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2009年初夏の旅2(ミラノ→カスティリオーネ・オローナ&カステルセプリオ→ミラノ) [2009夏仏、伊、スイスのロマネスクを巡る旅]

5/9(土)

[地下鉄]Caiazzo---Cadorna/[電車]N・Cadorna---Tradate[車(RV)]---Castiglione Olona[車(RV)]---Torba[車(RV)]---S.Maria foris Portas[くつ]---Castelseprio[バス]---Varese[電車]---Milano

到着翌日はのんびり朝寝坊をしたいところですが、今日はハードな行程なので、そんな余裕はありません。北カドルナ発9:35の列車に間に合うように8:30にはホテルを出発しました。30分くらいで北カドルナ駅に到着。電車で45分ほどで到着したトラダーテ駅前にはタクシーが見当たりません。初日からつまづいたのか~と不安でキョロキョロしていましたら、側に止まっていた普通の乗用車のフロントガラスにtaxiと書かれた紙が貼ってあります。白タクなのかと思ったのですが、人のよさそうなおじいさんなので声をかけてみました。予約で来たんだといっているうちに、お婆さんがやってきて、途中だから一緒に乗って行きましょうと言ってくれました。そして5分ほど走ったところでおばあさんはさっさと降車。しかし、自分の分のお金も払わずバイバイ・・・ちゃっかりしてる~!運転手さんも当然とばかり何も言いません。

目的の参事会教会と洗礼堂はカスティリオーネ・オローナの新しい町から少し離れた場所、オローナ渓谷の旧市街に建っています。この中世そのままの美しい一帯が小高い道路から見えてきます。イタリアの田舎に来た!という実感が湧いてきました。

2009.6.2.jpg←絵葉書

コッレジャータと呼ばれる参事会教会まではBarなども並ぶ広場から徒歩で登りました。教会とは別棟の受付で入場料を払いますと、係りの人がまず洗礼堂へ案内してくれて、教会は自由見学になります。

教会と洗礼堂にマゾリーノ・ダ・パニカーレMasolino da Panicale(伊1383頃~1447頃)の壁画が残っています。マゾリーノはマザッチョとともにフィレンツエのサンタ・マリア・カルミネ聖堂のブランカッチ礼拝堂の壁画を製作したことで知られています。マザッチョが若くして亡くなったあと、枢機卿ブランダ・カスティリオーネの注文でこの地に赴き製作。

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コッレジャータは1421年に着工され28年に完成しました。赤レンガに薔薇窓、正面4本の堂々たる付柱がロンバルディア・ロマネスク様式の流れを汲んでいます。

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洗礼堂の入り口↓

<洗礼堂>外壁 :受胎告知  天井:四福音書記者、 2天使、教父たち、父なる神と天使たち  
 側壁:洗礼者ヨハネの生涯11場面

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写真撮影は禁止ですが、後は教会を観てねと係りの方が行ってしまったので、つい魔がさしてポケットに入っていた携帯で写してしまいました。サロメの誘惑・・・なんちゃって、ごめんなさい。

「ヘロデの饗宴」の部分です。            下は「キリストの洗礼」部分(絵葉書)です。

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コッレジャータ内陣天井に聖母の生涯6場面 弟子の手が入っているせい?洗礼堂に比べるとやや完成度が低いような・・・。 (絵葉書)

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元来た坂道を下り、先ほどの広場へ戻ります。途中の風景。

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(i)のオフィスのある建物が枢機卿でもあり伯爵でもあったブランダ・カスティリオー二の館です。受付に3人の若い男女が居て、タクシーをあちこち電話して捜してくれました。(バスの便は無し)土曜日のせいもあったのでしょう、なかなか繋がりません。でも、3人とも嫌な顔ひとつせずに、一生懸命。こんなに親切な(i)は初めてでした。30分くらい後ならなんとか来てくれるというので、それまで館内の見学をしました。上階は大広間や赤い壁にプットーが踊る寝室(写真)、地階は礼拝室になっています。ここの情報はチェックしていなかったので、広間にあったらしいマゾリーノのフレスコ画は見逃したようです。

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タクシーのところまで付いてきてくれた(i)のお嬢さんにお別れして、トルバ修道院へ。ここは昨年行って来たカモーリ近くのサン・フルトゥオーゾと同じく、イタリア環境基金によって修復され、管理されているようです。敷地内のサンタ・マリア教会は11~13世紀のロマネスク様式です。周囲は5月の新緑の森です。素朴な煉瓦と積み石のコントラストがなんともいえません。

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内部はうっすらと壁画も残っていますが、ほんの僅か。

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ここに気をとられたのもありますが、肝心の修道院の見学をしないできてしまいました。タクシーに乗ってから気がついたのですが、運転手さんが早く帰りたがっていたので(電話で奥さんと昼ごはんの打ち合わせをしていたので)遠慮してしまいました。

サンタ・マリア・フォリス・ポルタスはトルバからは直線では1キロの距離ですが、山林に阻まれていますのでぐるっと回り道をして走ります。後からここでいただいた地図を見ましたら車は通れませんが遊歩道があるようです。歩いても15分程度ではないかしら。

サンタ・マリア・フォリス・ポルタス教会は50mほど手前にある受付棟から係員が案内してくれるシステムになっています。タクシーとはここでお別れして、受付棟でトイレを済ませてから、落ち着いて教会へ向かいます。かねてより念願だった教会です。感激のあまり?そして、新しいカメラでまだ慣れないということもあり、写真が曲がってしまいました。

