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2011年 初夏の旅 (1) 札幌~東京へ  [日本の旅(東京)]

6/15(水) 千歳10:00→羽田11:30   三井ガーデンホテル銀座プレミア 3泊

梅雨の季節に上京するのは私だけではなく、北海道に住む人にとってはビジネスや所用以外では、当然避けたい時期なのです。暑い上にじめじめしたあの湿気は学生時代から5年ほど在京経験がありますが、道産子の私にとってかなり辛いものでした。なのに、この時期に上京しなければならないのは・・・そう、オペラがあるからなのです。

初めてオペラの生舞台に接したのは忘れもしない1996年の6月METの日本公演でした。その後はNYに行くことが多かったので、本場で観られるのだからと自粛していました。それで、今回でまだ3回目のMET日本公演です。

豪華なキャストに目がくらんで、高額のチケットをゲットしたのが、昨年秋でした。まさかの3.11の震災と原発事故が起きたことで、公演が成り立たないのではと心配しましたが、このようなときこそオペラの音楽を舞台を届けたいというMETの熱意が稔った形になりました。主なキャストではカウフマンやネトレプコがキャンセル。ネトレプコのミミはNYで観てますし、「ボエーム」のチケットは手配していませんでしたので、被害はなかったのですが、問題は「ドンカルロ」です。カウフマンのファンとしては、残念の一語に尽きます。カウフマンのドン・カルロは2年前にROH(ロンドンのロイヤル・オペラハウス)で聴いてはいたのですが、この機会に再度聴きたいものと欲張っていました。

ということで、偶然同じ飛行機になった友人のE子さんと東京へ。ところがE子さんはうっかり果物ナイフを手荷物に入れてしまって、それをいったん預け、到着後受け取ることになりました。時間がかかるようなので、一刻でも早くホテルに入り休みたい私を優しいE子さんは察してくれて、空港でお別れになりました。モノレールで浜松町、そしてタクシーでホテルへ(約700~800円)。

お部屋の準備が出来るまで、ホテル内のレストランでブッフェランチ。前菜とデザートが食べ放題でパスタを選ぶスタイル(2500円)。シャンパンベースのミモザをいただいて部屋に入り、気持ちよく仮眠できました。

NHKホールのある渋谷までは今までは新橋からJR山手線を利用していましたが、今回はi phoneの経路検索に従って、地下鉄銀座線で行ってみました。i phone2を使い始めて3年もなるのに、初めてこのMAP経路検索を利用しました。今さらと笑われそうで、ホントは内緒にしたかったのですが・・・(汗)

途中でBさんご夫妻に遭遇して、ラッキーでした。お願いしてあった夏の予習用の資料を貸していただきました。明日はブリュッセルに出発するというご主人、そしてご主人が戻られる5日後にブリュッセルに2泊の強行軍で行かれるというBさんに驚愕・・・心強いミンコ応援団のお二人です。

ヴェルディ『ドン・カルロ』 18:00開演

指揮:ファビオ・ルイジ  演出:ジョン・デクスター

フィリッポ2世:ルネ・パーペ(B)   ドン・カルロ:ヨンフン・リー(T)   エリザベッタ:マリーナ・ポプラフスカヤ(S)    エボリ公女:エカテリーナ・グバノヴァ(Ms)    ロドリーゴ:ディミトリ・ホロストフスキー(Br)    宗教裁判長:ステファン・コーツァン(B)   テバルド:レイラ・クレア(S)

[演奏]メトロポリタン歌劇場管弦楽団 [合唱]メトロポリタン歌劇場合唱団

席は1階左側後方。あまり良い席ではありませんが端なので、体を少し通路のほうにずらしながら観ました。前のほうにも空席が目立ちましたが、移動を監視するかのような係員の視線が厳しく結局は最後までこのまま・・・。

指揮は大好きなルイジでした。2008年の素晴らしかったドレスデンでの『リゴレット』を彷彿とさせるかのような豊かな旋律、時にはうねるような激しい演奏で、ドラマティックなヴェルディを堪能できました。ドンカルロは生はこれで5回目です。オペラ放浪の沖縄のおじさんが同じ演目を5回観ないと駄目だと言っていたのを思い出しました。映像も何回か観ていますから、ある程度は分かったつもりでしたが、今回は「そうだったのか~」と遅ればせながら感じとることも少なからずあり、ますます「ドン・カルロ」が好きになりました。

舞台はMETライブヴューイングやROHでのものより、METらしくオーソドックス。衣装なども豪華ですが、古臭さを感じました。この演出は日本が最後になるのかもしれませんね。

7%20Japan%202011_06_02-289.jpg←METのHPより

幕にはスペイン王家の紋章でしょうか?豪華な緞帳。幕が開くとフォンテンブローの森の場面。ドンカルロのヨンフン・リーが登場。5月にスペインで聴かれた方の評はあまり良くなかったのですが、意外にも透明感のある響く声、一途な恋心の表現にマッチしています。ただ、1幕目の毛皮の着いたコートがエスキモーの青年に見えましたが・・・。2幕目からは黒い衣装になり、貴公子らしい雰囲気になりました。

特筆すべきはホロストフスキーです。ロドリーゴ役やトロヴァトーレのルーナ伯爵など聴いてきましたが、聞かせどころのアリア以外はあまり、熱っぽさのないスタイルの歌唱が多いのです。しかし、この夜のホロさまは初めから熱く、飛ばすこと!友情を誓い合う2重唱も鳥肌ものでした。若く舞台経験の少ない韓国のテノールを支え、日本のファンに応えようと頑張るホロさま・・・素敵でした。

