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2010年秋の旅 続9(パレ・ル・モニアル) [2010秋仏のブルゴーニュからロアールのロマネス]

9/28(火) ブリオネ・ツアー続き

スミュール・アン・ブリオネの見学を終え、お腹もいっぱいになって次はSaint-Jullen de-Jonzyへ。Eglise St-Julienの見学です。2Kくらいの距離。ここもクリュニーの傘下の教会として1106年に認可され、現在の教会は12世紀半ばの建築です。

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教会に入ろうとしたら、あのイギリス人が丁度出て来ました。そして「セ パ ジョリ/ここは綺麗じゃないよ」なんて言うものですから、観る前に萎えてしまいました(笑)。

↓ タンパンはマンドーラの座る「荘厳のキリスト」とそれを両脇から支える2天使。リンテルは「最後の晩餐」。キリストの顔や他の使徒の顔はフランス革命のとき、ハンマーで叩き壊されたそうです。この後訪れるCharlieuのタンパンとの類似性が認められています。

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↓ 内部は19世紀に改築され、ゴシック風な深い尖頭アーチの交差リブヴォールトの天井。三廊式であるが天井や壁は白く塗られ、よそよそしい雰囲気は否めません。柱頭彫刻も後世のコピーのような植物のものばかり。

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サン・ジュリアン・ド・ジョンズイから南西に3Kほど走り、Iguerandeの村に到着。丘の上の村は遠くからも時々見え隠れしていました。村はずれのEglise de Iguerandeは周りに幼稚園があり、子供たちが父兄のお迎えを待ちながら園庭で遊ぶ声が賑やかです。後陣側に大きな駐車場やトイレなども整備されています。

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さて、中に入ろうとしましたら扉が開きません。閉まってると思い込んで、そのとき丁度子供を迎えに来たママさんに「鍵を持っている人を教えてください」と言いましたら、怪訝な顔で「えっ?開いてるはず」と一緒に行ってくれて、扉をぐんと押すと開きました。ここでは内部の彫刻が目的なので、助かりました。

 オリジナルは11世紀末の建築。数回の改築はありましたが、ロマネスクの様式の純粋さを保ってきました。現在では2世紀の殉教者聖マルセルを奉じています。1088年にクリュニー修道院の傘下に入り、フランス革命まではベネディクト派の僧によって運営管理されていました。19世紀の初めに古い聖マルセルの礼拝堂は破壊され、地区の司教座教会としての役目は終わりました。

↓ 三廊式の半円アーチがおおらかで質実な表情の内部。

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↓ 一つ目小僧のようなキュプロス(右)は邪悪な音楽をパンフルートという楽器で吹き、左の生き物はひずめでハープを弾き対抗しているところ。

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↓ 教会の南側はブリオネ地方ののどかな景色が広がります。手前で寝ているのは牛ではなくてアルパカです。

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少し晴れ間も出てきました。美しい景色を愛でながら、10Kほど南下しますとCharilieuです。正確にはブリオネ地方にに入らないようですが、足を延ばしました。駐車場から50Mほど歩きますとAncienne abbariale St-Fortunatの前の広場にでてきます。

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↓ 正面扉口、外側のヴシュールの中央に神の子羊。

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↓ タンパンには「荘厳のキリスト」、リンテルはそれを見上げる聖母と12使徒たち。エミール・マールによると「この中央扉口はクリュニー系芸術の最も美しい記念碑のひとつであり、その装飾の優美さと・・・」と賞賛されています。予想より痛みが激しく、その良さが伝わってきません。目を凝らしても、こうしてカメラに収めても、判読が難しいほど・・・残念でした。

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↓ 右の小扉口のタンパンには「カナの婚礼」。リンテルは「古き律法の時代の生贄」羊や牛がいけにえに捧げられるため祭壇のほうへ引かれて行くのが彫られているのですが、これも判読するのが難しいです。

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↓ 「蛇に絡まれた女」

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ここから内部には入れませんので、右の側面奥にある入り口から入場料を払って見学します。インフォメーションはブックショップを兼ねていますので、絵葉書やブルゴーニュ、ブリオネの小教会のリーフレット、本などを置いています。重い本は無理ですから眺めるだけでした。ところが、ここでもイギリスのおじさんにばったり遭遇。何処が一番良かった?というのでAnzy-le-ducと言いましたら、僕もだ~と言って彼の強力な押しでAnzy-le-ducのリーフレット本を買う羽目に・・・。彼はここから夜までにクリニューに行くとのことでお別れ。

↓ 回廊や先ほどの扉口の内部の空間を見学。

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↓ 内部の扉口。タンパンは「荘厳のキリスト」リンテルは12使徒たち。

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今日のブリオネツアーもここシャルリューがパレ・ル・モニアルから遠く(35K)、後は北東方面へ2箇所回って帰途に着きます。疲れも出てきましたが、もうひとふんばり!気合を入れてシャルリューを後にしました。

