2012年の旅 計画 [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
今年も残り少なくなりました。来年も今年と同じような観たいもの、聴きたいものを追求する我ままな旅を計画しています。オペラやコンサートのチケット手配を先に済ませてから、海外遠征のついでに回りたいロマネスク教会をピックアップするというのが、私の旅のパターンになっています。
(1) 冬の旅・・・ヨーロッパ(1/15~2/5) 寒い時期なので、比較的暖かいかしら?とオペラ3都市の後はスペインを選びました。欲張ってかなり内陸のほうまで足を延ばすことになりました。雪景色のロマネスクも良いかも・・・。
1/15(日) 札幌15:20→台北18:55/23:50→(エバー航空)
1/16(月) パリ6:40....Pavillon Saint-Louis Bastille3泊
- ルーブル美術館&♪グリゴーロ(T)のコンサート
1/17(火) パリ(モンパルナス)9:55→ル・マン10:49/15:20→パリ16:15(TGV)
- ル・マン↓&♪コヴァチェヴィッチ(P)のコンサート
1/18(水) パリ(オーストリッツ)10:02→エタンプ10:58/14:00→パリ14:59(PER)
- エタンプ↓&♪オペラ『マノン』N・デセ↓
1/19(木) パリ12:35→ウィーン14:35(AF) Best Western Premier Schlosshotel 2泊
- ♪ダムラウ(S)のリサイタル
1/20(金) ウィーン滞在
- アールヌーボー建築巡り&オペラ『仮面舞踏会』キーンリーサイド↓
1/21(土) ウィーン10:45→ベルリン12:00(Air Berlin) Comfort Hotels un der Oper 2泊
- ♪オラトリオ『時と真理の勝利』ミンコウスキ↓
1/22(日) ベルリン滞在
- ダーレム博物館↓&♪バッロック・コンサート
1/23(月) ベルリン10:45→パルマ・デ・マヨルカ13:25/15:00→バルセロナ15:50(Air Berlin) Hotel Espanya 2泊
1/24(火) バルセロナ(カタルーニャ広場(R4)9:33→テラサ10:16/13:16→バルセロナ(サントス)14:03
- テラサ&カタルーニャ美術館(19:00まで)
1/25(水) バルセロナ13:20→ビルバオ14:30(IB) Melia Bilbao 1泊
- グッケンハイム美術館(20:00まで)
1/26(木) ビルバオ(BT)8:30→サンタンデール9:50/10:30→サンティラーナ・デル・マール11:10/15:45→トッレラベーガ15:55→(TAXI)カスタニェーダ16:20頃/17:48(BS)→サンタンデール18:35 Abba Santander
- サンティラーナ・デル・マール↓&カスタニェーダ
1/27(金) サンタンデール8:30→レイノーサ9:35/12:25→サンタンデール13:30(RF)/15:00→ビルバオ16:30(BT)
- ボルミール↓、セルバトス、レトルティッロ&オペラ『ルイザ・ミラー』
1/28(土) ビルバオ(BT)10:00(7:00)→パンプローナ12:00(9:20)....TAXIでエウナーテ~プエンテ・ラ・レーナ~エステーヤへ。エステーヤ17:20(BT)→ログローニョ18:20 Marques de Riscal 2泊
- エウナーテ↓、プエンテ・ラ・レーナ、エステーヤ
- パンプローナのナヴァッラ博物館↓
1/29(日) ログローニョ滞在....TAXIでサン・ミリアン・デ・ラ・コゴーリャへ。(トッレス・デル・リオ)
1/30(月) ログローニョ(BT)15:00→ソリア16:30 Parador de Turismo de Soria 2泊
- サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダ↓&ナヴァレーテ(午前中)
1/31(月) ソリア滞在
- サン・ジュアン・デ・ドウエロ↓、サント・ドミンゴ↓、コンカテドラル・デ・サン・ペドロ
2/1(水) ソリア12:00(BT)→サラゴサ14:15/14:52(AVE)→バルセロナ16:40 Espanya 2泊
- ♪オペラ『フィガロの結婚』
2/2(木) バルセロナ(カタルーニャ広場 R3)9:08→ヴィック10:27/14:29→バルセロナ15:44
- ヴィック司教美術館↓
2/3(金) バルセロナ15:35(IB)→パリ(ORY)...CDGへ移動。Sheraton Paris Airport 1泊
2/4(土) パリ11:20(エバー航空)→
2/5(日) 台北7:05/11:30→札幌16:05
日程/機内(1)~パリ(3)~ウィーン(2)~ベルリン(2)~バルセロナ(2)~ビルバオ(1)~サンタンデール(1)~パンプローナ(1)~エルシエゴ(2)~ソリア(2)~バルセロナ(2)~パリCDG(1)
20泊22日
↓MAP
2012年冬の旅(1) 札幌~台北~パリ [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/15(日) 千歳15:20→台北18:55/23:50→
数日前から零下10度まで下がる厳寒の日々。この朝もかなりのシバレでしたが、青空の広がる良い天気。「お母さんは晴れ女だからね~」と上機嫌で正午に家を出発。日曜日なので、千歳空港行きの快速は混んでいたのですが、300円の座席指定が空いていてラッキー。
昨年の3月から各ホームにエレベーターが設置され、スーツケースは空港まで送らなくても済むようになりました。特に千歳から国際便を使う場合は自力で運べるようになり便利です。
出発前夜に初めてオンライン・チェックインして、バーコードのついた搭乗券をプリントアウトして持参しました。でも、荷物預けの時にカウンターに行ったら、結局はいつも通りのチェックインになり。。。荷物は2個預け、機内で使う物と大事なi padと一眼レフのカメラだけ手提げ袋に入れ持参。
昼食がまだでしたので、搭乗前に頂いた食券1500円でラーメンなどいただいたあと、食堂隣りのラウンジでゆったりしようと行ってみましたが、食券を使うとラウンジはつかえないとのことでした。。。
初体験のエバー航空は漢字で長榮航空と書きます。札幌~台北便はANAとの共同便で、北海道の寒さ逃れの家族やグループなど観光客が多数。サンリオと提携してのキテイちゃんのデザイン満載(トイレットペーパーも!笑)。
飛行機も新しく、ビジネスクラスは2-2-2の配列で中距離ラインでも座席の寝心地は良好。食事はネットで予約できるシステムです。もちろん食事は中華を選択。ショーロンポウで有名な店と提携しているだけあって、美味(機内食としてはですが)。
↓ 前菜と骨付き鶏のスープ
↓ 噂のショーロンポー
台湾とは1時間の時差があり4時間半乗って、パリ便までの待ち合わせが5時間もあります。台北空港はショップやキティちゃんの遊び場も並んでいます。
ラウンジの円形カウンターにはスープ、おかゆ、焼売などが並んで、味も淡白系の中華台湾小皿料理。おなかいっぱいなのに、ついつい食べてしまいました。
パリ便のフライトもとても快適でした。座席もほぼ水平になり、大韓航空より寝易かったですし、食事も札幌~台北便と同様に事前予約しました。皿数は少ないけれど、これで充分でした。チーズ、デザートなどワゴンサービス。シャンパンはドンペリと豪華!です。
翌日朝の機内食は鶏スープ麺
ペアの乗客以外は2席独占で、トイレはビジネス専用前後3箇所使えて、余裕です。そのせいか、出発前にトイレが近くなって、また膀胱炎になったらと心配になり、泌尿器科に行ってクスリを用意したのも杞憂に終わりました。
映画も種類は多いのですが、食後はほとんど眠ってしまって観ないままに終わりました。最近画面が小さいとどうも疲れてしまって。。。
気流のため相当な揺れが続いて、FAのサービスが大変そうでしたが皆さん愛想よく、日本人客の少ないヨーロッパ便でも日本語を一生懸命話す様子がいじらしい。。。日系の洗練されたサービスとは違いますが、心がこもっている接客はかなり高得点です。昨年の大韓航空よりエバー航空のほうがお勧め。飛行機代もビジネスで数万円安いです。というわけで、冬の旅初日は初エバー航空体験記になりました。2年前秋にフランスのトゥールで出会った一人旅の方にエバーのビジネスを勧められて以来、ようやく乗れました!