それに反してといっては申し訳ないのですが、パーペのフィリッポ2世の最も好まれているアリア「彼女は私を愛していない・・・」の出来は期待が大き過ぎたようです。感銘度が低かったのはヴェルディはパーペには向かないのか、準備不足なのか・・・両方かな~残念。

そして、ネトレプコキャンセルのあおりを食ったかたちで、エリザベッタからミミに役替えになったフリットリ。彼女のエリザベッタがとても楽しみだったので、代わりにポプラフスカヤと決まったときは本当にがっかりしました。2008、2009のROHでのエリザベッタがこの方でした。しかも苦手で、ブログでも相当けなしていたソプラノなのです。METに急遽呼び出されて否(多分言ったでしょうけれど)応なしの代役で遠くて危ない日本にやってきたせいか、顔色の悪い感じは隠しようもなく・・・。しかし、プロですから、こなれた役でもありますし、無難に切り抜けたのはまずまずでした。

エボリのグバノヴァもボロディナの代役でしたが、ボロディナの不参加表明が比較的早かったこともあり、安定した歌唱や演技でした。2003年のボロディナのエボリには適いませんが・・・。あのときのヴェルニケ演出の舞台での黒いドレスに黒い眼帯姿のボロディナ。その圧倒的な存在感は忘れられません。

そんな過去の舞台と絡み合った感慨深いこの夜の舞台でした。また、空席が目立ったせいもあり、独特の雰囲気も感じられました。震災や原発事故での大きな犠牲・・・以前の日本には戻れないのかも知れません。次回のMET公演のときはこれだけ高額のチケットを買うご時勢ではないかも知れません。その心細さを誰もが感じていたと思います。それを心の奥にひっそりしまいこんで、帰途につきました。ヴェルディのオペラの素晴らしさ、音楽の余韻に浸りながら・・・。

夜食はホテル近くのコンビニで買ったおにぎりとビールで済ませました。

客席からの写真撮影は禁止と放送されていましたが、アンコールのときは良いのかな~と勝手に考えて撮ってしまいました。欧米ではOKというか大目に見てもらえますので・・・。

↓ 左からホロストフスキー、パーペ、ヨンフン・リー

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2011年初夏の旅 (2) 東京 [日本の旅(東京)]

6/16(木)

このホテルがお気に入りになったことのひとつは朝ごはんが充実していることです。普段は朝に弱い私はあまり食欲もなく、コーヒー、ヨーグルト、果物くらいで簡単に済ませることが多いのですが、旅にでると一変します。他人様の用意してくれた朝ごはんは欠かさず、モリモリいただきます。

いつも楽天トラベルのサイトから連泊、朝食付きでの割引料金をチェックして予約します。今回はシングル1泊朝食付きで13300円でした。外国からの観光客が激減していますから、通常より2~3000円は安かったのではないでしょうか。

美味しい朝ごはんの後は新橋から地下鉄で竹橋へ。国立近代美術館で「パウル・クレー展」があり、修学旅行の生徒さんたちも大勢で、ウィークディにしては混んでいました。

↓ 東京近代国立美術館は初訪問

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「パウル・クレー おわらないアトリエ」

スイス生まれのPaul Klee(1879~1940)は20世紀を代表する画家の一人です。今回の展覧会は「クレーの作品は物理的にどのように作られたのか」という観点が特徴です。油彩だけではなく水彩、ペン、パステル、膠絵の具を使って、さまざまな工夫を凝らした手法が4つのプロセスに分けられて紹介されています。それらの作品の繊細でかつ大胆な線描、三次元的な絵画の追求、その一途さに心打たれました。また彼自身が撮影した何枚かのアトリエの写真とそこにかけられていた作品の紹介から作風の変遷を知ることも出来ます。

予定していた作品の貸し出しが拒否されたためか大作が少なかったのは残念ですが、クレーが好きな割りに無知でしたから、ここでお勉強させていただきました。優れた企画展に感謝です。

↓ 「破壊の街」1920 /長島美術館(鹿児島)  (チュニジアの旅で色彩開眼した頃の作品)

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↓ 「襲われた場所」1922/ベルン美術館 (円熟期の作品)

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↓ 「花開いて」1934/スイス・ヴィンタートゥール美術館 (晩年の作品)

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↓ 館内のブックショップで購入した本『クレーの旅』新藤 信/平凡社。

<1914年初夏、マルセイユ港からチュニジアへ出航した若き日のクレーが、北アフリカを旅するなかで発見したものは?色と形のハーモニーを奏でるクレー絵画の源泉を探る>との帯書きを見て衝動買い。

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実は2007年にチュニジアに行ったことがあり、その時クレーの色彩開眼の源となったカイラワンにも立ち寄りました。その折にはクレーのチュニジア旅行については簡単な説明書きしか目にしませんでしたので、詳しいことが知りたいと思っていましたので、ラッキー!

↓「カイルアン、門の前で」1914/ストックホルム現代美術館  

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↓ 「カイルアンの眺め」1914/フランツ・マルク美術館

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上記の作品のあるフランツ・マルク美術館で思い出しましたが、マルクやマッケとクレーは「青騎士」グループ時代から親交があったことも知られています。特にマッケはチュニジア旅行も共にした仲でした。フランツ・マルク美術館はケッヘル湖にあり、風光明媚。下のサイトからバーチャルツアーも楽しめますが、行ってみたい~。

http://www.franz-marc-museum.de/english/index.php?seite=home

↓ ついでに、我が家の玄関に飾ってあるクレー「海の風景」1918のポスターです。

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続きます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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2011年 初夏の旅 (2続) 東京  [日本の旅(東京)]

6/16(木)の続きです。

さて、展覧会場で札幌の友人たちと待ち合わせ、タクシーでホテル西洋銀座へ。ここのレストラン「レペトワ」で昼食をいただきました。4月の「モナリザ」に続いてN子さんに場所の選定と予約をお願いしました。クラシック&ラグジュアリーな高級ホテルなので縁がなく、足を踏み入れたことはなかったので、キョロキョロ・・・おのぼりさん丸出し(笑)

レストランは外窓がないので静か、とても落ち着いた雰囲気です。そのなかでも一段と居心地の良い隅のコーナーが私たち3人のテーブルでした。ランチのお得なコースは前菜またはスープ2品+メイン1品+デザートワゴン&コーヒー 食前酒付きで4200円!

