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2007夏ベルリンからブリュッセルまで周遊の旅 ブログトップ
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2007年ヨーロッパ初夏の旅(ロンドン1) [2007夏ベルリンからブリュッセルまで周遊の旅]

5/23(水)ブリュッセル11:59~ロンドン13:26 14:30頃(ユーロスター)Strand Palace Hotel2泊

オペラ「Pelléas et Mélisande」

今年のヨーロッパは地球温暖化の影響なのでしょうか?寒暖の差が激しく昨日とは段違い。10度も気温が上がったようで、太陽も燦々と輝いた朝。初体験のユーロスターでロンドン入り。ところがドーヴァー海峡の手前でストップ。トンネル内の火災報知機が鳴ったので調査中とのアナウンス。いよいよもってついてないわ、今夜のオペラに間に合わなかったらと気が気ではありません。それでもお腹が空いてきて(怒ると空腹になる癖?)ビュッフェ・カーに行って、サンドイッチとコーヒー、水を調達して席に戻りランチ。1時間ほどして動き出しました。(ほっ)

13年ぶりのロンドンは車の大渋滞、人も多くて、あちこち工事中。景気も良さそうですが、物価が高くてびっくり!古びたところが変わらないのはストランドのホテル。でも多少は綺麗になっていて、ロビーに両替屋と荷物預かりの部屋が新設されてました。以前は2階でみすぼらしい中庭の見える部屋だったので、今回はなるべく上階の部屋をリクエスト。最上階の6階でした。部屋の斜めの柱が屋根裏部屋っぽく、ロンドンらしい煙突の並んだ屋根も眺められて簡素ながら快適なお部屋。一泊97.5£ 冷房なしなので扇風機が置かれてましたが、上窓を開け放していると(夜も)、爽やかな風がはいってきますので不要でした。冷蔵庫はありません。お水が一日一本サービスです。

とうとう最後の滞在地ロンドンに無事着いたので、一安心。昼寝もたっぷり。

♪Debussy「ペレアスとメリザンドPelléas et Mélisande」

The Royal Opera   7:00 PM   チケット 170£
Conducter :Simon Rattle
Director:  Stanislas Nordey
Set designs: Emmanuel Clolus
Costume designs: Raoul Fernandez
Lighting: Philippe Berthomé

Arkel: Robert Lloyd
Geneviève: Catherine Wyn-Rogers
Pelléas: Simon Keenlyside
Golaud: Gerald Finley
Mélisande: Angelika Kirchschlager
Yniold: Tom Norrington

The Doctor: Robert Gleadow§

§ Jette Parker Young Artist

ホテルからロイヤル・オペラハウスまでの通りは驚くほど変わりました。ミュージカルの劇場がすぐ近くにもできて、レストランも数え切れないほど・・・。13年前、ミスサイゴンをドルリーレーンで観て、人通りも少なく暗い道を走って帰ってきたことが夢のよう・・・。

 さて、初めてのロイヤル・オペラハウス、どこも初めては迷いますからキョロキョロ。ようやくチケットを引き換え、自分の席に行こうとしたらオーケストラ・ライトの扉が閉まっています。観客席のエリアごとに、二重の扉というのは初めて。15分前くらいにようやくオープン。前から10列目のほぼ中央の席。この公演も1.キーンリーサイド2.ラトルの指揮3.ノルディの演出と見逃せない要素が揃っています。それで日程を延ばしてロンドンまでやってきました。イタリア・オペラのような華やかなアリアもない、観る人によっては退屈なオペラですから、空席もチラホラ。チケットも高いです。ロンドンは美術館は無料なのですから、オペラにも援助が欲しいところです。

