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2011年春の旅 14(ニューヨーク&帰国) [2011春東京からNY、母娘の旅]

4/22(金)

 ニューヨークも今日が最後の日になりました。母娘して朝に弱いので、今日行く予定のMoMA(ニューヨーク近代美術館)は混むとは思いながらも、のんびり途中のカフェで朝ごはん。イースター休暇の週末のため、カフェはどこも家族ずれや観光客で列ができていました。

ようやくブランチに近い朝食を終え、徒歩10分くらいのMoMAに着いてみれば、今まで観たこともない長い行列ができています。でも私たちはシティパスを持っているので、ここでも並ばずに中のインフォでチケットを引き換え、即展示フロアへ。オーディオガイド(無料)は日本語がありますが、運転免許証の提示が必要とのこと(パスポートは×)です。長女はアメリカでは運転しませんから、免許証は日本に置いてきたと残念がって・・・。

ここの鑑賞は私も何度か来ていますし、娘とは別行動にしました。彼女はこの後チェルシー方面へ。私はオペラがあるので、お一人様ランチの後はホテルに戻りました。

まず最上階の特別展(ドイツの表現主義)へ。ここはカメラ禁止なので、↓ポスターだけ。

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3日前に観たグッゲンハイムの特別展と同じく、MoMAのコレクションだけで構成されています。それが凄いコレクションで、何処に隠してたのと思うような一級の作品が並び、思わずゴクリ(笑)

キルヒナー、べックマン、ココシュカ、カンディンスキー、おまけに大好きなエミール・ノルデやケーテ・コルヴィッツまで!

自前でこれだけの企画展ができるのですから、何度来ても(4回目)展示替えで新しいものを目にするはずです。

↓ 人気のロスコは専用の展示室ができてました。

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↓ ロスコ初期の作品

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↓ アンソール「聖アントニウスの苦悩」1887

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↓マレヴィッチ「桶をかつぐ農婦」1912~13

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↓ イヴ・タンギー「He did what he wanted」1927  タンギーの絵を見るといつも胸が痛くなるのですが、今回は特に・・・。

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↓ MoMAの中庭

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↓ カーネギーホール近くのRedeye Grillでランチ。東海岸の生牡蠣。

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仮眠の後はメトロポリタン歌劇場の『ワルキューレ』へ。6時半からの開演なので外はまだ明るく、今夜が初日のなんとなく華やいだ雰囲気です。

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↓ 4夜連続の簡単プログラム(無料)も今夜が最後です。

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Richard Wagner『Die Walkure』 6:30~11:40 

Conductor:James Levine   Production:Robert Lepage

Siegmund:Jonas Kaufman   Sieglinde:Eva-Maria Westbroek  Huding:Hans-Peter Konig   Wotan:Bryn Terfel   Brunnhilde:Deborah Voigt   Frika:Stephanie Blythe   

リングの新演出は何年ぶりになるのでしょうか?以前のプロダクションのは地元のオペラ教室で、映像は観たことがありました。ワルキューレは生ではミュンヘン(2003)以来です。リングの中では一番好きな作品のうえ、ジークムンドを歌うのがカウフマンというので、前日のオリーとあわせてチケット購入を即決していました。席はオーケストラの10列目右より、222.5ドル。

ニュー・プロダクションを担当したのはRobert Lepage(カナダ)。2006年にパリで観たファーストの劫罰がどうやらこの方の演出だったらしい・・・映像駆使タイプで当時は私の好みでなかったのですが、2008のMETのライブヴューイングで観た劫罰は、グラハムの歌も良かったし、慣れたのか結構良かったのです。アシスタント、衣装、照明もレパージュのチームが担当。

レヴァインが指揮台に上った時点で、立ち上がって拍手をする人も多く、METの顔でもあるマエストロの人気は絶大なものがあります。幕が上がると舞台上の何本かの角材、それが立ち上がると森の木々のようにもなったり、いろいろ変化していきます。その樹の影から現れたのが精悍な狩人スタイルのカウフマン。「ラスト・オブ・モヒカン」のダニエル・デイ・ルイスみたい!!↓ 

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初日でやや固くなっているように見えたのは、動作がどうもぎこちないからなのです。けれども歌唱は特に1幕は素晴らしいできでした。

開幕前にウエストブルックは体調が悪いと説明がありましたが、そんな風には見えず、なんどもジークリンデを歌っているからでしょうか、カウフマンに比べるとヒロインになりきったパフォーーマンスは凄く光っていました。彼女は2006年アムステルダムで初めて聴きました。まだ新人だった頃ですが、すでに大器の風格(体格も立派 笑)でした。次回を楽しみにしていましたが、ようやく・・・でも1幕目で体力を使い果たしたのでしょう。2幕目は代役が歌いました。

次に良かったのはフリッカのブライス。藤村さんのフリッカが理詰めで責める冷たい奥方とすると、こちらは女の情念で訴える怖い奥方。その表現には脱帽でした。ブライスはいままでMETでは何度か聴く機会があったのですが、今回が一番良かったです。

