2008年初夏の旅(Zurich 14) [2008夏パリ、ロンドンと伊リグーリアの旅]
6/26(木) 10:14→Schaffhousen(シャッフハウゼン)10:52/14:09→Zurich14:48 予定より1時間ほど遅れてZurichに戻りました。
スイス・ロマネスク半日観光
ホテルの近くからトラムに乗って中央駅へ。6年ぶりのチューリッヒですが、人も多く賑やか。建物なども改装されたりでピカピカのところが多くなり、スイスの首都らしい華やかな街並み。
Schaffhousen行きの列車まで時間があるので、あちこち探検。地下には大きなコインロッカーや有料トイレ(←美容室の入り口みたい)。
列車はZurich から北へ40分走り、 Schaffhousen近くになるとライン川が見えてきます。有名なラインの滝も車窓からちらっと見えました。
←慌ててカメラを出しているうちに通り過ぎてしまいました。
駅からは目的のSchaffhausen minster 参考書のzodiaqueにはEglise de tous-les-saints 直訳すると「全聖人の教会 」までは徒歩10分もかかりません。スイスの清清しい旧市街を抜けて、古い塔などの風景をカメラに収めているうちに見えてきました。
まず、柱廊玄関のある教会の正面からなかへ。3廊式の内部はドイツに多いシンプルな柱に煉瓦のアーケード。アーケード上部の窓や側廊の窓からの光が明るく差し込んでいます。1100年頃に創建されてから、何度も改築と増築が繰り返されています。
参考書の見取り図では12世紀に付け加えられたという左アプシスのTower chapelに入ってみました。小さな祭室には椅子も置かれ、とても心やすらぐ空間です。ステンドグラスの「受胎告知のマリア」は14世紀のもの。
回廊から後背部へ回ってみますと、花の咲き乱れる庭園。その花畑の向こうに細い柱が並ぶのが12世紀のアーケードです。
修道院の建物を一周して、元の教会の入り口に戻り、向かって右側の階段を降りますと、中庭のテラスに面して美術館の入り口です。カフェでひと休み。
紅茶をいただいているとマイミクのW子さんが「お待たせ~!」とお元気な様子で到着されました。エールフランスの夜行便で早朝パリ着。そして乗換えて、チューリッヒに着いたばかり。荷物をホテルに預けられて、ここまで来られたのです。「お疲れさま~!」
W子さんは教会の見学がまだでしたので、私は一足早く美術館に入っていました。ところが、予想より広い館内なので、中ではご一緒できません。それでも二人とも小タンパンの浮き彫りを鑑賞するという目的を果たし、満足しながら、外へ。そして、教会の向かい側に古い家があり、写真を撮ろうとしてカメラが無いのに気がつきました。「あれれ~さきほどのカフェに置いてきたのかしら?」というとW子さんの素早い行動。走って行って、カフェのテーブルに忘れたカメラをとって来てくださって・・・ありがとうございました。
←写真はカフェ前のテラスに面した壁(ニッチ)に彫られたオリエンタルな象。背中に乗っているものは何?
Museum zu Allerheiligen Ptitits tympansの展示室はNellenburg伯ファミリーの墓所。
さて、ここのプチ・タンパンの写真をアップするにあたって、W子さんの情報も参考にさせていただき、図像解釈に挑戦してみました。(1)(2)(3)(4)はイソップ寓話から。(5)~(8)は殉教した聖人の話からと思われます。聖シクストゥスと聖ラウレンティウスはセットで図像化されることが多いので・・・。(9)(10)(11)はまったくのこじつけ。あくまでも素人の推察です。正解をご存知の方がいらっしゃいましたら、コメントいただければ幸いです。
(1)と(2)「狐と鶴のご馳走」はイソップ寓話から。
(1)意地悪好きの狐が鶴に「ご馳走するからいらっしゃい」と招待し、やって来た鶴にわざと平たい皿に入れたスープを差し出す。鶴はクチバシが長いため飲めない。それを見ながら狐はおいしそうにスープを飲む。
(2)しばらく後、鶴は狐に「先日はご馳走をありがとう、今度は私がご馳走するからいらっしゃい」と言って、訪れた狐に細長い口の壷に入れた肉を差し出す。狐はクチバシがないのでそれを食べられない。それを見ながら鶴はおいしそうにクチバシで中の肉をつまんで食べる。
教訓:他人を傷つけた者は、いつか自分も同じように傷つけられる。
(3)(4)「犬とオオカミ」イソップ寓話から
(3)首輪をつけている犬たち
犬が通りを歩いていると、お腹をすかせてやせこけた狼と、ばったり出会った。
「やあ、兄弟どうしたい?」犬は狼に声をかけると、こう言った。
「お前さんが、そんなに痩せこけているのは、荒んだ生活のせいだよ。そんなことをしていると、すぐに、あの世行きだよ。全うな暮らしをしてみる気はないかい? 俺のようにきちんと働けば、食べ物に事欠くことはないと思うがね。」「ああ、君の言う通りかもしれないね。でも、俺を雇ってくれるところがあるのかい?」
「まあ、任せておけって、俺のご主人様に言って、仕事を分けて貰えるように取りはからってやるよ」それから、犬と狼は、町へと向かった。道すがら、狼は、犬の首の周りの毛が、すり切れていることに気がついた。狼は訝しく思い、犬にどうしてそんな風になったのかと尋ねてみた。「別に気にすることではないさ。」犬はそう言うと、こう続けた。「夜の間、鎖に繋がれるから、それでちょっと、毛が擦れるだけだよ。でも、すぐに慣れるさ。」
(4)首輪が嫌で逃げ出した狼 「気にするなだって?・・・・冗談じゃない。俺は、まっぴら御免だね、じゃあおさらばだ」
教訓:食うに困らぬ奴隷より、ひもじくとても、自由がなにより。
・・・この教訓どおりなのかしら?疑問が残ります。
(5)mort du just 正義の死 (聖シクストゥスの殉教?)
