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2008年春の旅(NEWYORK 9) [2008春アメリカ東部NYからボストンへの旅]

4/11(金)
キッチンはあっても、朝ごはんの用意が面倒になり、ホテルの隣のカフェで済ませました。
ホテル内には朝食室はありませんので、翌朝からは簡単な自炊生活・・・NYに暮らすようなホテル住まいはなかなか楽しかったです。ただ、1週間といっても前半3泊、後半4泊と分けましたので、材料などあまり買い込めなくて、ホントに簡単なものだけ。小さなまな板とぺティナイフがあれば、より調理がし易くなったのですが・・・。紙パックに入ったコーヒーは毎日2袋配給されました。

セントラルパークを横断してアッパー・イーストのメトロポリタン美術館方面へ。NYは4回目の訪問ですが、ようやくのんびりした気分で公園内を歩く余裕ができました。今までは美術館巡りに追われて、公園の周りをセカセカ歩いただけでしたから。
時は春、日は朝・・・リスがちょこちょこ走り、木蓮やレンギョウ、クリスマスローズも満開。そして見事な枝垂れ桜。

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PHOTO062.JPGメトロポリタン美術館の近くの86丁目にあるノイエ・ギャラリーへ。ここは初訪問です。ウィーン出身の画廊経営者だった人と後に協力者になったエスティ・ローダーの創業者の息子との共同コレクションを6階建ての瀟洒な邸宅で公開しています。

ここが一躍有名になったのは、ウィーンにあったクリムトの「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」を落札してコレクションに加えたことでした。

この日はふたつの企画展がありました。「ウィーン工房の宝石(アクセサリー)」と「クリムト」です。アクセサリーは20世紀初頭ウィーンで造られ、クリムトが恋人のエミリーに贈ったものなど。クリムトのほうはここのコレクションが主体で、例の肖像画(7年ぶり?に再会)や風景画など、ドローイングも多数。
ここにはエゴン・シーレのコレクションもあると聞いていたのですが、今回は企画展のため展示されていませんでした。残念。

この後はメトロポリタン美術館へ。特別展のティエポロをさーっと観て、未見学だったギリシア・ローマセクションへ。

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 レーマンコレクションはまだ改装中(長い~)、(i)に確認したら5/20から公開予定だから、またいらっしゃい・・・って簡単に言うわね。

PHOTO066.JPGレーマンが閉まっている替わりに?開けているリンスキーのクリヴェッリ兄弟を最後に眺めると、もう足が棒。頭もボー。

←は弟の「聖母子」の部分。下にヴェニスの画家とサインがあります。

 

 

それでもランチは頑張ってトランプホテルのJean Gorgesへ。
カウンターで落ち着かないけれど、ひとりですし、予約無しでも座れただけましです。
お昼の選べるセットメニュがお得です。グリーンアスパラのサラダの前菜、蒸した白身魚のヘルシーなお皿。白ワイン、デザート、コーヒー。チップを含めて50$くらい。☆☆☆
ここのフレンチは淡白系で好み、サービスも良いし、グラス・ワインでもとても美味しいのをすすめてくれます。☆☆☆

Philip Glass 「 Satyagraha」  ・・・8:00開演 
Conductor: Dante Anzolini
Producer :Phelim McDermott
M K Gandhi: Richard Croft

Miss Schlesen :Rachelle Durkin
Mr Kallenbach: Earle Patriarco
Mrs Naidoo: Ellie Dehn
Parsi Rustomji :Alfred Walker

昼寝から目が覚めるのが開演1時間前でも間に合います。寝癖でひどいヘアー・スタイルのままでMetへ駆けつけました。この日が一番良い席に当たりました。ツーリスト用の3連続公演チケットが20%引きで売り出されたのを購入したので、席は適当にお任せなのです。一階オーケストラ席中央。何列か前にペリー(「連隊の娘」の演出家)が座っていました。
さて、今夜のオペラ「 Satyagraha」は一度も観たことも聴いたこともないうえ、サンスクリット語で歌われます。難しそうと初めはあまり気乗りしなかったのが本音です。
しかし、昨年ロンドンの公演が大評判となり、同じプロダクションをMetが呼んだものです。現在の米国がこの非暴力に徹したガンジーのオペラを上演するという皮肉な場面に身を置くのも何かのご縁と思います。この日が初日とあって、いつもの華やかな雰囲気のなかに、張り詰めたような期待感が少なからぬ観客の顔に表れています。支配人が変わった効果が昨年より一層現れてきたMet。この日は若い方たちも多く、熱気にあふれていました。

