2008年冬の旅(PARIS 25) [2008冬ローマ、ナポリ、シチリア島の旅]
2/19(火)
今回のパリは未訪問のアラブ世界研究所へ行く予定を立てていました。というのは"La Méditerranée des Phéniciens, de Tyr à Carthage", 「フェニキア人の地中海(ティルスからカルタゴへ)」という特別展を開催中だったからです。
宿からセーヌ川を渡り、
川沿いからバスでサンジェルマンを経て到着。建物は近代的なガラスを多用していますが、アラブの特徴の幾何学模様に飾られた外壁はエキゾチックでとても美しいです。いつもは遠望だけでしたから、今回は近くで観られて感動でした。
展覧会ではシチリア島のツアーで観てきたばかりのフェニキアの遺跡を思い出しながら回りました。ポスターにもなった貝殻型の置物?(写真)をはじめ、貴重なレリーフや像が展示され、押すな押すなの大盛況。映像は現在のレバノンの海岸地帯のティルス付近から紀元前1200年頃レバノン杉で造った舟に乗り地中海に漕ぎ出す海洋商業民のフェニキア人、拠点とした地中海の植民都市のあちこちなどが映し出されます。チュニスのカルタゴやサルデーニアのタッロスなど行ったことのある懐かしい風景。
フェニキア文字はラテン語やギリシア語の元となり、アルファベットを発明したといわれています。高度な文明を持ちながら消えていった民族の伝説はロマンもありますし、一方では彼らの植民都市の建設は近代の侵略的なものとは一線を画すものではなかったかという想いが湧いてきます。文字や数字は交易には必要でしたでしょうし、占星術的な長子を生贄に捧げるなどという習慣は海の神を鎮めるためだったのでしょう。強力なギリシア人の軍に破れ、その文化も徹底的に破壊され、転用されました。残ったものは極少なくこういった展覧会は珍しいのではないでしょうか?
写真撮影不可。カタログも重く、購入しませんでした。
帰りはサジェルマン大通りをぶらぶら歩いて 、デ・プレ教会近くのお寿司屋さん「築地」でランチ。板前のおじさんふたりも相変わらず元気です。フランス人のお客さんがほとんどで、満席。「ちょっと待ってたら空くよ」とのことで、2,3分でカウンターの片隅に座れました。貝類、海草、きゅうりの酢の物にお好み握り数カン、ビールでお腹がいっぱい。30€くらい。超お勧め。☆☆☆
昼寝のあとはガルニエでバレエとオペラのコラボレーションの舞台。
★ BALLET 「 Orphée et Eurydice 」 19:30開演
Paris, Palais Garnier
Balthasar-Neumann Ensemble
**BALLET!** / Création chorégraphique
Conductor Thomas Hengelbrock
Producer Pina Bausch
Choreographer Pina Bausch
Sets, Costumes Rolf Borzik
Lighting Rolf Borzik
~
Orphée Elisabeth Kulman (jose Martinez)
Eurydice Svetlana Doneva (Alice Renavand)
L'Amour Hélène Guilmette (CharlotteRanson)
カッコ内はダンサー
ガルニエでバレエを観るのは初めて。とはいえGLUCKの「 Orphée et Eurydice 」はオペラの生公演でも経験済みです。歌はオーケストラ・ボックスまたは舞台の片隅で歌われると思っていましたが、ダンサーとともに演技をしながら、ふたり一組で一役という構成。グリュックの流麗な中に素朴なバロックの調べに乗って踊るオルフェ。そのギリシア彫刻のような肢体がしなやかに力強く舞います。歌唱が声の楽器とすれば、バレエは体が楽器です。パリオペラ座の誇るバレリーナたちの群舞も美しく、楽しみました。
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