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2007年ヨーロッパ初夏の旅(ブリュッセル2/トゥルネ) [2007夏ベルリンからブリュッセルまで周遊の旅]

5/22(火)ブリュッセル11:17~トゥルネーTournai12:19/13:53~ブリュッセル14:58   トゥルネー半日観光&オペラ「清教徒」(コンサート形式)

この日も雨模様の肌寒い一日でした。旅も終わりに近く、少し疲れが出たのでしょう。天気がぐずついていたのもモチベーションを低くして、朝のエンジンがかかるのが遅れました。それで列車に乗り遅れそうになりながら、発車5分前に地下ホームへ。トゥルネーまでは中央駅から列車で1時間の道程です。ほぼ一時間に一本の間隔で列車があります。列車はブリュッセルから南西へ、霧雨に煙る農地(兎のファミリーが見えました)を過ぎ、フランス国境近くの町Tournaiに到着。この町を知ったのは私と同様にヨーロッパのロマネスク聖堂を訪ねる旅がお好きなEさんのコメントからでした。ふくろうの本「図説ロマネスクの教会堂」もEさんに紹介していただきました。この本によりますとTournaiはメロヴィング朝フランク王国の祖となったクロヴィスが生まれた町なので「フランス王家のゆりかご」と呼ばれているそうです。クロヴィスは496年に異教信仰を捨ててカトリックに改宗し、この町に司教座を置きました。現在はそのような輝かしい歴史や繁栄から忘れられたような静かな町というか寂れたような町になっています。クロヴィスといえば1週間前に訪れたジュミエージュ修道院にまつわる伝説の王子たちのご先祖様ではありませんか・・・偶然。

駅前からまっすぐの大通りをスヘルデ河を渡り、数百メートル歩きますと、5つの塔のそびえる大聖堂が霧雨の向こうに見えてきました。この遠望でないと5つの塔が全部見えないようです。

現存のロマネスクの遺構のなかでは稀有といわれるのが5つの塔。交差部の塔の周りに4つの塔が順次建てられました。中世のベルギーでは鐘が好まれたようで、旋律を奏でる組鐘(カリヨン)もさかんに作られました。ブリュージュのカリヨンも有名ですが、ここトゥルネーも17世紀には相当数のカリヨンがあり、フランス革命前には大聖堂に鐘つき男49人!カリヨン弾き4人が大聖堂のなかで、寝起きしていたという。「ノートルダムのせむし男」の話を想い出しますが、現在は電動で鳴らされるそうです。

あいにく内部は大部分が大修理中。側廊は地面を深く掘っていますので、考古学調査もなされているようでした。身廊は4層の高さの割りに柱が細いので修復を何度もする必要があるとのこと。

この地方の名産である「トゥルネーの青い石」で作られているとのことですが、青い色?って目をこすって見ても、普通のグレィ色・・・古くなって汚れているから?

ロマネスク柱頭彫刻や壁画などの部分も工事中のため、見学できませんでした。残念。

↓ナルテックスのついたファサード。教会建築としてはロマネスク時代に工事が始まり、途中からゴシックに変わっています。

↑大聖堂の手前にある古い建物は美術学校。

↑大聖堂の近くベフロワと呼ばれる独立鐘楼。

ランチを駅前のカフェで。チキンカツのサラダ添えと(しかし、ベルギービールは美味しい!)雨も強く降り、ますます寒くなってきました。オルタの設計したという美術館はパスして、ブリュッセルに戻りました。

↑Tournai駅構内。

♪~Vincenzo Bellini「 I puritani」  Palais des Beaux-Arts      8時開演    69ユーロ
Conductor   Maurizio Benini
Chorus master   Piers Maxim
  ~
Lord Gualtiero Valton    Riccardo Ferrari
Sir Giorgio Valton    Michele Pertusi
Lord Arturo Talbo    Antonino Siragusa → Mario Zeffiri

Sir Riccardo Forth    Stefano Antonucci
Sir Bruno Robertson    Cristiano Cremonini
Enrichetta di Francia    Gabriella Colecchia
Elvira    Désirée Rancatore →Sumi jo

シラグーザは不調のため、ベルリンを降りてここに絞ったはずでしたが・・・。この2日前の歌唱は今までに無い絶不調であったということを昨夜Iさんに伺っていました。今夜は諦めの境地でしたが・・・やはりキャンセル。泣くに泣けませんでしたが、昨年6月のアムステルダムでの歌唱と前後の超過密スケジュールを考えると、ある程度の予想はついていたとも言えます。ただこのままぽしゃってしまっては大変です。フローレスの超人間的な高く響く声とは違う魅力、イタリアのオリジナリティ溢れる明るい声の持ち主は万人に愛されるテノールの素質充分です。ですから、なんとかここで充分休養して、快復していただきたいと願うばかり。

