddy Tahu Rhodes
Micaëla  Genia Kühmeier
Le Dancaïre  Alain Gabriel
Le Remendado  François Piolino
Zuniga  François Lis
Moralès  Boris Grappe
Frasquita  Gaële Le Roi
Mercédès  Nora Sourouzian

 Les Musiciens du Louvre -Grenoble

 ドン・ホセのフリアノーティが降りたのは織り込み済みでしたが、演出も当初予定されてOpera baseにも発表されていたSandrine AngladeではなくMartin Kusejのベルリンのプロダクションのものに替わっていました。プログラムを見て初めて気がつきました。
Martin Kusejは昨年のアムステルダムの「ムツェンスクのマクベス夫人」でとても感銘を受けていたのですが、この「カルメン」もそれを上回る刺激的な引き締まった舞台になりました。
最初の銃殺の場面と最後のそれとの乖離、この間に流れた登場人物たちの愛と死のドラマがくっきりと浮かび上がってきます。最初の銃殺は発砲を命じた士官の やるせない表情から撃たれたのは政治犯であることが読み取れます。独裁政治下の時代であることをこのちょっとした場面で表現したのにまず驚きました。こういう時代ですから人の心も荒廃しています。必然的にミカエラはからかわれるだけでなく、レイプされそうになり、男たちは煙草工場からでてくる女たちをのんびり待つことはなく、売春宿の下着姿の娼婦にからみます。ドン・ホセのマザコンで偏執気味、すぐ切れて刃物をふりまわす駄目男ぶりも強調され、なんとミカエラまでも誤って殺してしまうという設定です。英雄的闘牛士のはずのエスカミリオも牛に負けて? あえない最後、血に染まった遺体が担架で運ばれ舞台を横切って行きます。最後の愛人を殺した罪でドン・ホセが銃殺される場面では冒頭の士官はせせら笑い・・・そして幕が降りました。

 歌手陣はカルメンの Sylvie Brunet にブーがでました。歌唱は立派で穴はないのですが男を惑わせる悪女としての演技を含めた表現に欠けるのは辛いものがありました。はっきりミスキャストだと思います。D・レッシェマンをおばさんにした体型でカスタネットを鳴らしながらダンス(それってダンス?)・・・無言。
一途な愛どころか泣きべそストーカーのドン・ホセのNikolai Schukoff、初めて聴いたテノールですが気に入りました。この公演の前にジュネーヴで「ムツェンスクのマクベス夫人」のセルゲイを歌って好評だったようです。これからの活躍に注目です。ミカエラのGenia Kühmeier  、この方だけは2度ザルツブルグの「魔笛」パミーナで聴いてました。可憐な娘役の歌唱はお得意ですから、安心して聴いていられました。しかし、完璧なのですが少々の違和感が・・・モーツアルトを歌っているみたいに感じたのは私だけでしょうか?

何といっても最大の立役者は指揮とオーケストラ。席が前から2列目の左よりでしたから、ついついミンコウスキーの指揮するお姿に目が引き寄せられてしまいました。歌を口ずさみながらの熱い指揮にあ・うんの呼吸でついていくLes Musiciens du Louvre -Grenoble  のメンバーたち。特に管楽器奏者たちの瑞々しく見事な演奏は、今まで聴いたカルメンの演奏をはるかに超えた(あのクライバー/映像でさえも抜いて)感動を与えてくれました。この日は2回目の公演でしたが、ミンコウスキー自身も大きな手ごたえがあったようで、カーテンコールでは喝采を浴びて、珍しく興奮気味でした。

終演後、隣席でミンコ追っかけと自己紹介された関西からの1泊3日突撃隊ご夫婦とシャトレから去りがたい気持ちでお話しました。これほどミンコの要求にぴたっとついてくる手兵がいると、他のオーケストラでオペラを指揮する気がなくなったのではないかという推測で一致。来年のオペラの予定が立たないとお互いに嘆きながらお別れしました。夜になってまた雨・・・。


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ヴァランシエンヌ

>Martin Kusejのベルリンのプロダクション

またベルリンネタに喰い付いた(^^; と何処からともなく声が聴こえてきそうですが、アリーチェさんがご覧になられている頃に、このプロダクションがシャトレでも上演された、ということを知りました。

ベルリンでの上演は、昨年7月にTV中継されました。エスカミーリョが、私の最愛の方^^(旦那さま以外の^^;)でしたので、手を尽くして映像をゲット。それまでカルメンなんて!!と思っていた私のイメージを大きく覆した演出でした。もし彼が出ていなくても、気に入ってたと思います。

ベルリンでは、この冬彼と一緒に新国のカルメンに出演する予定の、M.ドマシェンコが、プレミエ時からのタイトルロールでした。文句なしに美しいカルメンだと思います。ホセはビリャゾン。こちらも演出意図に良く合ったホセで、なかなかいいと思いました。

この映像の感想を書いた記事をURLに入れておきます。ちょうどアリーチェさんがご覧になられたのと同時期に、パリ在住の方も同じ上演をご覧になられたとのことで、コメント欄に感想を頂いてます。
by ヴァランシエンヌ (2007-06-04 14:25) 

alice

ヴァランシェンヌさん

パリに行く前にクセイに変わったと分かっていれば、ヴァランシェンヌさんのところで予習ができましたのに・・・残念。

助六さんと同じ日にシャトレにいたことになります。いつも素晴らしい感想を書かれる方なので、ドキドキして読ませていただきました。ミンコのファンとしては助六さんに褒めていただいて、天にも登る心地でございます。
ご紹介ありがとうございました。
by alice (2007-06-04 16:14) 

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