食前酒はスパークリング・ワインで、まずMET日本公演に無事に来られたことに感謝しつつ乾杯!

↓ 一皿目の前菜(特製スモークサーモン)

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↓ 2皿目の前菜(海老のサラダ)

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↓ 私のメイン(すずき?)

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↓ 友人のメインも白身のお魚

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↓ デザートワゴン

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↓ 私のお皿に♪が・・・音楽のお話をされていたからとのこと、素敵なサービス!。右上はイチジクのケーキ

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↓ N子さんは実は何日か前がお誕生日でしたが、サービスの小さなバースディ・ケーキに1本のローソク(○○才+One)に、ますます楽しいひとときになりました。

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↓ 小菓子のよもぎのマカロン

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私たちは趣味や介護にそれぞれ多忙な日常を送っていますので、METのチケットも自分たちの都合の良い日を選んでました。ところが、計らずも同じ日(帰りはばらばらですが)に上京することが分かり、ならランチをご一緒にということになったのです。おかげさまで、素敵な銀座のフレンチ体験ができました。

今夜のオペラでは席がばらばらなのでお会いできるかどうか・・・宿も別なので、いったんここでお別れしました。

昨日今日と札幌より気温の低い、時々雨の涼しい東京です。MIXIで北海道の涼しい風を運びます~とおふざけで書き込んだのが当たってしまいました(笑)ホテルに戻り仮眠のあと上野へ。

ルチアのダムラウは日本ではまだあまり知られていないので、チケットの売れ行きがいまひとつらしく、1階の前列中央が手にはいりました。私はダムラウを一番期待していましたが、赤ちゃん連れでは無理かも・・・私が彼女の立場だったら多分キャンセルするわ・・・とほぼ諦め状態でした。ですから赤ちゃんを連れて来日したと知ったときは嬉しくて感涙。

↓ 赤ちゃん(8ヶ月)の写真。彼女に似てますね~とても可愛いです。孫(1歳)と同じ男の子なので、なんか情が移ってしまう感じ。写真はMETのサイトから拝借(左はルチアの稽古のとき指揮のノセダと、右はカットしましたが、濃い眉の彼、これだけですぐ分かりますね?)

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ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』 18:30開演

指揮:ジャナンドレア・ノセダ  演出:メアリー・ジマーマン

エンリーコ:ジェリコ・ルチッチ   ライモンド:イルダール・アブドラザコフ   ルチア:ディアナ・ダムラウ   アリーサ:テオドラ・ハンスローヴェ   エドガルド:ピョートル・べチャワ   アルトゥーロ:マシュー・プレンク

METのこの演出のルチアはダムラウのほかにデセやネトレプコが歌い、映像にもなっています。『ランメルモールのルチア』はイタリア・プリマ・ドンナ・オペラの最高峰と言ってもいい作品だと思います。

心理学の専門家の助言も仰いで、役の分析をしたという研究熱心なダムラウの日本公演(オペラでは初)。ですから歌唱もパーフェクトな上にその演技も優れたもので、ただただ圧倒されました。席も3列目なので、狂乱の場面のあの行っちゃった目の表情なども良く見えました。ニ幕、心ならずも結婚の誓約書にサインしたあと、エドガルドが現れて、心変わりを責められてからのルチアの絶望から錯乱していくさまは特に圧巻。2幕の幕が下りる寸前、赤いドレス姿で舞台右端、くるくると数回回転しながら狂気に陥っていくルチア。その悲しい運命が胸に迫って来ました。忘れがたいシーンです。

ルチアの実舞台は琵琶湖でのボンファデッリ、ウィーンのグルベローヴァと3回目です。最後にルチアが幽霊になって出てくるのは、今回が初めてでしたが、幽霊に気をとられてエドガルドの絶唱に浸リ切れなかったので、私はマイナス点をつけたいです。

エドガルドのべチャワは何度か聴いています。最初はパリ・デビューだった時のオネーギンのレンスキーでした。フレッシュで透明感のある声に素晴らしいテノールと思いましたが、その後はあまり、印象に残っていません。エドガルドもM・アルバレツか1回きりの代役だったヴィラソンのときに当たりたかったというのが本音です・・・。名古屋で聴いた友人の話では大事な高音のとき裏返ってしまったとのことでしたが、今回はミスはなかったようでした。

ルチッチやアブドラザコフという主役級の低音陣を配したのも、この舞台を盛り立てた大事なポイントでした。最後になりましたがノセダの指揮も悲劇のつぼを心得た、胸にズシンとくる素晴らしい指揮だったと思います。上の写真のダムラウの赤ちゃんの手を握りながらも、鋭い視線を舞台になげかけるマエストロの横顔、良いですね~。「早くこの赤ちゃん何処かへ連れてって」と思っていたかは別にして(笑)

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ダムラウを初めて聴いたのは、2003年のザルツブルグ。モーツアルト・マチネのコンサートでソリストとして歌ったのです。名前も初めてその時知ったのですが、すでにあちらでは活躍していて、CDも何枚も出していて、会場ではそれを買う人が群がっていました。その後、同じザルツブルグで、パーフェクトな夜の女王を聴きましたし、フローレンスとのコンビで歌ったジルダも素晴らしい!の一言でした。4月のロッシーニや今夜のドニゼッティとまだまだ新しい役に挑戦していくと思います。秋にはミュンヘンでホフマンのソプラノ3役も歌うとのこと。ますます、目が離せないダムラウですね!

