2008年初夏の旅(Paris 3) [2008夏パリ、ロンドンと伊リグーリアの旅]
6/15 (日)
昨日の疲れもありますが、今日のオペラはマチネなので美術館巡りはご近所で済ませるつもり。
昨年も定休日で見逃したヨーロッパ写真美術館へ、11時の開館にあわせて行ってみました。ホテルからは徒歩数分の距離です。ところが、特別展の準備のため閉館となっていました。
しかたなく、しばらく行っていなかったピカソ美術館へ。(10年ぶり)ところが、ついてない時はこういうもので、コレクションのなかでも常時展示されているはずの傑作群が見当たりません。2番手と版画のオンパレード。どこかに貸し出されていたようです。ニースで見たことのある山羊の彫刻に再会。他に見るものが少なく、この山羊をよくよく見れば野生的、生命力にあふれて、さすがピカソです。
↓の絵葉書は今回展示されていたものからピックアップしました。左「帽子の女」 右「デッサンするクロード、フランソワとパロマ」
帰途、マレの名物ファラフェルサンド屋により、1個(6€)を持ち帰りました。そして果物屋さんで木苺、さくらんぼ、アプリコットを購入。お部屋でいただきましたが、写真にあるとおり食べ切れない量ですから、半分はオペラから戻ってきてからの夕食にも活用しました。明日の☆☆レストランのために倹約です。
今日はSさんとはオペラだけ一緒の予定ですから、ホテルのロビーで待ち合わせバスチーユへ。今回の旅で初めてのオペラですからわくわく。
Vincenzo Bellini
「 Les Capulets et les Montaigus」①マチネ 14:30開演 Opéra Bastille 100€
Conductor Evelino Pidò
Producer Robert Carsen
Capellio Giovanni Battista Parodi
Giulietta Patrizia Ciofi
Romeo Joyce DiDonato
Tebaldo Matthew Polenzani
Lorenzo Mikhail Petrenko
ネトレプコが妊娠と知ったのはチケットを買った後でしたが、パリでは歌うらしいというニュースに一縷の望みをかけていました。しかし、全部の公演を歌うのは無理で、この日はチョーフィが歌いました。幕が開くと舞台にカーセンらしい暗い赤が広がります。その左一部に黒い階段。赤と黒のイメージする世界です。最終場面の衝撃的な戦いでは背筋がゾー。純真な恋人たちが犠牲になろうと、なにがあろうと人間は戦う生き物なんだという現実をつきつけられたみたいな・・・。オペラを観るようになってから10年、売れっ子カーセンの演出には何度か出会っています。最近は多忙なのか手抜きが噂され、この舞台もあまり評判は良くないのですが、私は意外に楽しめました。欲望と戦いのエンドレスな世界で、恋人たちの純な美しさが浮かび上がってきます。DiDonato のズボン役は初めてでしたが、歌唱も凛々しく素敵でした。Ciofi も貧血的熱唱が巧いです。白いドレス姿も可憐、「Oh!quante volte~」にはもう涙。Polenzani は一部高音に危ない場面があり、ひやりとしましたが声自体が綺麗なので及第点。
カーテンコールでのCiofiは盛大なブラバーを受けて、顔を覆って大感激の様子でした。こういう彼女は初めて見ました。演奏は全般的にイタリアのベルカントとはやや離れた感もありましたが、1年ぶりにベッリーニの旋律♪~楽しみました。席は2階(日本式では3階)バルコン1-29 夜はゆっくり部屋で過ごし早めに就寝。
←Opera national de PARISのHPより
参考CD:2008.4ウィーン・ライヴ盤。帰国後購入。
ベッリーニ『カプレーティとモンテッキ』
指揮ファビオ・ルイージ
カぺッリオ:ティツィアーノ・ブラッチ ジュリエッタ:アンナ・ネトレプコ ロメーオ:エリーナ・ガランチャ テバルト:ジョセフ・カレヤ ロレンツォ:ロバート・グリアドウ
合唱:ウィーン・ジングアカデミー オーケストラ:ウィーン交響楽団
ネトレプコが出演しないのは残念でした。でもチョーフィーが熱演。ブラビーの声が大きかった。
以前、カーセンの椿姫をチョーフィーで見たときは、熟女のイメージだったのです。可憐なチョーフィーに驚きました。歌唱も、演技も実力あり!と言うことですね。
ロミオ役も熱唱。
初めて聴くオペラだったのと、時差もありオペラ全体がおぼろげです。でもバスチーユに響くベルカントに酔いしれて満足。
by さくら (2008-07-08 19:00)
私は、ディドナートが大好きです。
「フィガロ」のビューイングでファンになりました。
シカゴでは、彼女のロジーナを見ました。色白で可愛くてでも声は、はっきりしていて、高音もよく伸びて無理がなく。
そんな彼女のズボンは、ケルビーノを聞いたことがあるのですが、どんな様子なのでしょうか?もう少し詳しく教えていただけるとありがたいです。
あ~~数日差でしたか。見たかったです・・・。
by ゆみゆみ (2008-07-09 21:50)
今思い出しました。チョーフィー。ホロ様の「フェニーチェ」の椿に出ている人
?ですか。代役にそんな大物が出るのですか。私等、日本でホロ様のキャンセルを聞き、胃を痛くしてハラハラしながら旅立ちました。
これだから、お目当てさんを見に行くのは、楽しくもあり・怖くもあり。
思い出すのが遅れて申し訳ありません、2度の投稿になってしまいました。
by ゆみゆみ (2008-07-09 22:17)
あのカーセンの演出、唯一うまいと思い感動もしたのは、両家の争いで何名かが倒れ、そのまま次の舞台に転換になるとき、倒れた「死者たち」が起き上がり、敵味方の区別無く、手を貸してお互いを立ち上がらせていたところです。
舞台転換という物理的制約を逆手に取って、「死者たち」の世界での寛容さが、幕切れに示される「生者たち」の世界での不寛容さとうまく対照して、感動的なシーンだったと思います。
by Bowles (2008-07-09 23:06)
ゆみゆみさん
ディドナート、今回で4回目です。初めはあまり好きでなかったのですが、聴くたびに安定してきて、華やかさもまして、いつのまにかご贔屓になっていいました。ただ、あまりレパートリーを増やさずにじっくり役柄をこなしていったほうが彼女にあっているのでは・・・。未消化の部分がなきにしもあらず。
どこが~?と言われても困りますが・・・。(汗)
by alice (2008-07-10 13:38)
ゆみゆみさん 続く
いつもではないと思いますが、今回のパリ2公演の代役は結構大物が歌ったのでラッキーでした。
ロンドンのキーンリーサイドの代役は知らない方でしたが、すでに歌唱には定評があるようでした。
昨年の春のキャンセルオンパレード、そして代役(酷いのもなかには)にくらべて、今回の旅は◎。
by alice (2008-07-10 13:49)
Bowlesさん
>そのまま次の舞台に転換になるとき、倒れた「死者たち」が起き上がり、敵味方の区別無く、手を貸してお互いを立ち上がらせていたところです。
思い出しました。ほろっとしたものの、じっくり考えるひまもなくブログに書くころは忘れてしまって・・・ナサケナイ。
この演出、くさされながらも秋のジェノヴァの開幕公演に使われるようです。現地の新聞に大見出しで載っていました。
by alice (2008-07-10 13:57)