2008年冬の旅(ROME 5) [2008冬ローマ、ナポリ、シチリア島の旅]
1/30(水)
曇り空でやや寒い一日でしたが、まずはホテル近くの3聖堂の見学です。
●S.Maria.Maggiore サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂
ホテルの方角から歩いていきますとは起伏はなく、エスクィリーノの丘に建っているという感じはありません。交通量の多い大きな広場に面して建つ姿はバロック様式。堂々としていて、5世紀初めの創建という中世の雰囲気はありません。
内部は史上創めて聖母マリアに捧げられた大教会らしい厳かさのバジリカ様式。細やかに装飾されたモザイクのため、どこか貴族的な優美さも感じられます。後陣モザイクの「聖母戴冠」のマリア(絵葉書)のきらびやかな誇らしい姿。他も女王さまのようなマリアの豪華な衣装に惑わされ、図像解釈ができない場面も・・・。後の時代の図像と違うのは参考書によりますと5世紀初頭はまだキリスト教図像の模索期であったためとか。
壁面を覆う金地を背景にした燦然と輝くモザイク、堂々と並ぶ神殿が前身と思われる列柱、幾何学的なコズマーティ様式の床モザイク。ローマ入りして初めてだったせいか、圧倒されて写真撮るのも忘れてしまいました。帰り際に好きなモザイクの床だけパチリ。
正面側の広場を横切って、メルラーナ通りに入り、1本目の右の細い道の奥に● S.Prassede サンタ・プラッセーデ聖堂が建っています。
なにげない外観ですが、入り口に茶色の僧服の男性が立っていたので分かりました。創建は5世紀(井戸の跡が残るだけ)ですが、9世紀に今の形になりました。中に入りますと、意外に広い内部空間ですが、古い聖堂の素朴さを失わず、後陣やサン・ゼノーネ礼拝室のモザイク(9世紀)も素晴らしいです。
照明のための小銭(50セント)が無く、先に絵葉書を買ってましたら、サンタ・マリア・マッジョーレでもすれ違った白い尼僧姿のシスターたちが数人みえて、この小さなサン・ゼノーネ礼拝堂でお祈りをしています。入るのを遠慮していたら、そのなかのアジア系の方(フィリッピーナ)が声をかけてきました。どうやら熱心なカソリック信者と見られたらしいです。(汗)
この礼拝堂の狭い空間を彩るモザイクは天井の「天上の園」と呼ばれるものや王女様のような聖女たちなど。豪華さの中にデザイン的に洗練されていて見事です。ローマ市内にあるビザンチンモザイクの集大成ともいえるのではないでしょうか。
先ほどのマッジョーレ聖堂の横から坂を下りて、2本目のウルバーナ通りを左に行くと● S.Pudenzianaサンタ・プデンツィアーナ聖堂の塔が見えてきます。2世紀の浴場の上に4世紀に建てられたという聖堂 は道路から階段を下りて正面玄関です。
まずはアプシスのモザイク(5世紀初め)に一直線。キリスト教の後陣モザイクとしては最古とのことですが、意外に新しく見えるのは古代風の完成度の高さなのか、修復のせいなのか・・・。
身廊左の扉口は鍵がかかっています。正面入り口横のブックショップに声をかけると、「今ガイドツアーの最中だから、次ね」といわれて10分ほど待ちました。2階の礼拝堂にあるロマネスクのフレスコ画(絵葉書) は見逃せません。礼拝堂の壁はレンガの薄い層になっていて、一枚一枚に寄進者の名前が書かれています。アプシスのモザイクも2階席から近くに見て説明してもらえます。ボランティアの青年も感じ良く、無料(英語)
10年前に来たことのある懐かしいローマ歌劇場の前を通り、テルミニ駅の方向へ。ローマ国立博物館/マッシモ宮の見学
ここは駅前という便利な場所なので、いつでも行かれると思って後回しになっていた博物館です。チケットの窓口で早速ミスって、マッシモ宮だけの予定なのに4つの国立博物館共通券を買ってしまいました。(涙)
特別展は「ポンペイの赤」でしたが、12時も過ぎてましたので常設展のほうに重点を置いて回りました。カメラ禁止なのを初めは知らなくってアウグストゥス像だけ撮ってしまいました。
上記の「ポンペイの赤Rosso pompeiano展」の一番奥まった小部屋に下記のコメント欄で訂正させていただいたCasa del Bracciale d'Oro(黄金の腕輪の家)にあったとされる様々な種類の鳥や植物に満ちあふれる庭風景のフレスコ壁画(再現)がありました。
追記 2009.11 上野の「古代ローマ帝国の遺産展」で、上の庭園風景の壁画が公開されていました。
紀元前2世紀から紀元後4世紀までの彫像、モザイク、フレスコ画はキリスト教美術以前の古代ローマの優れた作品を多数収蔵。そのうちの両性具有の彫刻「Ermafrodito addormentato」(絵葉書左)は特に印象的でした。再訪することがあれば、見逃した、「リヴィア家のフレスコ画」(絵葉書右)は是非観たいものです。
