SSブログ

2012年夏の旅(3)ザルツブルグ [2012夏ザルツブルクとフランス、スペインを巡る]

8/25(土)ザルツブルグ滞在  

 今日は11時からのウィーンフィルのコンサートと夕方7時半からの「カルメン」というザルツブルグ音楽祭ならではの豪華な組み合わせ。朝から期待で胸いっぱいというか、やや緊張気味でもありました。昨夜の残りの朝ごはんをいただいて、コンサートまで部屋でくつろぎました。このアパートは4泊の間、部屋の掃除は入らず、タオルは4泊分あらかじめ置いてありました。1週間借りるとお掃除とタオル交換が1回あるようです。 特別綺麗好きでもない私(汗)掃除機もありませんから、キッチンの床を拭くくらいで済ませました。お掃除の人が入らないので 、散らかして外出しても平気…気楽でした。

 ここでたまにお洒落の話をいたしましょう。友人に何を着て行ったのか聞かれることが多いので・・・。 コンサートは洋服、オペラは和服とわけてスーツケースに詰めてきました。オペラ2夜のための和服は毎年同じもの。淡い藤色の絽の附下と白地の秋草刺繍の夏の袋帯です。和服の方は以前に比べると見かけることが稀になりました。寂しいです。 札幌でもコンサートや友人との食事などにも気軽に和服をきてでかけますので、いわゆるドレッシーな洋服がありません。かといって旅先で半襟を付け替えたり、肌襦袢などを洗ったり、アイロンもないですし・・・無理ですから、昨年同様2回のオペラのためだけ和服にしました。 今回コンサートはバルセロナも含めて8回ですから、そのためにはワンピース1とツーピース1、上に羽織る黒の麻のややドレッシーなジャケット、オレンジ色のボレロ風のもの、紺のラメ入りのややドレッシーなカーディガン、ストールなどで何とかやりくり・・・しました。

♪ Salzburger Festspiele ②@ Großes Festspielhaus11:00~  95€

Wiener Philharmoniker5/Bernard Haitink

LUDWIG V. BEETHOVEN • Konzert für Klavier und Orchester Nr. 4 G-Dur op. 58(Klavier, Murray Perahia)

ANTON BRUCKNER • Symphonie Nr. 9 d-Moll

 ベートーヴェンのピアノ協奏曲とブルックナー9番の組み合わせのコンサート。席は昨夜の平土間の一番後ろの席の背後にあるボックス席の2列目でした。隣席の方のアドバイスでボックス内にあったクッションを敷いてより舞台のオーケストラが見えるようにということだったのですが、安定感に欠けて腰が痛くなってきて困りました。そういう悪条件があったのにもかかわらず、昨夜に続いて素晴らしい演奏に聴きほれました。ぺライアは初めて生演奏を聴いたのですが、深い解釈、安定感、集中度とそれは見事なベートーヴェンで、特に第三楽章のカデンツアは技巧の冴えをさえ感じさせない滑らかで自由な調べに胸がきゅん。歳とともに涙もろくなりました。。。

休憩のとき、名古屋から2週間ザルツブルグに滞在しているという50代くらいの女性とお話ししました。初めてのザルツだそうですが、毎日のようにチケットが取れたらコンサートやオペラにきて、日本では考えられないほどの高水準の音楽に圧倒されっぱなしなの~と感激の面持ちでした。その初々しさは私には眩しくも、嬉しい気持ち~☆

後半のブルックナーも本気の(失礼!)ウィーンフィルの実力発揮といった感じで、第2ヴァイオリンの若い男性の真摯ななかに音楽を奏する喜びがあふれた姿(補記/クリストフ・コンツ)。ハイティンクに対する尊敬のまなざしも微笑ましく、これからのウィーンフィルを背負って立つ予感がしました。ブルックナーの9番は乏しい生演奏体験ですが、エジンバラや東京で聴きました。まるで違う曲のような・・・。溌剌と嵐のようなパワフルな音と嵐の後のような静かな調べ。構成の明確さが印象的。未完成の第四楽章は演奏されませんでした。