残念だったのはターフェルとヴォイト。ターフェルの声はヴォータンには向いていないのでは?ヴォイトのブリュンヒルデも頑張っているのですが、どこか違うのです。言葉で簡単に説明できないのは残念です。父と娘の別れのシーン、大好きなところですが、何故かこの二人の歌に気持ちが乗って行きません。素晴らしい1幕からはじまるものの2幕、3幕と感動が次第に薄れていくのを止めることができませんでした。

2幕目の騎行の場面、ワルキューレの娘たちが滑り台のようにひとりずつ斜めになった角材を降りてくるシーンは少々エロチックでしたが、意外性があって面白かったです。レパージュはシルク・ド・ソレイユのプロダクションも担当しているそうなので、こういうのはお得意なのでしょうね。メトの大劇場にワグナーの音楽が響き渡り、大掛かりな装置(初日なのでところどころミスったり)のショー的舞台100%ではなくても、それなりに(笑)楽しむことはできました。帰途は深夜12時近くでしたが、週末のニューヨークはまだまだ賑やかでした。

 4/23(土) NY(JFK)13:59→

昼過ぎのフライトなので、朝になってから荷物の整理をして間に合いました。あまり物で簡単朝ごはんを済ませ、早めにホテルをチェックアウトして空港へ。搭乗開始も30分以上早く、定刻どおり離陸。来るときもですが、古い機材で(エコノミーはパーソナルテレビがなかったそう)運行されるのは、日本の震災や原発で乗客が少ないからかしら?ビジネスクラスも搭乗口付近のラウンジは閉鎖され、機内食も今までで一番不味いものでした。デルタとはこれで縁が切れそうです。

4/23(日)成田16:30(DL)/18:30(JL)→千歳20:00頃

札幌駅に着いて、タクシー乗り場までの寒いこと!NYも天候に恵まれず、寒い思いをしましたが、まだましだった~と言いながら我が家に辿り着きました。

↓ 札幌駅でお弁当を調達

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↓ NY土産のスィート、ブラウニー。日本の甘さ控えめのお菓子に慣れているので、初めは甘すぎると思いましたが、癖になる甘さでパクパク・・・ラベルの太った魔女そのもの(泣)。

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健康に不安があり、旅の途中で何度か連絡していた夫も独り暮らしを楽しんでいたみたいで、意外に元気でした。孫たちのことを目を細めて聞く夫の嬉しげな様子にほっとしました。失業中の長女も旅行にためにいったん中断していたキャリアアップのための勉強も再開し、日常の生活に戻りました。

3.11の震災から2ヶ月、旅をしていてもそのことが頭から離れませんでした。原発事故が起きて初めて原発がどういうものなのか調べることにもなりました。そして・・・その恐ろしさを知ったことで、生まれて初めてデモにも参加しました。私の中で何かが変わったようにも思えます。このような状態は少なからず皆さんにも起きていることと推察しています。少しずつでも価値観や意識が変って、後の世代により良く繋がっていきますように・・・って、最後はちょっぴりお堅くなりましたが、これで終わらせていただきます。END

追記  5/12 4PM 管理ページでアクセス数をチェックしたところ、「今日: 351 / 累計: 300,999」となっていました。ありがとうございました!


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コメント 2

tina

MOMAにはずいぶん前に行ったはずなのですが、こんなにいい絵があったなんて知りませんでした。私に目がなかったのか、出ていなかったのか。

その頃アメリカにいた娘から、ウエールズ出身のバリトンでブリン・ターフェルという人がいいそうだけれど、知っている?と聞かれたので、名前だけは知っていました。一度、「さまよえるオランダ人」をなにかで聞いて、すごいと思いましたが、ワグナーは苦手なので聴く機会がありませんでした。誰かが熊ちゃんみたいな人と言っていましたが。

エネルギッシュに楽しまれたようでうらやましいです。

オリー伯爵を聞いて、ダムラウが出るルチアを買わなかったことを後悔し、切符がのこっていたら買おうかと思ったのですが、ここへきてキャンセルの心配が出てきたので・・・どうしよう・・・
ドン・カルロはホロストフスキーが聞きたいです。これ以上キャンセルが出ないといいですね。


by tina (2011-05-13 21:46) 

alice

tinaさま

ブリン・ターフェル、私も好きで彼のアリア集も持っています。その頃(10年前くらい?)のCDに収録されているワーグナーにはそれほど違和感はなかったのですが・・・今聴いたらまた違う感想があるのかな~。

ダムラウ、オリーのときは赤ちゃんを楽屋に連れて来ていたそうですし・・・これから妊娠することなども考えると、まず無理かも。

炉心溶融(メルトダウン)のニュースにも慣れちゃった感のある日本人が一番のん気かも知れませんね。

こうなるとMET自体が来日できなくなったほうがすっきりします。大物歌手だけでなくて、コーラスや裏方さんたちも居るのですから。チケット代は来てくれる歌手だけのコンサート形式のものを開いて、余った分は震災の義捐金として寄付しても構わないと思っています。
by alice (2011-05-14 13:59) 

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