2012年冬の旅(2) パリ [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/16(月) パリ6:40 Pavillon Saint-Louis Bastille 3泊
まだ夜中のように暗いCDGには定時に到着。早朝とはいえすでに市内までのハイウェイは交通混雑。ホテルに着いたのは8時頃でした。ちょうど顔馴染みになったフロントの方が出勤してきて、すぐ部屋を用意してくれて助かりました。
暖房もよくきいていてGOOD。シャワー、シャンプーを済ませてすっきりしてからルーブル美術館へ。
まずは今日が最終日のマケドニアのアレクサンダー大王展を見学(カメラ禁止)。
↓ ルーブル特集号の表紙を飾るマケドニアのライオン退治のモザイク「Mosaique de la Chasse au Lion」が入口に展示されていました。ペラのMaison du Dionysosから発掘 BC 4C
マケドニア王国の紀元前4世紀ごろの遺跡遺物はまだ発掘が続いていて、最近発見されたものも多く陳列されていました。黄金の装飾品、マスク、墓碑やヴィラの扉など多数。大王の生涯については伝説も混じって伝えられていますが、その大遠征の凄まじいまでの野望。。。でも魅かれますね。いつかギリシア北部まで行ってみたいものです。
数年前のアラブ世界研究所でのフェニキア展もそうでしたが、この展覧会も凄く混んでいて二重三重の人垣ができて、上野の人気展並みです。フランス人の古代好みはかなりなものと推察。辛抱強く鑑賞する体力もなく、フランス語の解説の読解力もなく。。。退散。
↓ アレクサンダー大王の彫像/大理石33×22.5×23 300年ころ 下エジプトで制作(絵葉書)
この後は、エジプトのコプト教美術のセクションへ行ってみたのですが、昨年に続いてまだ工事中?でクローズ。がっかりしながらも、お決まりのロマネスク彫刻の部屋へ。前回までは監視の係員は巡回員程度だったと思いましたが、今回は常駐の人が座っていました。
↓ 「ドラゴン退治のサン・ミッシェル」昨年訪れたNeversのNotre-Dameのタンパンを飾っていました。
↓「葡萄酒造りの場面」 現在は廃墟になっているブルゴーニュの Moutiers-Saint -Jeanの柱頭彫刻
↓イル・ド・フランスのCarrieres-Saint-denisのタンパン彫刻。一昨年の特別展で初めて観ました。その前は常設でなかったような。。。写真はガラスが反射してひどいです。
ランチはちょっと奮発して☆つきレストランL'ATELIER de Joël Robuchon へ。アラカルトの量の少ないお皿を注文。前菜は卵(エビ、黒トリュフ)、メインはイカのお皿、デザート、ピンクシャンパン、白ワイン、コーヒー。〆て110€の美食を愉しみましたが、皿数が少ない割に高価なので、お勧めできません。12時ころ入店しましたが、予約なしでもOKでした。その後30分くらいで満席になりました。地元客と観光客が半々くらい。洗練された笑顔のサービスは流石です。
写真は栗のデザートだけ。コの字カウンターなので皆に見られてるようで。。。こういう時期なので、ジャポネーゼが来ているとひそひそ聞こえたり。。。
帰りはすぐ近くのバス停からバスチーユ広場へのバスがあったので、これに乗って、サンポールで降車。最近読んだ『サラの鍵』がらみで、マレに記念館があることを知り、見学しようと予定していたのです。それなのに外出時に地図を忘れてしまって、適当に探したのですが。。。ギブアップ。正確な名前を覚えていなかったので、尋ねようもありません。
↓サンポール教会の裏側から
バスチーユ広場を横切って、宿に戻り仮眠。
夜はシャンゼリゼ劇場で「グリゴーロのコンサート」がありました。
ほぼ満席のシャンゼリゼ劇場。グリゴーロは映像ではなんどかみたことがあったのですが、実舞台は初めてでした。写真のとおりハンサムですし、、声もまっすぐ突き抜け良く響きます。調子も良いらしくて、映像ではなんかな~だったのですが、なかなかの出来栄えでした。実際のオペラの舞台ではより映える歌唱でしょう。ヴェルディ、ロッシーニは特に好みの端正な中に熱情が感じられるパフォーマンスにブラボー!喝采に気を良くしたのか、凄く嬉しそうな彼の飾らない素顔も好感度大でした。フランス語も流暢で何度か挨拶。初めはイタリアの客船事故の犠牲者への追悼の言葉(私はほとんど聞き取れませんでしたが)、ほかは旅芸人のように歌っていきたいとの言葉もあったそうです。なかなか泣かせる台詞じゃないですか。。。追っかけの歌手たちの家族優先のためのキャンセル続きにうんざりしていますから。。。決して責めてはいませんが、かなりの出費がふいになるのは正直辛いです。
グリゴーロはスマートで身体能力もかなりなもの、ダンスィングしながらフラメンコギターにあわせて歌う彼の背中の筋肉がよく動くこと!イタリア民謡もフレッシュ感あふれ、イタリアの青春そのもの!周りのマダム達も興奮気味で、これからフランス語のオペラも勉強して、パリで歌いたいというグリゴーロにバスチーユで待ってるわ~!との掛け声もかかり盛り上がりました。30分ほどアンコールが長引きましたが、満足して劇場を後にホテルに戻りました。
共演はソプラノのCarmen Giannattasio & Orchestre Lamoureux/指揮 Keri-Lynn Wilson & ギターDaniele Bonaviri
2012年冬の旅(3) パリ [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/17(火) パリ(モンパルナス)9:55→ル・マン10:49/15:20→パリ16:15(TGV) 往復40€
7時に目覚めてもまだ暗く寒いパリの朝。気温は9時で2度でした。メトロでモンパルナス駅へ。何度か利用したことがありますが、メトロからSNCFの駅まではこんなに長い通路だったかしら~。
TGVに乗換えてル・マンまで1時間で到着。帰りの時刻が変わるかもしれないので、キャンセル出来ない安いチケットは片道分だけを20ユーロで購入。
↓ ル・マンの駅
↓ 駅正面からトラムの走る大通り
数分緩やかな坂道を行きますと、ロータリーになった広場があり、戦没者の大きな記念碑(写真右側)の向こうにEglise Notre-Dame-de-la-Coutureが見えました。ここル・マンは第二次大戦のときのナチスの占領下にあったところで、ノルマンディー上陸作戦が成功して、連合軍に解放されるまでの激戦地であり、犠牲者も多かったことと思います。
カーレースで知られる華やかなイメージとは違った地味な街の風情。↓教会の正面の石畳に冬の木漏れ日。
ほとんどがゴシックに改装されたとは言え、オリジナルは10世紀というロマネスクの遺構も残り、その調和がなかなか良い雰囲気でした。後陣の周歩廊に沿った南側チャペルは13世紀増築のものですが、ステンドグラスが壁に反射してなかなか美しくうっとり。
↓ 下の2枚は北側15世紀以降のチャペル
↓ クリプトも見学。まだノエルの人形が飾ってありました。
↓ 教会はクリプトの上に1134年に建てられ、身廊は12世紀終わりから13世紀に完成しましたが、14世紀には大幅に改築されました。
↓ 袖廊
↓ オリジナル当時と思われる素朴な彫刻も
ここからさらに数百メートル大通りを進みますと、サン・ジュリアン大聖堂が見えてきました。駐車場と化している大きな広場に面して偉容を誇る姿。
その広場にレストランや花屋さんが並んでいます。店先に並ぶ水仙の鉢をうつしているとなかからマダムがでてきて,店のなかもうつしても良いわよといってくれました。お花も買わないのに、素敵な店内や椿の咲く裏庭まで撮らせていただきました。感謝です。
それから大聖堂の後陣脇の階段を登り、南側面へ。
ここで観るべき南扉口の彫刻は。。。あれ~!なんと洗浄のため?足場が組まれていて、がっくり。
それでも工事の人もいませんので、しつこくパイプの間から覗いてみたり。。。うろうろ。
↓ サン・ジュリアン大聖堂正面
↓ 北側面 芝生には菫の花
↓ 壁面の石積
うっかりしていました。内部は昼休みに入っていて閉まっていたのです。外観や周りの古い館の並ぶ界隈を眺めたり
旧市街を散策して、先ほどの広場に戻りランチ。賑わっている大きなレストランがあり、店先で牡蠣や蟹を扱う専門の係りの人が忙しく働いているのを見て、入店。珍しく一人用の海鮮盛り合わせがあり、オーダーしました。ノルマンディーに近いので、とても新鮮で美味しかった!
オマール海老、牡蠣、ツブ貝など。白ワイン、デザート、コーヒーで45ユーロ。予定の列車の時間があり、ランチにかなり時間もかかったので、大聖堂のなかの見学はパスして駅へ戻りました。
↓ 駅までのトラムの走る大通り
↓ 途中の広場に建つ銅像はLEON-BOLLEE(1870~1943) 「Voiturette」と呼ばれる最初の自動車を開発し、ル・マンで会社を設立した人だそうです。
パリのモンパルナス駅前からはあの長い通路を歩くのが億劫になって、駅前から91番のバスでバスチーユ広場まで。でも、時間は倍かかって、かえって疲れてしまいました。
そして、歩いた距離はさほどでもない日なのに、腰痛が。。。疲労感もかなりあり、今夜のサル・プレイルでのピアノリサイタルは諦めて、手持ちのもので軽く夕食を済ませ就寝。
2012年冬の旅(4) パリ [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/18(水) パリ(オーストリッツ)9:49→エタンㇷ゚10:30/12:20頃→パリ13:00頃(本数多い)往復16.2€
今日は朝から冷たい雨が時々降るうえ、風もある悪天候の一日でした。それでも、昨夜の養生が効いて腰痛も和らぎましたので、元気に出発。オーストリッツ駅から近郊線のRER線でエタンプへ(C線のSaint-Martin D'Etamps行き)。しばらくはやや荒廃した工場地帯と庶民的な住宅の並ぶ郊外の風景。そして緑の林に続いて旧い町並みが現われ、遠くに教会の塔も見えてエタンプに着きました。
↓ エタンプの駅の背後に古い城跡が見えます。古い歴史のある町です。
駅から徒歩圏内の2教会を見学しました。駅から通り1本隔てて建っているSt-Basiles教会は喪服の人たちが出入りしてお葬式の準備をしていました。
邪魔にならないように↓ ロマネスクのファサード近くに行きましたが、網で保護されていて良く見えません。木の扉はロマネスクの唐草文様の鉄細工。
↓ 鐘塔は13世紀のもの
↓ 教会の裏側に古い館が建っています。16世紀のアンリ2世がこの地を統治していたころの建築だそうで、現在は図書館になっています。
次の↓ Notre-Dame du Fort教会がエタンプでの見どころです。
へ。
ここの扉口は駅からの道の突き当り(上の写真西ファサード)は閉鎖されています。初めは南側にも扉口があるのがわからなくて焦りました。結局、ぐるりとひと回りして重要なほうの扉口をやっと発見!
