2012年夏の旅(19-1)ヴェルネ・レ・バン~プラド [2012夏ザルツブルクとフランス、スペインを巡る]
9/10(月) Vernet les Bains8:25(バス)→Prades8:50/12:40→Perpignan13:45/14:00→Le Boulou14:25/16:15→Perpignan16:50/17:10→Prades18:00
Prades/Maison Prades 1 泊(90€ 2食付)Chambres d'hotes
昨日は念願のサン・マルタン・デュ・カニグー訪問を果たし、安堵しました。長い旅なのであまりきっちり予備知識を仕入れると出かける前に疲れてしまいます。。。というのはずぼらな私の言い訳でもありますが、現地に来なければ掴めないこともあり、また偶然にうまくいった時の喜びも捨てがたいものです。
↓ 朝食は質素系ですが、何の不満もありません。宿代は安く、なんたって無事にカニグーに行けたのですから~にこにこ。
↓ レストランから見た宿泊棟
↓ バス停の途中まで道案内をしてくれたホテルのおじさんありがとう~プラドに向かいました。
↓途中の風景。 霧が晴れて、今日も天気だわ!とルンルン気分でしたが・・・
今夜の宿は初めてのシャンブル・ドットです。プラドを拠点に1€均一のバスで行ったり来たりするので、バスターミナルに一番近い宿を探して見つけたところです。Google Earthで場所はチェック済みでしたので、確認書は忘れても迷わず行けたのですが、小さな看板に玄関は普通のドアに個人の名前ですからドキドキしました。呼び鈴を押すと愛想の良い中年の男性が現われ、一安心。荷物を預け、サン・ミッシェル・ド・キュサ修道院まで行くと言いますと、歩いて?!とびっくりして、詳しい道を知らないけどと、外の標識を教えてくれたのです。
↓ 電柱のこの赤白の印を辿っていくと良いから…結局それを信じて回り道してしまいました。
↓ 印を辿ると丘の上の住宅地にきてしまいました???以前ド・キュサに行った方のブログで、景色の良い回り道を辿ったことを読んでいたのですが、それはどうやら私には無理そうです。
それに付近を犬の散歩に歩いている人に修道院はどこ?と訊くのですが、答えははっきりしなくて、遠いよ~とだけ。そこへ助けの神様の黄色の郵便配達の車が停まっているのが目に入りました。親切な方で紙に地図を書いてくれて、下の大きな道に戻ったほうが分かりやすくて近道だからとのこと。
↓ その下の道に降りる階段。途中から砂利道になります。雨が降ったら滑りそう。。。
↓ なんとか大きな道に出ましたが、ここから歩くこと30分
↓ ド・キュサの鐘塔が彼方に見えた時の嬉しかったこと!
↓ でもそう簡単には到達できませんのです。。。
↓ ようやく案内板
↓あれ~まだだわ。修道院の塀をぐるりと回ります。
急ではありませんが来る道は全体に上り道なので、気温も上がってきてヘトヘト大汗でした。
☆サン・ミッシェル・ド・キュサ修道院 ABBEY Saint Michel de Cuixa
カタルーニャのプレロマネスク建築。リポールで辣腕をふるった高僧オリバはここド・キュサの大修道院長も兼ね、カタルーニャ最大のモサラベ様式の聖堂を改修しました。最も古い部分は10世紀後半の身廊、翼廊と内陣。次がオリバによる11世紀前半改築の翼廊と後陣、そしてナルテックスと鐘塔を増築。12世紀前半は回廊とトリビューンが新設され、現在みられるロマネスク様式の修道院になりました。ただ、回廊はフランス革命で荒廃し、柱頭は散逸。20世紀初頭アメリカ人の彫刻家によって買い集められた柱頭は現在NYのマンハッタン島の北のザ・クロイスターズに展示されています。残されている回廊を巡りながら、3度も訪れたザ・クロイスターズの薔薇色の大理石で刻まれた柱頭を目に浮かべ、ここにあったらどんなに素晴らしかっただろうかと想像してしまうのでした。
↓ 入口で入場料を払い奥へ進みます。クリプトまでのアプローチが一気に中世の気分へ誘います。
↓ 馬蹄型アーチからクリプトに入りますと、中央にとてつもなく太い1本の柱が建っています。まるで地中から根が生えた棕櫚の大木、枝を広げつつ石の天井と同化して・・・それに宿るような生命力と神秘さに圧倒されました。
