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2012年冬の旅(10の2) バルセロナ [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]

~続きです。

予定ではタラサでランチのつもりだったのですが、適当なレストランやバルを見つけられないままタラサ駅に着きました。丁度5分後に出発のバルセロナ行があり、それに飛び乗って(往復切符を買っててよかった)カタルーニャ広場に戻りました。

ホテルの途中に昨夜写真を撮ったサン・ジュセッペ市場があり、そこを入ってすぐ右にカウンター形式の市場食堂があります。2時からがスペインの昼食時間ですから、すでに満席。買い物帰りの地元の人や観光客で10人も座ればいっぱいになる狭さに躊躇してましたら、目の前のオジサンが立ち上がり席が確保できました。

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写真には写ってませんが、お店を切り盛りするのは愛想の良い名物おじいさん。てきぱきとしたお客さん捌きに感心。

まずカヴァと海老(ハサミが大きくて少々食べにくいのですが旨い!)

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↓ 黒板に書かれた今日のメニュが読めません。すると、隣に小学生の男の子とご両親が座りました。この子は学校で英語とフランス語を習っているというので、そのお勉強も兼ねて(笑)、次に食べた小烏賊と豆の煮たお皿やスープなどオーダーしてもらったり、助かりました。

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はにかみながらもニコニコと可愛い9歳になるという男の子に「メルシー・ボクー!」でした。

↓ついでに木苺と白アスパラをショッピング

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いったんホテルに戻り1時間ほど休憩とカメラの電池を充電して、カタルーニャ美術館へ。

最近カタルーニャ美術館を訪問されたわに子さまの情報で、カメラOKになったことを知りました。張り切って一眼レフも持ち、2台態勢で臨みました。

地下鉄エスパーニャ駅を上がります。目の前に旧闘牛場(ショッピング・モール)

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↓ その反対側のモンジェックの丘にカタルーニャ美術館が見えます。

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カタルーニャ・ロマネスクの至宝が収蔵されているミュージアム・ナショナル・アート・カタルーニャ美術館(MNAC)はシニアは無料です。

写真は撮ってきたもののほんの一部ですが、「お気に入り」のものをピックアップ。まず、木製彫刻の聖母子3体

↓ゲルの聖母 (Santa Coloma de Ger)12世紀。/インパクト大の聖母子。きりっと鋭い眼差しの聖母には受難の覚悟を決めた強さが・・・。幼児イエスは大人びてあまり可愛くないけれど、母子のバランスは取れているのです。

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↓ ゴソルの聖母(Santa Maria del Castell de Gosol)12世紀/黒光りした長い年月を経た美しさ。素朴な農民の母子のような姿に親しみを感じます。

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↓ Sant Joan Despiの聖母子 12世紀終わり~13世紀初め/黒い聖母子のタイプ?目鼻立ちが整ってゴシックに近い哀しみの表情のマリア様。かなり破損しているのも痛々しさを誘います。

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 木製彫刻の十字架のキリスト3体

↓ バトリョのキリスト 12世紀中ごろ/カラフルな衣装のイエス。十字架のイエスは教会の高いところに掲げられることが多いので、うつむいています。アップで見ると口もとが文句ありげにへの字になっていて・・・困ったもんだと言ってるよう。すみませんと謝ったりして(笑)

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↓ 1147年のキリスト(Urgell) こちらはぐっと地味な風貌のおじさんぽいイエス。彫は荒いけれど、その分素朴な力強さを感じます。篤い信仰のオーラも伝わる逸品。

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↓ クベリスのキリスト 13世紀 (La Mare de Deu de CUBELLS)/王冠を被ったゴシック期のイエス。写実的で、悲しみの表情が印象的。かなり破損していますが十字架にかけられた姿だったと思います。。

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↓ キリストの十字架降下(タウルのサンタ・マリア教会)12世紀/ 木彫の群像タイプのものはカタルーニャの特徴的なものなのでしょうか?アップで見るとこのキリストの苦悶の表情は痛々しいし、ほかの3人(盗人、聖母マリア、アリマタヤのヨセフ)との作風の違いが・・・。ほかの工房のものを使った可能性がありますね。

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次は地方の辺鄙なところにある教会から、剥がされて展示されている壁画の数々。。。

↓ Sant Quirze de Pedret 11末~12初め/Pedret Circleと呼ばれるカタルーニャ・ロマネスクの壁画スタイルの主流とみなされている。ロンバルディからカタルーニャ地方にやってきた画家たちが描いたものと長い間信じられてきたが、現在は外国の影響を受けたPedret のマスターのオリジナルとの見方が強い。古代ローマ後期の空間のイリュージョンの工夫。しかしながら、伝統的な様式の踏襲だけでは人を感動魅惑することはできないだろう。。。

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↓中央の小窓をはさんで、右に愚かな乙女たち。右の教会に座るのは教会のアレゴリー。

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↓ 左のテーブルに賢い乙女たち。

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↓ santa Maria d'Aneu教会の壁画 11世紀末~12世紀初め/3つの小窓の美しい蔦模様とセラフィンの優雅な羽捌き(笑)予言者イザヤの幻視

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↓ セラフィンが予言者の口を左下の赤く燃える火に熱したピンセットで挟んでいます。

