2009年初夏の旅7(サント→サン・ジャン・ダンジェリィ→サント) [2009夏仏、伊、スイスのロマネスクを巡る旅]
4/14(木)
Saintes10:00---St-Jean-d‘Angely10:33---Aulnay---Matha---Varaize---St-Jean-d‘Angely13:58---Saintes14:31
SNCFのサイトで時間表はチェックしていましたが、朝食後駅へ行き、一応確認のためNiort方面へのポケット時間表をもらい、駅前からバスが発車するのも確かめました。このバスは2,3日後には無くなるそうで、危ないところでした。私鉄のバスも走っているようですが・・・。バスの切符は駅で買うことになっていて、日付けのガシャンも駅で済ませてからバスに乗ります。
サン・ジャン・ダンジェリィまでは30分くらいで到着。駅前で降りましたが、タクシーは1台も止まっていません。駅舎に入って切符売り場の若い女性にオーネーに行きたいと言って、タクシーを呼んでもらいました。バスの便はやはりないそうです。2時間半で3箇所周りました。約100キロ走って70ユーロは安いほうです。
初めはオーネーのサン・ピエール教会(Aulnay/St.Pierre)の訪問です。ここは評判どおりの名教会。今回のフランス南西部のなかでは一番見応えのある素晴らしい教会でした。サン・ジャン・ダンジェリィからは40kの距離ですが、車もあまり走っていないせいか20分ほどで到着しました。周囲は手入れの行き届いた芝生の敷地に塀が周っています。敷地の外に(i)やトイレもあります。
起源をたどれば葬祭の場として相当に古い歴史を持っているようですが、教会としては10世紀頃からとのことです。現在の教会は12世紀に建てられ、ポワティエからサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の道筋に在ります。
西正面の扉口は中央と左右の装飾扉口(塗りこめられた)の3つ。中央は半円形のタンパンのないスタイル。4重のヴシュールに細かい彫刻で飾られています。外側からゾディアック(黄道十二支宮)、栄光のキリストを中心に賢い乙女と愚かな乙女、美徳と悪徳、神秘の子羊と均衡に配置され、荘厳ななかに柔らかさを併せ持つ魅力的な作品です。
左の装飾扉口にはペテロの逆さ十字架の磔
南扉口は4重のヴシュールに実在や幻想の動物たちや人間が混在して緻密に刻まれていて、西扉口の神学的な図像とは異なる自然宇宙観を表現しているようです。
内部は三廊式のラテン十字形。ここにも多数の興味深い柱頭彫刻が在ります。
交差部の天井
「カインとアベル」 羊を神に捧げ気に入られたアベルを嫉妬し殺す場面
「サムソンとデリラ」左に大きな鋏を持つデリラ
軒の持ち送りも見逃せません
オーネーは時間を忘れて観ていたいところですが、そうも行きません。次は南に下がってコニャックの葡萄畑に囲まれたマタMathaの2つの教会を訪問します。
Matha/Marestayマレスティ教会は町を貫く自動車道路の脇に建っています。閉まっていて中には入れませんでした。正面扉口の彫刻はかなり磨耗していてあまりぱっとしないのですが、後陣外観はなかなか絵になります。
窓の縁の装飾もサントンジュロマネスクらしく緻密に彫られています。
悪魔的な彫刻が多いようです。
同じ町MathaにあるSaint-Herieサンテリエ教会は町のはずれの古い家の多いエリアに建っています。ここも閉まっていました。平らなトップ、2層のそれぞれ3つの扉口。ここもサントンジュロマネスクに多い中央の扉口と左右の装飾扉口。
中央扉口のヴシュールには蔦に絡まった実在や幻想の動物や抽象的な植物が緻密に刻まれています。オーネーと同じで半円形のタンパンがありません。
上の層の右に人物像(女)が見えます。足元に怪物の顔が2つ。
南側面は建物が隣接して見えませんが、道路側の北側面には窓がいくつか並んでいます。それそれ違う動物や華文様で飾られていて、見た目は荒れた感じのする教会ですが、良く観ると結構面白いものが在ります。
月と兎
さて今日の最後の訪問地はMathaからSt-Jean-d‘Angelyに戻る途中にあるVaraizeヴァレイズです。町の比較的大きな公園に建っています。運転手さんはここには時々来ると言って、見所の南扉口にぴたっと車を横付けに止めました。
5重のヴシュールの内側中央に「神の子羊」と底面に「神の手」があり、天使が左右に並んでいます。その上にオーネーに似た比較的大きな人物像(善と悪)や抽象的な植物文様、小さな長老たち、一番外側には大きな天使たちが衣を翻して飛んでいます。大胆さと細やかさがミックスして不思議な世界を表現しています。
十字架の代わりに光背をつけた羊さん
ここからなかに入ります。三廊式で尖頭アーチの大アーケードで区切られています。内陣には3つの大小の半円形祭室があり、交差部には方形の低い鐘塔。ここも私独りの見学でした。
小教会らしいバランスの良い外観です
小高い丘には新緑の葡萄畑が広がっていました。
St-Jean-d‘Angelyの駅に着くころにデジョネはここがいいよとガール・ド・カフェと看板のある駅前食堂で降ろされました。しょぼい外観にややひるみましたが、運転手さんの美味しいからという言葉を信じて入りました。近所の建設現場で働いている人などで結構込んでいます。それでもタクシーが連れてきたお客さんとみて愛想がいいのです。メニューは10ユーロくらいのお昼の定食だけ。注文していないのにワインを勝手についで行くので驚きました。隣のテーブルの人が笑って只だと教えてくれました。前菜のニース風サラダも、次のポークのお皿(豆もたっぷり)も家庭的なあっさりした味付けで、美味しくてまたまた嬉しい驚き!時間もぴったりに食事を終え、定時に来たバスに乗ってサントに帰りました。
どうなるかと心配だったオーネー方面の見学も無事に済みました。ホテルで夕方まで休み、夕食は果物やパン、マカロンなど買い物してきて、お部屋で軽く済ませました。明日の行程をマダムに説明して、9時にタクシーを予約してもらい就寝。
はじめてきました。
Aulnayに行くため、Niortに滞在して2日通いました。
今も変わっていないようですね。
by Pirvs Lvdens (2009-06-18 23:59)
Pirvs Lvdensさん
初めまして!Aulnay(オルネーとも言いますが、向こうではルの発音がほとんど聞き取れないので、ブログではオーネーにしました)にはNiortから行かれたのですね。私とは反対側からのアプローチで、2日も通われたとのこと、羨ましいです。私はとおりいっぺんの鑑賞でしたから、後ろ髪引かれる想いでした。
by alice (2009-06-19 16:15)