↓ナルテックスの下に当たるクリプトは「まぐさ桶の聖母の礼拝堂」とも言われて、小さな祭壇が設けられています。
↓ 回廊からの光の差し込む空間は、オリバによって増築されたチャペルに続くナルテックス。小さな女の子にとってもアメージング体験でしょうか。
↓ 回廊/コンフェラン産の薔薇色の大理石で統一された彫刻、柱、アーケードが並んでいます。教会の北側に続く屋根のあるギャラリー。
↓ 回廊の西側はわずかしか残っていません。全体でも63のうち半分しか残っていないそうです。
↓ 回廊西側から鐘塔と教会が見えます。
↓ 東のギャラリー。パワフルで見事な柱頭彫刻群。基礎部分も同じコンフェラン・マーブルです。
↓ 柱頭彫刻のテーマはモンスター、動物や図案化されたオリエンタルな植物などシンボリックなものが多いのが特徴。
↓ 生命力の溢れた獅子、今にも唸って飛び出しそう~迫力満点。
↓ 一巡した後は教会へ。オリジナルの場所から移されたらしい北扉口。
↓ アーチの右にセラフィンと福音書記者ルカのシンボル
↓ 扉口左右に置かれた大理石のモニュメント。
↓ 教会は三廊式のバジリカのプラン。木造小屋組みの天井は近年になって改修されたもの。身廊のアーケードは厚い壁を直に彫りこんだような素朴な角柱を持つ、プレ・ロマネスク様式。
↓ 北側廊から内陣方向を観ると教会の一番古い部分がより鮮明に現れます。奥の小後陣入口にに馬蹄型アーチ。イベリア半島からピレネーを超えて伝来したモサラベ建築の一端が伺えます。
↓ 南鐘塔
↓ 教会西正面扉口
ド・キュサにたどり着くまでは迷って1時間もかかりましたが、帰り道は緩やかな下り道なので30分ほどでプラドの町中のバス停に着きました。20分ほど待ち時間があり、ランチ代わりのお菓子などベンチに座って食べて、5分遅れのバスでペルピニャンへ向かいました。カニグーが今日にずれると無理かもと懸念していたフノラールのサン・マルタン教会が明日休みなので、今日の午後しかチャンスがなかったのです。ペルピニャンでル・ブルー行きのバスに乗り換えましたが、ここも5分遅れ。。。イタリアと違って早く来ることは決してありません(笑)ので安心です。
↓ 1€均一料金で乗れるスグレモノのバスのタイムテーブル。大層お世話になりました。
続きます~
1時間も歩かれて、お疲れ様です。でも、こんなに素敵なご褒美が待っていると思うと、歩く甲斐もあるし、達成感に包まれそうですね~。
やっぱりこのあたり、どうしても行きたくなってきました。今、実は来年のイースターの計画を考えているところなんですが(早いですけれど、実はこの暮れで、わずか貯めたマイレージが期限切れになってしまうんで、アワアワしているんです)、トルコとか、セルビアとか、ギリシャとか考えつつ、やっぱりこのあたり、行きたいなぁ、と。
うーん。
by corsa (2012-11-02 06:29)
ここもいいですねえ。クリプタもいい。回廊がこう言う状態、というのもこれまで一般の紹介ではみたことがなかったので、感激してみています。 セラフィム(ですよね)顔が素朴で可愛い。それにしても健脚でいらっしゃるのですね。ロマネスクを見るのって体力勝負というところがありますね。corsa様、今カルチャーでビザンチン美術の講座を受けていて、昨日はストゥデニツア修道院でした。セルビア・マケドニアも行きたい。イタリア住まいだと、どこも近くていいですね。
ごめんなさい。 おしゃべりして、 次回はセラボンヌでしょうか。 楽しみに待っています。
by yk (2012-11-02 07:11)
corsaさま、私も毎年同じこと考えるのですが・・・>トルコとか、セルビアとか、ギリシャとか考えつつ、
いざとなるとやっぱりロマネスクへ気持ちが傾いてしまうのです。時間も費用も限られていますから・・・。
ルッションは現地で「ふたつのカタルーニャ」という表示も見かけましたが、歴史的にも地理的にも共有、プレロマネスクの影響など重なることも多く、その点でもカタルーニャを巡った後のルート選択で良かったなと思っています。