ノルディはパリの「アッシジの聖フランチェスコ」が印象に残っています。やはりこの舞台もあのときに近いスタイルで、迫って(笑)きました。幕ごとに巨大三連屏風が開き、それぞれ花や枕に血、岩に眠る男の未完の彫刻など白を基調にしたもの。最後の殺人の場面では、打って変わって血の赤が支配する暴力と死の世界。ペレアスがゴローに刺殺されたとき、メリザンドは「私には勇気が無い」と悲痛に叫びながら城に戻っていきます。子供がお腹にいたから・・・でなかったら、あの場で死んだでしょう。そして出産後、ペレアスの後を追うように死を迎えます。

演出は場面や音楽に合わせて無理なく、そして非凡です。(←これが大事)やや無理っぽかったのは、やはり、衣装の奇抜さ。もう少しエレガントでもよかったような気がします。非現実の王家を象徴したのでしょうか?フィギュア的にはクリオネみたいな感じ・・・実際キーンリーサイドは手を水平にゆらゆらさせた動きで、メリザンドに恋する不安定な気持ちを表現。衣装もイニョルドのボーソプラノとともに似合ってる方でした。(←贔屓目 笑)他のアルケル王やフィンリーたちは見慣れるまで時間がかかりました。メリザンドの真っ赤なサテンのドレスはキルヒシュラガーが美人ですし、スタイルもいいので素敵でした。一番見所の塔の部屋から髪を下ろすシーン、これがノルディらしく、壁に何着も同じ赤いドレスをかけ、その真ん中の高いところにメリザンドが立ち歌います。聖フランソワの聖痕の場面を思い出しました。衣装は似合わないもののフィンリーたち、シニア・クリオネ組みの歌唱も聴き応えあり。イニョルドも1993年生まれといいますから14歳!美少年です。父に強制されて見張り役の不安な表情も可愛く、羊を遠望して歌う場面(大好き!)も見事でした。キルヒシュラーガーは何度か生で聴く機会があったのですが、どれも素晴しく、ホフマンの二クラウスは彼女の右に出るメッゾは今のところ見当たりません。舞台姿にも親しみのある、かつ洗練されたアクションが素敵です。キーンリーサイドもまた彼女と似通った雰囲気があります。そういえば最近二人のディオコンサートがヨーロッパの各地で開かれるようです。ペレアスとメリザンドの音楽のかもし出す幻のような愛の物語にこの二人はぴったりではないでしょうか。人にはどうにもならない運命が待ち受けています。嫉妬の炎に焼き尽くされ、幸せはもろくも手のひらに掴んだ砂のようにこぼれ去ってしまいます。屠殺場に引かれていく羊のように、声もなく・・・。音楽もせつなく、透明な美しさが、心の底にストンと落ちるようでした。

↓イニョルドはWキャストでしたので上で紹介した子とはちがいます。この子も無邪気な感じでいいですね。子供は帽子を被っているので特に似合って可愛いです。

幕間にラトルがお願いありますと客席に向かって注意を呼びかけました。咳をされるときはハンカチをお使いくださいという・・・当たり前なことができない方が多いのです。ドビッシーのこの音楽はとても繊細ななかに台詞にも文学的な意味が含まれています。通常にもましてデリケートな聴衆が求められます。私も気管が弱いので、気を使いましたが、ロンドンは暑いくらいでしたし、体調が良かったので、ほとんど咳もでなくて幸いでした。

オペラは今夜が最後、ほっとするやら淋しいやらで、ひとりでホテルのBARでワインを飲んで、サンドイッチも少し食べて部屋へ。↓ストランド通り、夜でも人通りが絶えません。

参考映像/ドビッシー『ペレアスとメリザンド』 1992年3月 カーディフ・ニューシアター(英)にて収録

 img043.jpg

指揮:ピエール・ブーレーズ  演出:ペーター・シュタイン   ウェールズ・ナショナルオペラ管弦楽団

メリザンド:アリスン・ハーグレイ  ペレアス:ニール・アーチャー   ゴロー:ドナルド・マクスウェル ほか

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2007年ヨーロッパ初夏の旅(ロンドン2) [2007夏ベルリンからブリュッセルまで周遊の旅]