↓ 西ファサードのタンパン
↓ 南扉口
フランス革命のとき顔を全て削り取られてしまいました。それが本当に惜しまれます。衣装の見事な彫りから推察するに一級品のロマネスク彫刻です。薄いブルーの色も残っています。ロマネスクでも後期の作でしょうか、同じイル・ド・フランスのシャルトルの影響が伺えます。
↓ タンパン 天使を伴う栄光のキリスト。足もとに12使徒と聖母。ヴシュールには黙示録の長老たちの姿。一方では予言を象徴するという。数えたら36人もいますが・・・。
↓ ヴシュールの外側左右に天使の優美かつ力量あふれる姿
↓柱頭のフリーズのテーマはキリストの生涯やアダムとイブなど
内部は後陣がやや変形の教会堂。天井も高く広い空間にロマネスク期の柱頭がいくつか残っています。
↓ クリプトもゴシック期に彩色されてはいますが、密教的ともいえるな空間。
クリプトを上がって行くと、ここの管理人さんが近寄ってきて、電気を付けて見たの?と声をかけてくれました。そこは場数を踏んでますから(とは言いませんが)、OKだったよと返事。あれを見なさいこれも見なさいと親切(自由に見たいのにおせっかい 笑)な方でした。ここのご自慢の壁画(16世紀)より、下の写真の聖水盤のようなものに興味を示す変なおばさんに、呆れ顔でしたが。。。
近くの広場にオテル・ド・ヴィルの瀟洒な建物。
駅へと戻る道、先ほどのSt-basiles教会の横を通ると丁度お葬式の弔いの鐘がなりだしました。カーンカーンとかなり長く鳴り響きました。。。
駅前のカフェでコーヒー&トイレタイムをとり、パリに戻りました。乗車した電車はオーストリッツ駅からオルセー駅にも止まるとアナウンスしていました。元気だったら美術館も組み合わせることもできます。私は夜のオペラがあるので無理でしたが。
オーストリッツ駅からリヨン駅まで歩いた方が近いかもしれませんが、腰が重くなってきたので、メトロでバスチーユまで戻り、リヨン大通りの近くのビストロA La Biche au Boisでランチ。目立たない外観ですが人気店なので(ネットで調べた)1時過ぎでしたがほとんど満席。ここではグルメの神様がついていて、奇跡的にひとテーブル空いて案内されました。地元と観光客が半々くらい。ここはジビエ料理が時期的にも良いので、前菜はサーモンのタルタル、メインは鴨のカスレ風煮込みにしてそれぞれ白ワイン、赤ワインを頼みました。テーブルの間隔がほとんどありません。ここでも写真を撮るのに羞恥心(笑)で一枚だけ。
デザートは栗のアイスクリーム。家庭的なほっとするやさしい味付けが好まれるのでしょう。セットメニューが28€。ワイン2杯、コーヒー、水を含めて40€くらい。きさくなマダムが気のきくサービスで気分も上々。
常宿にも徒歩2、3分と近く、良いところを見付けたと嬉しい気持ちで宿へ戻りました。仮眠後オペラへ。
♪Jules Massenet『MANON』@Opéra Bastille 19:30~ チケット 130€
Evelino Pido :
Direction musicale
Coline Serreau : Mise en scène
Jean-Marc Stehlé et
Antoine Fontaine : Décors
Elsa Pavanel : Costumes
Patrick Marie Aubert :
Chef du choeur
Natalie Dessay : Manon
Giuseppe Filianoti : Le
Chevalier des Grieux
Franck Ferrari: Lescaut
Paul Gay: Le Comte des
Grieux
Luca Lombardo :Guillot de Morfontaine
André Heyboer: De Brétigny
Olivia Doray: Poussette
Carol Garcia: Javotte
Alisa Kolosova:
Rosette
Christian Tréguier :L’Hôtelier
Orchestre et choeur de
l'Opéra National De Paris
デセのマノンは映像(リセウ?)で観たことがありました。ぜひ!実舞台で観たいと願っていましたから、今回はラッキーでした。調子は最高とは言えなかったのですが、やや抑え気味ながら(マノンの奔放さが薄れてしまい 少々残念)無難に乗り切った感じでした。数年前ベルリンで観たネトレプコの強烈な熱情的マノンを思い出してしまいました。歌唱の好みとは別に演出も含めて、ベルリンのほうがマノンを聴いた観たという想いが強く残ったのは事実。。。
心配だったのはフリアノーティでしたが、こちらは現在の彼にしては上出来だったと思います。高音が詰まり気味になるのが、最後まで気になりましたが、4幕のアリアを巧く歌った後は波に乗って、なかなか良かったとブラボー!でした。
他はデグリューのお父さんのPaul Gayの存在感のあるパフォーマンスはデグリュー父の苦悩(悪い女に引っかかった可哀そうな息子)にしんみり。。。
プログラムの表紙に衣装のデッサンがプリントされていますが、主役以外は現代的なヒッピースタイルで享楽的な背景や世相を表現。教会の中で数人の娘たちがローラースケートに乗る場面は?音もゴロゴロとうるさくてブーでした。ピドの指揮も個性的なところもなく、まあまあ普通の演奏。
席は3階のバルコンだったのですが、ロビーにはカウンターのバールはなく、写真のようなテーブルが並んでいました。幕間に簡単に飲み物をという雰囲気ではありません。誰も座らず(だって高そ~)、邪魔なだけ(笑)
終演は11時。夜食はオペラの前に用意していたおにぎりと味噌汁。早くもパリでの短い滞在も終わりました。
2012年冬の旅(5) パリ~ウィーン [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/19(木) パリ12:35→ウィーン14:35(エールフランス) Best Western Premier Schlosshotel 2泊
10時ごろに宿をチェックアウトして空港へ。シーズンオフなのでTAXIが来ないという心配もないのが数少ない利点といえますが、朝は9時ごろまで暗く、日没も早い冬の旅はどこか損な感じ。孤独な一人旅はやはり季節の良いほうが楽しいな~と、早くも気弱。なんとなく元気が出ませんが、スケジュール通りに体は動きます。。。
今回の旅ではエアー・ベルリンとイベリア航空は片道で、格安チケットが買えましたが、エール・フランスだけはまだ従来通りの料金設定で片道より往復が安いので、当然片道捨てて往復で予約しました。エール・フランスはHPもいまいち使いづらいです。
ウィーンもパリと同じ鉛色の空に時々雨、冷たい風の吹く悪天候ですが、気温は朝夕以外はまだマイナスにはなりませんでした。ホテルは2003年に泊まって以来ですから9年ぶりの国立歌劇場に近いホテルです。最近定宿にしているアン・ディア・ウィーン劇場の隣のホテルと同じベスト・ウェスタン系です。こちらのほうがクラッシクで凝ったインテリアですが、古くなってやや薄汚れた室内に少々がっかり。
バスルームは広く改装されていてピカピカ。
さて、レセプションでアカウント番号をもらい、Wi-Fiに繋げてMIXIを開きましたら、Bさまからコメントが入っています。今夜のダムラウがキャンセルしたらしいとの情報です。ショックですが仕方ありません。メストレのハープだけでも聴けたらと、支度して出かけました。外は傘も吹き飛ばれそうな雨風・・・そして、歌劇場に行ってから、この公演自体がキャンセルになったことがわかりました。窓口で返金してもらって、夕食の時間がたっぷりですが、この悪天候ではホテルの近くで済ませたほうが良いので、天満屋でてんぷら定食とヤケ酒。久しぶりの日本料理ですが、てんぷらはまあまあだけれどお寿司は×。
↓ 天満屋の前の通り。イルミネーションがお洒落~。雨も小降りになりました
↓ この通りにある郵便局の奥にホテルの入口
明日の仮面舞踏会もキーリンサイドとウエストブルックがキャンセルしたので、楽しみ半減です。あ~あ、なんのためにウィーンに来たのやら・・・と、嘆きながら就寝。
2012年冬の旅(6) ウィーン [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/20(金)
気温は札幌に比べるとそう低くはありませんが、冷たい雨交じりの風が強く、街歩きの気分にはなれません。こういう日はどこかの美術館に潜り込んでしまおう・・・というわけで初訪問のMuseum Hundertwassrへ。事前調査なしでしたのでホテルのコンシェルジュにパンフレットをもらいました。ラッキーなことにHenri cartier-Bressonの展覧会開催中!最近ウィーン市内は中心部の徒歩圏内以外はあまり回っていませんでしたので、メトロからトラムに乗り換えて訪ねるミュージアムはちょっと新鮮な気持でした。トラムを降りて街角を曲がるとすぐにカラフルな建物が見えてきました。
