2009年初秋の旅14(パリ) [2009秋ローマからロンドンまで欧州周遊]
9/20 (日) イタリアよりは涼しいけれど、予想していたより暖かく、夜でも薄いブラウスや上着で充分というパリでした。今まで旅をしたなかで一番多く足を運んだ都市はパリです。短い滞在ばかりなので、街歩きに慣れているというまではいきませんが、パリに来ると緊張がほぐれたような気分になります。 ↓ 朝食はルームサービスで。ここは質素な朝食ですが、パンやコーヒー、オレンジジュースが美味しく、お気に入りです。ゆで卵、ヨーグルト、キーウィフルーツもついています。 さて、今日のオペラはマチネなので、それまではどこへ行こうかと検討しているうちに、偶然見つけたのが、ジャックマール・アンドレ美術館で開催されている特別展『ブリューゲル、メムリンク、ファン・エイク・・・』です。メトロにポスターも貼ってありました。 ジャックマール・アンドレ美術館は入れ物の館が素敵ですし、適度な広さであまり疲れないので、マチネや他の予定が午後からのときなど、ふらりと寄ることが多く、今回で5回目です。この日は日曜日とあって、入り口には行列ができていました。余程諦めようかと思ったのですが、「青い帽子の男」のポスターを目にした以上はもはや逆らえず・・・30分並びました。 いままでVan Eyckはずいぶん観てきたのですが、この作品は初めてです。それに、ブルケンタール・コレクションという名前も聞いたことがありません。 ザムエル・フォン・ブルケンタール(1721~1803)はマリア・テレジアにトランシルヴァニアの総督として仕えた男爵です。彼のコレクションは現在ルーマニアのシビウにブルケンタール国立博物館として展示されています。そのなかからフランドル派の絵画を中心に貸し出されたのが、今回の展覧会ということでした。 ↓ ブルケンタール国立博物館(ルーマニア/シビウ) ↓ ヤン・ファン・エイク(1390~1441)「青い帽子の男」(1430)22.5×16.6 ↓ ピーター・ブリューゲル(息子)「嬰児虐殺」(1586~90) 114×163 ピーター・ブリューゲル父による同主題の作品がロンドンにあり、比べて見ました。父の作品をコピーすることが多かった息子ですが、この絵画はロンドンのものよりやや大きいという違いだけで、ほぼ丸写し。 ↓ ピーター・ブリューゲル(父)「嬰児虐殺」(1564頃) 109.2×154.9 ロンドン・ハンプトンコート・王室コレクション 日曜日なので、小さな子供たちも上の「嬰児虐殺」を観ていました。あまり残酷でない日常的な光景での描写なので、抵抗がないようで、パパやママの説明もお行儀良く聴いていました。幼稚園か小学校低学年くらいでしょう。幼いときからこういう場に慣れさせるのも大事ですね。 ついでに、クリヴェッリ兄弟やマンテーニャ、ウッチェロなどのある部屋にも寄っているうちに時間になりました。慌てて、バスチーユ・オペラへ。開演前の十数分でお菓子やジュースをいただき、ランチの代わりにしました。 Berg『WOZZECK』 14:30開演
Vincent Le Texier Wozzeck Orchestre et choeur de l’Opéra national de Paris 10年ほど前に初めてヴォッツエックを映像で観ました。ドラマの内容もですが、音楽の無調手法による現代性に惹かれ、一度は生の公演に接したいと思っていました。なかなか機会に恵まれないままでしたので、ようやく観られると思うと気持ちも昂ぶりました。 席はプルミエバルコンのセンター2列目。この席は2年前のマクロプロス以来ですが、音響も良く気に入っています。さて、今日の舞台はスポーツクラブ?幼稚園?の食堂のようです。ガラス張りの部屋(テーブルが並ぶ)の周囲には遊具などが置かれ、子供たちが行ったり来たりしながら遊んでいます。1時間40分ほどの上演時間。この短い時間に緊張感のある音楽とドラマが進行し、息づまる想いのうちに最後はあっけなく、幕になりました。 タイトルロールのバリトンは、きっちりと歌い上げているのですが、何か物足りないのです。狂気の表現がいまいち・・・。比べては悪いのですが、キーンリーサイドのヴォッツエックだと、こういう歌い方や演技で迫るのかな~などと、思ってしまいました。 