2011年春の旅 1 (札幌~東京) [2011春東京からNY、母娘の旅]
4/9(土)
千歳10:00→羽田11:35(JAL) 三井ガーデン銀座プレミアホテル 2泊
アメリカへ行く前に東京で聴きたいコンサートがあったため、2日早く札幌を出発しました。ついでに久しぶりに歌舞伎も観たいと欲張り、偶然同日上京するという友人Nさんと空港で待ち合わせ。Nさんは毎月一度は観劇のため上京するという、歌舞伎狂のかたです。このところ東京の定宿になっている銀座のホテルも彼女の紹介です。当然今回の宿も一緒のところですから、浜松町からホテルまでタクシーで移動。
ホテルに荷物を置きひと休みしたあとは、西銀座のイタリアンレストランで1時半からのアフタヌーンランチをNさんの妹さん(東京在住)とともに愉しみました。ここはバブルの頃20年以上も前に一度来たことがありました。内装もあまり変わっていなくて、懐かしかったですし、サービス価格のランチも大層美味しくいただきました。(2名以上予約必須)
春のアフタヌーンランチコース
期間:3/1(火)~5/31(火)
価格:3,990円(税、サ込)
料理開始時間:毎日13:30スタート
- 国産牛のタタキ 季節野菜のサラダ仕立て
- 本日のスープ
- 海老とブロッコリー和え リングイネ
- 空豆の自家製ニョッキ 4種のチーズソース
- 桜鯛のソテー 旬の山菜を添えて アンチョビ風味のソース
- お口直しのフルーツシャーベット
- 鹿児島産 黒豚フィレ肉のアスパラガスとモッツァレッラチーズ焼き
- 本日のデザート2種盛り / エスプレッソコーヒー / パン
残念ですが、夕方からの歌舞伎鑑賞のためアルコール抜きでした。食後は銀座をぶらぶら。鳩居堂で鯉のぼりのモービルを初節句の孫のために買い求め、新橋演舞場へ。
4月大歌舞伎
1 絵本太閤記 尼ヶ崎閑居の場 団十郎、時蔵、魁春、菊之助、三津五郎、菊五郎
2 男女道成寺 松緑、菊之助
3 権三と助十 三津五郎、松緑、時蔵、左團次
遅い昼食を満腹いただいたため、アルコール抜きだったのですが、途中で眠くなってしまいました。来日公演キャンセルの続く海外アーティストとは反対に気を吐く伝統芸術をになう役者さんたち。申し訳ないと思うのですが、自然に瞼が・・・。観客の入りは8割程度、昨年春の熱狂的な歌舞伎座さよなら公演に比べると節電や余震の続く東京では寂寥感が漂うのは致し方ありません。芝居どころではない立場の方も多いのでしょうが、なんとかお出かけいただきたいです。北海道からもこうしてきているのですから・・・って偉そうに(笑)
贔屓の仁左衛門や吉右衛門が出ていなかったのもあったのでしょうが、睡魔にも襲われたこともあり、あまり印象に残らないまま閉幕になりました。
ホテルに戻り、お弁当の残りの夜食を済ませ、お風呂~ベットへ。しかし、3.11以来眠ろうとするとTVや新聞などの報道が、さまざまな大震災の被害が瞼に浮かび、気持ちが睡眠前の平安には程遠くなってしまいます。
眠れないままにTVをつけました。丁度日本映画の名作選が始まったところでした。タイトルは『鉄道員ぽっぽや』、背景の雪原を走る蒸気機関車に強いノスタルジーを感じました。幼少時に見慣れた風景・・・最後に線路を走るSLを見たのはいつだったでしょう。こういう映画が今のあなたにぴったりでしょと映画の神様に差し出されたみたいな不思議な気持ちのまま引き込まれて行きました。
映画の舞台になった北海道のローカル線の終着駅・・・そう、そんな駅のある小さな町で生まれ育ったのに何故この映画は未見だったのでしょうか。私の終着駅にはいろいろな想い出が詰まっています。辛いこともあったから思い出したくなかったのかも・・・。
小学校や中学校のクラスメートの父上も鉄道員だった人も何人かいて、映画そのままの風景が目に浮かび、今はただただ懐かしく・・・北海道の山野を走るSLやディーゼル車の映像もとても美しいです。
↓ 現在も観光用に走っているSLニセコ号の写真(マニアさまから拝借)
映画紹介 http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=2337
ここのキャスト表にはでていませんが主人公の親友の妻役で最近亡くなられたもとキャンディーズの田中好子が好演しています。癌で亡くなる主人公の妻(大竹しのぶ)を看取る姿がなぜか強く印象に残っていました。この2週間後のNY滞在中に訃報を知りました。「ぽっぽやでも妻の最後は傍に居てあげて欲しかった」と主人公に迫るカーディガン姿のスーちゃん・・・ご冥福をお祈りします。