ランカトーレも今年になってからでしょうか、急激な不調の噂を耳にして、信じられない思いでいましたが・・・残念です。シラグーザよりも深刻かもしれません。7年前にパリでホフマンのオランピアを聴きました。あの時はまだ20代前半、その後若く有望なソプラノとして順調にキャリアを積んできました。ショックです。

シラグーザの替わりに歌ったのはゼッフィーリ。どこかで観たような、聴いたような・・・思い出せません。声は強く高音もでますが、息継ぎの不自然さが気になります。それで気品に欠ける歌唱になってしまいます。ランカトーレの代役はスミ・ジョー。前半はあまり感心しませんでしたが、後半はまあまあ。彼女にも良い時期はあったのでしょうし、実際衰えたということもないのですが、エルヴィーラはグルベローヴァのを聴いていますので、惹き込まれる歌唱には遠いというのが本音。ペルトゥージは安定した深く渋い歌唱。昨年もモネ劇場のファルスタッフで聴いています。ブリュッセルがお好き?ベッリー二の指揮とオーケストラはまあ平凡というか・・・特になし。

Iさんは明日早朝トリノへ。私はロンドンとお別れです。いつか、シラグーザの舞台をヨーロッパで一緒に観られますように・・・。

 


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コメント 4

kikuko

22日はシラグーザは最初から出なかったのですね。追いかけではないけれど、昨年はジェノヴァとフィレンツェ、今年はトリエステとビルッセル、かんりしつこく聴いています。だんだん調子が悪くなって、心配していたのですが・・・。
 22日はMario Zeffiri 26日はまた別の方がシラグーザの代役を務めたようですね。Zeffiriはペーザロ、ローマ、フィレンツェで聴いていますが、かなり辛い。
 
by kikuko (2007-06-08 09:08) 

alice

Kikukoさん

22日の代役を間違えていました。ご指摘ありがとうございます。訂正させていただきました。代役の名前がどこにも書いてなくて(演奏前にテロップで流されただけ)、いつものメモなしうろ覚えで・・・汗
by alice (2007-06-08 16:48) 

あがるま

殆ど始めてブリュッセルを見ました。
市庁前広場の建築の豪華さや、歴史博物館のコレクションや、王立美術館は見ませんでしたが、近くのサブロン広場周辺の骨董店街の素晴しさはベルギーの豊かさを象徴するやうですね。
子供の頃、目白でベルギー大使館の近くに住んでゐたので、親近感があつたのですが、あの小さな大使館の本国がこんな素晴しいものだとは!
美食の街で10ユーロの夕食も美味しく戴けました。

BAAFと云ふ、毎年秋のバーゼルの古代美術展には何回か行つたことがあるのですが、春のブリュッセルの展示会は始めてでした。
現地の複数の店を会場にして開催するので入場料もなく誰でも気安く店に這入ることが出来ます。
100ユーロくらいのローマ時代のフィブラを買ひました。
6月13日の水曜日まで開催されてゐるさうですからお時間のある方はどうぞ!

トゥレーヌも知つてゐれば行つてみたのですが、替りにアーヘンAixLaChapelleに寄りました。実は余り期待もしてゐなかつたのですが、ビザンチン風の聖堂の内装には驚かされました。
イエスのオムツや洗礼者ヨハネの首を包んだ布、マリアの着物や帯などの聖遺物が案外綺麗なのに驚きましたが、歴史美術館で見たエジプトの布に似てゐたので何か納得が行きました。

残念ながら両市のオペラ劇場には疲れて行けませんでした。
by あがるま (2007-06-10 19:22) 

alice

あがるまさん

初めてのブリュッセルにしては、さすが!に踏み込んだ観光をなさっていますね。

サブロン広場周辺の骨董店街は気がつきませんでしたが、中央駅近くの古い小さなギャラリーに古本屋だけが2軒、並んでいました。人影も無く、忘れ去られたような一画。

今回は行きませんでしたが、王立美術館も他の都市のインターナショナルな美術館とは違う雰囲気がかなりします。日本ではあまり知られていない画家の作品が、確実にベルギー象徴派に影響を与えたことなど、あの場所で初めて知ったことでした。

>イエスのオムツや洗礼者ヨハネの首を包んだ布、マリアの着物や帯などの聖遺物が

そんなに多くの聖遺物?があるなんて怪しい(笑)
ブルージュの聖血もそうですが・・・。
by alice (2007-06-11 10:32) 

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