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2012年夏の旅(19-2)ヴェルネ・レ・バン~プラド [2012夏ザルツブルクとフランス、スペインを巡る]

~続きです。

 ペルピニャンからル・ブルーまでは高速道路を走り30分足らずで到着。ル・ブルーの町もGoogle earthのストリートビューでチェック済みでした。ラ・ポストで降車、このバス停にはタクシー乗り場があり、まもなくやってきたからタクシーでフノラールへ。念願のサン・マルタン・ド・フノラール教会の訪問でした。ル・ブルーの南3K程度の林や農地の近くに建つ小さな聖堂です。タクシーの運転手さんも来慣れているようで、1時間後に迎えに来るからと去っていきました。教会への入り口右にチケット売り場兼ショップがあります。ところが扉が閉まっていて人影はなく一瞬ドキッとしましたが、張り紙があって、今ガイド中なので次回まで待ってくださいとのこと。その間に外観の写真を撮りました。

↓ 鄙びた小さな教会というより農家の納屋のような外観。

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↓ 周りの糸杉や樹木に隠れて・・・。

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↓ 小さな古びた鐘塔だけが祈りの場であることを示しています。

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 一巡して戻ってきますと、ガイドの女性が帰ってきました。フランス語のガイドはお断りしてフリーで見学させていただきました。内部はカメラ禁止なので、壁画はすべて絵葉書です。

☆ サン・マルタン・ド・フノラール教会/L'eglise Saint Martin de Fenollar

スペインの国境まで10K、ピレネー山麓の農村を背景に建つ、プレ・ロマネスクの小さな教会です。844年から存在していたという記録があり、単廊式のシンプルなバジリカですが、内部には12世紀前半に描かれたびっくりするほど素晴らしい壁画が残っています。教会建築としては馬蹄型アーチと方形の祭室身廊にモサラベや西ゴートスタイルの名残がみられます。オリジナルは木組みの天井でしたが、後に石のヴォールトに改造。

↓ 南扉口から入りますと、右奥が馬蹄型アーチで区切られた小さな祭室です。剥落している部分はありますが、一人のマエストロまたはひとつの工房の作品と考えられています。そのユニークで生き生きとした聖書の世界の人物たち。

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↓ 祭室の奥の小窓の上部にダイヤモンド型のマンドーラに囲まれたオランスのポーズの聖母。色彩も多種類の絵の具を用い(赤、黄、オークル、茶、白、ブルー、緑)華やか。人物の目が大きく白のハイライトも効果的です。

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↓ 向かって左の北壁の下部は降誕、受胎告知、マギの礼拝。聖母の顔が大胆なラインで隈取られ野生的牧歌的、「農婦のような」と表現される強い聖母のイメージです。

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↓ 楽器や杯を持つ黙示録の24人の長老たちは天井に描かれた「栄光のキリスト」に向かって祝福しています。モワサックのタンパン同様、「ベアトゥスの黙示録註解」から想を得たものと解釈されています。

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身廊部分にはかすかにフレスコ画の痕跡が認められる程度ですが、フランス革命時に失ったとのこと。。。図像のイメージはアキティーヌやラングドックのロマネスク美術にも見られるものですが、カタルーニャのタウルからきた画工たちによる見事なカタルーニャ様式のフレスコ画です。1910年にここを訪れたピカソとブラックに大きな印象を与えたことでも知られています。

 一度インフォに戻り絵葉書などを購入した後、まだ時間があり、再度観ていいかしら?というと、どうぞどうぞ素晴らしいでしょ~!と笑顔の係りの女性。帰り頃に二人見学者が来ましたが、この魅力的な壁画を独りで、無心な心境で鑑賞できてシアワセでした。TAXIも時間通りに迎えに来てくれて、ル・ブルーまで戻りました。

 ↓ バス停の傍のカフェでお茶したあと、この街の中心にあるサント・マリー教会へ。徒歩数分。

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☆サント・マリー・デュ・ブルー教会 L'eglise Sainte Marie du Boulou