2011年春の旅 2 (東京) [2011春東京からNY、母娘の旅]
4/10(日)
夜中にガタガタと窓が音をたてて、目が覚めました。地震か?と身構えたのですが、杞憂に終わってほっとしつつ、また朝まで熟睡。なにせ同行のNさんが3.11の大震災時には歌舞伎観劇中、そしてこのホテルの27階まで階段を上って部屋に戻ったとの経験を聞いてますので・・・。
23階の窓から朝の浜離宮とレインボーブリッジ方面を眺めながら、自分勝手ながら、せめて明日の出発まで余震が来ないことを祈りました。
朝食を済ませ、丸の内の三菱一号館で開催中の「ヴィジェ・ルブラン展」へ。
マリー・アントワネットに重用された女性画家として知られているルブランは美しく、華やかなイメージが先行して、美術史のなかではあまり注目されることがなかったように思います。今回の展覧会はルブランだけでなく、当時の18世紀のフランスで活躍した女流画家の紹介もありました。ロザルバ・カリエラのパステル画も1点(個人コレクション)。
ヴィジェ・ルブラン( Vigée Le Brun 1755~1842)画家である父とグルーズに学び、やや感傷的で洗練されたスタイルの肖像画を得意にした。画家自身の美貌もあって早くから世間的成功をおさめた。革命時には数年イタリアやロシアなどに亡命し、各地で王侯貴族の肖像を描き活躍。1802年フランスに戻ったが、画商の夫とは離婚、愛娘の素行の悪さなど家庭には恵まれなかったようだ。
↓ ルブランの「自画像」1791 英サフォーク州イックワース/ナショナル・トラスト、ブリストルコレクション
↓ こちらは今回の展覧会には出品されていませんが、ルーブル美術館にある代表作「画家と娘」
館内で友人のSさんと待ち合わせ、丸ビルへ移動。36Fのフレンチレストラン「モナリザ」でランチ。皇居をこんな上から眺めたのは初めて!緑と散る寸前の桜が春爛漫を告げていました。お料理も美味しかったけれど、お皿も素敵、感じ良いサービスにも感心しました。Sさんのご協力で写真も二人分バッチリ(笑)
食事の後はSさんはドミンゴ、私はメータと別れ別れ。札幌でもお会いする機会が作れなくて、ようやく東京でゆっくりお喋りができましたね~と満面笑みのふたりでした。
さて、上野の東京春の音楽祭のコンサートは当初のアンドリウス・ネルソンス指揮の『ローエングリン』が大震災のためボツになり、替わってズービン・メータのチャリーティー・コンサートになりました。フィレンツエ歌劇場の来日公演を大震災のため途中でイタリアに帰国していたメータが、ボランティアで戻ってきてくれたのです。チケット代もすべて義捐金にまわされました。
メータの挨拶と黙祷、そしてバッハのG線上のアリアが演奏されました。普通のコンサートとは別の次元にありました。鎮魂と祈り、慟哭と叫び、励ましと勇気 もろもろの感情が音楽と共に胸にひしひしと迫ってきて涙があふれそうになりました。
充分なリハーサルもできないままだったと思いますが、メータ、N響、ソリストたち、合唱そして観客が一体になって、うねるような感動のうちに演奏は終わりました。観客総立ちの喝采、ブラボーとメータに感謝のありがとうの掛け声が長く続きました。海外アーティストのキャンセルの相次ぐ中、勇気を持って励ましに駆けつけてきてくれたメータには本当に頭がさがりました。
人種も宗教も国も違う人間が「芸術で感動の共有体験を持つ」そのことが、世界を良くすることに繋がるのだという言葉を改めて、噛みしめました。
Nさんと上野の名残の桜を眺めました。節電のため夜桜は催されず閉園も近く薄暗く淋しい雰囲気。これもまた通常の華やかさとは縁遠いネオンの少ない銀座を歩き、和食の夕食をとりホテルに戻りました。
2011年春の旅 3 (東京~インディアナポリス) [2011春東京からNY、母娘の旅]
東京での歌舞伎やコンサートを楽しんだ後は長女と成田で落合い次女一家の住むインディアナポリスに行きました。長女はロスアンジェルスの結婚式以来初めてのアメリカ訪問です。3月11日の大震災からまだ日も浅く、迷いました。しかし既に飛行機やホテルチケットなどの手配も済ませてましたし、長女も今は失業中でこの機を逃したらインディアナポリス訪問は厳しくなるとのことで決行。
