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私の本棚 PIERO della FRANCESCA   [美術]

ピエロ・デッラ・フランチェスカ

HPで特別編としてピエロ(以下略)の名画を巡る旅を作成しましたが、参考にした図書についてはページ数が限られ加えることができませんでした。ここでは備忘録をかねてアップしてみます。

  1. アンリ・フォション著  原 章二訳 白水社

日本語のピエロの本はこれ一冊しか持っていません。1997年の出版、2000年に購入

表紙はモンテルキの「出産の聖母」スキャナーの精度が悪いこともありますが、実物に較べると色彩がくすんでいます。墓地礼拝堂に描かれていた修復前のものと思われます。帯のキャッチ・コピーには「見る者を深い静けさで包み込む{聖十字架伝説}を頂点とする傑作の数々を残したイタリア・ルネッサンスの異才の魅力を語りつくした評伝」と書かれています。訳者まえがきによると原著が出版されたのは1952年、それ以降ピエロの研究は相次ぎました。それら近年の諸研究も参照して編纂されています。この本のなかで興味深いのは「ピエロとフーケ」の項。イタリアとフランスとまったく違った環境で育ち、画家として成長したふたりの意外な共通性に触れられています。

2. MAURIZIO CALVESI 著  RIZZOLI(New York) 英語

ピエロの画集を探してネット検索。ニューヨークの美術専門書店を見つけ取り寄せました。船便で3ヶ月もかかりましたが、送料は2~3000円(ほかの本2冊も含め)くらいだったと記憶しています。まだインターネットショッピングに慣れない頃で到着まで気を揉みました。この後、アマゾンのほうが定価より値引きして安く売っているのに気がつきました。(泣)

とっても重い画集です。表紙もスキャナーにも入りきらないので一部分です。腰痛の身には辛いですが、拡大写真が実物を観るより良く見えるのが凄いです。例:ウルビーノの「キリストの鞭打ち」の左奥の柱に描かれた小さな黄金の像などは筆の運びまで確認できます。

表紙はアレッツオの「聖十字架伝説」ソロモンとシバの女王の会見 

全作品のリストがついていますが、そのなかで弟子の手が入っているので諸説のあるピエロ晩年の「サンタントニオ祭壇画」には当然ながら複数の研究者の名前・・・そのなかで最もピエロの再評価に功労があったと言われるのがロベルト・ロンギでしょう。というわけでロンギの著作(日本語)を探したものの手にできたのは「イタリア絵画史」(友人に貸し出し中なるも現在行方不明)というロンギの講義録のみでした。

3. Roberto Longhi著  Stanley Moss訳  Sheep Meadow Book (英語)

アマゾンの検索で<ピエロとロンギ>でヒットし、日本語ではなかったのですが購入しました。

表紙はブレラの「モンテフェルトロの祭壇画」

HPのピエロのページに絵葉書をアップしていますが、マドリードの小品「モンテフェルトロの息子グイドバルド」のことが、ロンギの評論のなかにあるかも知れないと思ったのですが、今のところ見つけることはできません。イタリア語から英語に翻訳されていますから、それほど難解な英文ではないのですが、美術用語?らしき単語にも阻まれてなかなか進めません。辞書を引くのが億劫・・・。

4. Marilyn  Aronberg  Lavin 著  PHAIDON   (英語)

2004年の夏、イタリアのセニガッリアで開催された特別展にピエロの「セニガッリアの聖母子」が里帰りしているのを知りアンコーナから列車で訪れました。その会場のブックショップで購入しました。幸いB5版で厚さも2cmほど、難なく持ち歩くことができました。

表紙はロンドン・ナショナルギャラリーの「大天使ミカエル」

この本を購入したのは↓の合成写真が気に入ったからです。以前、サンセポルクロの市立美術館で見たMatteo di Giovanniの両翼とプレデッラのゴシックの祭壇画、中央が空いたままで不思議に思って説明を見たら、今はロンドンにある「キリストの洗礼」があったのです。あの時は両画家の画風が違いすぎて元の祭壇画をイメージできなかったのです。

中央のピエロの絵画だけくりぬいて持っていった人の審美眼は認めますが、割り切れない気がします。山間の静かな町ピエロの故郷サンセポルクロ、緑あふれる背景もこの町の周辺を描いたのでしょう。

この本はピエロの作品ばかりでなく、参考の図版も多数掲載されています。アレッツオのサンタ・マリア・デッレ・ピエーヴェ教会の「慈悲の聖母」からダリの「ポルト・リガトの聖母」まで、なかなか面白く眺めています。

追記:ピエロの追いかけも2009年で全作品を観ることができ、終了することになりました。締めくくりに上記の本に加えて、最近出たロンギの邦訳などをホームページのピエロNO.5にアップしました。

http://homepage3.nifty.com/teruterubouzu-travel/piero5.html

 

 

 


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