2008年冬の旅(ROME 6) [2008冬ローマ、ナポリ、シチリア島の旅]
1/31(木) ローマはいままで割合短期の滞在が多かったこともあり、フォロ・ロマーノに足を踏み入れるのは今回が初めて。前回(2005年)も真夏だったので、カピトリーノ美術館のテラスから「暑そお~」と眺めただけでした。地下鉄を利用してTermini→Colosseoへ。 コロッセオとネロの黄金宮殿も当初は予定に入れていたのですが、夕方まで一休みしなければ体力を消耗しそうなのであきらめました。1ヶ月の長旅ですから無理は禁物です。その観光客で混雑するコロッセオを横目にコンスタンティヌスの凱旋門からティトスの凱旋門、そして右手の坂を登ると4世紀初めに建てられたマクセンティウスの巨大バジリカの遺構が眼に入ります。3つのアプシスの半円筒形の天井(きゅうがい)の壮大なこと!コンセルヴァトーリ美術館の中庭に展示されているコンスタンティヌス帝(このバジリカを完成させた)の大彫像は元はここのアプシスに置かれていたそうです。
訪問予定のフォロ・ロマーノの2聖堂のうち ●S.cosma e Damianoサンティ・コスマ・エ・ダミアーノ聖堂は迷いながら坂を登って遠回り。実際は地下鉄Colosseo前の大通りを右に歩いたほうが発見しやすかったかも。キリスト教が公認されたとはいえ4世紀にはまだ異教ローマであったわけです。次第にキリスト教は広まり、教会堂の建設は6世紀にもなると、ローマの中心のこのフォロ・ロマーノにも進出。サンティ・コスマ・エ・ダミアーノ聖堂は異教の神殿を改造したものです。 内部は白っぽい大理石を使った明るい空間です。
ガラス戸の向こうに以前の神殿側の部が見えます。(写真は扉口外観/ここからは入れません)
勝利門と後陣のモザイクがここの見所です。アーチ上の優美な天使 、夕焼けの雲上に顕われる金色の衣装のキリスト、とてもカラフル。そして昨日見学したSanta・Pudenzianaの古代美術の名残がここのモザイクにも覗えます。
次は●Santa Maria Antiqua サンタ・マリア・アンティクァ聖堂をめざしましたが、フォロ・ロマーノの遺跡の陰に隠れて、なかなか見つかりません。しかも尋ねようとした係員が携帯で長電話・・・仕事中でしょうが。結局、自力で柵の向こうの聖堂を発見。しかし、無常にも閉鎖中の張り紙が・・・。一般公開が間近との情報がありましたが、どうやらアメリカの財団が資金を出している関係で、今のところ専門家などのグループにしか許可が降りないようです。発掘調査などはすでに終わっているはずです。残念。悪いことに雨も降ってきました。
コロッセオに戻り、地下鉄前の大通り(Via Labicana)をそのまま直進しますと広い敷地の向こうに
●San Clemente サン・クレメンテ聖堂 が見えてきます。
すでに11時半を回っています。12時半には閉まってしまいます。焦って雨の中教会に駆け込みました。そんな気持ちも内部に入るとすーっと沈静。それほど美しく、均衡のとれた空間です。溜息。3世紀にミトラ教神殿の跡に建てられ、4世紀にキリスト教会になりました。今の教会は12世紀の建築です。モザイクも12世紀の作で、十字架の下部のアカンサスや渦巻き模様などロマネスクの特徴が見られます。
地下の教会にも入ってみました。(有料)4世紀のキリスト教会時代のフレスコ画
その奥がミトラ教の遺構です。暗くじめじめした雰囲気。そろそろ閉館とあって誰もいません。閉められたら大変!怖くなって急いで出てきました。(汗)
最後にマゾリーノのフレスコ画で飾られたS・Caterina礼拝堂(絵葉書)
マゾリーノ・ダ・パニカーレによって1428~31ごろに、この聖堂の枢機卿だったブランダ・カスティリオーネの注文によって制作。右壁にルネッサンス初期に遠近法で描かれた貴重な例「聖アンブロシウス」があります。下の絵葉書のように鉄柵が閉められていて、まじかで見学できないのが残念でした。
これを最後に見学して、外に出ますと雨も止んでいました。 テルミニ駅に戻り、日本人のTomokoさんが経営するというレストランでランチ。お客さんはJTBのツアー参加の4人のグループ(フリータイム)と私だけという日本人御用達のお店。海鮮サラダ(蛸だけ)とパスタ(忘れました)にグラスのスプマンテと水コーヒーで昨日のランチの倍のお支払い。しかもカードの機械が壊れたからと現金を請求され、ユーロの持ち合わせが無かったので日本円で払いました。換算はおいくら?と訊きましたら170円・・・。帰宅してからその頃に使ったカードの換算をチェックしましたら、160円くらい。味は普通ですが、高い、会計不明瞭と驚くべきずさんさ。2度と行きません。☆