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ここも私独りが見学者です。見学の人が来るたびについてきて鍵を開け、照明をつけてくれます。ここの壁画は美術史上ではカロリング時代のものとされていますが、8世紀初めから9世紀末までのいつかは確定できないようです。ビザンティンの流れは濃厚に見られ、東方の巨匠かとも推定されています。一方キリストの幼年時代の諸場面には西方独自の図像(ミュステールに影響?)もあるようです。完成度が高く、色調も傷みがあるとはいえ美しく残っています。1944年、偶然に発見されたということです。私の参考書『カロリング朝の美術』には「これらの壁画はキリスト教芸術の一頂点をなすものである・・・」と最高の賛辞が与えられています。絵葉書がないので、図像はNETから拝借しました。左/受胎告知 右/ご訪問

Annuncio.jpg Visitaz.jpg 

受付棟から遊歩道が、カストゥルムと呼ばれるローマ時代末期の考古学地区へ通じています。

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遠くから子供の声がしました。山道から野原にでましたら、ご家族でピクニック・ランチの楽しげな風景。

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その向こうは遺跡

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30分ほど散歩したら、急におなかが空いてきました。カステルセプリオの町まで2キロくらいなので、ここからは2.30分くらい緩い坂道を下っていきますと住宅街。朝は涼しかったのですが、午後から日差しが強くなり、この日は相当暑くなってきました。その向こうに教会の塔が見えてきました。突き当りの道路を左に曲がると2.3軒Barがあります。汗だくになって、そのうえ空腹、哀れなおばさんの姿でしたでしょう。パンに生ハムとチーズをはさんでもらってランチ。もう2時近くになっていました。

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ここのご主人も親切な方で、Tradateまではバスの便が悪いからVareseのバスに乗ったほうが早いとのアドバイス。バス停も先ほどの教会を通り越してすぐの公園の脇にあり、Vareseからの電車の連絡もスムーズに、ミラノに戻ることが出来ました。

夕食は駅の近辺のBarのテラス席で、好物のスカンピのグリル、冷凍ものでしたが安いから我慢。それでも日本で食べるより量も沢山で、それなりに満足でした。

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コメント 6

Bowles

私が去年遭遇した巨大ナメクジの大群はご覧になれなかった(?!)ようで...(笑)。マゾリーノは洗礼堂だけご覧になれば充分だと思いますよ(などど言ってみる)。あそこの別棟の展示、オバサマ二人組にしっかり解説つきで案内されてしまいましたが、aliceさんは?

>後からここでいただいた地図を見ましたら車は通れませんが遊歩道があるようです。歩いても15分程度ではないかしら。

ただしトルバからはかなりの登りになると思います。

>サンタ・マリア・フォリス・ポルタス教会

かなり退色が進んでいますが、あの線の勢い等々、素晴らしいですね。

あのあたりはミラノやマルペンサからはごくごく近いので、車さえあれば簡単に行くことができるのですが、公共交通のみを使っていらっしゃったときの達成感、これはまた特別のもの、とお察しいたします。




by Bowles (2009-06-15 09:18) 

ryuji_s1

イタリアの田舎の遺跡 歴史探訪
素晴らしいですね

スカンピのグリル 美味しそうです
by ryuji_s1 (2009-06-15 10:25) 

alice

Bowlesさん

○巨大ナメクジの大群・・・そんなの見たら卒倒したかも。北海道では見かけないので慣れてませんし・・・。

○別棟の展示?あのチケット売り場のところのなら、お断りしました。

○同じ15分でも登りだったらきついですね。やはり歩かなくて良かったわ。

○その公共交通機関がないところが問題なのです。タクシー代がかかって・・・。(泣)
by alice (2009-06-15 13:42) 

alice

ryujiさま

いらっしゃいませ。イタリア料理のブログをお持ちなのですね。

私はただの食いしん坊なので、あまり参考にはならないかもしれませんが、現地での食事は旅の大事な思い出になりますので、恥をしのんで写真を撮ってくるようになりました。しかも、たいていは食べ始めてから慌てて写すので、乱れています。(汗)

こんな粗忽ものですが、どうぞよろしく~☆
by alice (2009-06-15 14:03) 

kikuko

CastelseprioとArsago Seprioを組み合わせて日曜日にと思っていたら、8月の日曜日はバス便がほとんど全滅で泣いています。ラストチャンスなのに。

 MINI AOSTAはやたら強気の値段設定なので、8月はやめました。ブランダ・カスティリオーネの館にいたインフォの方々、めちゃくちゃ親切ですね。懐かしく読ませていただきました。
by kikuko (2009-06-16 18:07) 

alice

kikukoさん

8月のイタリアは暑さはともかく、個人で周るには制約が多いですね。レストランも休みのところが多いですし。

>MINI AOSTAはやたら強気の値段設定なので

どうなってるのかしら?私も今回はアンダーソンのほうが安いのでびっくりしました。1泊120€で部屋は段違いに綺麗で、バスタブ付き、朝食もアオスタよりはずーっと良いですから。ブログにも書きましたが、おまけに親切なポーターさん!!

前回のセコビアといい、今回のカスティリオーネといい(i)の若い方たちに助けられました。思い出すだけで気持ちがほのぼのします。
by alice (2009-06-17 14:02) 

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