日程/インディアナポリス(6)~ニューヨーク(5)11泊13日
↓Map (NY)
2/11(月) 成田15:15→ニューヨーク14:59/19:0522:00頃→インディアナポリス(Delta)21:4524:00頃
今日は札幌から来る長女と成田で待ち合わせして、デルタでニューヨーク経由でインディアナポリスまでの長い旅です。
銀座のホテルの前からリムジンバスで成田に向かいました。昨年も乗った銀座のホテルコースのバスはなんと!私独りだけが乗客という淋しさ。3.11東日本大震災から丁度1ヶ月経ちましたが、福島の原発事故の影響とはいえ、外国人の旅行者の少なさには驚きました。昨年はこのバスは満員でしたのに・・・。
成田で携帯に夫から電話があり、長女が片時も離さないほど大事な(笑)携帯を忘れたというのです。先が思いやられましたが、予定より少し遅れて宅配会社の前に現れました。私の分だけグレードアップの特典を使ったため、米国内のフライト(NYとインディアナポリスの往復)は別口で予約していました。米国内で搭乗のとき預け手荷物の分を25ドル払うのは承知していましたが、2個目は35ドル!2人分で120ドルも前払いしてくださいというので・・・涙。
↓ ランチは軽くお茶漬、そしてラウンジでちょこっと軽食をいただき搭乗。
↓ デルタの機内食(ビジネス)
さて、時間通りにNYに到着。懸念の入国検査はいつもより簡単で、何日滞在するの?と訊かれただけでした。係員も日本人には同情の面持ちのJFK空港のパスポートコントロールでした。旅だつ前は冗談に放射能検査されるかもといっていたのですが・・・。
空港で4時間の乗り換え時間があり、カフェで夕食をとったりして過ごしました。長女は早朝に出発したこともあって、疲れと眠さで私よりよれよれになって・・・「ヨーコやハヤトに会いに行くのも楽でないね~」とぼやきました。毎日のように会いたい会いたいと騒いだ人は誰だっけ?
さてようやくインディアナポリス行きの小型飛行機に乗り込み、滑走路に向けて動き出しました。安堵でウトウト・・・と、なにやら騒がしい声で目が覚めました。窓の外を見ると消防車の赤いランプが点滅し、空港の従業員たちが大勢集まっています。目の前に大きなエールフランス機(500人乗り)、右に小型飛行機(50人乗り)が停まっています。ニアミスがあったようですが、このときは詳しいことは分かりませんでした。1時間ほど前にも後ろにも動けず、機長さんも「ノーアイディア」を繰り返すのみ。ようやく通路が確保でき、もとの駐機場に戻りました。私たちがいったん飛行機を降りたところで、振り向くと、くだんのエールフランス機も動き出しました。
事故はこういうことだったのです↓
http://kokuryoko.air-nifty.com/1/2011/04/to-c539.html
動画はスローモーションですから実際は一瞬のできごとで、機体の中央にぶつかれば大惨事になるところでした。爆発したら私たちの小型機も危なかったかも知れません。東京で地震にあわなくて良かったなどといって罰があたったのかも・・・。
次女の夫が仕事帰りに空港に迎えに来ているはずですが、悪いことは続くものです。私のi phoneがなかなか繋がりません。公衆電話で、何度も次女に連絡したのですが駄目(丁度子供たちの入浴や就寝の世話で電話が聴こえなかったようです)です。さらに困ったことに、搭乗口の表示が出ないまま・・・後続便も当然遅れが出ますから、この近辺は大混雑、アナウンスも聞き取れません。心配になって様子を確かめに搭乗口に行ってみましたら、係員がインディアナポリスはもう出発するから早く乗ってというので大慌て!私たちが最後かと思ったのですが、まだ3人ほどが遅れて乗ってきました。
インディアナポリスに到着したのは日付も変わろうかという時間でした。お婿さんは仕事帰りで疲れているのに空港は夜間のためカフェも閉店していて、気の毒なことをしました。家に着いたのは午前1時ごろ、子供たちはもうお寝んねですから、明日会うのを楽しみに床に就きました。
2011年春の旅 4~9(インディアナポリス) [2011春東京からNY、母娘の旅]
4/12(火)~4/17(日) インディアナポリス滞在
昨年11月に孫たちにとっては叔父さんの結婚式が神戸であり、一家で日本に遊びに来ましたので、5ヶ月ぶりの再会です。赤ちゃんタキシードを着て、にこにこ愛嬌を振りまいていた颯(ハヤト)も、はいはいとつかまり立ちが出来るようになっていました。ちょっぴり赤ちゃんから子供っぽい表情になり、可愛いこと!(婆馬鹿まるだし 笑)