1階ロビーの奇妙な噴水や幼稚園児たちがおやつを食べている様子などを眺めた後、コートや傘など預け階段を上って展示室へ。入場料12€(特別展含む)
フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー(Friedensreich Hundertwasser(1928~2000)オーストリアの建築家、画家/母がユダヤ系のチェコ人であったため父の死後、10歳のときユダヤ街に追いやられ、家の地下室に隠れて、弾圧から逃れた経験を持つ。そのため自然への渇望は大きかった。近代の建物の無機質感を嫌い、断固として定規で引いたような直線を拒否したことでも知られている。戦後北アフリカに旅した経験も自然との共生をめざした作風に影響が大きい。ウィーン市内の集合住宅やごみ焼却場のほか日本にも大阪のごみ処理場などの作品が残されている。
↓ 晩年のフンデルトヴァッサー(絵葉書)
この美術館は元は家具工場だった建物をフンデルトヴァッサー設計で改築。カメラは階上からは禁止です。床タイルも歪んで貼られています。時々躓きそうになりました(笑)が、土の上を歩いている感触が残るのはさすがです。
絵画、プリント作品、工芸品、建築設計図などの展示室を回ったあとブレッソンの写真展「Der Kompass im Auge」(瞳の中のコンパス)へ。
アンリ・カルティエ-ブレッソン henri Cartier-Bresson(1908~2004)フランス人の写真家/20代前半にそれまで画家志望だったブレッソンはマン・レイの写真に刺激され写真家の道を進むことになる。20代後半にはジャン・ルノワールなどのもとで助手として映画の仕事に携わったこともある。このころ写真家のロバート・キャパと出会う。戦時中はフランス軍に入隊し従軍。ドイツの捕虜になったが、脱走して戦争終結までレジスタンス運動に加わった。戦後は写真集団マグナムをキャパやシーモアらと結成。
アメリカ、中国、ソビィエト連邦、インドなど世界中を訪問(地図と日時つき)。今回の展覧会のタイトルは[Your compass must be in your eye ]という彼の言葉から使われている。
数多くの芸術家のポートレートのなかで目を引いたのはルイス・カーン(フィラデルフィアのオフィスで1960)、黒猫を抱いたストラヴィンスキー(カリフォルニア1947)など。
↓ トルーマン・カポーティTruman Capote(1947)アメリカの小説家23歳/絵葉書
↓戦後1954年のソヴィエト連邦に初めて許可されたカメラマンとして赤の広場の情景(サイトから拝借)
↓ アメリカの街角(サイトから拝借)
圧巻だったのはインドでのガンジー暗殺前夜から葬式までの写真の数々。奔流のような時代の動き、インドの人々の嘆きに見ているほうも巻き込まれそうな迫力。仏教、禅の哲学にインスピレーションを受けたという。ヒマラヤの山脈を遠くに尼僧たちの祈る後姿・・・。NETで写真は見つけられませんでした。残念。
これを観るためにウィーンに来たのだわ~と、昨夜の失望も晴れる気分で鑑賞終了。ランチは一階のレストランで。
↓ 昼前はがらがらでしたが
見学が終わって行ってみるとかなり混んできて、↓ご近所の方らしい若いご夫婦は赤ちゃんの乳母車を外のテラスに置いたままでネットに夢中。気になって見に行ってみたら、すっぽりフードに覆われて赤ちゃんは見えないようになっていました。寝てるから外のほうが静かで良いと思っているのかしら?寒いのにと思うのは私だけではなくて、サービスのおねえさんも何か言ってましたが、ほっといて、みたいな感じ。小1時間、結局帰るまでそのまま・・・。
↓ おねえさんお勧めのソーダと赤ワインとミックス(cisprityten?)、牛肉と野菜のゼリー風サラダ、麦団子入りコンソメスープ、コーヒー。〆て20€。スープが特に美味しくてにっこり。
雨も止んで晴れ間の出た街を歩きホテルに戻り、仮眠。夜は国立歌劇場でオペラを観ました。
ヴェルディ『仮面舞踏会』ウィーンSO 19:00開演
Un ballo in maschera |Giuseppe Verdi
Philippe Auguin | Dirigent
Gianfranco de Bosio | Regie
Emanuele Luzzati | Bühnenbild
Santuzza
Calì | Kostüme
Neil Shicoff / Gustaf III., König von Schweden Leo Nucci /Graf René Ankarström
babara Haveman/ Amelia, seine Gattin
Zoryana Kushpler/Oscar
Orchester der Wiener Staatsoper
チケット197eur(席は平土間の4列目左側)
仮面舞踏会は数年前のMETで聴いて以来2回目でした。9月のボローニャ来日公演直前に亡くなったリチートラがグスタフ役を歌っていました。その役はシコフでしたが、なんたってヴェルディの恋する若き王の表現にはとても無理。高音も絞り出すような感じで苦しかったです。ヴィジュアル的にも動きも、もっと年上のヌッチにさえ負けそう~。キーンリーサイドの代役のヌッチはメーキャップのカバーもあり、姿勢もきりっとして若々しく見えました。1幕目から飛ばし過ぎたのか3幕のアリアはレチタティーボの合間に何度か小さい咳払いや水を飲みながら苦しそうに歌いました。それ以外のヌッチはブラボー!でした。歌劇場のオーケストラも相変わらず素晴らしい響きとオーギャンの手堅い指揮で、それなりにヴェルディを愉しむことができました。
舞台は書割で安っぽいうえにごたごた趣味で、今どきこんなのありか~?登場人物の動きも少なく面白みに欠け・・・キーンリーサイドが断ったのも無理ないなって感じでした。経費節減にしては当初のキャストは豪華ですし・・・腑に落ちません。いろいろとオペラ界に不透明なことを感じることが多くなってきました。そろそろ潮時なのかもしれません。オペラに燃えるものが感じられなくなってくると、わざわざ海外まで観に来る必要もないということです。K様もそのようなことをおっしゃっていました・・・。
ウィーンの2日間も瞬く間に終わり、明日はベルリンです。まだまだ先は長い旅です。今までにないほど気力、体力の衰えを感じながら眠りにつきました。
2012年冬の旅(7) ウィーン~ベルリン [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/21(土) ウィーン10:45→ベルリン12:00(エアーベルリン) Comfort Hotels un der Oper 2 泊
朝食は4☆だけあって、卵料理も好きなように調理してくれて、出来立てをいただけます。美味しい朝ごはんをいただいていると、日本人の母娘さんが見えてちょっとおしゃべりしました。娘たちと旅した頃が懐かしい~。
↓ ロビー横の朝食室
↓ チェックアウトするとき、ロビーでパチリ。
↓ 同じ場所で(2003年)
ウィーン空港はからは昨年と同じエアーベルリンの共同便(NIKIエアー)でベルリンへ。離陸して間もなくドナウ川の上空。
ようやく晴れのウィーンからベルリンにきてみれば、また雨交じりの冷たい風の吹く悪天候に逆戻り。ホテルは外装を白っぽく塗り直して明るくなりました。
荷物を部屋に置き、ランチは昨秋にも行ったお向かいの中華レストランへ。隣のテーブルの方たちがフーフー言いながら食べている火鍋を見て早速オーダー。サイドデッシュがつくというので、焼きそばにしました。ビールと水もいれて15ユーロもしません。安くて旨い!
唐辛子の効いた鍋にすっかり温まって外に出ると、雨が霙に変わって寒いこと!夜は雪になりそうな気配。。。
暖房の効いた部屋でゆったり過ごし、仮眠もとって、夜はシラー劇場でオペラを観ました。
ヘンデル『時と悟りの勝利』
ORATORIO HANDEL『IL TRIONFO DEL TEMPO E DEL DISINGNNO』@SCHILLER THEATER
19:30~ 84€
Musikalische Leitung :Marc Minkowski
Inszenierung :Jürgen Flimm
Bellezza: Sylvia Schwartz
Disinganno
:Delphine Galou
Tempo :Charles Workman
Piacere: Inga Kalna
Les
Musiciens du Louvre - Grenoble
のっけから恐縮ですが(笑)今回の旅の音楽編のなかでは最高の公演!というだけでなく、ミンコウスキ体験のなかでも特筆に値する魅力的な演奏でした。席は二階の緩やかにカーブした最前列ほぼ中央。もちろんファースト・カテゴーリなのですが、84€というお値段もすばらしい!