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↓ タウルのサン・クレメンテ教会の祭壇壁画 1123年頃/ここMNACのなかでも特に名高い。大きく描かれた中央の栄光のキリストの威厳ある姿。手に持つ本には<EGO SVM LVX  MVNDI>の文字。天井アーチの7つの目を持った神の仔羊、神の手、左に描かれたラザロなどにも注目。

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↓ 神の小羊

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↓ 聖ステファノの殉教Sant Joan de Boi教会

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↓ステファノの メーキャップをしたような派手な顔や血の流れ方が、なんだか歌舞伎っぽい。。。

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 パネルペインティング(板絵)の祭壇前飾りも傑作が目白押し。。。

↓ Seu d'Urgellの聖人たち 12世紀/鮮やかな色彩がカタルーニャの太陽のよう。黒い線でくっきり描かれた中央の二重マンドーラのイエスに左右シンメトリーに描かれた12使徒。アニメのようなヴィヴィッドさ、今にも動き出しそう~。

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↓ Sant Quiricus, Sant Julitta de Durro 12世紀中ごろ/聖人の殉教図。残酷なシーンなはずなのに・・・。可哀そうだけれどユーモアもあり、中央の聖母に抱かれた幼児イエスが不思議そう「あの人たち痛くないの?」って指差していて(笑)。

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↓ Cardetの祭壇画 13世紀/説話的主題が順番にきっちり描かれている洗練されたゴシックの板絵。右上の降誕の場面の父ヨセフの問いたげな眼差しに、産まれちゃたわね~みたいな聖母の表情においおい(笑)

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最後に柱頭彫刻

↓Santa  Maria de Besalu からの2点 1137~1167、1171

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↓ これは柱頭彫刻ではなくBases del Baldaqui とありますから祭壇を支える基盤でしょうか? 12世紀。リポールのサンタ・マリア旧修道院にあったもの。一見するとカベスタニー?と思いましたが、説明板にはそのような記載はありませんでした。

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きりがないので、この辺で。

そろそろ店じまいの館内のカフェで一休み。外に出ましたら夕闇が迫って、美しいバルセロナ市内が眼下に広がって、美術館の前は夜景を楽しむ観光客で賑わっていました。

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くたくたに疲れてホテルに戻り、夕食は白アスパラを茹でたり、手持ちのもので済ませました。


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corsa

カタルーニャ美術館、懐かしいです。といっても、ロマネスクに本気ではまってからは行ってないので、今行くとどうなのかな、と思います。
本物を、可能な限りよい形で鑑賞できるありがたさはありますが、やはり現地から引っぺがしたりして無理やり運び込んだという、受け入れがたい部分もあり、難しいところですね。
懐かしいといえば、市場のカウンター式の食堂、あそこは本当においしくて気さくでよいですよね!
by corsa (2012-02-19 06:53) 

alice

corsaさま、>やはり現地から引っぺがしたりして無理やり運び込んだという

サン・クレメンテの壁画を観ても、心の隅で抵抗するものがありますね。価格は忘れましたが、国に買い取られて行くときの村人たちの涙・・・。それを想いながらの鑑賞は切ないですね。

あの市場食堂、実はネットで検索して見つけました。10日後バルセロナを発つ日に再び行ったほど、美味しかったです。
by alice (2012-02-19 12:26) 

Sardanapalus

カタルーニャ美術館、何の事前知識もなく訪れた時のことを懐かしく思い出しました。黒シャツ黒ズボンに赤いネームカードストラップ姿が展示品と異様にミスマッチだった係員のクールな制服も印象に残っています(笑)

6月というのに30度を超える暑さに参っていたので、クーラーの効いた館内でロマネスクの充実したコレクションをじっくりと堪能したものです。教会の壁画を剥がしてそのまま展示している様には「こんなのあり!?」とびっくりしましたが、快適な環境の中、遠方まで足を運ばずとも素晴らしい作品を隅々まで鑑賞できるのはありがたいですね。
by Sardanapalus (2012-02-20 23:42) 

Bowles

>木彫の群像タイプのものはカタルーニャの特徴的なものなのでしょうか?

いえいえ他にもあります。aliceさんが今回もいらっしゃったルーヴルのイタリア・ロマネスク彫刻の部屋、入り口右手のガラスの中にも、結構彩色の残ったウンブリアもしくはラツィオの群像が展示されています。キリストだけが残ったものもありますね。
by Bowles (2012-02-21 10:58) 

alice

Sardanapalusさま、>遠方まで足を運ばずとも素晴らしい作品を隅々まで鑑賞できるのはありがたいですね。

特にボイ谷のほうは個人が車無しで行くことは難しいところですから。。。私もこの辺りを目指して頑張ろうと思いましたが、バスの便もなく連泊も必要なので諦めました。

ロンドンからお帰りですか?ウィーンに続いてキャンセルだったそうですが。。。お互いについてませんでしたね。

by alice (2012-02-22 00:39) 

alice

bowlesさま、ご教示ありがとうございました。

今回のルーブルはフランスの部屋だけの見学で、イタリアのほうは入らなかったので、すっかり忘却の彼方です。2、3年前のことなのに・・・・。ブログに書いたものについては忘れないのです、そのための旅行記かな~(笑)

このことからもカタルーニャがイタリアから受けた影響は大きかったと確認できますね。Vicの美術館にも同じタイプのものがありました。
by alice (2012-02-22 01:00) 

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