桜子(ようこ)も4月で6歳になり、お姉ちゃんらしく弟を可愛がり(やや乱暴ですが 笑)、毎日プレスクールに喜んで通っています。
↓ 私のi padでにゃんこ崩しゲームを楽しむ桜子
↓ インディアナポリスのチームシャツ(アメフトだった?)を着た颯
↓ 室内電動ブランコ・・・抱っこのほうやいいよ~と、すねてる?
↓ インディアナポリスに来ると必ず寄る中華レストランでランチ
↓ 子供専用の室内ゲームつきレストランで
今回は長女も一緒なので、モールのコール・ハーンに寄ってお買い物も・・・。この時期(イースターまでの2週間)コールハーンは20%引きのバーゲン(5ドル以上の寄付をする人に限られています)をしていました。その寄付は今年は日本の大震災の義捐金として送られるそうです。有り難いことですね。というわけで母娘色違いで3足の夏靴&私のバックをお買い上げ。日本の1/3以下で買えました。来店中のご老人が店長さんのお父さんで、以前宇部興産のインターナショナル部門の責任者だったそうです。UBEと言われても初めはピンと来なくて、反応がいまいちで申し訳なかったです。
後半の2日ほどは寒い日が続いたせいもあり、風邪をひいてしまいました。楽しみにしていたダウンタウンのステーキハウスも咳がひどく、颯とお留守番。熱もなく食欲もありましたが大事をとって、美術館もパスし、のんびり過ごしました。
2011年春の旅 10 (インディアナポリス~ニューヨーク) [2011春東京からNY、母娘の旅]
4/18(月) インディアナポリス11:15→NY(JFK)13:33
6 Columbus -A Thompson Hotel 5泊
孫たちとの楽しい1週間もあっという間でした。↓ お別れの朝
淋しそうな桜子をスクールで降ろした後、空港まで送ってもらいニューヨークへ。どちらのターミナルもあまり混んでなかったのですが・・・NYの市内はイースター休暇のためどこも混雑していました。ホテルも希望通りの部屋ではなかったので、翌日には宿を変えようと探したのですが、5☆以外はすべて満室という有様で、諦めました。Wi-Fiも有料で24時間10$。
遅めのランチはお隣のワーナービル3Fのカジュアルなイタリアレストランで。イタリアンでもハンバーガーがあるのがアメリカらしいと笑いながら娘はハンバーガーをチョイス。私は烏賊のフリットとパスタ。ハンバーガーのほうが当然?美味でした。
9年前、娘と泊まったホテル(今は高級マンションに建て替えられた)など懐かしい近辺を散策した後はワーナー地下のホール・マーケットでお買い物。お寿司、果物、飲み物など購入し、ホテルに戻りました。このホテルはBooking.comではユーザーの評判も良かったので、選んだのですが、ロケーションだけは素晴らしいものの、ほかは疑問符の多いホテルでした。
↓ ツインの希望はかなえられずキングサイズのダブル。窓の外は汚いボロビルの眺め。
↓ バスタブはついていたけれど・・・
かなりがっかりして、ミュージカルの気分でもなく(チケットもとっていなかったし)、TVを観て就寝。日本のニュースはNYでもほとんど見かけませんでした。米のハリケーンと英のロイヤル・ウエディングの話題ばかりでした。日本は忘れられているみたいね・・・。
2011年春の旅 11 (ニューヨーク) [2011春東京からNY、母娘の旅]
4/19(火)
トラブル発生!悪い予感があたりました。朝になりバスルームに入りお湯を出そうとしたら、水、水、水・・・。すぐに電話をしましたが、ボイラーが故障したのでしばらくお待ちくださいとのこと。お湯がでないのではシャンプーとシャワーができません。寝癖頭の二人は途方にくれました。結局30分くらいじりじり待って、直りましたが、ますますこのホテルが嫌になってしまいました。G階にはブルーリボンという寿司屋があって、朝食には和食もあるからと勧められたのですが、「やだ食べるもんか~!」と、
娘がネットで調べた朝ごはんが美味しいという「サラベス」でお洒落な朝食をとりました。ここは徒歩数分のセントラルパークに面した通りにあり、観光客ばかりでなく、近所の方もかなり来店していました。ニューヨークはレストランでの食事は税金やチップでかなり高くつきます。ここもブレックファースト・メニューとはいえふたりでチップを含め60$!