ホテルに戻り休憩。16:00前に出るつもりがウトウトして30分ほど遅れ、あたふたとテルミネ駅前のバスセンターへ。36番のバスをようやく見つけて、ノメンターナ街道を走ります。しかし、ぼーっとしていて街道から見えた教会を通り過ぎ、次の停留所で降車。結構歩きました。街道から見えたのは ●S'Agnese fuori le muraサンタニェーゼ・フォーリ・レ・ムーラ聖堂ですが、鉄柵が・・・。でも、慌ててはいけません。他の入り口を探しますと向かって左にS.Costanzaとの共同入り口があります。その門を入り右の階段を降りますと、ガラス戸の向こうがS'Agnese fuori le muraの内部になっています。聖アグネスを祀る小さな聖堂(今のは7世紀に建築)はアプシスに聖女の像のモザイクがあり、殉教の印の炎を足元にビザンティンらしい華麗な立ち姿。
正面から出ますと前庭があり、
ここから左の坂道を少し登ると●S.Costanza サンタ・コスタンツァ聖堂が正面に見えます。
4世紀の円形堂の教会は現存する最古のキリスト教建築とのこと。当然モザイクも初期キリスト教のものですから、とても貴重です。訪問をとても楽しみにしていました。ところが、すでに閉館の20分前、6時近くなり夕暮れです。中は真っ暗で、誰もいませんし、何も観えません。泣きそうになりながら入り口付近をみましたら、照明の装置がありました。ここでまたまた困ったことに小銭が無い、時間が無い・・・すると先ほどS'Agnese fuori le muraにいた二人組みがのんびりやってきました。そして「ルミネはここよ!でも私は小銭が無いの!」と叫ぶ私にどれどれとお金を入れてくれました。ラッキー!!ということで、あまりゆっくりは鑑賞はできませんでしたが、異教徒の床にも多用されている葡萄からワインを造る情景がワインはキリストの血であるというキリスト教の教義に置き換えられていく過程のひとつとのこと。とても興味深いものでした。
余談ですが、この図像は中世末期には「神秘の葡萄絞り機」という主題にまで発展します。キリストの体から葡萄絞りのように血を絞るという。聞くと大変に残酷なものです。(中世末期の図像学 上 エミール・マール著)その図像のステンド・グラスがパリのサン・テティエンヌ教会にあるというので、物好きにも数年前に観てきました。
バス停から見た夕暮れのサンタニェーゼ・フォーリ・レ・ムーラ聖堂です。
テルミネ駅に戻った頃はすっかり夜も更けました。駅前のバールでパニー二とアップルパイを持ち帰り、今夜も質素な食事。
サンタ・マリア・アンティクァ、残念でしたね。益田さんがたしか修復はすんだけれど公開は近い将来、と書かれていたので、去年の夏は時間がないこともあり、行ってみませんでした。また宿題ができましたね。
サン・クレメンテ、地下教会はいらっしゃらなかった?お金をとられますが、またあのミトラ神殿の不気味さは嫌いですが、11世紀のフレスコが観られます。
by Bowles (2008-03-10 09:18)
>サン・クレメンテ、地下教会はいらっしゃらなかった?
もちろん!行ってきました。ミトラ神殿怖かったです。閉館近くで誰もいなくて・・・。下書きにはフレスコ画の絵葉書も載せましたがどういうわけか、本文に反映されてないのです。その前の写真3枚が多かったのかしら?
裏日記にも書きましたが、so-netは2月末のリニューアル後、トラブル続出なので、この日記も順調に進みません。(泣)
by alice (2008-03-10 10:13)
ようやく、以前のシステムに戻ることができました。ついでに広告も消すことができましたので、以後は少しは書くスピードも上がると思います。
それでも4月初めのアメリカ出発までは間に合いそうにありませんが・・・。
by alice (2008-03-12 23:36)
S.Agneseの情報ありがとうございました。
今、行ってきました。
ちょうど結婚式中で演奏と歌が素晴らしかったです。
by angel (2009-05-31 20:24)
angelさん、こんにちは!
今はローマにいらっしゃるのですね。S.Agneseは結婚式が多い教会と聞いておりますが、丁度遭遇されたようでラッキーでしたね。
ローマも少し涼しくなったでしょうか?
私は昨夕、ヨーロッパの旅から戻ったところです。イタリアは南チロル付近まで暑くって大変でした。
by alice (2009-06-02 11:31)