5/24(木) ロンドン一日観光

昨夜の「ペレアスとメリザンド」の興奮がまだ残っていて、朝はぼんやり、頭が働きません。(←いつもでした 笑)、予定ではケンウッド・ハウスでしたが、郊外なので億劫になってしまい、近場のナショナルギャラリーへ。徒歩数分で到着。全部を見る体力はありませんし、13年前と14年前に通い詰めたので、今回は好きな作品が揃っているウィングから入場。イタリア・ルネッサンス絵画のフェッラーラ派の部屋から回りました。撮影禁止なので、画像はナショナルギャラリーのHPから拝借しました。下の2枚はあまり覚えていませんでしたので、今回はじっくり鑑賞しました。

Cosimo Tura 「聖ヒエロ二ムス」1474頃

Piero della Francesca「キリストの降誕」1480年代

1時間ほどの鑑賞のあとはお隣のNational Portrait galleryへ。ここは初訪問。絵画より最上階の眺めの良いレストランがお目当て。そういう人は私ばかりではないようです。随分混んでいました。サーモンのサラダとデザート。味は普通でもお値段は高めでした。★★☆

眺めは↓の程度。なぁんだ~です。

せっかくですから、上階から順に回ってエリザベス1世やヘンリー8世の奥方たちの肖像画を鑑賞。英国の歴史に詳しくないので、この後はヴィクトリア朝まで、あまり面白くありませんでした。

↓路上でアート・パフォーマンス。一心にペイントする女性はなかなかの美人ですが、ちらっと寄付籠を見た目つきは鋭くて、やや興ざめ。

トラファルガー広場は人がいっぱい。

 もうオペラも無いのに怠けてお昼寝。それでも今夜は旅の最後のディナーですから、食い倒れの旅?にふさわしく、ストランドの向かいに建つ高級ホテルSavoyのローストビーフで有名なSimpson'sへ。

エントランスからして立派でおどおど。レセプションのおじさまに「今夜は予約でいっぱいですよ」と断られたので、「この近くにナイスレストランないかしら?」、すると、ご親切に地図を描いてくれました。歩いて2,3分RULESというアンティックな内装の素敵なお店でした。どうしてここを紹介してくれたのかも分かりました。一人客用のテーブルがあるのです。先客が席を立つまで、食前酒をいただいて30分待ちました。次々に入ってくるお客さんは予約なしだと断られてます。とても混んでいます。でも、なんたってお一人様御用達!です。落ち着いた気分で、美味しいお料理を満喫しました。

前菜は季節の野菜のお皿。アンティショークとアスパラ。

メインは骨付き子羊のロースト。ソースが抜群に美味!2003年ブルゴーニュ赤にぴったり。

デザ-トはラズベリ-のブラマンジエ。両脇の丸いのはマカロン。

このレストランは1798年創業という老舗、ロンドンでは有名なお店のようです。サービスもさすがに年季の入った年配の方がとても感じよく対応してくれました。グラスワインもこういうお店ですから高めです。お勧め度 ★★★★★

オペラではキャンセルが多く残念に思うことも多かったのですが、パリやロンドンは予想以上に素晴らしい公演でしたし、 最後にこんなに美味しいものにめぐり合えて、楽しい旅になりました。終わりよければすべて良しです。

翌日は昼にチェックアウト。夕方のフライトまでブリテン・テイトで過ごしました。撮影禁止を知らずに撮ってしまった2枚。(ごめんなさい)

Dante Gabriel Rosseti「聖母マリアの少女時代」1849

同上「見よ、われは主の端女なり」(受胎告知)1850

テイトの別館ターナー・コレクションの前庭。マーガレットが満開。

5/25(金)ロンドン19:00~   5/26(土)成田14:45/18:35~20:15

帰りの飛行機は週末のせいか満席。でも順調に乗り継いで、元気に札幌の我が家に辿り着きました。

迎えた長女が「次はいつ行くの?」私「6.7.8月は出かけないわ」長女「そんなに長く日本に居るの」って・・・ <完>

 


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