マリーのマイヤーは期待通りの歌唱で、良かったです。しかし、演出がマリーの境遇や悩みに沿わないので、浮気する相手もモヒカン狩りのパンク男のせいか・・・しらけました。オーケストラはそれほど音に厚みは感じられませんでしたが、全体にまとまりのある洗練された響きでした。このオペラは初演されてから85年経っているそうですが、時代を先取りしたオペラです。現代の深刻な問題もはらんだ見事な作品です。次回はぜひキーンリーサイドで聴きたい!観たい!です。 5時にはマレに戻り、近所の散策をしました。日曜日なので、家族づれも多く、ホテルの前の通りは大変な賑わいです。 夕方になりました。Bonnjourさんがリヨン駅の近くのホテルからマレまで歩いて来てくださいました。どこで夕食にしようかと、迷いましたが、やや古びたワインバーの前で、ここが良さそうとbonnjourさん。いい勘してらっしゃいました。 グラスワインも種類が多く、お料理もそれほど手は込んでいない分、くどくないお味で美味でした。 ↓ 私はこの牡蠣の前菜に惹かれてアラカルト ↓写真はピンボケになりましたが、白身の魚や野菜の串刺し ↓ デザートも程よい甘さでGOODでした。 Bonnjourさんは私よりふた周りもお若い方ですが、知的で(彼女のブログを見ていただければ了解されるはずです)、当然話題も豊富で、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。話し足りなくて、帰りに私のホテルのロビーで、またおしゃべり(笑)。そして、また歩いてリヨン駅まで帰られました。若さが眩しく目に映りました。お互いにボン・ボヤージュ!! Bonnjourさんのブログ http://bonnjour.exblog.jp/d2009-10-17
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ひえー、「知的」だなんて、過分なお褒めにあずかり、穴があったら入りたいです。また、当方のブログをご紹介いただきありがとうございます。(当方の9月20日の記事も、こちらのブログへのリンクを貼らせていただきます)。
当日は、aliceさんのイタリアの田舎での冒険談を、わくわくしながら聞きました。美術や音楽に対する情熱と好奇心、そして行動力を兼ね備えたaliceさんがまぶしかったです。一人旅は食事の時間が寂しいものですが、aliceさんとご一緒できて心に残るディナーとなりました。
ホテルの朝食、ルームサービスのお盆が洒落てますね。クロワッサンとコーヒーだけでなく、ヨーグルトやジュースなど、いろいろ載っていて美味しそうです。私が泊った安ホテルは室料に朝食が含まれておらず別途8ユーロ必要だったのでケチな私は朝食を頼まず、通りすがりのカフェでエスプレッソを頂きました。
by bonnjour (2009-10-18 08:12)
aliceさん、あそこのホテルの朝食を「質素」なんて言ったら、ばちがあたりますよ(笑)。典型的なパリの朝食プラスあれこれですもん!!パンもちゃんとしたものが選ばれているし。あそこに泊まってバスローブのままベッドで朝食をとるのが、私の小さな楽しみ!!
このファン・エイク、ローマでのアントネッロ・ダ・メッシーナ展にも出ていたんですよ。とてもルーマニアまで行かないから、こうした形で観られるのはいいんですけれどね。
>bonjourさん
ここの朝食はクロワッサンだけではなく、パン・オ・ショコラとバゲットもついています。しかし当然三ツ星でも朝食は別料金です。そのあたりがイタリアとは違います。
by Bowles (2009-10-18 10:36)
Bonnjourさん
リンクありがとうございます。こちらも貼りたいのですが、以前失敗してから
使っていません。そのうちトライしてみます。(汗)
Bonnjourさんもこの立地で150€はリーズナブルとおっしゃっていた、あのホテルの朝食は確か12€だったと思います。
Bowlesのコメントどおり3星にしては豪華かもしれません。
書き忘れましたがパン3種類に添えられたイチゴジャム、マーマレード、蜂蜜もとても美味しいです。ご主人と一緒にパリに行かれたときに、宿泊されてはいかがでしょう。ロマンチック!!
