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2012年夏の旅(18)フォンジョンクーズ~ヴェルネ・レ・バン [2012夏ザルツブルクとフランス、スペインを巡る]

9/9(日)Fontjoncous10:30(TAXI)→Narbonne11:00/11:35(Train)→Perpignan12:36/12:44(Train)→Villefranche de Conflent13:37/14:00頃(TAXI)→Vernet les Bains14:10頃

Vernet les Bains/Logis Hotel Princess 1泊(62.5€朝食込)

 朝霧で昨日は見えた丘の上の教会はまったく見えません。昨夜までは、朝の散歩がてら行ってみようかと考えていたのですが、快適な部屋で寛いでしまいますと、億劫になってしまいました。ロマネスクの教会でもなさそうですし、外出はパスしてチェックアウトまでのんびり。。。

↓ 昨夜予約した時間の9:00に可愛いメイドさん姿の女性が籠を背負って、ベランダに現れました。

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↓ まだ霧が晴れず肌寒い朝ですが、テラスで朝食をとりました。

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↓ 昨夜食べきれなかったプティフールは素敵な箱に入れて持たせてくれたので、パンやウエルカムフルーツの残りとともに列車の中でランチ代わりにいただきました。

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 名残惜しいフォンジョンクーズを後に、ナルボンヌまでTAXIで戻りました。そして、列車でペルピニャン乗換でヴィルフランシュ・ド・コンフェランへ。朝の曇り空は嘘のように晴天になり、車窓の眺めを楽しみました。

コンフェランの駅にはトラン・ジョーヌ(黄色い観光電車)が待機していて、乗客も並んでいます。汽車が大好きなので、当然これに乗るつもりで、スケジュール調整しましたが、グルメの誘惑には勝てず(汗)寄り道してしまいましたから・・・駅で眺めるだけでした。全線ではなく途中下車してのトンボ帰りでも半日は潰れますし、沿線にロマネスク教会のないのが、断念した理由です。

 さて駅前にはTAXIはいませんので、切符売り場の係の方に呼んでもらいました。ここで問題発生!ヴェルネ・レ・バンのホテルの予約確認書をスーツケースに入れて、置いてきてしまったのです。どこのホテルに行くのと言われても名前を忘れてしどろもどろ・・・。そうそう旅のスケジュール自体も印刷忘れて来てしまってました。wi-Fiの環境さえあれば問題はないので、なんとかここまで来れたのですが・・・この駅にはもちろんそれはありません。20分ほど待たされましたがTAXIが現われて、「どこまで?ホテルの名前は?」「あの~名前忘れて・・・」「えっ!」と驚いて私の顔を見ます。多分、老人性痴ほう症と思ったのでしょう。私「ホテルのリスト持ってませんか?」「無いけれどホテルは数軒だから、名前言ってみます。なんとかプリンセス。。。」思い出しました「おお!そこです!」この手の失敗は初めてなので、大汗でした。当初の予定ではここからバスでホテルのすぐ近くまで行けたのですが、日曜日なので極端にバスの便が少なくTAXIになりました。

 無事、ホテルに到着しチェックイン。そしてカニグーまでのジープを予約したいと言いますと、今日は無理かもと言いながら電話してくれました。マダムはラッキーだよ、5分後に迎えに来るジープツアーがあるというので、大慌てで2階の部屋へ荷物を置き、トイレも済ませて階下へ。

初めは私一人、途中でドイツからの老夫婦を乗せて、ジープは細い山道をジグザグ登って行きました。何度も曲がれないところはスイッチ・バックの運転なので、ひやひやの連続。同乗したドイツ人のおじいさんも怖かったらしく「ここで事故遭った?」「1件あったけれど、僕じゃないよ」「君だったらここにはいないさ」(笑)

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傾斜もきつく、ひよわな私は歩いて登るのは到底無理でした。でも歩いて登る人はかなり多く、なかには3歳くらい?の幼児も頑張って(ジープからも目撃)到着しました。↓