そうそう休憩のとき、前夜のドン・カルロを歌ったヨンフン・リーがいたので、「あらっ!ヨンさま」と見ていたら傍に居た女性2,3人がお友達で(日本語が出来て、彼とソウルの学校のクラスメートだったそう)通訳してくださいました。次のスケジュールはベルリンでカルメンとのことでしたが、指揮者は誰かわからないとのことで、「えっ?」理解に苦しむお答えですね~。あいにくカメラはサブバックに入れて席に置いてきていて、ツーショット無し。これからのご活躍を期待して握手をしていただきました。いつか何処かの歌劇場で聴くことができますように・・・。

今夜のルチアのためだけでも東京に来られて良かったと幸せな気分で、地下鉄で新橋まで戻りました。夕食抜きですから空腹で、ホテル近くの裏通りで食事しようと歩いていましたら、小さな古い居酒屋さんの小窓が開いていて、若い男性が一生懸命魚を焼いているのが目に留まりました。覘いてみると、サラリーマン風の男性に混じって女性のお客さんも見えましたので、入店。

ビールとお刺身、夏野菜のサラダ、塩昆布のおにぎりをオーダー(2200円くらい)。さすが、築地市場の近く、お刺身も新鮮でグーでした。

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銀座の場末とはいえ一杯飲み屋に独りで入るのは、少々抵抗がありましたが、食いしん坊なので、お部屋でビールだけというのは、美味しいおつまみなしでは耐えられない人なのです。札幌と違って知人に見られる可能性も低いということで・・・(笑)

今日はクレー展から銀座の高級フレンチ、そしてベルカントのルチアの世界から日本の居酒屋文化?と目くるめくような一日を体験して、至極満足しつつ眠りにつきました。


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2011年 初夏の旅 (3) 東京 [日本の旅(東京)]

6/17(金)

今日の予定はまず新橋演舞場での六月大歌舞伎の昼の部鑑賞です。会場までホテルから徒歩数分なので、10時30分過ぎまでお部屋でのんびり新聞を読んだりして過ごしました。

雨が降り、気温は20度と肌寒いほどの天候。新橋演舞場のチケット引き取り機は珍しく行列です。ネットで購入する人が多くなった証拠でしょう。席は舞台向かって左側、花道に近い桟敷席です。二人一組の席ですが隣が空いていたので、広く使えて楽チンでした。最近は1年にせいぜい2回くらいしか来られないので、桟敷席(16.000円)を奮発するようになっています。足が自由に出来るのでとても楽なのです。1.000円のお弁当を買って、席に着き用意されたお茶をいただいていると、開演の時間になりました。

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(1)「頼朝の死」 (2)梶原平三誉石切 (3)連獅子

今月は客足も戻ったそうですし、4月に比べると雰囲気もかなり華やいで来たように思います。それぞれなかなか見応えのある内容でしたが、感想を述べるのは省略させていただきます。7月の遠征がせまり、旅や留守中のことなどやるべきことが多く、時間が取れません。

終演後はホテルの部屋でひと休みし、JR新橋駅から錦糸町のすみだトリフォニー・ホールへ。30分くらいで到着しました。新橋は浜松町にも近く、何処へ行くにも便利です。

♪~新日本フィルハーモニー交響楽団 6月演奏会 17:15開演

ブルックナーの交響曲第8番 ハ短調 /指揮:ダニエル・ハーディング

席は3階中央でした。ここは2回目ですが以前は1階でしたので、迷うことはなかったのですが、今回は席は3階でもエレベーターで5階まで行き、それからチケットに記載された扉を探すのですが、通路も複雑で分かりにくかったです。早めに来たので慌てないで済みましたが・・・。

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ハーディングはザルツブルグ夏の音楽祭(2006)で「ドン・ジョバンニ」を振ったときだけで、コンサートを聴くのは初めてです。期待が大きすぎたのかもしれませんが、このブルックナーには違和感がありました。ゆっくりめのテンポなのですが呼吸感が乏しく、荘重さがあまり感じられません。第4楽章になってようやくハーディングらしい新鮮な息吹の感じられる素晴らしいフィナーレになり、ほっとしました。

絶賛されている方も多かったので、帰宅してから、ティーレマンのも聴いてみました。ブルックナーらしいのは、やはりティーレマンです。好みもあるのでしょうが・・・。新日本フィルはハーディングの棒に良く反応して、その点はブラボーでした。機会があったら次回もこの組み合わせで聴いてみたいと思います。

気になるのはザルツブルグでは当時若き指揮者のホープとしてかなりの期待を集めていたのですが、ウィーンフィルと上手く行かないと言う噂が流れ、第一線から(特にオペラ)やや遠のいたように見られることです。私がチェックする公演に引っかからないと言うだけかもしれませんが・・・。

今夜は最後の夜なので、ホテルのイタリアンの独りごはん。夜遅いのでア・ラ・カルトで前菜とパスタ(ほうれんそうとチーズのラビオリ)の2皿で済ませました。でも苺ベースのシャンパンと白ワインを飲んでしまいました。かなり美味しい店ですが、サービス料10%もかかり(お代7.000円のうち半分はワイン代)高いです。酔ってタクシーに乗ることを考えると、まあ我慢でしょうか。

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顔なじみになったサービスの女の子(ソムリエ?)と「また来るからね~」とお別れ。千鳥足で部屋へ。

「あ~帰りたくない」(涼しいし)。暑かったらさっさと逃げ出しますが・・・笑。

 