↓ ここに来たのは扉口の上部のフリーズに残っているカベスタニーの彫刻を観るためでした。

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↓ 小さく彫られていて肉眼では良く見えません。

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↓ ズームアップして撮った写真で確認。右から観て行きますと傷んでいますが「羊飼いたちの礼拝」。右の牛たちの配置もカベスタニースタイルですね。

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↓「降誕」聖母の顔は後の時代に修復したようですが、すらりと伸びた長く大きい手と左のぐるぐる巻きの幼児イエスはカベスタニーのオリジナルでしょう。

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↓ ここの部分は「イエスの沐浴」父ヨセフが幼児イエスを包む布を用意しています。そして「マギの礼拝」

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↓ 聖母子の椅子を後ろから支えているようなしぐさをしているのはマリアの母(聖アンナ)でしょうか。聖アンナがロマネスクの彫刻に登場するのは珍しいです。

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↓ 「エジプトへの避難」と最後は「聖母被昇天」

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教会は鍵がかかっていましたし、内部はバロックに改装されているようなので、見学しませんでした。

↓ まもなくやってきたバスに乗ってペルピニャン経由でプラドに戻りました。

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↓ プラドのシャンブルドットにチェックイン。1階のロビーと食堂。経営するのは男性のカップル。シャンブルドットは初めてでしたが個人の家に招かれたような気持ち。皆で囲む夕食も楽しかったです。

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↓ HPで好みの部屋を選べます。メールは英語可。http://www.maisonprades.com/site/ 私の選んだ部屋はシックなラベンダールーム。バスタブ無し。

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今夜は夕食一緒にしましょうと誘われ(曜日によります)、24€(飲み物含め)というので参加しました。

↓ 窓から庭を眺めますと、すでにウエルカム・ドリンクのテーブルがセットされていました。

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ガーデンでアペリティフとおつまみをいただいて、自己紹介。3日かけてピレネーを超えてきたバルセロナの山男たち(僕たちスペイン人でなくて、カタルーニャ人だよ!って強調)、ベルギーから車で南フランスを周遊しているご夫婦など気のおけない人たち総勢10名。家庭料理もとても美味しかったです~☆

食卓ではカタラン語、フランス語、英語が飛び交い賑やかでした。経営者の男性が気をきかせて、私の両隣に英語の話せる人を座るようにしてくれて、そのベルギー人の奥さんとバルセロナの男性がとても親切な方たちで感激。カタルーニャを回ってきたという私もあまり浮かずに済みました。

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↓ メロンと生ハム、魚の煮込み(ライス、焼き野菜ぞえ)、デザート

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楽しくて、ついついワインも飲み過ぎました。今日はかなり歩いたこともあって、疲れました。熟睡。


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yk

この農婦のようなマリア様も絶対みたいところ。 それにしてもよく調べられましたね。 個人で行くのは到底無理なところかとおもっていましtが、 結構行けるものなのですね。
実は7日から W社のツアーで トスカーナ。 サンタンティモが 未見なこととシエナ五泊で 自由時間が多いことできめました。 時期が悪いのですが、 、。 2009年夏のalice様のブログ何度も読ませていただいています。まだ 何を着て行くかが決まらない状態、焦り気味。それなのに、 「芸術新潮、 フランスの歓び」 なんぞ広げたりして。 
by yk (2012-11-04 14:39) 

alice

ykさま、ルションはこの後回ったオーヴェルニュよりバス網もある程度はきちんとしてて、個人で回りやすいところでした。ただ、教会のオープン時間とバスが繋がらなくてあきらめたのがArles sur-TechとCorneilla de-Conflent。バスは通っているのですが、本数が少なくて・・・。

トスカーナに行かれるのですね~シエナ5泊とは素敵!W社はホテルも食事も他社より良いので、ツアーのときはほとんどここを使っています。
今日もW社の旅の月刊誌が送られてきて、しばらく夢想状態でした。。。

どうぞお気を付けていってらっしゃいませ。
by alice (2012-11-04 21:43) 

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