by alice (2009-10-18 16:13)
Bowlesさん
お勧めのルームサービス、3回目の滞在にして初めてお願いしました。
今回は2泊なのであまり荷物を広げなかったので、頼みやすかったのです。出発の日はパンにチーズなどはさんで、お弁当にしてタリスのなかで食べました。駅などで買うよりずーっと美味しかったわ。
他の豪華ホテルに比べると「質素」の意味です。卵料理やハム・チーズ、温かい野菜がないのがサビシイ・・・。(汗)
by alice (2009-10-18 16:29)
ブリューゲルの英国王室コレクション(父?)を、昨年ブリュッセルで見ました。確かX線で見ると、もっと残酷なシーンが隠されている絵ではないでしょうか。ブリュッセル王立美術館所蔵(息子?)の絵と並べて展示されていました。ウィーン美術史美術館にも同じ絵がありますね。父と子あわせて何枚が存在するのか、詳しい方に教えていただきたいと思います。
by ご~けん (2009-10-18 18:12)
ごーけんさん
>確かX線で見ると、もっと残酷なシーンが隠されている絵ではないでしょうか
そうです。参考書によりますと、17世紀に加筆され残酷な場面は隠されたとか。だとすると、同じく息子の絵(16世紀)も加筆されたということですよね。
>父と子あわせて何枚が存在するのか
父のはロンドンのだけと思いますが・・・。よく分かりませんが、父のほうは同じ主題の絵を描くということは、ほとんど無いようです。例外の2枚のネーデルランドの諺も、アントワープのものが帰属に問題ありのようです。子のほうはせっせと模写して売りさばいたでしょうけれど・・・。
by alice (2009-10-18 20:50)
aliceさん、了解です。ウィーンのものは息子の描いたものですね。名前が同じなのが混乱の元?
by ご~けん (2009-10-18 22:07)
ヤン・ファン・アイクの「青い帽子の男」、どこかで見た記憶があるけどルーマニアには行ったことがないし・・・と思ったらBowlesさんのコメントで判明。ローマのアントネッロの展覧会で見たのでした。カタログを広げて納得。
こういう形で見られるのはありがたいですね。Bowlesさんもいらっしゃったのでしょうか。
ジャックマール・アンドレ美術館にはじめて行ったとき、日本語のオ―ディオガイドがあるのに驚いたものです。
あそこのレストランは人気があるらしく、時分どきには行列ができますね。ランチメニューに画家の名前が付いていて、オーダーはしたものの、出されたのがはたして自分の頼んだものかどうかよくわからず、首をひねったことをおぼえていますが、今はどうなったか。
by tina (2009-10-18 23:03)
>卵料理やハム・チーズ、温かい野菜がないのがサビシイ・・・。
シャンパンがあってもさすがの私も朝からは飲まないし、他のものも、あってもほとんど食べないので...キャロン・ド・ボーマルシェのあれでも私には多すぎ。コーヒーとパン、ヨーグルトに蜂蜜だけで充分なんです。
夕食を召し上がったところ、あの素朴で古風なところが評判のなかなかいいお店だと思います。アタリ!!
>tinaさん
あの展覧会は行っていません。娘が行って、「ファン・エイクが来てて得した!!」と喜んでいました。もちろんカタローゴは持っています。
by Bowles (2009-10-19 10:06)
tinaさん
私は2、3の例を除いて、展覧会めあてで行き先を決めるわけではないので、特別展に良いのがあたると、ホントにラッキー!と小躍り状態になります。
しかも、作品数の少ないエイクですから・・・。ただし、この作品については赤いターバンの男やベルリンのアルノフィー二とはずいぶん違ってみえまし
ジャックマール・アンドレ美術館のレストラン、相変わらず混んでいます。地元のかたたちも来ているようです。ランチも一度したはずですが、どんなものだったか記憶に無いのです。ケーキや紅茶は美味しかったけれど、行列してまで食べるほどのことはないと思います。
by alice (2009-10-19 14:19)
Bowlesさん
あのワインバー、常連さん?でしたか・・・さすが!きっちり食もはずさないのね~。
素朴で古風なああいうお店、少なくなってきていますね。マレも行く度に変わってきています。
そういえば、今回2泊と短いせいもあって、ファラフェル食べ損なってしまいました。
by alice (2009-10-19 14:31)