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2011年 初夏の旅 (4) 東京~札幌へ帰る [日本の旅(東京)]

6/18(土) 羽田20:30→千歳22:05

ホテルを11時頃チェック・アウト。そのとき荷物の小型キャリーバックを札幌に宅配便で送りました。これで身軽にバックだけで、移動できます。

今日の予定は新国立劇場の「蝶々夫人」をマチネで観て、夜の便で札幌に帰ります。新橋から赤坂見附と新宿3丁目で乗換えのルートで初台へ。途中新宿の伊勢丹に寄るつもりでしたが、買い物をする気分がなぜかおきて来ません。いつもはデパート周りが好きなのですが・・・。ウィンドーショッピングでも疲れるようになって来たのですね。

2時の開演まで2時間もあり、ランチにお蕎麦(写真:メカブ蕎麦セット)を食べたあと、

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コーヒーを飲みながらネットでBさんに紹介された「ユグノー教徒」(ブリュッセルで公演中)の舞台写真をわくわく眺めているうちに、時間が経ちました。

プッチーニ『蝶々夫人』 14:00開演

指揮:イヴ・アベル  演出:栗山 民也  

蝶々夫人:オルガ・グリャコヴァ  ピンカートン:ゾラン・トドロヴィッチ   シャープレス:甲斐 栄次郎  スズキ:大林 智子  ゴロー:高橋 淳   ボンゾ:島村 武男  

奇しくも10年前の6月、METの日本公演とセットでここ新国立劇場で同じ「蝶々夫人」を観ていました。演出は栗山昌良さんのオーソドックスな桜の花の綺麗な舞台でした。今回は中央に緩いカーブの階段と日本家屋(畳と障子)が配置され、階段上には星条旗がはためいています。アメリカと日本の上下関係が現在まで続いていることを示唆したとのことです。イヴ・アベルの指揮もすっきりとしたスタイルだったせいか、全般にイタリア・オペラらしくない物足りなさも感じられました。

蝶々夫人のグリャコヴァはオネーギン、マゼッパ、賭博者とロシア・オペラばかり聴いていたからでしょうか、またこの日はやや不調だったのか声が重く、それに慣れるまで少なからず違和感がありました。2幕の 「ある晴れた日に」から子供との別れのアリアまではさすがの集中力でした。白無垢の内掛け姿、日本の女の中腰での所作も完璧に近く、大変な努力の賜物だと思います。こんなに美しい蝶々さんは滅多に観られないでしょう。ピンカートンを待ちくたびれて、哀しみのあまり一種の狂気に陥っていくことも強調されたこの演出は2005年がプルミエとのことです。

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上のプログラムの表紙は今回の出演者ではありません。グリャコヴァの白無垢の花嫁衣裳に赤い花を髪に挿した姿は忘れがたく瞼に残りました。こんなに美しい蝶々さんは、今後見られないでしょうね。

他のキャストもそれぞれ良い演奏、演技も大げさなところが無く自然で、好感を持ちました。観客はMETの公演と重なりましたし、8割程度の入りでした。

終演は5時近く、地下鉄で新宿乗り換え大江戸線の大門へ。一度地上に出ますが、すぐ浜松町のモノレールがあり、約1時間後に羽田に到着。先に出発する便に振り替えてもらおうとしたのですが、前売28のディスカウントチケットなので、変更できません。それならと、ゆっくり夕食をとることにして、落ち着けるところを探し「キハチ・グリル」へ。

前菜に白アスパラと温泉卵、メインは鮭とキャベツとパスタ、デザート3種のセットに白ワイン(カリフォルニア)

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最後までグルメしてしまいました。ですから必然的に帰宅後の体重計は予想を上回る目盛り。青くなってしまいましたが・・・自業自得ですから(涙)。

さて、観るまでは疑心暗鬼状態のMET公演でしたが、意外にも本場に劣らぬ舞台に接することが出来たので良い旅になりました。(終)

追記:そうこうしているうちに夏のヨーロッパ行きまで1ヶ月を切り、気忙しくなってきました。このブログと併行して、予定表を仕上げ、これから詰めに入ります。

http://homepage3.nifty.com/teruterubouzu-travel/newpage30.html

http://homepage3.nifty.com/teruterubouzu-travel/newpage31.html

 


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2011.9 初秋の東京4泊5日の旅(1) [日本の旅(東京)]

9/22(木) 千歳10:00→羽田11:30

三井ガーデンホテル銀座プレミア 4泊(1泊15.000円朝食付き)

 ボローニャ歌劇場とバイエルン歌劇場の日本公演は昨年からチケットも売り出され、テノールの2大スター、ファン・ディエゴ・フローレスとヨナス・カウフマンも来るとあって、大層な盛り上がりでした。しかし・・・3.11の震災と原発事故のため、一挙に暗雲が漂い始め、最終的にはボローニャの3演目の主役テノール3人(リチートラは不慮の事故で死亡)が交代と言うことになりました。私が申し込んであったのはボローニャの『清教徒』と『エルナーニ』、バイエルンの『ローエングリン』です。

テノールの交代には本当に気落ちしましたが、友人たちにも会えますし、なんとか気持ちをとりなおし、さて上京と言うところで、またもや問題発生・・・・大型台風15号の襲来です。出発の前日21日は関東圏は暴風雨で飛行機は欠航。当日は北海道が暴風雨圏内に入る予想とのことで、出発は不可能と思いました。ところが関東~東北から北海道の太平洋沿岸に逸れてしまったのです。札幌はほとんど台風の影響がなくなり、予定通り8時ごろ我が家を出発しました。