ランチはホテル近くのトラットリアで。3軒並んでいるうちの地元のお客さんの多そうな店を選んで正解!前菜の盛り合わせ(ブッフェ形式)とスパゲッティ・カルボナーラ、グラスワインと水ミニボトル1本で15€。☆☆☆
遅いランチの後はホテルで休憩~昼寝。夕方、地下鉄でカラヴァッジョのあるサンタ・マリア・デル・ポポロ教会へ。
Aline/Termini(M)→flaminio(M)・・・Santa Maria del Popolo教会(16:00~19:00)
この教会は昼休みが長いので、時間が合わず見学できないままでしたので、念願の訪問です。夕闇迫るポポロ広場はまだまだ観光客も多く、賑やかです。
サンタ・マリア・デル・ポポロ教会のチェラージ礼拝堂を飾るカラヴァッジョの「聖ペテロの磔刑」と「聖パウロの回心」については何度も画集などで観ていたのですが、実際ここに立ちますと「宗教美術史上もっとも革新的」(ロベルト・ロンギ)と評した「聖パウロの回心」に眼が釘付け状態。この作品に第一ヴァージョンがあったことなど、前述した「カラヴァッジョへの旅」に詳しく書かれています。また聖パウロのイメージにルターを重ねたことも「ルターの回心」を願うものと推察されています。
夜の華やかなコルソ通りを散策。スペイン広場から地下鉄でテルミ二駅に戻り、ホテルの近くでケバブサンド、果物など買い部屋で質素な夕食。
>意外に新しく見えるのは古代風の完成度の高さなのか、修復のせいなのか・・・。
あれは不思議なんですけれどね、あの時代のほうが古代のリアリズムの流れをひいているわけなんですね。サンティ・コスマ・エ・ダミアーノも同じ。
マッシモの上の階のローマ絵画は、今では予約制ではないのですか?
by Bowles (2008-03-08 23:55)
Bowlesさん
マッシモ宮の3階には行きませんでした。1階で開催された特別展の一番奥の小部屋で観たのが、「リヴィア家のフレスコ画」と思い込んでいたのですが・・・。何度も写真で観ていた青と緑の美しい庭園に小鳥の飛ぶ風景が壁面全体を飾っているのも同じ。
調べてみますね。
コメントダブってますので消しました。
by alice (2008-03-09 17:29)
旅の初めだったので、マッシモのカタログは重いので購入しませんでした。
こういう場合は困ってしまいますね。案内図も見当たらず、お手上げです。
マッシモに行かれた方たちのサイトを探してみましたが、「リヴィア家のフレスコ画」をご覧になった方はいらっしゃらない・・・。
あの小部屋はコピーだったのでしょうか・・・自信がなくなってきたぁ~。
何かお分かりになったらお知らせくださいませ。
by alice (2008-03-09 20:50)
だぶり、消してくださってどうもありがとうございます。
>1階で開催された特別展の一番奥の小部屋で
特別展というのは、Rosso pompeianoのことですか?この特別展の作品はすべてなぽりからのもの、と記載されているので、違うと思います。また3階全体のローマ時代のフレスコは、空間自体を再現しての展示がいくつかありますので、とても移動できるものではありません。とても見事なものでした。
http://archeoroma.beniculturali.it/it/node/312
私が行ったのはもう何年も前ですが、勝手に3階へあがって観ることはできず、多分45分に一度、ガイドつきでの鑑賞のみ可能でした。切符を買うと同時に申し込んで、次の回まで下の作品を観て過ごしました。さて、今はどうなつているのか...。
by Bowles (2008-03-10 09:09)
>空間自体を再現しての展示がいくつかありますので、とても移動できるものではありません。
私はあの壁画が3階にあることを知らなかったので、奥の小部屋が、「リヴィア家の食堂を再現したものと早合点したようです。
しかし、あれもナポリから持ってきたものとは到底信じられません・・・。
by alice (2008-03-10 10:24)
本文およびお二人のコメントで、まだまだ見逃しているものが多いことを知りました。あと一回ぐらいはローマに行けるかな。
by kikuko (2008-03-10 16:33)
kikukoさん
今回のローマに限らずですが、見落としてきたりすることの多いぼんやりな私なのですが、今回のローマとシチリア島は参考書(芸術新潮の特集)に恵まれて、幸いでした。
時間切れで行かれなかった市内や周辺のいくつかのの聖堂は次回にと思うものの・・・さて、いつになることやら。
by alice (2008-03-10 22:07)
ずいぶん時間が経ってしまいましたが、偶然「ポンペイの赤展」をご覧になった方のサイトが見つかりました。
上記のbowlesさんのご指摘どおり、リビア家の食堂の壁画ではなく
ナポリからのCasa del Bracciale d'Oro(黄金の腕輪の家)の再現された壁画だそうです。
間違った情報でした。改めて訂正お詫び申し上げます。
by alice (2009-01-08 15:25)