作曲家のPhilip Glass は映画の作曲家として知られていますが、このオペラが作曲された背景には当然ながらインド及び仏教への興味が底にあります。サンスクリット語のアリアや合唱に一種の郷愁を覚えました。読経が唱えられているような単調な心が沈静する諧調なのです。オーケストラもいやに上手と思ったら(やっぱり 笑)ウィーン・シンフォニー・オーケストラ。現代オペラらしいシンセサイザーの調べもさらさらと流れる川のようでいて、心の琴線に響く素晴らしい音楽、演奏でした。ガンジー役のRichard Croft はこの役はこの人しか居ないでしょうと言うほどのはまり役。一幕の背広姿からニ幕はあのガンジースタイルに変貌し、決して声高にならない非暴力の訴えを彼の歌唱が見事に抑制を効かせて、かつ誇り高く歌い上げます。脇を固める他の歌手たちは知らない方たちでしたが、 合唱とともに総じて見事なパフォーマンスに感動でした。

Metでこれほどの水準の高い舞台に接することができるなんて、本当に幸運でした。(ほっぺたをつねりたくなったくらい 笑)演出については書いているときりがないのですが、説教がましくなりがちな演目を上手く
処理して飽きさせません。私たちの生きる、生きてきた世界の明と暗。明るいところばかりに目を向けてきた私たちへの痛切な批判が底に感じられる衝撃的なものでした。
副題に南アフリカのマハトマ・ガンディーとあるように、ガンジーがアフリカの植民地の現状に直面し、非暴力に目覚めていくまでのストーリーです。
「サッティヤ(Satya)は愛を意味し、断固としていること(Agraha)は力を生み出すゆえに力と同じ意味合いで働く。つまり、真実と愛すなわち非暴力から生まれた力である。(もし)私達がサッティヤーグラハの人々でありサッティヤーグラハを申し出れば、私達自身が強くなることを信じることになるだろう。私達は毎日だんだん強くなって生きている。力が強くなっていく中で、私達のサッティヤーグラハもより効果的になるし、我々もサッティヤーグラハを諦める機会を探し回るということも無くなるだろう。」ガンジーの言葉より 
 

終演は予想より遅れ12時近く。カーテンコールには作曲家のPhilip Glass も登場。誰よりも熱烈な歓声、ブラボーを浴びていました。こうして大興奮うちに初日は終わりました。

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ゆみゆみ

今まで、クリスマスから真冬に訪れてばかりのNY。街角に桜のような白いお花が満開で、こんなに素敵な街だったの?と「きれ~い!!」を連発した私です。私も滞在していた数日も暖かで、本当に良かったです。
ここに書いていらっしゃる旅行者用のチケットがあることを知りませんでした。つい3週間ほど前2007-2008年のこのパンフレットが送られてきました。(今頃来ても、もう行ってしまったのに)更に、来年度の“大イヴェント”も既に購入済みなのに。その旅行者用に割引であるのですか?
以前メトのネット上で、旅行者用の発売があり、「オネーギン」「シモン」「マイスタージンガー」と参りましたが、それ以降は廃止されたと聞いていました。サブスクライブの6演目は、最近では、1回の旅行で、見ることができなくなっています。同じ演目が重なるか、滞在を長くしないと2演目ほどが、無駄になります。
毎年この旅行者用があると、私など助かります。
それにしましても、眠い目をこすりながら深夜にNYに電話し、
「日本から行くのだから、変更をどうしたら良いか・・・。」等
とあれほど言っているにもかかわらず、「旅行者用があるよ!」と教えてくださらないメトのチケット担当の方。
このチケットは、余り売りたくないのでしょうか?正直申しまして、悔しい~です。
by ゆみゆみ (2008-05-11 10:20) 

alice

ゆみゆみさん

Metのサブスクライブは1週間居ても、6枚のうち3枚しか消化できないので、最初から私は検討外でした。(同じ公演を観ないので)

ツーリスト用3日連続チケットは記録をチェックしましたら、昨年6月に案内メールが来て、前半の3公演の分を申し込んでいます。でも、その時の確認メールでは席が決まったらメールを送信しますと書いてあったのに・・・結局来ませんでした。(途中私のパソコンの故障もありましたが)
後半の3公演はSold outの見込まれる連隊の娘が入ったので、設定がありませんでした。秋に発売開始と同時にバラで予約しました。

毎日のように案内メールがあるので、見ないで消してしまうこともあります。たまたま見つけたのでラッキーだったのかも・・・。

それとMetはシニアのディスカウント・チケットを売っているのに気がつきました。(ゆみゆみさんは関係ないですが)当日券ですが空席があれば半額のようなことを書いてありました。
そのせいか、どの公演も前年より入りが良かったような気がします。活気が戻ってきた雰囲気。宣伝も以前より効果的だと思いました。

アニバーサリーのチケット、どうしようか迷っています。3月の旅がまだまとまらなくて・・・。行きたいとこだらけで。(汗)
by alice (2008-05-11 13:57) 

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