飛行機が飛んでも前日分の積み残しもあり、遅れることも予想されたのですが、定時に出発できました。本当にラッキーでした。

台風が来る前は東京と札幌ではかなり気温差(10度くらい)があったのですが、到着してみると意外に涼しくて、ほっとしました。

ホテルに直行して部屋の用意が出来るまでは、レストランでブッフェ・ランチをいただきました。前菜とデザートがバイキングでメインにはパスタか他のお皿を選ぶスタイルです。飲み物はミモザ(オレンジベースのシャンパン)を1杯。

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食事が終わると部屋の用意も出来ていました。前夜は台風が気になってあまり眠れませんでしたから、1時間ほど仮眠をとりました。

着物に着替えて4:30からの歌舞伎観劇へ。摺り更紗小紋の単衣、帯は黒の縮緬の染め帯。藤紫の帯揚げと帯締め。

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ホテルを出るころになって雨が降り出してきました。ホテルのレセプションの男性が雨ですが傘はお持ちですか?と声を掛けてくださって・・・ここのホテルは感じのよい優しい人が多いです。着物を濡らさないように歩きましたが、徒歩数分とはいえ新橋演舞場までは遠く感じられました。

さすが、歌舞伎座はこの雨の中でも和服の方が大勢でした。

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 秀山祭九月大歌舞伎 16:30~20:30

一部:『沓手鳥孤城落月 ほととぎすこじょうのらくげつ』坪内逍遥作

二部:口上  三代目中村又五郎 四代目中村歌昇襲名披露

三部:『車引 くるまびき』菅原伝授手習鑑より

四部:『石川五右衛門』染五郎の宙乗り

今回の出し物は襲名披露の口上や宙乗り、篭脱けというスペクタルな舞台に淀君狂乱とストーリーも娯楽色の濃い物が多く、それなりに楽しみました。お芝居の途中での大薩摩と三味線の演奏は生の舞台で聴く素晴らしさを感じさせてくれました。

吉右衛門や仁左衛門のファンなのですが、地方からは滅多に来られません。お隣の方は千葉市にお住まいの同年輩の女性でしたので、いろいろ昔話をして幕間も楽しく過ごせました。

止まない雨の中ホテルに帰り、千歳空港で買ってきたソフト帆立をおつまみにビールを飲んで、お風呂に入って就寝。

 

 

 

 


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2011.9 初秋の東京4泊5日の旅(2) [日本の旅(東京)]

9/23(金)

 ここのホテルで一番気に入っているのは、野菜たっぷりのブッフェスタイルの朝ごはんです。滞在中は毎朝欠かすことなくいただきました。

今日は美術館巡りはパスして、久しぶりの銀ぶらを楽しみました。新しく増築された三越へ。ハイヒールが辛くなって、ほとんどはかなくなって久しいのですが、船底でも少しはフォーマルに見える黒い靴を探して購入。ウィンドー・ショッピングをして、2階のラ・デュレでお茶をしました。

↓ マカロンはパリのより皮が柔らかで、ぺしゃっとしてあまり美味しくなかったのは残念でした。

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↓ 窓際の席からの眺め

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昼食には三越のレストラン階でお蕎麦を食べて、ホテルに帰り休憩。仮眠の後、昨日と同じ着物で上野へ。

 ヴェルディ『エルナーニ』 東京文化会館 15:00開演

指揮:レナート・パルンボ  演出: ペッペ・エ・トマージ 

エルナーニ:ロベルト・アロニカ   ドン・ルイ・ゴメス・デ・シルヴァ:フェルッチョ・フルラネット  

ドンナ・エルヴィラ:ディミトラ・テオドッシュウ   ドン・カルロ:ロベルト・フロンターリ

エルナーニは数年前NYのMETで観たのが唯一の生体験でした。フルッチョ・フルラネットが同役でドン・カルロはT・ハンプソンというキャストで満足な舞台でしたが、エルヴィラが苦手なソプラノだったので、今回はテオドッシュウで聴けると、大層楽しみにしていました。

フルッチョ・フルラネットはNYのときは随分老けて見えたのですが、今回は動きや演技が以前より自然に見えました。そして、あの低音の気品ある響き!哀感と共にずしりと胸に迫りました。

NYで観たときはストーリーにかなり無理があるように思いましたが、今回はそれぞれの歌手のパフォーマンスが良かったせいでしょうか、人物像がくっきり浮き上がり、優れたイタリアオペラを観たと言う満足感を持つことができました。フロンターリはやや苦手ですが、代役のアロニカのパワーのあるドラマティコな歌唱は細かい表現と言う点ではやや物足りない面もありましたが、急な出演といい充分聴かせてもらい満足。テオドッシュウは声量はあまり無かったのですが、一流のテクニックは健在で、全盛期にキャンセルなどで聴かれなかったのは今さらながら本当に残念に思いました。

大聖堂と城館をミックスしたような、重厚豪華な舞台も見応えがあり、終盤の悲劇に向かって、胸がドキドキする緊迫感がありました。パルンボの指揮とボローニャ歌劇場のオーケストラも一体になって、熱を帯びたような演奏に大感激でした。

会場で一緒になった札幌から今日到着したNさんと妹さんの3人で、ホテルに戻りました。夕食はホテルのレストランで。シャンパンで素晴らしかった『エルナーニ』に乾杯。ここのイタリアンはかなり美味しいうえに飲みすぎてもお部屋にすぐ帰ることが出来るので、便利です。ソムリエやサービスの人たちとももう顔見知りになりました。

アミューズ、前菜2皿、メイン、デザート、コーヒー

↓ メインのお皿。豚肉で包んだフォアゴラ(意外に淡白)

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ワインもイタリアの赤、白といただいて酩酊・・・汗。


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2011.9 初秋の東京4泊5日の旅(3) [日本の旅(東京)]

9/24(土)

