2010年初冬の旅1 母娘の沖縄旅行(3泊4日) [日本の旅(その他)]
長女と二人で旅をするのはニューヨークの旅以来8年ぶりです。私や次女と違って、それほど旅好きではない長女が何処か暖かいところへ行きたいといいだしたのです。そろそろ国内旅行も良いなあと考えていたところでした。11月に九州へ家族旅行のプランがあったのですが、思いがけない事態が起こり、直前キャンセルしてしまいました。なんとか出かけられるようになって、いろいろ検討した結果、シーズンオフのため格安のJAL系パックツアーで、沖縄を目指すことになりました。航空券とホテルがセットになったフリータイプのものです。
沖縄は27年ぶりです。40歳の誕生日プレゼントに旅(費用と暇)を夫に要求して見事獲得、ツアーに参加したことがありました。あのとき子供たちは12歳と8歳でした。今思えばかなり大胆な母親でした(汗)。共働きで、普段から留守番のおばさんに午後は来てもらっていましたから、4日間の旅の間は夕食の支度もプラスしてお願いできたのです。これが家族を置いてでかけるようになった初めての旅でした。あの時はひめゆりの塔などの戦争の痕跡の残る地を巡る旅でしたが、今回は離れ島での美しい海とグルメが目的です。この30年の間に流れた時間、社会や世相の変わりようが透けて見えるような・・・。
12/6(月)
千歳10:30→羽田12:05/13:30→石垣島17:00 軽井沢倶楽部ホテル石垣島 2泊
出発する朝は札幌は晴れ、気温は5度。まだ雪も積もっていませんので、すべり止めのつかないウオーキングシューズでOKでした。羽田からの石垣島直行便に搭乗したとき、機内を何気なく見渡して驚きました。顔が浅黒い人が大勢!半分以上は地元の人たちのようでした。富士山が綺麗に見えますというアナウンスで、手持ちのカメラで撮影・・・ところが望遠レンズが動いたとたんに故障してしまいました。軽いので古いほうのを持ってきて大失敗!この後は携帯のカメラで写したものばかりです。沖縄本土を抜けると低空飛行になり、久米島や宮古島、点在する小島の美しい景色が現れます。島の周りのさんご礁に砕け散る白い波が輪のように島を縁取って、思わず感嘆!
「日本の最も美しい村」に登録された「多良間島」の上空写真↓(HPから拝借)。
石垣島には定刻5時に到着。曇り、気温は23度。4時半には日没で暗くなる札幌に比べるとまだまだ明るいのにびっくり顔の母娘でした。ホテルから出迎えのタクシーで、空港から10分ほどのホテルへ。サトウキビ畑が懐かしい風景。レセプションで明日の八重山諸島めぐりのツアーを申し込んでから部屋へ。
マッサージチェアつきの広々スィートルーム。おまけに連泊なので豪華ディナーも2回(創作料理4,200円とフレンチ10500円)つき。今夜は創作料理を選びました。飲み物はシャンパンに泡盛ベースの梅酒。
前菜・・・石垣島近海産キハダ鮪と生湯葉、アボカドのカンノーリ仕立て 長命草と青紫蘇風味のドレッシング
魚料理・・・紅芋と馬鈴薯で巻いた天使海老と笛吹鯛の包揚げ 島野菜の素揚げに石垣の塩を添えて 和風アメリケーヌソースで
肉料理・・・沖縄産鶏とフォアゴラの八幡巻きの照り焼き ゴーヤ、アダン、ハンダマを添えて 山葵と島胡椒の香りのソースで
強肴・・・アロエと独楽貝(テラジャー)のりんご酢和え
お食事・・・握り寿司4貫 鮪、ヤイトハタ、袖烏賊、海老
水菓子・・・シークァーサーシャーベットと島豆腐のババロアにフルーツを添えて
メニュ表をいただいたので書けました(フーッ)。地元の食材を使ったお料理はヘルシーで、とても美味しかったです。