「美」「快楽」「時」「悟り」の4人の歌手が揃いも揃って秀逸な歌唱を繰り広げ、舞台は華やかなレストラン兼酒場のシーンの開店から始まり、閉店までの出来事として設定されてます。客として出入りする人たちやここで働く給仕のおじさんたちのコーラスもありません。4人の歌だけ勝負というオラトリオは予習の音源(アレッサンドリー二&コンチェルト・イタリアーノ)だけで、聴き流しただけではなかなか掴めませんでしたが、かなりほかのオラトリオやオペラからの聴き慣れたアリアも挿入されていて、うっとり~♪特にInga Kalnaの歌う「lascia la Spina」の美しいことと言ったら!何人かのアリア集や「リナルド」の実舞台で聴いたこともあったけれど・・・。ミンコ&MDLGはたっぷりと情緒あふれるスタイルでこの名曲を天上の音楽のごとく奏でてくれました。胸がつまって涙があふれてきて、恥ずかしいほど。。。演出についてはこの音楽の邪魔はしてないだけ良かったけれど、最後に「美」が尼僧になるのだけは「勘弁してよ~」って感じ(笑)。珍しかったのはチェンバロとオルガンの2台入っていたこと。チェンバロはいつものフランチェスコ君、そしてもう一台は中村さんという日本人の女性でした。客演でしょうか?メンバーの方に聞いたところ、この日の演奏は少し乱れが出たけれど、みんな必死で立て直し結局はほぼ満足に仕上がったそうです。
終演後は足取りも軽く、ベルリンに来てよかった~幸せ~と叫びたいくらいの勢い(笑)で、寒さも感じず(雪も降らなかったし)元気にホテルに戻りました。このホテルは湯沸かしケトルがついていますので、夜食に持参のインスタント雑炊を食べて就寝。
2012年冬の旅(8) ベルリン [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/22(日)
3☆でもドイツのホテルの朝ごはんはどこも充実しています。マシーンのコーヒーではなく、きちんとオーダーをとって淹れてくれて、ポットでサービスしてくれるのとパンが美味しいのが嬉しいです。
今日はほぼ20年前に娘たちと訪れた思い出のダーレム博物館へ行きました。ホテルの目の前の地下鉄(Deutsche Oper)から2つ目のWittenbergplatzで乗り換えてDahlem Dorfまで。
↓ 地下鉄のホームはどこも綺麗になりましたが、ダーレムの駅舎は当時と変わらず牧歌的なたたずまい。
以前は情報も少なく、迷ってようやく辿り着いた記憶がありますが、今回はGoogleのストリートビューで確認済み。徒歩3分くらいで着きました。下の建物の裏にあった古典的な建物の絵画ギャラリーは新しいほうに移り、現在は民族系の博物館だけになっています。
チケット売り場のある大きなホールの奥に進むとすぐ左にアジア部門の展示室の入り口があります。今、開催中のキジル千仏洞のポスター。4/29まで。
2007年秋に中国の新疆ウイグル自治区を旅したことがあり、そのときキジルやそのほかの洞窟から壁画がドイツに運ばれたことを聞いていました。私の旅のテーマのロマネスク美術とはなんの関係もないようですが、ロマネスク美術が受けたオリエントの影響がらみで、シルクロードの美術は根底で繋がるものを感じています。だからこそ、ドイツやフランスなどのヨーロッパの探検家や学者たちを駆り立てたことと思われます。壁画や仏像などを自国に持ち帰ったことについては、中国西域のイスラム化や文化大革命時の破壊のことを考慮すれば致し方ないと思います。ただ第二次大戦時にはベルリンに移したものの30%も失われたそうで、とても残念です。
↓ 仏像の展示室
↓ 獅子の玉座の釈迦像 1~2世紀 Gandharaガンダーラ(パキスタン)/ギリシア彫刻の影響を受け、頭光や獅子座が西からの流れを示しています。インドっぽくない温和な表情のお釈迦さま。衣装の流れるような表現も素晴らしい!
↓ お釈迦さまの誕生の浮彫 2~3世紀 Gandharaガンダーラ(パキスタン)お釈迦さまの母親マーヤー夫人の脇腹から生まれたという伝説の場面
説明板に仏教の用語がでてきますが、勉強不足で分からないことだらけ・・・。
↓ 仏陀の悟りのサイクルからの場面 1世紀 Gandharaガンダーラ(パキスタン)
↓ 写真禁止を知らずに写してしまった復元された123窟主室の天井。壁画保護のため照明を落としていますので、ラピスラズリの青が映えません。そのせいか現地で観たあの美しさも、感動も小さいのは致し方ありません。ドーム型天井に8つに放射状に分かれて、仏と菩薩が交互に描かれています。中央は蓮華。
キジル千仏洞(クチャ近く)5~6世紀
Albert Grünwedel ( 1856 – 1935) ドイツの考古学者、初めはロシア隊とともに、1899ドイツ人としては初めてウイグルに入った。1902.1903からはドイツ独自の第一次探検隊を率いてトルファン、クチャ、高昌故城など調査1913.1914の第四次までウイグルのシルクロードに広がる仏教、マ二教の研究に多大な成果をあげた。第二次からはA.V.Le Coqも同行。復元されたブッデスト・カルト・カーブは世界で唯一だそうです。
↓ 3期123窟の入り口から
↓ 窟の外側から覗いた後室の天井(こちらは撮影OK)飛天たち。
↓ 彩色仏像 シクシン仏寺出土 7~8世紀 写真では顔が陰になってしまいましたが、美しいお顔。額に花鈿が描かれ、頭髪の波型模様も繊細。こんな優美な仏像は滅多に見られないと、ここへきてやや興奮(笑)台座には花丸紋に鹿が描かれているようです。
↓ べゼクリク千仏洞20窟 10世紀ごろの供養する人たちの図(左はウイグルの王子様たち、右はお姫様?) 両方ともに鮮やかな色彩、民族衣装も豪華で印象的。
↓ 供養するTocharian Princesトチヤリアンの王女さま(べゼクリク千仏洞27窟、13世紀)
↓「 神と女の楽師 」 キジル(171窟)5世紀 (楽神善愛が仏法を信仰する物語り)。このほか76窟にあった「魔女誘惑図」もダーレムにありました(写真忘れ)。
ほかにも多数の興味深い壁画、仏像、織物など。。。
帰国後、ウイグルを旅したとき現地で購入した新疆大学出版の「シルクロード・新疆仏教芸術」(日本語解説付き)を改めて読んで、「ドイツに流失」の文字が多数あることに気がつきました。そのうちのいくつかは鑑賞できたことは嬉しいのですが…やはり複雑な気持ち。
さて、ダーレムからベルリンの町なかへ戻り、クーダム近くのビア・レストランでランチ。
↓ 寒いけれどやっぱり黒ビール。旨い!ソーセージは普通。
↓ デパートは日曜でお休み
夜はシラー劇場でコンサート。
Dirigent Marc Minkowski
Sopran Julia Lezhneva
Les Musiciens du Louvre - Grenoble
2012年冬の旅(9) ベルリン~バルセロナ [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/23(月) ベルリン10:45→パルマ・デ・マヨルカ13:25/15:00→バルセロナ15:50(Air Berlin) Hotel Espangya 2泊
ベルリンを発つ日になって晴れてきました。ベルリンエアーの専用ターミナルからは目の前の飛行機に徒歩で搭乗します。
↓ 問題のパルマ・デ・マヨルカのターミナル。飛行機を降りたらそのままここで乗り継ぎ便を待つだけ。ベルリンでバルセロナまでの搭乗券を渡されましたので、なんの審査もありません。カフェでハムを挟んだサンドイッチのランチをとりました。スペインのハムは美味しい!