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 カニグーのガイドツアーは15:00から1時間とのこと。フリーでは見学できないシステムです。ジープのついたところはインフォメーションセンターになっていて、時間になるとガイドの修道僧(または修道尼)がここまで迎えに来ます。

☆サン・マルタン・デュ・カニグー修道院 ABBAYE de Saint Martin du Canigou

ルッション・ピレネー地方の修道院の中でもここカニグーの建つ場所は標高1094Mの峻嶮なピレネーの山中にあり、そこまでのアプローチは狭い林道を登らなければなりません(30~40分)。普通の乗用車では行けませんので、徒歩が無理であれば、熟練した運転手によるジープ(往復14€)で登ることになります。ジープツアーの会社はいくつかあるようで、私の場合は時間の変更などの懸念もあり、予約なしのぶっつけ本番でした。翌日のコースを考えると、到着すぐにカニグーに行けたのはラッキーでした。

修道院は1000年ころ、この地方の統治者ギフレ2世(サン・ミッシェル・ド・キュサ修道院長だったオリバの兄)によって建立されました。ルッションがまだカタルーニャの一部だったころでした。ベネディクト派の修道院として、トゥールのサン・マルタンに奉献。ルッションにおけるロマネスク初期の教会建築の優れた例としても知られています。オリバのもとで働いていたScluaと呼ばれる修道僧(建築家)の作。のちにScluaはここカニグーの修道院長になりました。

上階と下階に分かれた2つの教会そして回廊がシンプルに調和良く並んでいます。この小じんまりした空間は他の大修道院にない安らぎと神秘的な趣に溢れ、とてもとても素晴らしいです。

↓ ジープを降りたら大きな教会の鐘塔と後陣が見えました。嬉しくてドキドキ、すでに舞い上がリ気味。。。

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写真を撮っているうちにお迎えが来て20人ほどのガイドツアーが始まりました。ということはジープの3人以外は歩きの人たちということ…みんな元気~!

↓ 中庭には赤い薔薇

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↓ 回廊の一辺(南ギャラリー)は山に面して開放され、素晴らしい眺め。あいにく夕方近くになり天候は下り坂。ガイドのお坊さんのお話が長くて、聴いてない人も多数。私も彼に言葉が理解できないから、案内書見ながら回りますと、断わりました。しぶしぶ了解していただけましたが、でも目の届く範囲に居てほしいとのことでした。ガイドツアーと言っても布教活動の一端なので、観光化された他の教会とは違うのは無理もありません。

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↓ 夏の終わりのあじさい?18世紀になってから修道院は閉鎖され、略奪などもあり荒廃していました。20世紀になって修復されたとは思えないオリジナルな美しさが残っています。

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↓ 十字架とキャンドルを持ち行列する修道士たち

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↓ サロメのダンス

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↓ ライオンと男

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↓ 地獄の罰。左に串刺しになり苦悶する修道士の姿。右にミトラ(司教冠)を被った顏は梟、足は犬(地獄に落ちた司教を表わす)。中央の犬は食べ物に舌を伸ばして(ギリシャ神話のタンタルスの苦悩)終わりなき苦しみを表わしているそう・・・怖い。このほかにもシニックな表現のものがあり彫刻家の個性が感じられました。

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↓ 柱頭のベースに彫られた鶏

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↓ 回廊のほかの3辺は単純なアーケードが連なっています。天井の石積がそのままアーチの壁面へ。その素朴な美しさに打たれながら、下の教会へ。

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↓ 下の教会はクリプトとも呼ばれ、1009年に聖母マリアに献堂されました。3廊式で3つの後陣が配され、低い天井と粗い石のアーチヴォールトが印象的。古い円柱と柱頭が後に補強された柱に囲まれています。

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↓ いったん外に出て階段を上り、上の教会へ。オリジナルな建築では上にも回廊があったのですが、今は失われテラスのようになっています。

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↓ こちらがメインの教会内部でバジリカスタイルの3廊式。特徴的なのは細い円柱とその上の逆三角形の柱頭。それがその上から延びるアーチを支えています。教会の中は説明が終わるまで撮影禁止です。説明が終わってからほんの2,3分ですが、帰り際にお坊さんが良いよと言ってくれたので、パチリ。