マッサージチェアでもみもみした後は館内の大きなお風呂で入浴、就寝。
2010年初冬の旅2 (八重山諸島巡り) [日本の旅(その他)]
12/7(火)
朝寝坊なところはそっくりな母娘です。必然的にゆっくり出発する西表島と由布島に絞った観光コース(1名11、800円)を選びました。日本最南端の島々は八重山諸島(西表島、由布島、竹富島、波照間島、与那国島、新城島、小浜島など)と呼ばれています。最西端の与那国島は沖縄本島より台湾に近く(111キロ)、まさに国境の島です。石垣島に2泊したくらいでは、離れ島ツアーといっても時間が足りなくて、このうち3島を巡っただけですが・・・。
焼き立てをテーブルまで運んでくれるフレンチトーストやオムレツの美味しい朝食をいただいた後は、9時頃のタクシー(ツアー代に含む)で離れ島ターミナルへ。あいにくこの日は風が強く、20度といっても体感温度は15度くらい、今にも雨が降りだしそうな曇り空の寒い日でした。
西表島の大原港までフェリーで40分、ジェットコースターに乗ってるような激しい昇降・・・船酔いはしたことはありませんが、心配になりました。それでも後半は穏やかな航路になりウトウト。桟橋に係員の方が迎えに来ていました。私たちのほかは千葉から来られたという若い女性ひとりの計3名だけでした。小型のボートに乗り換えて仲間川のマングローブクルーズへ。
海から大きな橋をくぐるとマングローブの群生する森のなかをボートは進んでいきます。川は濁っているのでなくマングローブの木々の根元からでる養分だそうです。また普通の森林の5倍の酸素を吐くとのこと。
すれ違うボートには団体客が大勢です。この時期は個人客は少ないとのこと。
30分ほどで船着場。ここから徒歩で木橋を2~300メートル行き、大きな「サキシマスオウノキ」(天然記念物)を見学しました。
この木はマングローブの種類ではなく、普通の森林との境に生えるそうです。
マングローブの木々の根元に海老や貝などが棲んでいるので、イリオモテヤマネコも餌獲りに現れるかもと言われたのですが・・・そう簡単には見られませんよね~。
下の写真はこの川で獲れた巨大蜆
この島で一番有名なのはイリオモテヤマネコです。100匹ほど棲息しているそうですが、交通事故に遭うことも毎年数件あり、あちこちに注意の看板が立っています。
出没する区域の道路は横に線が敷かれ、音を出してイリオモテヤマネコに車が来ることを知らせたり、道路の下に猫用トンネルを造ったりして、保護に努めています。絶滅危惧野生動物に指定されています。残念ながら遭遇はかないませんでしたので、写真を西表野生生物保護センターのHPから拝借。
昼食は日本最南端の温泉といわれる西表島温泉のレストランで。地元産の黒紫米のご飯、パパイヤの佃煮、ゴーヤ、ミミガーなどのお惣菜、ツアーのお弁当にしては上等な部類でしょうね。美味しくいただきました。ここの建物の前庭や道は低い網で囲まれています。ハブ除けだそうです。
ここから南へ数分戻り、美原から由布島までは水牛車に乗って渡りました。ほとんど地続きと言ってもよい距離にありますが、干潮のときに渡ります。
私たちが乗った水牛くん。人間で言えば還暦くらいの歳で、引退間近だそうです。
休憩中の牛たち。豊かな自然のなかで、おとなしくおっとりした感じでした。
この由布島には小さい植物園もあり、温室内には人懐っこい蝶々(オオゴマダラ)が自由に飛んでいます。蜜をふくませたスポンジが置いてあって、それを指先につけると蝶が止まります。
この蝶のさなぎは黄金色!