ChateauneufEglise St-Paulは街から小高い丘を登って到着。下の写真の右の門をくぐって後陣の裏手が駐車場です。

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↓ 正面扉口のタンパンは残っていませんが、リンテルはさきほどのシャルリューの内部にあった扉口の12使徒たちにそっくりです。多分失われたタンパンにも「荘厳のキリスト」があったことでしょう。

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↓ 12世紀に建立された後、15世紀には100年戦争で荒廃したため、大幅な改築が行われたようです。現在も内部はあまり整備されず荒れた感じでした。丁度、管理人さんが工事関係者?のかたたちを案内していたところで、入れました。

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シャトーヌフの教会の周りは丘の上なので、シャトー(見学可)なども隣にあり、とても環境の良いところです。丘を降りて、走っていますと小さなロマネスクの墓地教会が見えて、写真ストップ。

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そして、近道を選びながら(フランスは田舎のタクシーでもナビ完備です)、最後のVarenne-L'Arconceheへ。

↓ Eglise St-Pierre es Liens  ブルゴーニュで初めて見たタンパンの「神の子羊」、昨年3月にコルーニャ(スペイン・ガルシア)で見たタンパンにアーチの花模様までそっくりです。

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↓ 内部の柱頭彫刻も素朴なものが多いようでした。

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ヴァレンヌ・ラルコンスからパレ・ル・モニアルまで15Kですが、なんとか美術館に間に合いそうです。そして計算どおりぴったり4時半にMusse du Hieronに到着。10時から4時半までかかったブリオネツアーは終わりました。タクシー代は昨日は100€、今日は160€と思ったより安く済みました。優しいドライバーさんのおかげです。「ボン・ボヤージュ!」と言われ、お別れしました。

Musse du Hieronはひとつだけですが、ロマネスクの至宝を展示しています。それだけを観るのですから、本当にあるかどうか心配で胸がドキドキでした。

↓ ありました~☆Anzy-Le- Ducのタンパンです。ほとんど人のいない美術館ですから撮影もOKでしょうと一人合点。ところがカメラのカードの容量が無くなっていたのに気がつきませんで、大慌て。ようやく2枚撮りました。タンパンは「キリストの昇天/降臨」、髭のイエス、両側の天使ともに衣装のプリーツの流れるような彫りの見事なこと!

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↓ そしてリンテルには中央に乳を与える聖母と幼子イエス、両脇に聖女や聖人たち8人が並んでいます。

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「授乳の聖母」の図像はロマネスクではこれしか思い浮かばないので、貴重な作品と思います。エミールマールはこの扉口はエジプトのバウイト修道院に残されたコプト教の壁画に遡ると、著書のなかで述べています。ビザンティンの芸術がクリュニーが支配していた地域に現れたのは、クリュニーがオリエントの影響を進んで受け入れたからだと・・・。

前半の山場を乗り越えて、ホッとしながら宿に戻りました。ホテルの前に団体客のバスが止まっているました。そして部屋に入り1時間ほどすると、カンカンとスチームの音!待望の暖房が入ったのです。団体さまから苦情があったに違いないのです。団体さまには勝てないようですね!

暖かいと食欲も快復し、昨日お喋りした青年が働いているここのレストランへ。アラカルトで食べた主菜は帆立の皿、北海道の大きい帆立に慣れているので、あまり美味しくなかったのは残念でした。隣席にカルフォルニアからきたというフィリッピーナの女性グループが座りました。ロサンゼルスには何度か行ったので少しお喋り。団体さまも2グループが入って、満席でした。

暖かくなって喜んだのもつかの間、今度は疲れと食べ過ぎで、夜中に目が覚めました。旅に出たら必ず罹るお決まりの下痢です(涙)。
翌日の朝は早いので、朝食を抜いて良くなった程度の軽い下痢でしたが、これから気をつけなければ・・・。


 


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corsa

Aliceさん、こんにちは。
検索で来ました。まさに行こうと思っている場所の数々、とっても参考になりそうです、ありがとうございます。kikukoさんとお友達だったんですね!
ミラノ在住なので、普段は北中心にイタリア・ロマネスクばかりなのですが、いよいよフランス進出をもくろんでいて、しょっぱなに予定しているのはブルゴーニュ。といっても、たったの3日ですけどね。何でもはじめてみないとね、と思って。
フランスは、言葉も分からないし、読めないし、とっても不安なので、こちらのサイトで、いろいろ情報をいただこうと思います。
by corsa (2012-02-11 06:27) 

alice

Corsaさま、はじめまして?以前貴ブログにお邪魔したことがあったような・・・。こちらこそいつも詳しいレポートを拝見させていただいてます。

言葉は分かるのに越したことはないけれど、話せなくてもすごく困るということもないものですね。

ただ、今回のスペインの田舎は数字でさえ英語が通じないところで、そのくらいは覚えてくれば良かったと反省しました。

ブルゴーニュはロマネスク全体から見ても王道の地と思います。3日でもかなり愉しめますよ~☆
by alice (2012-02-11 14:27) 

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