2010年秋の旅 10(パレ・ル・モニアル~ヌヴェールへ) [2010秋仏のブルゴーニュからロアールのロマネス]
9/29(水) Paray-le-Monial 7:54(列車)→Moulins -sur-Allier 8:56/9:28→Nevers 9:56
Nevers / Best Western Hotel de Diane 1泊 86€(朝食別11.5€)
昨夜はお腹の具合が悪く、何度か目が覚めました。前半のハイライトツアーが無事に済んで、安堵すると同時に疲れも出る頃でした。今朝も苦手な早起きをして、暗いうちに(夜明けが遅い)出発です。駅まで徒歩で10分ぐらいなのですが、朝は雨が降ることも予想され、昨夜のうちにタクシーを予約しました。朝食はパスして、チェックアウトし、駅へ。
汽車通学をしている高校生が数人、勉強をしながら静かに列車待ちをしています。列車は夜明けの濃い霧の中を北西に走り、乗り換え時間も含めて2時間程度で、ヌヴェールに到着しました。
駅前の大通りを200mほど直進し、ホテルの看板を右折しますと到着。かなり疲れていてお部屋で休憩したかったのですが、まだ掃除が済んでいなくて・・・それでも正午には用意できるとのこと。荷物を預け、ここNeversで観る予定のEglise St-Etiennneへ。
Neversヌヴェールはブルゴーニュ圏の西に位置する、Nievre県の中心都市です。それなりに活気のある街を1Kほどゆっくり散策して、買い物(セーター)やカフェでお茶をしたり、朝食抜きの体調を考慮して歩きました。旧市街はどこでもそうなのですが、街路が複雑です。この教会も地図ではまだ先と思っていましたが、通りすがりの路地奥に建っているのを発見。
↓ サン・ティチエンヌ教会(11世紀末)1068年にクリュニー修道院傘下に入った、ヌヴェールの司教座教会でした。7世紀の聖コロンバンを奉る男子修道院でもあったのですが、18世紀終わり頃にはファサードや内陣にダメージを受け、その改悪もあり喪失した部分も多かったようです。正面ファサードは小さな広場に面していますが、後陣側は広くオープンな空間が広がっています。プランは伝統的なラテン十字に周歩廊、後陣は放射状に袖廊のも合わせて5つのチャペル。三廊式、大アーケード、トリビューン、高窓といった構成になっています。
↓ 教会前の説明パネルによりますと、以前(19世紀中頃のスケッチ)は両脇に鐘塔が建っていたようです。ナルテックスの前面に補強壁・・・苦労のあとが忍ばれますね。
↓ 交差部の塔はロマネスクスタイルに戻されたようです。ファサードは仕方ありませんが、後陣は威厳を持って建っていました。立派です。この教会のここまでの歴史を想い・・・そして良く残ったねとねぎらう気持ちになりました。
街歩きと見学が済み宿に戻りました。部屋はシングルですから狭く、シャワーのみ。それに寒いので暖房つけてといったのですが・・・まだとのことでがっかりしてしまいました。でもここはさすが3☆でBooking.comでも評判の良いホテルです。まもなく、電気ヒーターを持ってきてくれました。このヒーターのおかげで暖かく過ごせ、洗濯物も乾きました。
サンドイッチを少し食べてお腹の様子をみて、大丈夫そうなので、予定通りに行動開始。レセプションにタクシーを手配してもらって、ヌヴェールの南の3教会を回りました。タクシーの運転手さんは珍しく黒人の方でした。善良そうで愛想もよく、そのせいかひっきりなしに手配の電話がかかり、商売繁盛しているようです。
初めはヌヴェールから南西21KのMars -s/Allierへ。Eglise St-Julienは小さな村落の民家に囲まれて建っています。
↓ 二段に分かれたタンパン。上はグリーンマン、下は「荘厳のキリスト」と使徒たち。リンテルはありませんというか、タンパンに組み込まれているのでしょうか?
↓ ほのぼのタイプの愛らしい人物像。
↓ 内部は三廊式。尖頭型の横断アーチと内陣を仕切る大アーケードのおおらかなカーブ。柱頭彫刻は説話的なものはなく、グリーンマンや抽象的な植物のもので占められています。緑豊かなこの地方にふさわしいとほほえましく思いました。
運転手さんも私の見学の間、この教会の広場で遊んでいた子供と話をしたり、のんびり。教会の裏の家に咲く秋の草花。
さて、次はSt-Parize-le-ChatelのEglise St-Patriceです。ここのクリプトにある特異な柱頭彫刻(11~12世紀)が目的です。外観も内部もよく見ないで、クリプトに突進。
↓ ところが階段が左右にあることに気がつきませんで、たまたま照明スイッチのないほうを、降りていきました。ですから、真っ暗です。しばらくは小さな窓からの明かりをたよりに6本の柱頭彫刻を鑑賞していたのです。まあ、それはそれで得がたい体験でしたが・・・。カメラはどういうわけか、フラッシュが焚けません。
↓ 30分ほどしてから、別な階段から戻ろうと思って、昇りかけてスイッチに気がつきました。灯りがつくと、また違う世界が広がりました。いままで闇の中に沈んでいた魔物が舞台に現れたような衝撃でした。おおお~っ!
この彫刻家の鑿の大胆さに圧倒されました。他のロマネスク彫刻のどこにもないこの奇妙で、生き生きしていて、重々しい石の彫り物・・・独りでここに佇んでいると、黙々と仕事に励むその人の息づかいが聴こえそうです。ここには確かにロマネスクの幻想が満ちていました。
最後に何も見るべきものがないようなBeardのSt-Laurentに立ち寄り、ヌヴェールに戻りました。
↓ 遠くから見たベアードは綺麗でしたが
↓ 着いてみれば、中はがらんどう・・・教会としては生き残れなかったのです。200年ほど干草や穀物置き場として使われた後、1967年に教会としての役目は終わりました。保存運動は行われているようですが、ファサードや内部に彫刻や壁画などがなければ(盗まれ売り払われたのでしょう)保存は厳しいかも・・・。
今日はほのぼのしたり、興奮したり、しんみりしたり・・・忙しい日でした。夕食はホテルのレストランで、魚のスープとチキンのサラダで軽く済ませ、部屋でi Padを接続しましたら、家人からのメールです。フランスのホテルから電話が来て、鍵が何とか言っていたというのです。あらら、悪いことをしました。実はクリニューの宿でチェクアウトのとき鍵の返却を忘れて、バックに入れたまま持って来てしまったのです。予備があると思いそのままになっていました。明日ホテルに送り返さなければ・・・。 体調も良くなり、久しぶりに熟睡できました。。
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