↓ 私はパンケーキの苺添え、娘はクロワッサンとスクランブルエッグ。それにフレッシュオレンジジュース、コーヒー。
↓ 食後の散歩がてらセントラルパークを抜けて、アメリカ自然博物館まで、徒歩20分くらい。
↓ アメリカ自然史博物館の正面玄関は凄い行列!
↓ 諦めてタクシーに乗り、セントラルパークを抜けて、イーストサイドのグッゲンハイム美術館へ。ここもいままで見たことがないほどの行列です。小雨のちらつく中30分ほど並んで入館。
中に入ってもチケット売り場でまた行列です。シティパス(9Days)を買えば今後の美術館めぐりに便利なうえ、割引になるので購入しました。大人79$(結局6アトラクションのうちエンパイヤービルと自由の女神ツアーは行かなかったので、割引になったのかどうかですが・・・どこも待たずに入れたのは良かったです)
↓ ここは3回目ですが、改装後は初めて。ホールも綺麗になりました。
特別展は「The Great Upheaval:Modarn Art From The Guggenheim Collection,1910-1918」(2/4~6/1まで)
この展覧会の紹介ポスターやガイドリーフレットに私の大好きなMalevichの「Morning in the Village after Snowstorn」が使われていて、にっこり。
ここのコレクションの豊富さを見せ付けられながら、今まで目にしたことのなかった名画の数々を鑑賞しました。図録も重くて購入しませんでしたし、カメラ禁止なのが残念でした。
下の絵葉書2枚は常設展から
↓ Max Beckmann「Paris Society」1931
↓ Camille pissarro 「The Hermitage at Pontoise」1867
午後2時を回って、疲れたので館内のレストラン「The Wright」でランチ。明るくモダンな内装にかなり水準の高いフレンチ。それでいてカジュアルな雰囲気です。娘は豆のスープと鶏肉、私はオマール海老のサラダとデザートで軽く済ませましたが、とても美味しかったです。遅い昼食でしたが、次から次とお客さんが途切れません。予約なしだったので数分待たされました。下のHPから予約も出来るようです。
http://www.thewrightrestaurant.com/home/default.asp
4時ごろホテルに戻り仮眠。この日はオペラを予定していなかったのですが、娘にも勧められ、やはり行くことにしました。せっかくの母娘の旅ですから、一緒にミュージカルでもと思っていたのですが・・・。演目はR・シュトラウスの『カプリッチョ』、マイナーなオペラなので、当日チケットもOKでした。でも、この夜は意外に席が埋まっていると思ったら、HD収録のカメラが入っていました。席は3階正面1列目中央。
Richard Strauss『Capriccio』 8:30~10:55 The Metropolitan Opera
Conductor: Andrew Davis Production:John Cox Set Designer:Mauro Pagano
Flamand ,a composer:Joseph Kaiser Olivier,a poet:Russell Braun
La Roche,a theater director The Countess,a young widow:Renee Fleming
The Count,her brother:Morten Frank Larsen Clairon,an actress:Sarah Connolly
『カプリッチョ』は2002年にトリノで観たことがあり、2度目です。フラマンをカウフマンが歌って、初めて彼に注目した思い出のオペラです。2時間半休憩なしの一幕ものですが、トリノでは途中で席を立つ観客が多くて驚いた記憶があります。さすがに今回はそういう人は見かけず、舞台に集中できました。
