2011年春の旅 2 (東京) [2011春東京からNY、母娘の旅]
4/10(日)
夜中にガタガタと窓が音をたてて、目が覚めました。地震か?と身構えたのですが、杞憂に終わってほっとしつつ、また朝まで熟睡。なにせ同行のNさんが3.11の大震災時には歌舞伎観劇中、そしてこのホテルの27階まで階段を上って部屋に戻ったとの経験を聞いてますので・・・。
23階の窓から朝の浜離宮とレインボーブリッジ方面を眺めながら、自分勝手ながら、せめて明日の出発まで余震が来ないことを祈りました。
朝食を済ませ、丸の内の三菱一号館で開催中の「ヴィジェ・ルブラン展」へ。
マリー・アントワネットに重用された女性画家として知られているルブランは美しく、華やかなイメージが先行して、美術史のなかではあまり注目されることがなかったように思います。今回の展覧会はルブランだけでなく、当時の18世紀のフランスで活躍した女流画家の紹介もありました。ロザルバ・カリエラのパステル画も1点(個人コレクション)。
ヴィジェ・ルブラン( Vigée Le Brun 1755~1842)画家である父とグルーズに学び、やや感傷的で洗練されたスタイルの肖像画を得意にした。画家自身の美貌もあって早くから世間的成功をおさめた。革命時には数年イタリアやロシアなどに亡命し、各地で王侯貴族の肖像を描き活躍。1802年フランスに戻ったが、画商の夫とは離婚、愛娘の素行の悪さなど家庭には恵まれなかったようだ。
↓ ルブランの「自画像」1791 英サフォーク州イックワース/ナショナル・トラスト、ブリストルコレクション
↓ こちらは今回の展覧会には出品されていませんが、ルーブル美術館にある代表作「画家と娘」
館内で友人のSさんと待ち合わせ、丸ビルへ移動。36Fのフレンチレストラン「モナリザ」でランチ。皇居をこんな上から眺めたのは初めて!緑と散る寸前の桜が春爛漫を告げていました。お料理も美味しかったけれど、お皿も素敵、感じ良いサービスにも感心しました。Sさんのご協力で写真も二人分バッチリ(笑)
食事の後はSさんはドミンゴ、私はメータと別れ別れ。札幌でもお会いする機会が作れなくて、ようやく東京でゆっくりお喋りができましたね~と満面笑みのふたりでした。
さて、上野の東京春の音楽祭のコンサートは当初のアンドリウス・ネルソンス指揮の『ローエングリン』が大震災のためボツになり、替わってズービン・メータのチャリーティー・コンサートになりました。フィレンツエ歌劇場の来日公演を大震災のため途中でイタリアに帰国していたメータが、ボランティアで戻ってきてくれたのです。チケット代もすべて義捐金にまわされました。
メータの挨拶と黙祷、そしてバッハのG線上のアリアが演奏されました。普通のコンサートとは別の次元にありました。鎮魂と祈り、慟哭と叫び、励ましと勇気 もろもろの感情が音楽と共に胸にひしひしと迫ってきて涙があふれそうになりました。
充分なリハーサルもできないままだったと思いますが、メータ、N響、ソリストたち、合唱そして観客が一体になって、うねるような感動のうちに演奏は終わりました。観客総立ちの喝采、ブラボーとメータに感謝のありがとうの掛け声が長く続きました。海外アーティストのキャンセルの相次ぐ中、勇気を持って励ましに駆けつけてきてくれたメータには本当に頭がさがりました。
人種も宗教も国も違う人間が「芸術で感動の共有体験を持つ」そのことが、世界を良くすることに繋がるのだという言葉を改めて、噛みしめました。
Nさんと上野の名残の桜を眺めました。節電のため夜桜は催されず閉園も近く薄暗く淋しい雰囲気。これもまた通常の華やかさとは縁遠いネオンの少ない銀座を歩き、和食の夕食をとりホテルに戻りました。
ズービン・メータのチャリーティー・コンサートにいらっしゃったのですね。
>人種も宗教も国も違う人間が「芸術で感動の共有体験を持つ」そのことが、世界を良くすることに繋がるのだという言葉
仰るように本当に感動的な素晴らしいコンサートでした。
「ヴィジェ・ルブラン展」も行こうと思っているのですが、まだ行けてません。
モナリザでランチと渡米前から充実した一日をお過ごしになりましたね。
by kametaro07 (2011-04-29 14:55)
Kametaroさま
チャリーティー・コンサートで、すれ違ってもまたは隣の席でもお互いに分からないというのも淋しいですね~。どこかでお会いできる日が早く来ますように・・・。
東京滞在は震災前から予定していたことなので、敢行しましたが、余震が怖くてビクビクものでした。札幌は地震が今のところ少ないので震度4以上は未経験なのです。
翌日飛行機が離陸したときはほっとしましたが、数時間後に5弱?があったことを知ってびっくりでした。
by alice (2011-04-30 18:39)