DSCF8565.JPG

DSCF8567.JPG

↓ 祝祭大劇場の前/休憩のとき撮影

DSCF8566.JPG

 終演は1時半ごろだったでしょうか、ランチは帰り道にお魚マークの店の奥でいただきました。

DSCF8570.JPG

部屋に戻り仮眠の後は和服を着ていざ!今回のハイライトのカルメンへ。着物は自分で着れるというと着慣れたように思うかもですが、簡単に着られるように帯はカットしたり、作り帯にしたり工夫しています。ですから30分もあれば出来上がり~☆

ザルツブルグは毎度のことですが、昼間は夏の良い天気でも夕方から夜にかけて雨の降ることが多く肌寒くなりますので、傘や上着、ストールなどは必ず持参しなければなりません。

♪ Salzburger Festspiele ③

Georges Bizet『Carmen』@Großes Festspielhaus 19:30~   400€

LEADING TEAM

Sir Simon Rattle, Musikalische Leitung
Aletta Collins, Regie und Choreografie
Miriam Buether, Bühne
Gabrielle Dalton, Kostüme
Peter Blaha, Dramaturgie
Andreas Fuchs, Licht
Ernst Raffelsberger, Choreinstudierung
Wolfgang Götz, Einstudierung Kinderchor

BESETZUNG

Magdalena Kožená, Carmen, Zigeunerin
Jonas Kaufmann, Don José, Brigadier
Kostas Smoriginas, Escamillo, Stierkämpfer
Genia Kühmeier, Micaëla, Bauernmädchen
Christian van Horn, Zuniga, Leutnant
Andrè Schuen, Moralès, Sergeant
Christina Landshamer, Frasquita, Zigeunerin
Rachel Frenkel, Mercédès, Zigeunerin
Simone Del Savio, Le Dancaïre, Schmuggler
 

 チケットはファーストカテゴリー、席はParterreと呼ばれる平土間の最前列の左寄りでした。

オーケストラボックスの手前に張り出しの舞台が作られた関係で、足元に余裕がない窮屈な席でした。おまけに歌手やダンサーたちがすごい勢いでダンスしたり、駆け回るので、埃がまともに受ける形。でも至近距離でカウフマンやコジェナーの歌や演技を聴いて観られて、大興奮(笑)この舞台はザルツが初めてではないのが、映像はちらりとしか見てませんが新鮮味に欠けたようです。ザルツをプルミエにしてほかに回すのが、チケットも高額ですし納得できるというものですが。。。この顔ぶれですから、チケット争奪戦に勝っただけでも良かったと思うことにしました。

ラトルのパワフルで、色彩感のある素晴らしい指揮で、めくるめくような愛と死のドラマが進行します。細かいことはすでに記憶が薄れていますが、タッタラッタラーと軍隊マーチで登場する子供たちは隙あらば盗みを働く悪がき(それだけ貧しい環境にあるということ)、煙草工場で働く女工さんたちもあばずれ風…この人たちのダンスがエネルギシュ!コジェナーのカルメンはスペインのジプシー女にはビジュアル的には到底遠いのですが、北ヨーロッパの若妻風というのも、考えようによってはより現代的普遍性があり、彼女のパフォーマンスも文句のつけようもありません。3幕のカード占いの場面は何度やっても死、死。死と激しくも暗い目のコジェナーはトランプを勢いよく振り払います。そのトランプが最前列の席に散らばって落ちるほどでした。逃れようのない運命の悲惨さ・・・もろもろの感情がこちらにも圧倒的な力で迫ってきました。

ドン・ホセのカウフマンはこれ以上のドン・ホセは考えられないくらいのスーパーな出来でした。今まで観たり聴いたりしてきたドン・ホセは彼方に行っちゃって、カウフマンだけが燦然と輝くのでした。この役になりきっての細かい演技は、目の配り方ひとつとってもドン・ホセの心情を表すので、マザコンのホセとかストーカーのホセとか軽々しくいえないのです。愛を失う苦しさ重さが表現されて、秀逸でした。