↓ 機体検査で30分ほど遅れましたが、無事にマヨルカ島を飛び立ちました。地中海のブルーが眩しい~。
バルセロナの宿は4年ぶりのホテル・エスパーニヤ。すっかりモダンに改装されて3☆から高級ホテルに生まれ変わりました。
↓部屋は昔通り外光が直接入らないので暗いのですが、ソファーや別室になったトイレは使いやすくなりました。困ったのは洗面ボール、浅すぎてお洗濯すると水がこぼれてしまいます。
↓ 素敵だった明るい雰囲気のパティオ もこんな無機質な感じに・・・前のほうがスペインらしくて良かったのにがっかり。
今日は移動しただけなので、ゆったりとご馳走を食べるつもりだったのですが、食欲もあまりなく、結局バスク・バルへ。ここも4年ぶりのイラティです。以前は凄く混んでいたのですが、ガラガラ閑古鳥。。。きびきび働いていたイケメンのお兄様たちの姿もなく、代わりに無愛想な女性が・・・。それでもケースに並んでいるピンチョスをカヴァとともに数個も美味しくいただきました。約20€。
ランブラス通りは周辺に小綺麗なバルが増えました。しかもイラティと違って、座って食べられるので、人気はこちら形式に移ったのかも・・・。
↓ 夜のサンジュセッペ市場入口。
昼間は10度くらいのバルセロナはやはり暖かく、お部屋も暖房のよく効いた部屋でぐっすり眠れました。
2012年冬の旅(10の1)バルセロナ [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/24(火) バルセロナ(カタルーニャ広場)9:33→タラサ10:16/12:16→バルセロナ(サンツ)13:03
バルセロナから日帰りで見学できるカタルーニャ・ロマネスク。今回はタラサに行くことになりました。アクセスも昨年のレスタニーとかサン・クガ・デル・バリュエスに比べると簡単でした。
カタルーニャ広場の近郊線R4ラインで50分。Googleでチェックしたひなびた駅舎で想像していたのと違って、地下の立派なホームに到着。タラサはバルセロナの衛星都市であり、工業都市でもあるとのこと。そのままエスカレーターで地上へ。少ない時間帯でも30分に1本はバルセロナ間の電車があるようです。
地図で確認しながら駅からまっすぐの通りを500メートルほど進み、左に曲がると橋の向こうに中世の教会が見えていました。小高い丘の上に3つのロマネスク教会が並んでいます。
この石橋は17世紀の建造。下の壕を眺めるとかなりの高さにあり遊歩道も。
教会群の手前は舗装工事中で、チケット売り場を兼ねている美術館は正面からは入れませんで、ウロウロ・・・。結局左手の一番大きなSant Pereの横の柵が開いていたので、構内へ。
2つのロマネスクスタイルのCollegiate Church of Santa Maria とSant Pere教会の間にプレ・ロマネスクの小さなSant miguel教会が建っています。これらの教会群の創立時期については確かなことは分かっていませんが、ローマの征服以前にイベリア人たちがこのEGARAと呼ばれるエリアを占領居住していました。ローマ人たちの占領を受けた4世紀にキリスト教が渡来。450年には司教座がこの地に設けられました。その後アラブの侵略(8世紀)やカロリング時代を経てカタルーニャのほとんどの教会がそうであったように8世紀の終わりから9世紀の初めにかけて建て直されました。
Sant Pere教会 この教会だけが今も現役として使われていて、入場無料(ほかの2教会は美術館でチケット購入)
↓ 橋側からの外観/サンタ・マリア教会の後に12世紀の終わりごろ建てられました。他の2聖堂に比べると図体が大きく、のぺらーっとした感じで何かな~と思いきや・・・
↓ 後陣と南側外観/ 2つの壁式鐘塔
↓ 入ってみましたら、内部は単身廊 素朴な横断アーチ。後陣中央のニッチの素晴らしい装飾が目に飛び込んできました!プレ・ロマネスク時代から生き延びてきたという交差部と後陣(5~8世紀)の眺めに「す、すてき~☆ 」とうっとり。
↓ 祭室は進入禁止のためニッチに並ぶ壁画を近くで見ることはできません。写真もこれが限度。
チケット購入後はSanta Maria教会へ。
↓ 南側から
↓ 5~8世紀の以前の教会は9~13世紀に縮小されて建て直されました。以前の教会のモザイクの床が正面入り口の前に残されています。
↓ 最近修復整備されたような内部。
↓ 身廊部床下には孔雀のモザイク断片と洗礼盤(4~5世紀)
↓ 南側袖廊に半円天蓋に栄光のキリスト、下の部分にトーマス・ベケットの殺害を描いた壁画が残っています(12世紀)。
↓ 後陣外観 交差部の多角形のクーポラの上に鐘塔。
↓ サンタ・マリア(左)とサン・ミゲル聖堂(右)北側
↓ 上の2教会の前景。左がサン・ミゲル右がサンタ・マリア。 西側から撮りましたが、午前中なので逆光。サン・ミゲルの扉口上部の馬蹄型アーチの窓がはっきり写ってなくてショック・・・。
サント・ミゲルSant Miguel聖堂/3つの教会のうち最もオリジナルな建築が残っています。それだけに素晴らしくチャーミング!
↓ サンタ・マリア教会のほうから
↓ 低い鐘塔の外観
↓ 後陣の石彫の窓
↓ 内部はギリシア十字のフロアプラン。8本の円柱で囲まれた安らぎの空間。ドームの上部の小さな窓からの光が柔らか~☆ それぞれ違う形の円柱はローマ時代末期から西ゴート時代のものからの転用。柱頭彫刻はカロリング時代のアカンサスのヴァリエーション。
↓ 後陣の半円蓋にかすかに残るフレスコ画。
地下のクリプトはカメラ禁止。一眼レフをホテルに残してきたので、この辺で電池切れ…涙。
3教会とも見学者は私一人という贅沢な時間でした。効率よく見学を済ませて、徒歩10分程度のタラサ駅に戻り、予定より早くバルセロナに戻りました。 続く。
2012年冬の旅(10の2) バルセロナ [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
~続きです。
予定ではタラサでランチのつもりだったのですが、適当なレストランやバルを見つけられないままタラサ駅に着きました。丁度5分後に出発のバルセロナ行があり、それに飛び乗って(往復切符を買っててよかった)カタルーニャ広場に戻りました。
ホテルの途中に昨夜写真を撮ったサン・ジュセッペ市場があり、そこを入ってすぐ右にカウンター形式の市場食堂があります。2時からがスペインの昼食時間ですから、すでに満席。買い物帰りの地元の人や観光客で10人も座ればいっぱいになる狭さに躊躇してましたら、目の前のオジサンが立ち上がり席が確保できました。
写真には写ってませんが、お店を切り盛りするのは愛想の良い名物おじいさん。てきぱきとしたお客さん捌きに感心。
まずカヴァと海老(ハサミが大きくて少々食べにくいのですが旨い!)
↓ 黒板に書かれた今日のメニュが読めません。すると、隣に小学生の男の子とご両親が座りました。この子は学校で英語とフランス語を習っているというので、そのお勉強も兼ねて(笑)、次に食べた小烏賊と豆の煮たお皿やスープなどオーダーしてもらったり、助かりました。
はにかみながらもニコニコと可愛い9歳になるという男の子に「メルシー・ボクー!」でした。
↓ついでに木苺と白アスパラをショッピング
いったんホテルに戻り1時間ほど休憩とカメラの電池を充電して、カタルーニャ美術館へ。
最近カタルーニャ美術館を訪問されたわに子さまの情報で、カメラOKになったことを知りました。張り切って一眼レフも持ち、2台態勢で臨みました。
地下鉄エスパーニャ駅を上がります。目の前に旧闘牛場(ショッピング・モール)
↓ その反対側のモンジェックの丘にカタルーニャ美術館が見えます。
カタルーニャ・ロマネスクの至宝が収蔵されているミュージアム・ナショナル・アート・カタルーニャ美術館(MNAC)はシニアは無料です。
写真は撮ってきたもののほんの一部ですが、「お気に入り」のものをピックアップ。まず、木製彫刻の聖母子3体
↓ゲルの聖母 (Santa Coloma de Ger)12世紀。/インパクト大の聖母子。きりっと鋭い眼差しの聖母には受難の覚悟を決めた強さが・・・。幼児イエスは大人びてあまり可愛くないけれど、母子のバランスは取れているのです。
↓ ゴソルの聖母(Santa Maria del Castell de Gosol)12世紀/黒光りした長い年月を経た美しさ。素朴な農民の母子のような姿に親しみを感じます。
↓ Sant Joan Despiの聖母子 12世紀終わり~13世紀初め/黒い聖母子のタイプ?目鼻立ちが整ってゴシックに近い哀しみの表情のマリア様。かなり破損しているのも痛々しさを誘います。
木製彫刻の十字架のキリスト3体
↓ バトリョのキリスト 12世紀中ごろ/カラフルな衣装のイエス。十字架のイエスは教会の高いところに掲げられることが多いので、うつむいています。アップで見ると口もとが文句ありげにへの字になっていて・・・困ったもんだと言ってるよう。すみませんと謝ったりして(笑)
↓ 1147年のキリスト(Urgell) こちらはぐっと地味な風貌のおじさんぽいイエス。彫は荒いけれど、その分素朴な力強さを感じます。篤い信仰のオーラも伝わる逸品。
↓ クベリスのキリスト 13世紀 (La Mare de Deu de CUBELLS)/王冠を被ったゴシック期のイエス。写実的で、悲しみの表情が印象的。かなり破損していますが十字架にかけられた姿だったと思います。。
↓ キリストの十字架降下(タウルのサンタ・マリア教会)12世紀/ 木彫の群像タイプのものはカタルーニャの特徴的なものなのでしょうか?アップで見るとこのキリストの苦悶の表情は痛々しいし、ほかの3人(盗人、聖母マリア、アリマタヤのヨセフ)との作風の違いが・・・。ほかの工房のものを使った可能性がありますね。
次は地方の辺鄙なところにある教会から、剥がされて展示されている壁画の数々。。。
↓ Sant Quirze de Pedret 11末~12初め/Pedret Circleと呼ばれるカタルーニャ・ロマネスクの壁画スタイルの主流とみなされている。ロンバルディからカタルーニャ地方にやってきた画家たちが描いたものと長い間信じられてきたが、現在は外国の影響を受けたPedret のマスターのオリジナルとの見方が強い。古代ローマ後期の空間のイリュージョンの工夫。しかしながら、伝統的な様式の踏襲だけでは人を感動魅惑することはできないだろう。。。
↓中央の小窓をはさんで、右に愚かな乙女たち。右の教会に座るのは教会のアレゴリー。
