2011年 秋の旅(12続) パルマ [2011秋ウィーンとイタリアあちこち巡る旅]
続きです
フィデンツァから乗ったのは特急だったので、ピアチェンツァに着いたのは11:40頃。予定のバスより1本前の11:55発に間に合う時間でした。ところが15分あれば停留所も探し出せると思ったのは大間違い・・・市内バスのほかの近郊線は5つくらいのバス停に分かれ、それぞれ番号が大きく停留所の屋根につけられています。ところが私の乗るべきバスの41番はどこにも見当たりません。道路の向こう側左手の停留所は1箇所だけ番号が表示されていませんので、そこに違いないと行って、バスを待っている人に尋ねたのですが・・・41番のバスなどないという答えです。実際はその人の後に貼ってある紙に小さく印刷されていたのです(番号は書かれていません)。このときは気がつかず、あちこち探し回っているうちに、市バスが車体の色は違うものの同じバス会社なのに気がつき、停まっていたバスの運転手に尋ねましたら、先ほどの番号のない停留所からLugagnano行きに乗ればよいとのこと。振り返るとがそれらしきバスが・・・でも戻る間もなく発車して行ってしまいました。もしかして遅れてくるかもと15分ほど待ちましたが、寒いので近くのバールに避難。コーヒーとトイレタイム。10分前に戻ってみますと、先ほど見かけた人たちがそのまま辛抱強く立って待っていたのにびっくり!
ほぼ時間どおりに現れたバスにようやく乗車し、50分ほど走るとVIGOLO MARCHESEヴィゴロ・マルケーゼです。一緒に乗った老婦人が橋を渡るとき、聖堂はあちらよと教えてくれて・・・チラッと見えました。ここに間違いなし!
↓ バスを降りると橋の向こうにSan Giovanniサン・ジョヴァンニ教会(11世紀初頭、初期ロマネスク)
↓ 教会後陣の右に洗礼堂の可愛い姿が見えてきます
↓ 晩秋の林や畑を背景に・・・半円形の後陣が3つ付随。
↓ 教会正面方向から・・・残念なことに洗礼堂の扉は堅く閉ざされていました。
↓ 教会と洗礼堂はロンバルディア帯と付け柱のシンプルな外観で統一。
↓ 教会は開いていました。木組み天井とアーケードの太い柱
誰もいませんので、ここで持参の赤飯のおにぎりでランチにしました。教会の中で食事したのはそういえば初めてでした。マナー違反かも知れませんね。柱頭彫刻や壁画などの観るべきものはありませんが、ロマネスク初期の素朴な、Val d'Ardaヴァルダルダ(アルダの谷)の風景に溶け込んだ教会と洗礼堂はピースフルな静かな美しさをたたえています。
バス停に戻り、傍のTタバコ屋で次の目的地カステッラルクアートまでのチケットを買い、そのまま寒いので店内に留まっていました。ところが15分も前にバスが来たのです。この線は1本しかないはずなので、それでもまさか!という思いで発車寸前の運転手さんに訊いたところ、間違いなくカステッラルクアート経由のLugagnano行きでした。「なんちゅうこった~信じられない!」とバスに乗り込みました。乗ってから気がついたのですが、私より先に来て、寒いのに外で待っていた老紳士はどこ?反対方向のバスを待っていたのだといいけれど・・・。
10分弱でカステッラルクアートのバス停に着きました。地図を見ながら町の中に入っていきました。小奇麗なカフェやホテルが並んだ広場があり、煉瓦と凝灰石の家々の並ぶ坂道を登りました。「イタリアの美しい村」に登録されただけあって、ゴミも落ちていませんし、家々には花が飾られ整備されています。観光シーズンはもう終わったのでしょう。雨が静かに降る日の村は観光客の姿もなく、地元の人もほとんど歩いていません。
↓ この狭間のついた塔の下をくぐり、左手方向の外周の道を登っていきました。
↓ まだ3時前ですが、天候も悪いので、薄暗くすでに夕方のようでした。城壁が見えてきました。
↓ 突き当たりの城壁の右に市庁舎広場
↓ Collegiata参事会教会 の後陣。ロンバルディア様式のフリーズとくり抜かれたクロスの装飾が統一感のある美しい外観を見せています。
↓ 正面から見ると左側面に15世紀の柱廊。扉口はロマネスク様式。
↓ 扉口のリュネットの彫刻は1185年、アンテラミ派によるもの。
正面方向にまわりますと教会には鍵がかかっていました。隣接の回廊(14世紀)へ直接行ける入り口があり、そこにデスクがあり、係員がいます。回廊と付随した博物館は有料です。