舞台は1920年のパリ近郊のシャトウの設定。クラシックなインテリアの室内に、登場人物たちの衣装もメットらしく素敵なデザインです。特にヒロインの公爵夫人フレミングのドレスはパーフェクト!彼女はスタイル抜群、上品な中にアメリカ人らしい気さくな雰囲気もあり、好感度大。メットでは絶大な人気があるのもうなずけます。この日が収録の日ということもあったのでしょうが、集中度の高い演奏で、それぞれの歌手のパフォーマンスもスムーズかつ手ごたえのしっかりした感じがしました。
メゾのサラ・コノリーは今回初めて聴きました。バロックものがお得意と思っていましたが、プログラムのキャリア欄でみるとワグナーも歌ってるのですね。声量はメットの大劇場にはやや小さいけれど、滑らかで美しい声、優雅で繊細な表現はフレミングとも良い相性。最後の重唱がこのオペラの最大の聴きどころなのですが、テノールのカイザー、メットデビューだった若手バリトンのラーセン、中堅のブラウンも頑張って、素晴らしいシュトラウスの音楽を堪能できました。
『カプリッチョ』はR・シュトラウスの最後の作品であり、初演は1942年ミュンヘンでした。第2次大戦の真っ最中だったのですね。作曲家がこの作品に籠めた芸術(音楽・オペラ)に対する想いを汲み取るまではいきませんが、トリノでの戦争の影を感じさせた演出とは違って、メットらしい素直(笑)な、かつ飽きさせない華麗さ。「まあ、これはこれで良しだな~」と劇場を後にしました。
↓ 幕はすでに開いていました。そのせい?シャンデリアの上がるタイミングが遅く、演奏が始まってからになって、あれ~?(3階だったので気がつきました)
追記:このシャンデリア事件はミスではなく、前奏曲にあわせて上げるように計算されたものだったとか・・・まったく気がつかない私でした。
↓ 中央左サラ・コノリー、右伯爵役のラーセン
↓ フレミングの左が指揮者のA・Davis
2011年春の旅 12 (ニューヨーク) [2011春東京からNY、母娘の旅]
4/20(水)
アメリカに着いたときより、次第にお天気が下降気味でしたが、この日は午後から久しぶりに暖かくなりました。
コロンバス・サークルから地下鉄でマンハッタン北部のクロイスターズ(メトロポリタン美術館別館)へ。私は2002と2009に続いて3回目、長女は初訪問です。地下鉄の駅(190St)を降り、フォート・ライオン・パークを散策。あいにく霧が濃くハドソン川は眺められませんでしたが、桜や水仙、クリスマスローズなどが咲いていました。
前回は3月初旬の訪問でした。公園の中は雪が積もっていましたが、↓今回は朝の霧の向こうに桜と中世の教会を模した美術館の建物が浮かび上がって、幻想的な風景。
↓ 近づくにつれて、霧も晴れてきました。
↓ まずはカンパンの「メロードの祭壇画」のある部屋へ。
そしてフランスのラングドックやルッション地方から移築した回廊や「一角獣のタペストリー」などを鑑賞。
↓ 「Saint-Michel-de-Cuxaの回廊」と柱頭彫刻
↓ 今回初めて目にしたSaint-Michel-de-Cuxaのトリビューンを飾っていたといわれる神の子羊とケルビムのピンクマーブルの彫刻。
↓ ブルゴーニュ地方のオータンにあった天使の浮き彫り
↓ 現在は廃墟になっているMoutiers-St-Jean修道院(ブルゴーニュ)の扉口(13世紀)
↓ 「Saint-Guilhemの回廊」12世紀の終わりごろ
地下鉄で82Stまで戻り、バスに乗り換えてメトロポリタン美術館へ。クロイスターズでもらったバッジをつけるとフリーですぐ入館できます。ここで夕方まで居るという長女と別れ正面大階段の横からG階の中世部門のフロアへ。クロイスターズほどではありませんが、かなり価値の高いものが並んでいます。
↓ このコーナーはフランス、イタリア、スペインが混在
↓ 「オーヴェルニュの聖母子」12世紀
↓ Saint-Pere-en-Vallee(シャルトル近く?)小扉口のリンテル(1220-30)の彫刻。下の写真では2枚に分けました。左に「墓を訪れる聖女たちと天使」、右に「キリストの埋葬」
最後にリンスキーの部屋でクリヴェッリ兄弟と隣に飾られていた↓ Giovanni di Paoloの「マギの礼拝」を観て