ドライブはカニグーの山の麓ぎりぎりまで駐車場もありますので、そこから山登りになりますが、近隣には美しい村や景色も多く楽しめると思います。1€のバスも有難かったのですが、細かく回るのは車が一番です~。
by alice (2012-11-02 13:12)
ykさま、健脚ではないのですが、こういう場面に遭遇すると、どこからか力が湧いてくるのです。自分でも不思議、家人もまさかぁ~信じられないと言って驚くくらい(笑)。
ビザンチン美術の講座良いですね~。興味はあるのですが、なかなか頭に入っていかないので札幌でもあるとよいのですが・・・。直に観られるギリシアやトルコ方面の旅に出てみようかと思っていますが、いつになるやら。。。
次回はフノラールとル・ブルーで、その次がセラボンヌです。
おしゃべりも大歓迎です~☆
by alice (2012-11-02 13:31)
車だと効率よく周れるのは確かでしょうが、私のように、坂道発進に難のあるばる場合、効率いいかどうかが…。でも、いくとしたら、やはり車になるでしょうね。どきどきしながら…。
Ykさん、ビザンチン、そうですか。ストゥデニツァですか。ちょっと気になって調べているのですが、セルビアは、情報が少ないですね!実は、友人からもらった紙ベースの資料から始まった好奇心なんですが、今日本屋に立ち寄ったものの、ガイドブックもほとんどない状態でした。
Aliceさんがおっしゃるように、あれもこれも、とやるには、時間もお金も足りないというのが現実なのですが、ビザンチン、特に時代の遡ったものは、確実に好きなので、やっぱり、ギリシャかセルビアかなぁ、とか思ったり。
イタリアに住んでいる分、近いのは確かなのですが、お休みやコストを考えると、意外と制約もあるんですよ~。
by corsa (2012-11-03 06:50)
corsaさま、イタリアは坂道や狭い道を走る場合が多いようなので、ルションのあの辺りは軽いと思っていました。お住まいのミラノ付近は平野ですものね。
丘の上の小さな村は遠目でも素敵でした。TAXIの運転手さんにも勧められたのですが・・・ロマネスク巡りだけで、時間も予算も余裕がなく、心残りでした。
ストゥデニツァ修道院のHPがありました。行ってみたいですね~。
http://manastirstudenica.org.rs/
by alice (2012-11-03 20:31)
alice様、 corsa様
この講座では 単にここにこんな壁画がありますよ、ではなく 図像プランについて説明されます。 ビザンティン特有? のモチーフなどもあって面白いです。ロマネスク (建物そのものはロマネスクとビザンティンが合体したみたいで、 ロンバルディア帯などもつkられています) というより、 初期ルネサンスは ここから学んだのでは? なんて勝手におもっていますが、 どうでしょうか。
spazio という web誌があります。 年一回で12月には出るはず。きっと 益田・浅野両先生の セルビア・コソボ旅行記が載るのではないか、と思うので時折 チェックなさってはいかがでしょうか。
http://www.nttdata-getronics.co.jp/profile/spazio/spazio70/index.html
70号は アルバニア旅行記です。
ビザンティン美術の参考書といえば益田先生のものでしょう。 いくつかありますが、 最近の 『ビザンティンの聖堂美術』、が 壁画のプランについて、です。キプロスとマケドニアの聖堂についてですが、 ストゥデツアの写真も少し出ています。(もうお持ちかもしれませんが)
by yk (2012-11-04 14:58)
ykさま、spazioのご紹介ありがとうございます。どこかで聞いた名前と思いましたら、須賀敦子さんが生前エッセーを書いていたという企業誌でしたね。復刊していたとは知りませんでした。電子版でない古いのも読んでみたいです。
益田先生の本は1冊だけ「初期キリスト教美術・ビザンティン美術」 (岩波 世界の美術)です。まだまだ知らないことが多くて焦ります~。
by alice (2012-11-04 21:56)