思いがけず珍しいものが見られました。水牛に乗って由布島を離れ、港から高速艇で石垣島に帰りました。
ホテルのロビーではコーヒーとケーキのサービスがありました。部屋で読書やマッサージチェアでもみもみしたあと夕食へ。
前菜・・・石垣沖で獲れたカンパチのマリネの低温真空調理 海葡萄と芥子菜を添えて ほんのり辛い赤ピーマンとアンチョビのソース
2皿目の前菜・・・手長海老と茸のカイエット ゴーや風味 トリュフ風味の田芋のピュレと手長海老のソース
スープ・・・石垣島の紅芋のエスプーマを乗せたコンソメスープ フォワグラの香り
魚料理・・・スジアラ(アカジンミーパイ)のポワレ ふだん草添え マセラシオンソース ナーベラー(へちま)のソテーに乗せた帆立貝と石垣産車海老を付け合せに
肉料理・・・石垣牛フィレ肉のポワレ 島コショー(ピパーズ)の葉で作った合わせバターを乗せて フーチバー(蓬)の入った焼きリゾット 島野菜のオモニエール添え
デザート・・・石垣産パパイヤとホワイトチョコレートのティラミス レモングラス風味のアイスクリーム
グラスでシャンパンと白ワイン。美味フルコースディナーで、お腹がいっぱいになりました。明日このホテルを発つのが名残惜しい気持ちになりました。
2010年初冬の旅3 (石垣島~那覇) [日本の旅(その他)]
12/8(水) 石垣島14:20→那覇15:10 沖縄ナハナ・ホテル 1泊
軽井沢倶楽部に連泊のお客さんは2日目の朝食はビュッフェのほかに特別和食の膳が運ばれます。このホテルの行き届いたサービスの数々に感激でした。建物はやや古いものの、従業員さんたちの笑顔や心配りも行き届き、母娘で「また来たいね~」と言いながらチェックアウト。
お迎えのマイクロバスで離れ島ターミナルへ。午前中は竹富島の観光(1名4,700円)です。石垣島からはフェリーで10分と近いので半日で充分です。私たちはバスと牛車のセットでお願いしましたが、サイクリングで回るコースなどもあります。昨日と同じジェットコースターのような高速艇で竹富島に上陸。今日は気温は17度と昨日より低いのですが、青空の見える良いお天気になりました。それでも地元のかたたちは例年12月はまだ秋なのに、これなら冬(1月、2月)だとこぼしていました・・・。北海道に住んでいる私たちにすれば贅沢な~と思いますが、紅葉もなく年がら年中同じ景色のなかで過ごすのはやはり耐えられないかも・・・。
さて、船着場から近くの資料館をちらっと見てから、数人のグループの方たちと同乗して竹富島観光へ。島を1周しても9K、人口300人程度の小さな町ですが、赤瓦木造の民家の集落が保存されています。まず島を横断して星砂の浜へ。携帯の写真では良く写っていませんが、青い遠浅の海がとても綺麗です。野良猫ちゃんたちの相手をしながら、☆型の砂を数個拾って、水牛車の乗り場へ。
重要伝統的建造物群保存地区に指定されている集落を眺めながら水牛車に乗って回りました。私たちの乗った水牛は北海道生まれの若い雄。北海道に水牛なんている?と聞いてみましたら、チーズ作っているでしょうと・・・そうそうモッツァレラチーズ!とても美味しいのです。道産モッツァレラを愛用していながら忘れていました(笑)。雄だからここに売られてきたそうですが、カーブも上手に回ってなかなかお利口さんでした。今、写真をみたら放尿用の黄色いバケツが・・・。
水牛車を降りて、木造赤瓦の民家にサンゴ石の塀の並ぶエリアを散策しました。白い砂を敷いた道も綺麗です。
石垣島に戻りフェリーのターミナル近くの食堂で八重山そばのランチ。飛行機の出発まで時間があるので、鍾乳洞の見学をしました。太古のさんご礁から生まれた鍾乳洞は一部イルミネーションされて、神秘的でした。
石垣島を離れ那覇へ。ホテルはモノレール旭橋駅から徒歩5分、中級規模のビジネス系ホテルです。ひと休みした後はモノレールで牧志駅へ行き、国際通りを歩きました。まず、伝統工芸館で人間国宝の作家たちの織りや染物、漆器などを見学しました。ここはお土産屋が主体のようで、あまり展示品は多くないのが残念でした。夕食は国際通り中ほどの観光客相手らしき(ショーもやっている)レストランで。私たちはショーのない静かなフロアを選びました。生のオリオンビールに琉球家庭料理をいくつか注文。石垣での豪華夕食のあとでしたが、これはこれでヘルシーで素朴なお味。とても美味しくいただきました。