キューマイヤーのミカエラももちろん文句のつけようもなく、他のキャストもコーラスも今夜が最終公演とあって力いっぱいのパフォーマンス。感動しました。

↓その後の絶賛のブラビーにこたえるカーテンコール。

DSCF8577.JPG

DSCF8575.JPG

DSCF8572.JPG

DSCF8573.JPG

DSCF8578.JPG

帰りは何人かの日本人のカウフマン・ファンとご一緒に、出待ちしましたが、雨も降ってきたのであきらめて先に失礼しました。

↓ そのとき「ボエーム」の子役をつとめたという可愛らしい少年たちとツーショット。ボエームは観ていませんが、かなり重要な役どころだったとか。。。

DSCF8580.JPG

こうして充実の一日が終わり、快い疲労のうちに熟睡。


nice!(0)  コメント(4) 
共通テーマ:旅行

nice! 0

コメント 4

Ken GODA

一日に2度も、、こんな素晴らしい舞台に接しておられたのですね。ハイティンクのブル9は今年のPROMSで聴きました。本当に凄い指揮者であること、再認識です。コジェナーとラトル共演の機会が増えてきましたね。まだ夫婦やっていると思うのですが、素晴らしいことです。カルメンの姿はなかなか想像しがたい(^^ですが、彼女が取り上げる演目の変化が出てきているように思いました。カウフマンやガランチャのカルメンは録画をもっていますが、何度見ても素晴らしいです。
by Ken GODA (2012-09-24 08:08) 

レイネ

淡い藤色で統一感を持たせた着物、帯、帯締めのコーディネート、とっても素敵です!涼しげかつ気品漂い、ザルツブルク音楽祭の格にぴったり。しかも、絽の付け下げは、猛暑の日本ではなかなか着る機会に恵まれないから、夏のヨーロッパ・オペラ遠征にお誂え向けですね。(涼しい北海道ならお召しになれる?)会場の雰囲気にもばっちりハマったことでしょう。
わたしも今まで袖を通す機会がなかった絽の小紋を8月のウィーン遠征に持っていったのですが、スーツケースが当日届かず、着るチャンスを逃しました。悔しいので、9月のストックホルム遠征で着ちゃいました。涼しすぎて絽には不向きで、萩の花の模様は季節先取りになってないのですが、きらびやかな歌劇場のインテリアには白黒の着物がバッチリ合ってたと自画自薦。。。

コジェナーのカルメンは実演を観てないのですが、なんだか異色というか、彼女本来の持ち味とはちょっとズレていそうなんですが。。。でも、この演出には合ってそうですね。フォン・オッターもカルメンのイメージは想像しにくいのですが、意外にもぴったりだったし。いつか、マレーナ様のカルメンなんて実現しないかしら。
by レイネ (2012-09-24 19:23) 

alice

Ken GODAさま、この翌日聴いたベルリン・フィルもそうですが、この時期は同じ曲目であちこち遠征するのですね。知らずに行ったらあらまた!ということになりかねませんが・・・ハイティンクのブル9はもう一度聴きたいです。
コジェナーとラトルまだ別れていないと思います。昨秋はベルリンで仲良く観劇してましたし。。。二人共演の次回のオペラは決まってるのでしょうか?
by alice (2012-09-24 21:38) 

alice

レイネさま、ありがとうございます。夏のよそいき着物はもう一枚小紋(紫紺に萩)持っているのですが、やはり全体に柄だと似合わなくなってきて・・・。夏の着物は着ている人以外は涼しげに見えるようなのが救いですね。

ストックホルム、行かれたのですね~。劇場がきらびやかだとシンプルな色や柄の着物のほうが映えると私も思います。すでにブログにアップされてますか?これから拝見するのが楽しみです。

コジェナーのカルメンはどうかしら?と事前には思っていたのですが、生で観ると違和感は全然ないとは言えませんが、違う面の良さもあり、なにしろ美人ですから・・・現場でもかなり好評だったようですよ。オッターのカルメンも良かったですよね。歌の実力のある方はやりとげます(きっぱり)マレーナさまも、満を持して必ず挑戦すると期待しましょう~☆
by alice (2012-09-24 21:55) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。