ここを観たあと、係員が教会の鍵を開けてくれましたが、明かりもつけてくれなくて、不親切です。こんな日に誰も来ないと思ったのに、面倒だったのでしょうか。機嫌の悪いおじさんでした。なんか頼みに戻る気もしなくて・・・暗い内部をうろうろ。12世紀の柱頭も良く見えませんでした(涙)。
↓ 13世紀の洗礼盤。
↓ 雨に濡れた石畳がしっとりと美しく
↓ 元の下の広場に戻り、バールでドーナツとカプチーノでひと休み。見かけはケバイお姐さんでしたが、親切。寒そうな私に奥のほうが暖かいよと言ってくれて、そんな一言にほろっと嬉しい一人旅のさすらいおばばでした。
また、時間前にバスが来るかもと20分前にバス停に行ってみましたら、もう待っている方が・・・やっぱり、地元の人にも信用がないバスの運行状況なのですね。
↓ バス停の近くに牛のディスプレイがあり、よく見ると牛乳の自販スタンドでした。車で来て買っていく人も。
5分遅れで来たバスでピアチェンツァまで。日はすっかり落ちて、真っ暗な田舎道や小さな町を通り、ピアチェンツァの駅に着いたのは6時近くでした。予定の電車より早い急行があったので、それに乗ってパルマへ帰りました。ホテルまでの通りに適当なレストランがあれば夕食も済ませて帰ろうと思いましたが、見当たりません。ホテルのレセプションで、お勧めのレストランを尋ねてますと、日本人の女性が現れて、昨日行ったレストラン「サンタ・マリア」が美味しかったわというので、そこを8時に予約してもらいました。
部屋に戻り着替えて外出。エレベーターの前で「こんばんわ!」と白人の男性(多分英国人)が日本語で挨拶。先ほどの方のご主人でした。ガリバルディ広場近くのレストランでも一緒になりました。アンティパストはクラッテッロの盛り合わせ。セコンドは海老のパスタ。味はまあまあ、値段は昨日の「グレッピア」と同じくらい。ならあちらのほうが良かったかも・・・。
夜の裏通りも安全で、どこか他の町より品の良く感じられるパルマ。このホテルにまた泊まって、レッジョ劇場でヴェルディのオペラを観たり、今回は行かれなかったパルマ南に点在するロマネスクの小教会を回るのも良さそう~。楽しい夢を見ながら就寝。
やはり真夏と秋ではずいぶん風景が違いますね〜、ヴィゴロ・マルケーゼも、カステッラルクァートも。ペーザロの帰りに寄ったのは2,3年前かな。また夏はこの程度の「都会」(やはり北のこのあたりは「都会」だと思います)はたいていどこも扉が開いているのがありがたいです。洗礼堂、残念でしたね。実に素朴だけれどいい空間でした。
グレッピア、これも3年ほど前に10年ぶりくらいに再訪しましたが、夜だったのでご主人、ちゃんとお店に出てらっしゃいました。ただしずいぶん痩せて...。
by Bowles (2011-11-24 19:07)
本当にバスは油断なりませんね。頼りは時間割なのにこんなに当てにならないとなると、全神経使い果たしてしまいそう。。。
でも、目的地に着くとそんな苦労も報われる。。。公共の乗り物を使ってのロマネスク巡りは本当に時間のロスだと、Astiで思い知らされました。でも、やめられない…病気ですね。。。^^
今回の手記、参考にさせていただきます。
by わに子 (2011-11-24 20:03)
うーん、バスを乗り継いでのこんなロマネスク訪問、考えただけでも気力が失せそうです。えらいですねえ。
この前行った時は、りごレットの公演が終わったばかりで、ポスターが残っていて悔しかったです。
by tina (2011-11-24 21:03)
Bowlesさん、車だと難なく行ける都会と思われるのでしょうね。南と比べると特に。
しかし、この近辺のバスには悩まされました。我ながら物好きだな~と。腰痛が起きなかったのが不思議なくらいでした。
パルマのグルメ情報、行く前に調べたのですが、街中はあまりなくて、郊外までタクシーで行くほどの情熱もなく・・・。でもグレッピアは健在で嬉しかったです。
by alice (2011-11-25 00:28)
わに子さま、>でも、目的地に着くとそんな苦労も報われる
そうなんですよね~まったくの病気だわ。苦労して辿り着いたときの嬉しさったら例えようもなく・・・強く記憶にも残りますもの。
Astiも大変だったのですね。苦労話の訪問記楽しみにしています!
by alice (2011-11-25 00:34)
tinaさま、Kikuko さんの情報がなければ、もっともっと大変で、途中で断念したと思います。
イタリアはこんないい加減でもまだバスの路線があるからましです。フランスは比べると少ないので、次回のリムーザンはどうなるのか見当もつきません。
by alice (2011-11-25 00:41)