(6)decollation 離脱 (天使が聖シクストゥスの遺言を受け取る場面?)
(7)ラウランティウスがシクストゥスから見込まれ、助祭衣をもらう?または遺言を示す?
(8)聖ラウレンティウス(削り取られている)の殉教 鉄の柵の上で焼かれて殉教 右に火をふいごで吹く男?
(9)(10)(11)はとても難しい。農夫とその子供たち イソップ寓話から?
ある農夫に働かない3人の子供が居た。年老いた農夫が亡くなる間際に、畑に宝物が隠してあるから収穫を終えたら深く掘り起こしてみよと子供達に言い残す。子供達は言いつけ通り畑の隅々を深く掘り返すが宝物は見つからない。しかし、翌年の収穫は、畑がよく耕されたことから今までにない大豊作に恵まれた。
(9)左 遺言の場面 (10)右 収穫を得た子供たち (11)同じく。右は母親?
教訓:労働こそが宝である。労働の尊さの教え。
教会の側に大きなイタリアレストランが見えました。ランチは野菜尽くしのヘルシーな定食をチョイス。野菜サラダ&野菜のグリル。しばらく野菜不足が続いていましたから、有難い~美味しい~と舌鼓。
今夜は私はオペラなので、ラインの滝まで行く余裕がありません。せめてもと、駅へ戻るついでに教会の向こうに流れるライン川を眺めながら、散策しました。W子さんとは年齢の差は大きいものの、オペラやロマネスクという共通の趣味があり、話題に事欠きません。おしゃべりしているうちにうっかり、遠回りしてしまいましたが、楽しい時間でした。
Fidelio Beethoven⑦ チケット168CHF 20:00開演
Dirigent Marc Minkowski
Leonore Petra Maria Schnitzer
Marzelline Sandra Trattnigg
Florestan Peter Seiffert
Rocco Matti Salminen
Don Pizarro Alfred Muff
Jaquino Shawn Mathey
Don Fernando Kresˇimir Strazˇanac
席は3階 Parkettgalerie 3-29 柱もありとっても見難い席で、おまけに前の男性が座高の高い方。困惑でしたが、一幕途中でトイレ?その後戻って来ませんでしたので、ラッキー。
今夜はTV録画とあってMinkowskiは上機嫌で、開幕前にご挨拶。何を言ってるかは聞き取れませんでしたが、初めはドイツ語でしたが、途中で僕はフランス人だからといってフランス語に切り替えました。
昨日に比べるとドイツ語のオペラということもあるのでしょうか、ほぼ満席。
音源でMinkowski が振ったFidelio を聴いたことはあるのですが、今夜はライブで聴くことができると、とても期待していました。しかし、今までのミンコ体験のなかでは一番ピンと来ない、感銘度の薄いものとなりました。このオペラは生を何度か経験していますが、2年前パリで聴いたチョン・ミョンフンのほうが悔しいけれど良かったと思います。ベートーヴェンの陰翳の深さがミンコには足りないような・・・あくまでも、私の感想です。感動された方はお許しください。Petra Maria Schnitzerもパリの時のマッテラにくらべると、歌唱のスケールが小さいのです。高音の響きも金属的で私は苦手。なによりも勇敢で賢く、愛情深いLeonore を表現できていない・・・。他の歌手たちではSalminenが相変わらず演技も達者にロッコを歌い、素晴らしい。演出でもロッコに焦点をあてていて、その存在感は抜きん出ていました。
レオノーレ3番も演奏されず、物足りない想いのうちに幕は降りました。外に出るとまだ10時半。休憩が30分として2時間弱の演奏時間。ミンコを聴いて、こんなシンと沈んだ気持ちで帰るなんて思ってもみなかった・・・。来年はここでヘンデルの「アグッリーピーナ」を指揮すると聞いていますが、時期的に来られそうもないのが残念。
懐かしい名前を発見。シャフハウゼンのライン川。
あの川沿いを歩き、あふれ出るかと思うばかりの豊かな水量に、横を歩いていて‘オーこわ’と足がすくみました。鉄道に沿って遊歩道があり真横を列車が通り過ぎて行きました。滝のことはよく思い出しますが、色々と懐かしく思い出しました。大好きな場所です。