↓ 左のテーブルに賢い乙女たち。
↓ santa Maria d'Aneu教会の壁画 11世紀末~12世紀初め/3つの小窓の美しい蔦模様とセラフィンの優雅な羽捌き(笑)予言者イザヤの幻視
↓ セラフィンが予言者の口を左下の赤く燃える火に熱したピンセットで挟んでいます。
↓ タウルのサン・クレメンテ教会の祭壇壁画 1123年頃/ここMNACのなかでも特に名高い。大きく描かれた中央の栄光のキリストの威厳ある姿。手に持つ本には<EGO SVM LVX MVNDI>の文字。天井アーチの7つの目を持った神の仔羊、神の手、左に描かれたラザロなどにも注目。
↓ 神の小羊
↓ 聖ステファノの殉教Sant Joan de Boi教会
↓ステファノの メーキャップをしたような派手な顔や血の流れ方が、なんだか歌舞伎っぽい。。。
パネルペインティング(板絵)の祭壇前飾りも傑作が目白押し。。。
↓ Seu d'Urgellの聖人たち 12世紀/鮮やかな色彩がカタルーニャの太陽のよう。黒い線でくっきり描かれた中央の二重マンドーラのイエスに左右シンメトリーに描かれた12使徒。アニメのようなヴィヴィッドさ、今にも動き出しそう~。
↓ Sant Quiricus, Sant Julitta de Durro 12世紀中ごろ/聖人の殉教図。残酷なシーンなはずなのに・・・。可哀そうだけれどユーモアもあり、中央の聖母に抱かれた幼児イエスが不思議そう「あの人たち痛くないの?」って指差していて(笑)。
↓ Cardetの祭壇画 13世紀/説話的主題が順番にきっちり描かれている洗練されたゴシックの板絵。右上の降誕の場面の父ヨセフの問いたげな眼差しに、産まれちゃたわね~みたいな聖母の表情においおい(笑)
最後に柱頭彫刻
↓Santa Maria de Besalu からの2点 1137~1167、1171
↓ これは柱頭彫刻ではなくBases del Baldaqui とありますから祭壇を支える基盤でしょうか? 12世紀。リポールのサンタ・マリア旧修道院にあったもの。一見するとカベスタニー?と思いましたが、説明板にはそのような記載はありませんでした。
きりがないので、この辺で。
そろそろ店じまいの館内のカフェで一休み。外に出ましたら夕闇が迫って、美しいバルセロナ市内が眼下に広がって、美術館の前は夜景を楽しむ観光客で賑わっていました。
くたくたに疲れてホテルに戻り、夕食は白アスパラを茹でたり、手持ちのもので済ませました。
2012年冬の旅(11)バルセロナ~ビルバオ [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/25(水) バルセロナ13:20→ビルバオ14:30(イベリア航空) Melia Bilbao 1泊
昨日は1日アクティブに過ごしましたので、今日はチェックアウトの11:00まで、荷物の整理をしながらのんびりしました。
↓ Hotel Esoanyaの朝食
モンタネールのデザインを残した優雅な朝食室ですが、がらがら・・・というのは高いうえ美味しくないから。。。
スーツケースはホテルに預け、最小限度の7泊分を小型のキャリーバックひとつにまとめて、いざ出発。
バルセロナの港近くの風景。暖かいカタルーニャとも暫しのお別れ。
飛行機は順調にビルバオに到着しました。
↓ ホテルは大きな公園を眼下にオペラ劇場やグッケンハイム美術館も近い抜群の立地。1階ロビー。
↓ 部屋からの眺めはビルバオ川と劇場。広い遊歩道を右に数分行くとグッケンハイム美術館。
↓ 部屋は広々、バスルームもバスタブのほかにシャワー室もあり使いやすい。WiFiは有料。
↓ ひと休みの後、グッケンハイム美術館へ。この日が旅の中で一番暖かい日でした。川沿の遊歩道は午後の散歩を楽しむ市民たちがそぞろ歩いています。多少うらぶれたバスク地方のイメージを持っていましたので。。。このエリアはアートによる都市再生プログラムに沿った環境の整ったところです。
↓ 美術館が見えてきました。
グッケンハイム美術館Museo Guggenheim/ニューヨークにあるグッケンハイム美術館の分館として1997年にオープン。フランク・O・ゲーリーの設計によるモダンな建築によって有名。内部はカメラ禁止。コレクションはブランクーシやリチャード・セラなど。ほかは意外に少なくて、それほどの斬新な驚きのあるものにも出会えず…残念。まあ建物を見に来たようなものです。
↓ 全景(絵葉書)
↓ Richard SerraのMatter of Time(1994~2005)絵葉書
↓ 外に出るとロビーに面した池に湯気がもうもう・・・これもゲーリーが考案したものなのでしょう。
美術館の右手の階段の上には「パピー子犬」(ジェフ・クーンズ作)という巨大なワンちゃんが置かれています。春になるとボデイの草花がより綺麗になるでしょうね。
この広場にある(i)で、ビルバオのバスターミナルへの交通など確認。時間表は置いてありませんでした。まだ明るいので散策がてらバスターミナルを下見に行ってきました。トラムで5~10分ほどの近さにあり簡単なアクセス。明日の朝は早いので、これで安心。帰りは旧市街から徒歩で公園を横断してホテルに帰りました。
↓ キティちゃんはビルバオでも大人気
↓ そろそろ夕暮れですが、幼稚園や小学生くらいの子供たちが子供たちだけで遊んでいたり、乳母車を押した若いお母さんたちが多く歩いています。治安はかなり良いみたい。
↓ 公園の向こうにホテルが見えてきました。
夕食はホテル内のレストランでとりました。2つのレストランがあるはずでしたが、高級なレストランはバブルがはじけた不景気のせい?で営業を停止しています。カジュアルなほうしかやってませんし、簡単なセットメニューを勧められました。ビルバオの食事を楽しみにしてきたのですが・・・涙目。
明日から北スペインの田舎回りが始まります。バスでの移動が多くなりますから、大手以外のバス会社のタイムテーブルを調べるのはかなり難航しました。その結果を果たして信頼してよいものやら・・・不安を抱えながら眠りにつきました。
2012年冬の旅(12) ビルバオ~サンタンデール [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/26(木) Bilbao(BT)8:30→Santander9:50/10:30→Santillana der Mar11:10/13:30→Torrelabega13:45/14:05→14:50頃 Abba Santander 1泊
昨夜は夜中に目が覚め睡眠不足のまま起床。7時頃には朝食をとり、チェックアウト。7時半過ぎてもまだ夜明け前のビルバオの街をキャリーを引きながらトラムに乗って、バスターミナルへ。
真冬のこの時期ですから、窓口も混んでいません。ターミナルと言ってもプレハブのチケット売り場、カフェ、トイレなどが並んでいるだけで殺風景です。その周りを各バス会社ごとの乗り場が囲んでいます。バス会社別に2台のモニターで発車時間を表示しているので、1台目で見つからなくてもあわててはいけません。(昨日下見しておいて良かったです)それに発車時間の5分前くらいでないとバスは入ってきません。
この時乗ったのはALSAという大手のバス会社でした。サンタンデールまでのビジネス特急バスで、1-2の配列。女性のサービス係が同乗して飲み物とお菓子、新聞雑誌のサービスがあります。その分料金も普通料金の倍の13.74€。
10分ほど早くサンタンデールのバスターミナルに到着。ここのターミナルはちゃんとしたビルで、地下が乗降ホームになっていて、地上へはエスカレーターで。1階に(i)がありますので、ここでサンティリャーナまでの直行バスの出発時間を確認して、チケットも購入(往復で4.65€)。
外へ出ると雨が降ってきました・・・今夜の宿は目の前に建っていますから、荷物を預ける時間は充分あります。幸いお部屋も用意してくれました。バスの時間までトイレに行ったりできて良かったです。部屋は狭いけれど、バスつき。暖房も昨日の4☆ホテルより良く効いていて、暖かく居心地も良かったです。
さて、いよいよ初カンタブリア・ロマネスク巡りに出かけます。バス会社はLa Cantabrica というローカルバスを利用しました。
↓ バスターミナル地下。ここも5分前にバスが来ました。
↓ バス停からサンタ・フリアーナ教会までは10分くらいですが、雨が激しくなってきて傘をさしながら写真を撮るのは難儀でした。こんな天気ですから観光客の姿もありません。美しい町としても知られたところですが、人影のない街は寂し過ぎる・・・。
↓ ようやく教会が見えてきました。
↓ ここが池田先生の講座でスライドを観て魅かれていた風景です。手前の泉も巡礼の時代からあったものでしょう。
雨と泉の音がざーざーという響き・・・。参事会教会の前は工事中で、雨の中働く人の姿。南側の階段の上に聖フリアーナ参事会教会Colegiata de Santa Julianaのファサード。門のライオンも雨の中ご苦労さまという感じ。シャッターを押す手もかじかむほどの冷たい雨でした。
↓プラン
↓教会南のファサード
↓ キリストのマンドーラを支える横向きの天使が面白いですね。
↓ 破損したものもありますが、栄光のキリストの両側には素朴な12使徒の浮彫が並んでいます。
ここからは入れませんが、案内板に従って西側に回りますと、扉が少しあいていて入り口がありました。ここで入場料を払い回廊に入ります。雨はまだ止みませんがようやく屋根のついた場所に来られてほっとしました。
↓ 素晴らしい回廊です。1辺を除いて12世紀末~13世紀初めに制作された63本の柱頭彫刻が2本または4本の円柱に支えられて並ぶギャラリーです。
↓ 「ドラゴン退治の聖ミカエル」こんなの軽いわって感じで綱を引いているのが笑えます。
↓ こちらは「ライオン退治の騎士」剣で一刺しぃー!なんたって背後に天使がついているので怖いものなし。ライオンのおなかに妙なものがぶら下がっています・・・まさか飛び出た腸?ユーモアとリアルが混在ですね。
↓ 「十字架降下 」 キリストの手を握る母マリアの哀しみの表情・・・。ドラマティックな場面とはいえ、この限られた空間の中にこめられたメッセージはとても大きなものです。
↓ 笑ったり、涙したりの説話的なテーマの間には植物模様が配されて、その演出もニクイな~と思ったり…4本の円柱をぐるっと巻きつけた大胆な網籠模様が綺麗。
↓ 「サムソンのライオン退治」ところで上に浮かんでるのは誰でしょう?