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↓ 柱頭も目の前のを一枚だけ。

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↓ 私のわがままを許してくださったお坊さんの後ろ姿です。感謝をこめて・・・。左の庇の下に見えるのが創立者のギフレ伯爵と妻の墓。

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ツアーが終わると雷が鳴って、今にも雨が降り出しそうになりました。雨が降ると山道をあのジープで下るのが怖いので、心配でした。何とか持ちこたえ、迎えのジープで下山、ホテルに戻りました。数分裏山を登ると修道院全体を見下ろせるビューポイントがあるのですが、私は膝が心配でパスしました。↓は絵葉書です。

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↓ ホテルの前でジープのお兄さんともお別れ。

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↓ カニグーの麓の町ヴェルネ・レ・バンのホテル。レセプションのオジサンがとても親切でした。お部屋もこのお値段でバスタブつき!お部屋も綺麗でお勧めです。

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 夕食はホテルのレストランで。ロジ・ド・フランスのグループなので、人気があり満席。ここでも私が一番乗りでした。

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↓ ロゼを注文したら氷入り袋のボトルがでてきました。ヴェール(グラス)でと言ったはずですが・・・私のフランス語はむむむ。でも安くて10€もしません。

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↓ サラダとオニオングラタンスープ。昨夜のご馳走のあとなので軽く済ませました。デザートは甘すぎて×。

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サン・マルタン・ドゥ・カニグー修道院の見学が明日になるかもと思っていたのですが、順調に行ったのは幸運でした。旅行の直前に予定を組み直し、ここは1泊にして明日はプラドに宿替えしたのは正解でした。


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コメント 4

yk

カニグーへ行くの夢でしたのに、無残にも破られて、ひたすらうらやましいです。
柱頭彫刻も面白いのでしょうけれど、メインの教会の柱から逆三角形の柱頭を経てアーチにつらなる、そうしてカーブして天井。 これを実際ににてみたいのです。何だか洞窟みたいで 面白そうに見えるのですけれど、、。
by yk (2012-10-29 21:06) 

alice

ykさま、ピレネーを境にした2つのカタルーニャ・ロマネスクですが、今回の旅で一番好きになったのはここカニグーです。ただ残念だったのはガイド・ツアーのため時間に縛られることでした。

メインの教会の内部もそれほどじっくり見たわけでは(ここでは説明中は歩き回れない)ないのですが、こういう構造の教会は今まで観たことはありませんし、他にないのでしょうね。一応窓はあって下の教会に比べると明るいです。あの細い柱が良くあの粗い石の天井とアーチの重量に負けていないものだと感心しました。下の教会は縁の下の力持ちみたいなものですね。
by alice (2012-10-29 23:37) 

corsa

ああ、やはりここは行ってみたいですね。サロメがやけにセクシーですね。
しかし、フランス語のガイド・ツアーは困ります。イタリア語や英語があれば、大喜びなんですけどねえ。

山登りをした後で、ご褒美みたいにこんな素敵な教会が待っているのは、チヴァーテみたいで、すごく達成感もありそうです。
ホテルのご飯もおいしそうだし!
来年は、このあたりかな~、と鬼の笑うことを考えてしまいます。
まずは、なんと言ってもフランス語上達が必至って感じですが、まったく進まないまま。
by corsa (2012-10-30 03:14) 

alice

corsaさま、ピレネーの北はどこもお勧めですが、ここが一番印象に残っています。あのサロメも・・・腰に巻いた布(スカート)も落ちそうでしょ(笑)

ここの柱頭は20世紀になって修復された時、崩れ落ちていたのを拾い集めてセットしたので、オリジナルの場所ではないそうです。以前は上の階の回廊の柱頭にテーマ別に並んでいたのでしょう。盗まれたりしたものを買い戻したり、ここまで美しく修復する努力にも本当に頭が下がりますね。

ほとんどの方が山登りされるみたいです。corsaさまもぜひ!
フランス語は私も何年前にちょこっとやって挫折したままですが、なんとかなるものですよ。
by alice (2012-10-31 23:39) 

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