海ぶどうの梅和え
ボロボロジューシー
沖縄そば
こうして、沖縄最後の夜は更けました。
2010年初冬の旅4(那覇~札幌) [日本の旅(その他)]
12/9(木)
余談ですが、このブログを開設してから今月末でほぼ5年になります。この間日本の旅はほとんどが音楽や歌舞伎などが目的の東京への小旅行ばかりで、ブログに記録したのは海外の旅に付随した部分だけでした。
残念なことに次第に海外に出かける体力もなくなってきています。家人の事情もあり、これからは気楽な国内旅行も楽しんでいきたいと思い、カテゴリーに「日本の旅」を追加しました。
さて、沖縄旅日記に戻りましょう。27年ぶりの那覇は市内中心にモノレールが走り、すっかり近代的な中都市になっていました。高いビルも増えたので、以前のような基地の町のイメージはほとんどありません。夜の国際通りにもアメリカの軍人さんたちの姿はまったく見かけませんでした。
しかし、沖縄本島は今回は那覇だけの観光でしたから、以前ツアーで訪れ同行のおばあさんたちと涙したひめゆりの塔などへは立ち寄りません。その代わりに首里城公園を午前中観光しました。
モノレールで終点の「首里駅」へ。この日が一番暖かく良い天気になりました。モノレールからは徒歩で約15分。時々タクシーの運転手さんから声がかかります。「どこそこへ案内します」から「写真をお撮りします」などなど・・・うるさいほど。ぼんやり歩いてもいられません(怒)
沖縄県立芸術大学の外廊下が吹き抜けの素敵な建物を過ぎると、緑濃い公園。その坂道を登り右に園比屋武御嶽石門(世界遺産)と左に守礼門です。
守礼門をくぐってから坂道を降りて、玉陵(たまうどぅん)へ。途中のインフォで玉陵への道を尋ねたとき「たまうどん」と言ったら「たまうどぅんね」と・・・日本語にはない「どぅん」の発音、イタリア語みたい「Dunque?ドゥンクエ 」(それで?)って言いそうになりました(笑)
玉陵(世界遺産)は琉球王朝の一族が奉られています。太平洋戦争の空爆で大破しましたが、1974年から3年余りの歳月をかけて修復。入場チケット売り場の地下に資料館があり、私はパスしようとしたのですが、娘が予習をしてからのほうが良いというので見学。
第3代尚真王(在位1477年 - 1526年)が父、尚円王を葬るために建築したものが最初。例外はあるものの第ニ尚氏歴代の王と王妃が洗骨という儀式ののち遺骨が納められました。最後は第20代の尚典氏夫人が1931年に葬られたそうです。外観だけの見学です。
もとの守礼門への道に戻り、歓会門を経て
龍樋(17世紀?のオリジナル)
首里城は14世紀末に創建されましたが、何度かの火災にあいそのつど再建されました。大戦のときには地下に日本軍の司令部があったため、空爆で焼失。1992年に復元されました。前回訪れたときはまだ建っていませんでしたので、楽しみでした。琉球塗の塗りなおしのため工事テントが掛かっていました。内部は一部を除いてカメラ禁止です。
見学コースの途中で、書院でのさんぴん茶と琉球菓子(300円)で休憩 この鎖之間は薩摩の役人を接待したところだそうです。
約2時間の観光を終えてホテルに戻り、預けた荷物を受け取り空港へ。モノレールで10分ほど、日本最南端の駅も通過しました。
空港内で生ビールと八重山揚げ、タコスのランチ。羽田で乗り換えて雪のちらつく札幌に帰ってきました。
お土産は海ぶどう、石垣島食べるラー油、塩ラスク、那覇の塩屋で買った塩いろいろ、紅型の袋など。下の写真は西表島限定品の猫シーサーです。
琉球王国の歴史については割愛させていただきますが、大戦での激戦地となった悲劇はいまなお記憶に新しく、また北海道からの出兵、戦死された方も他県に比べて多かったのです。基地問題もあり、大きな犠牲を強いられている沖縄の皆さんには本当に申し訳ないです。せめて観光をして、沖縄独自の文化に触れ、青い海を眺め、琉球料理を食し、お金を落としましょうね。
日本列島の北と南・・・今朝の新聞でも就職率が北海道と沖縄が下位を占め、年収ベースでも経済的には恵まれているとはいえません。お互いに魅力ある観光地として、食料供給地として発展できたらと願っています。