↓ ハサミのようなものを持っているような…デリラでしょうか?でもどうしてこんなポーズでここに彫られたのかしら?
↓ 「3人のマリアがキリストの墓を詣でる場面?」目の高さに柱頭彫刻があるので、鑑賞しやすいのですが、中庭にでられないので、向こう側が見え憎くテーマを確認できてないものも・・・
↓ 「義人の魂を守る天使」
↓ 植物模様のパターンもバラエティに富んでいて、彫も見事です。
↓ 東側のギャラリーは後の時代のものです。
回廊から教会へ入りますが、内部はカメラ禁止です。教会は三廊式のバジリカ形式。大小3つの後陣。天井は高く、13世紀に改築されたので、リブ付きの交差ヴォールトが見えます。柱頭彫刻も高いところと低いところにあり、渦巻き模様と人など素朴で大胆な彫が印象的でした。
↓ 絵葉書です。
↓ 後陣
↓泉のところに巡礼姿の若い人たちがいました。寒い時期なのに大きなリュックを背負って、ペットボトルにこの泉の水を汲んで去っていきました。ご苦労様~そういう私も遠くからやってきましたよ。。。巡礼の目的はいろいろあるようですが、今やキリスト教の巡礼を超えて、自分の人生を考える、人間を、世界を考える(日常生活を離れて)ところに意味を見出すのかと思います。
ブーツが雨に濡れてしまい、靴下まで水が染み込んできました。足もとからの冷えが体力を奪い、すっかり弱ってしまいました。この後訪問予定だったカスタニェーダも無理になり、早めに戻ることにしました。
レストランもバルもほとんどがシーズンオフのせいもあって、閉まっています。ようやく開いていたホテル付属のカフェで温かいココアを飲んで、時間表をチェックしました。直行バスは本数が少ないので、途中の町トッレガベーガで列車に乗り換えてサンタンデールまで戻りました。
駅前のバルで赤ワインとオムレツを挟んだサンドイッチのランチ。クロケット(小さなコロッケ数個)は残したら、アルミ箔に包んでくれました。疲れ切った私にスペイン語が通じなくて迷ってても、やさしく接してくれたおねえさん…忘れられません。
サンタンデールは特に見るべきものもなく、夕方の散策で済ますつもりだったのですが、ブーツも翌日まで乾きそうもありません。結局その散策もパスし、風邪気味で熱っぽい身体を労わることにしました。夕食は熱いお湯をいただいて、手持ちのおかゆとテイクアウトしたコロッケで済ませました。
テレビのカンタブリアの天気予報は内陸地方に雪の予報です。明日回るつもりだったチェルバトスはバスや列車の便が今日より悪いところです。諦めてパンプローナに明日行って泊まることにしました。ビルバオのホテルを解約して、パンプローナの旧市街にあるホテルを予約。雪が降っても寒くても大きな町の中では逃げ場もあり、行き倒れになる心配もありませんから。。。
急な計画変更も持参のi Padでさくさく・・・便利~☆
2012冬の旅(13) サンタンデール~パンプローナ [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/27(金) Santander11:00→Bilbao12:30/13:00→Panplona15:00 Palacio Guendulain 1泊
濡れたブーツが乾くまで一晩かかりました。サンタンデールの宿は暖房が良く効いていて本当に助かったと、改めて思いました。朝もゆっくり休んでましたので、体調も回復。朝食も美味しくいただいて、チェックアウト。
↓ ビルバオ経由でパンプローナまでの長いバスの旅でした。写真はビルバオのバスターミナルを出発したとき。バス会社はSantander~Bilbao(ALSA)&Bilbao~Pamplona(La Union,S.A)を使いました。正味3時間半の乗車時間で合わせて約21€。時間は正確、安い、安心と3拍子揃ってのスペインのバスは、昨秋イタリアのバスに泣かされた身には高得点。ただし、大手以外のバス会社のHPを見つけるのは苦労しました。
車窓からの眺めを楽しみ、そう退屈する暇もなくパンプローナのバスターミナルに到着。バスの荷物入れの管理もかなりきちんとしていて、途中の町のターミナルに入る毎に運転手さん以外の係員がきて、荷物の出し入れや、怪しい者が近づかないように目を光らせていました。
パンプローナのバスターミナルもビルの地下に乗降ホームがあり、タクシーも同じ地下に乗り場がありスムーズ。スペインのタクシーはフランスやイタリアに比べると2/3程度と安く、円高もあってにっこり(^^)でした。
昨夜急遽予約したホテルは、オフシーズンなので、平常の半額くらいで泊まれました。場所も旧市街の小さな広場に面していて、パンプローナの由緒ある館がホテルになっています。静かで素敵なホテルでしたが、バスタブがついてなくて残念。
部屋でひと休みの後は、街の散策とナバーラ美術館の見学へ出発。
↓ バスの中でお煎餅をかじったくらいでランチ抜きでしたから、バルを見かけると急に空腹を覚え、ピンチョスとワインをいただきました。
↓ バロック様式の市庁舎。 広場に並ぶ建物も古雅な雰囲気。さすが10世紀から16世紀初めまで栄えたナバーラ王国の面影が残っていて魅力的。かの有名な「牛追い祭り」はこの市庁舎のバルコニーに市長が立って、祭りの開始を告げるそうです。
市庁舎の右へ行くと市場があり、左へ行くと美術館です。
↓ 左の道を2~300メートル行きますと、すぐにナバーラ美術館が見えてきました(教会左の垂れ幕の建物)。ナバーラ美術館は16世紀の病院の跡地に建てられ、カテドラルの回廊にあったロマネスク時代の柱頭彫刻などを展示しています。
パンプローナはサンチャゴ巡礼の重要な町でもあったのですが、市内の教会はゴシックやバロックに改築されたところが多く、カテドラルにもロマネスクは残っていないそうです。それで、当初はここは美術館の見学で終わらせて泊まるつもりはなかったのです。
ナバーラ美術館に優れた柱頭彫刻があると知ったのは、ロマネスク巡りの先輩からいただいたここの美術館の図録ででした。
↓ 4~5世紀ローマ時代のモザイク
↓ 13世紀ゴシックのチャペル(San Pedro de OLITE)の壁画
↓ そしていよいよ柱頭彫刻の部屋へ。下からライトが当たるようになった展示ですが、写真を撮ると下の部分が明る過ぎ・・・。下の2点は「エステバンのマエストロ」と呼ばれる工房の作品(1101~1127)
↓ 「ヨブの物語」(パンプローナのカテドラル回廊)の柱頭彫刻/神からの試練を受けるヨブの苦難のうちサタンによって皮膚病に冒される場面。
↓ 体中にできた腫物が花模様のよう・・・。それでも神を敬愛するヨブ。左のヨブは妻に嘲笑される場面のヨブ、連続場面でヨブの受難を強調しています。
↓ サタンによる嵐で家が壊れる場面。
↓ ヨブと忠告する友人たち。下の家畜は略奪される場面でしょうか?
↓
↓ キリストの受難物語の柱頭彫刻。捕縛の場面。
↓ ユダの接吻
↓ キリストの磔刑
↓ 「La arqueta de Leyre レイレの聖遺物小箱」 いただいた図録には詳しい説明があるのですが、スペイン語が分からないのでちんぷんかんぷん。
↓ クリスモン12世紀(Hospital de San L'azaro)
↓ プレ・ロマネスクの天使 10世紀 san Miguel de Villatuertaの礼拝室にあったもの。
↓ 見学が終わり外に出ましたら、すでに夕闇が迫って
↓ 街角の焼き栗屋さん。焼きたてをフーフー言って頬張るのは美味して、楽しい思い出になりました。
↓ 町の中心カスティーリョ広場を抜けて
↓ ホテルに戻りました。
↓ ホテルのレストランで夕食(20:30から)、9時過ぎまでお客さんは私一人だけ。帰るころにようやく半分ほど席は埋まりました。デギュスタシオンコースをいただいておなか一杯になり、デザートは半分でギブアップ。美味しいアップルパイだったのに~。
レセプションによって明日のタクシーの予約。明日は晴れますように~☆