友人のNさんと朝食を一緒に済ませたあと、明日で終了するという『空海と密教美術展』(上野)へ。

三連休の中日のうえ、今日は朝から青空の広がる良いお天気。上野も動物園や美術館目当ての家族ずれなどで凄く混雑していました。おまけに公園中央部が大工事中で、国立博物館までは遠回り。NETでチケットは購入済でしたが、平成館内に入るまでが入場制限のため40分待ちとのこと。チケットを買っていなかったら諦めたところですが・・・。日差しが強く、暑いなかの行列は本当にハードでした。

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ようやく館内に入りましたが、既に疲れてしまって、戦意喪失(汗)仏像だけ見るというぶっちぎりの鑑賞ルートで周り、それでも1時間以上はかかりました。芸術新潮の特集号で予習してきたはずですが、全然憶えていなくて、混雑と暑さで頭もボーっとして、倒れる寸前。ようやくティー・コーナーに行きウーロン茶とあんみつをいただいて、ようやく人心地がつきました。

移築された大きな大名屋敷門の横から法隆寺館へ。遅いランチですが、ここも並びました。ドライカレーを注文したのですが、これがホテル・オークラの出店なの~?というお粗末なもので、がっかり。コーヒーを飲んで2時半近く、午後のオペラのため東京文化会館へ移動。

ベッリーニ『清教徒』東京文化会館 15:00~

指揮:ミケーレ・マリオッティ    演出:ジョヴァンナ・マレスタ

アルトゥーロ:アントニーノ・シラグーザ   リッカルド:ルカ・サルシ   エンリケッタ:ジュセッピーナ・ブリデッリ   エルヴィーラ:デジレ・ランカトーレ    ヴァルトン:森 雅史   ジョルジョ:ニコラ・ウリヴィエーリ

1幕が始まってまもなくウトウトしてきました。さきほどの美術鑑賞の疲れがじわ~、それにマチネは恥ずかしながら、平常は私のお昼寝タイムの時間帯なのです・・・ 。リカッルドの失恋のアリアから意識不明でしたが、そろそろシラグーザが登場のあたりで、ぱっと目が覚めたので、上出来(笑)

ドキドキして待ったシラグーザのアリア「A te o cara~」彼らしい澄み切った歌声を聴いて、本当に安堵しました。実は彼のCDのアリア集に入っているこの歌がとても気にいって、数年前ブリュッセルで聴けるというので旅のスケジュールに入れていました。ところが不調でキャンセルされてしまったという残念な出来事がありました。

好調のときに比べると高音が少し割れて聴こえましたが、今の彼としてはフローレスの代役を引き受け、日本のファンにアッピールする場面での最高の出来であったと思います。しかもオーケストラとの合わせもなく、ぶっつけ本番だったそうです。最後は少し、息切れしたようですが・・・。素晴らしいアルトゥーロに大拍手!

さてランカトーレのエルヴィーラですが、彼女なりに頑張って歌いました。一時の絶不調からここまで復調したのは立派です。まだ30代前半?でしょうか。10年前くらいに初めてパリでホフマンのオランピアを聴いたときの輝かしいコロラトゥーラを期待するのはもう無理かも知れませんが、まだ若いのでこれからはあまり声を酷使せずに精進してくださると良いのですが・・・。

9年前に観たバイエルンの清教徒はグルベさまでした。予習のDVDもグルベさまでしたから、比較してはいけない思いつつ・・・ビジュアル的には可愛くて綺麗なのはランカトーレですし・・・「愛する人を帰して~」狂乱のアリアは涙無しには聴かれませんでした。

若い指揮者のマリオッティ、ボローニャ管弦楽も素晴らしい演奏でした。この日が清教徒の最終公演とあって、カーテンコールも盛り上がりました。6月のMETのときよりも満席ではなくても席もほぼ埋まり、明るいムードでした。しかし、ボローニャの次の日本公演は限りなく不透明なようです。

舞台のはねたあとはフローレスファンの友人Kさん、Mさんの3人で上野駅構内のレストランへ。内装もクラッシクな素敵なレストラン。それでいてカジュアルな雰囲気です。部屋の奥のテーブルで、フローレスが来なかった残念会兼追っかけミラノの打ち合わせ。お喋りに忙しく写真はありませんが、前菜にエスカルゴ、生ハム、ラタトゥイユ、メインは牛肉の柔らかな煮込みと白身のお魚のお料理、ワインはシャブリを美味しくいただきました。食事の終わり頃にM子さんがボローニャ歌劇団のバイオリニストのお友達を連れてきてくださって、少しの時間でしたがお話できました。通訳は語学の天才M子さん。Kさんもイタリア語はお上手なのに、私は全然出てこなくて・・・汗でした。 

Kさん、Mさんとミラノでの再会を約束してお別れしました。


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2011.9 初秋の東京4泊5日の旅(4.5) [日本の旅(東京)]

9/25(月)

この日は山種美術館の「知られざる歌舞伎座の名画」(歌舞伎座建替記念特別展)の見学。

恵比寿のJR駅からタクシーで700円ほど。いろいろと懸念の大きかったボローニャ歌劇場の2公演を終えて、ほっとしたのか疲れ気味でしたが、空海展に比べると見学者も極少なく、久しぶりに日本画をじっくり鑑賞できました。9/17~11/6まで。

↓ 上村松園「円窓美人」1943 歌舞伎座蔵

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↓ 川端龍子「青獅子」 1950 歌舞伎座蔵

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↓ 奥村土牛「鯉」1951 歌舞伎座蔵

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ほかにもまだまだ素晴らしい作品が展示されていましたが、絵葉書になっているのは限られています。