滝の横に立つホテルに泊まりたいのでした^^。
私は、自分の心に写真を残しておくのだ。なんてえらそうなことを言って写真は取らないのですが、アリーチェさんのように写真も入れて文章に残しておかれるのは、とても素敵ですね。
私も勉強してみようかな!?と思いました。
by ゆみゆみ (2008-08-11 19:43)
ゆみゆみさん、シャフハウゼンのライン川に行かれたことがあったのですか!しかも、滝の近くまで。
私はあの日は滝の近くまでは行かれなかったのですが、シャフハウゼンの修道院見学をご一緒した友人は後日行かれて、素晴らしい写真を撮ってこられました。MIXIの友人限定なので、お見せできなくて残念です。
写真は歳とともに記憶が薄れやすくなってきますので、必須です。
文章はそれを見て思い出しながら書いています。(汗)
このブログはとても簡単なので、お勧め!もちろん勉強は不要ですよ~♪
by alice (2008-08-11 23:32)
アリーチェさんに感謝申し上げます。
チューリッヒ → シュトゥットガルト → バーデンバーデン の旅へ行って来ました。このページを印刷し、Nyへご一緒したHさんとシャフハウゼンへ。私は2度目でした。アリーチェさんのお好きな「ロマネスク教会」が見てみたくて、「Schaffhausen minster 」を尋ねますと「City」という返事が返ってきます。鉄道の駅前には街らしいものは無かったし、変だな~と思っていましたら、1本裏くらいの所に、素晴らしい旧市街があったのですね。驚きました。教会のそばで、あの野菜一杯のサラダを食べるんだと滝のそばで美味しそうな匂いをさせていたフランクフルトも我慢し、要約レストラン発見。教会より先に飛び込み写真を見せて「これくださ~い」ところが、係りの女性は「No!」「だって楽しみにしてきたのに。野菜のこれ!!」埒が明きません。そこへ、男性の係りの人が現れて写真を見て「OK!!」
季節が違うからか中味は少し異なりましたが「全部野菜、それも火を通したものと自家製のマヨネーズ」嬉しくて、はじめて全部頂きました。
これで体は快調。以降レストランに入ったら、シーズンの白アスパラガス・グリーンのアスパラガス・ポテトを注文。大変美味しくいただいてきました。
教えていただけてよかったです。そして教会。
私は全くわかりませんが、ブルージュあたりで見た、石でできた大きな教会を言うのでしょうか?中庭を散策しましたが、静かで、とても素晴らしい所でした。残念ながらオペラの時間もあり、美術館へは行けませんでした。
アリーチェさんのブログが無ければ、あんな素敵な町並みがあることすら知りませんでした。
私は幼い頃からカトリックの学校で育ちました。しかし、信者ではありません。教会は家のようなところでした。でも、日本の私の家とは趣の異なる教会を見ることができ大変興味深く思いました。私は、旅行先で必ず教会を尋ね無事に着いた感謝と帰りの無事を祈ります。
今後も旅先でこの行為は続くと思いますが、次回からは今いる教会についても興味が持てそうな気がし、早速「ロマネスク教会」なる本もGETいたしました。
いつも丁寧に書いていただくので私がこんなに楽しい旅ができましたことを感謝申し上げますと供にこれからも、アリーチェさんの後を追いつつ、珍しい所へいって見たいと思います。
by ゆみゆみ (2009-06-18 22:33)
シャフハウゼン行かれたのですね!無事に野菜だけの定食も召し上がれたようで良かったわ。5月6月はアスパラが旬なので、私もメニューにあれば注文して何度かいただきました。
帰国してからは北海道のアスパラが出回っていますので、ほぼ毎日食卓に上っています。品種改良が進んで、年々美味しくなりますが、ヨーロッパのほうが香りも味も野性味があるような気がします。
私も信者ではありませんが、高校はミッションスクールでした。聖書の授業が週に1回ありました。つまんないと思っていたのに、子育てが終わって、キリスト教美術に興味を持ったのは何故?なのでしょう。基本的な知識はあったので、入門しやすかったのも一因と思います。
私の気ままな旅のブログでもお役に立てて、本当に嬉しいです!!
ゆみゆみさん、次の旅はどちらへ?
by alice (2009-06-19 14:32)