入り口左にティールームがあり、和菓子(娘道成寺)に抹茶でひと休み

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さて、これからバス停をさがして渋谷にでて、ゆっくりランチと思った時でした。なんと!オペラのチケットをホテルに置いてきたことに気がつきました。やれやれまたやってしまいました・・・トホホ。

タクシーで慌てて恵比寿の駅に戻り、昼食の時間はとれなさそうなので、駅の上にある千疋屋でフルーツサンドを買って、新橋まで。ホテルの部屋に戻り、備えてあるドリップコーヒーを沸かし、慌ただしい昼食を済ませ、14:00頃に地下鉄で渋谷へ。

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15分前にNHKホールに到着しました。ロビーの上階で、トランペットのファンファーレのサービス。バイロイト気分だわとご機嫌な私でしたが、プログラムは有料、しかも3.000円にむかっ(笑)ボローニャのほうは無料でしたから・・・。フジテレビよりNBSのほうが財政困難なのは承知です。仕方ないですね。METと今回のボローニャ、バイエルンのキャンセル騒動に懲りたので、しばらく東京での外来公演には足は向かない(向けない)つもりです。

ワーグナー『ローエングリン』 NHKホール 15:00開演

指揮:ケント・ナガノ   演出:リチャード・ジョーンズ

ハインリッヒ王:クリスティン・ジークムントン   ローエングリン:ヨハン・ボータ   エルザ:エミリー・マギー    テルラムント:ファルク・シュトルックマン  オルトルート:ワルトラウト・マイヤー   王の伝令:エフゲニー・ニキーチン

バイエルン国立管弦楽団 バイエルン国立歌劇場合唱団

ボローニャのよく言えばオーソドックス、悪く言えば古臭い舞台のあとのせいでしょうか、斬新な演出がとても新鮮に感じられました。演奏が始まる前から家の土台を造るコンクリート煉瓦を積む作業をしています。そして、お下げ髪に作業スタイルのエルザがマイホームの設計図を書いています。指揮のケント・ナガノがすでにピットに入っていて、時間になったら立ち上がってやおら棒を振ると、ワーグナーの世界が広がって、わくわくしました。ローエングリンの生は初めて。

休憩は35分のが2回入り、その間に家も出来上がっていきます。想像していたより、本格的な建物。それにあわせて物語も進行するのです。家を造る人々は青いシャツ(ブルーカラー)の労働者たち、庶民の願うつつましいマイホームはエルザの愚かさのため(オルトルートにそそのかされたとはいえ)崩壊し、神から使わされた正義の統治者は去っていきます。エルザの女としての後悔の嘆きよりも実はもっともっと辛い結末を予測させながら幕が下りました。

カウフマンのキャンセルでがっかりしたもののボータが代役と知ったとき、正直歌はボータのほうが良いかもと喜びました。今回の公演の初日でもあり多少堅さはありましたが、やはり素晴らしいローエングリンを聴くことができました。ただビジュアル的な辛さはあります。カウフマンが青いTシャツ姿のところは青いYシャツ(しかも裾広がり)のスタイル。新婚の夜に新居に入り階段を上ったり、バルコニーに出たりするところも、ハラハラしました。一度階段の上がり口の手すりのところに寄りかかって歌ったとき、ギシッと音がしたときはハラハラを通り越してヤバイ!転んで怪我をしたら大変ですから。そのせいか次は椅子に腰掛けて歌ってくれた「聖杯の物語」。ボータの清らかな声はあくまでも哀しく気高く響きました。素晴らしい!!

エルザのエミリー・マギーは上手だとは思いますが、引き込まれる魅力に欠けています。昨年新国立劇場で観た「影の無い女」でも同じ印象でした。対照的なのはオルトルートのマイヤー。歌唱を聴くと下り坂にあることは承知しても、役柄になりきったパフォーマンスは文句なしです。彼女が登場しただけで舞台が引き締まります。

カーテン・コールでケント・ナガノにブーをした人がいました。好みはそれぞれですが、こんな状態の日本に来て、しかもスタッフ総勢400名のうち100名もの辞退者があり、音楽監督としての苦労も多々あったでしょう。それなのにブーはひどすぎませんか?

Nさんは帰札して今夜は独りで夕食。銀座の天麩羅屋で野菜のてんぷら定食をいただいて、ホテルに戻りました。

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9/26(月)

昨日のローエングリンの終演が1時間早ければ、札幌に帰る最終便に間に合ったのですが、無理と判断して1泊余計に泊まりました。さすがに4夜連続の観劇で疲れました。

朝食の後は荷物の整理をして、11時にチェックアウト。荷物はホテルから宅配便で送り、身軽になって、東京駅へ。友人のBさんと丸ビルのタイ料理のレストランで、ブッフェランチ。35Fですが、生憎の雨で視界は悪かったものの、Bさんとふたりでじっくりおしゃべりができて、楽しい時間でした。次回は海外で会えるかも・・・。

もう、動くのも億劫なくらい沢山いただいたのですが、山手線~モノレール~羽田ターミナルと移動しているうちにこなれてきたようで(笑)搭乗口に最近の改装後に出来た築地の寿司屋さん(カウンター)でばらチラシ寿司の折を買って、機上夕食。すっかり胃が広がった感じ=体重増加をひしひしと感じつつ帰宅しました。

追記:秋のヨーロッパ 

http://homepage3.nifty.com/teruterubouzu-travel/travelplan2011.html

フローレスが来日しなかったからと言うわけではなく、以前からスカラ座の「湖上の女」のチケットが取れたら行こうと思っていました。幸いゲットできましたので、他のチケット(ウィーン)はまだ確定しないものもありますが、取れなかったら別の案(コンサートやロマネスク)の用意もでき、万全と言いたいところですが、移動が多くかなりハードになりそう・・・。


タグ:山種美術館
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