美術館の前からバスで五番街を走りホテル・ザ・プラザの近くで降車。もう2時を過ぎていましたが、今日のランチはザ・プラザの地階にあるフード・コートで。ザ・プラザは私なんぞは高嶺の花の高級なお宿ですが、地下はまあまあカジュアルなレストランです。カウンターが寿司、バーガー、シーフードなどいくつか並んでいますが、注文すると座った席に関係なく届けられます。スペイン風蛸と長葱にカルフォルニャ・ロール、お持ち帰りにファラフェルサンド・・・美味でした。ここは初めてでしたが、独りでも気軽に入れますし、メニューがバラエティに富んでいて面白いです。ホテルまで数分歩いて戻り、仮眠。今夜のオペラに備えました。
Giuseppe Verdi 『Il Trovatore』8:00~10:45
Conductor :Marco Armiliato Production:David Macvicar
Leonora:Sandra Radvanovsky Count di Luna:Dmitri Hvorostovsky Manrico:Marcelo Alvarez Azucena:Dolora Zajick Ferrado:Stefen Kocan
このマックヴィガー演出のプロダクションは2年前に観ていましたが、その時まるちゃんことアルバレツは風邪でキャンセルでした。今回はこれがメインではなかったのですが、マルちゃん目当てで、また観ることにしました。席は3階のバルコン前列でしたが、3番目なのであまり観やすくなかったのすが、117.5$なので・・・我慢です。
指揮はアルミリアート。メットでは何度か聴きましたが、オーケストラとの呼吸感がしっくりしていて、かなり満足させてくれる演奏を今回も披露してくれました。演出はゴヤのいくつかの名画にインスピレーションを得て、スペインの内戦当時の雰囲気が良くでています。↑2年前の写真よりピンボケ~。
まずアズチーナを歌ったザジックが素晴らしかったです。声は予想より透明感があり、アズチーナになりきったパフォーマンスは素晴らしい!この役を十八番にしているザジックを聴けたのが、この夜の一番の収穫でした。それに比べると何ですが、昨年同様の大声はりあげタイプのラドヴァノスキーにはもううんざり!どうして人気があるのかさっぱりわかりません。ヨーロッパ特にイタリアでの評判も良いのかしら?声量を大きくすることに重点を置くせいで、歌詞が不明瞭&ディクションが汚いのは耐えられません。昨年より進歩していると期待したのですがね。アルバレツは写真でもお分かりになると思いますが、ふた周りほど痩せました。そして歌唱もスケールが小さくなったのは残念です。以前の熱っぽさが感じられず・・・あの恐ろしい火のアリアも私にはいまいち不発でした。だからといって他のテノールと比べるとまだまだ上の水準にあることは変わりませんが・・・。ホロ様は全体にこの役に慣れた感じがして、歌唱も演技も余裕でした。群集の動かし方も今回のほうがスムーズに見えたのは私が2回目だったからでしょうか。見せ場の鍛冶場の合唱シーンも迫力満点。ゴヤの鍛冶場の絵画にヴェルディの音楽が重なって、民衆のパワー炸裂!感動しました。
午後は汗ばむほどの陽気でしたが、夜になるとかなり冷え込んできて、震えながら帰りました。寝ないで待っていた長女とファラフェルを夜食にいただいて就寝。
2011年春の旅 13 (ニューヨーク) [2011春東京からNY、母娘の旅]
4/21(木)
朝から冷たい強風の悪天候の日。風邪がぶり返して咳がひどくなってきましたが、ニューヨークの美味しい朝食をと、頑張って近所のカフェAQKAFEへ。コロンバスサークル近辺のカフェのなかでも、北欧風のインテリアとスカンジナビアレストランで有名なAQUAVITの系列店ということで目立っています。
二人ともスモークサーモンと卵にフレッシュ・オレンジジュースとコーヒーをいただきましたが、ミートボールもここのお勧めだったようです。
この日は2日前に行って長い行列で諦めたアメリカ自然博物館へ。寒いので地下鉄で行きました。以前は見られなかったプラネタリウムと蝶のコレクションが今回の目的です。地下鉄81Stから直通の入り口はすでに行列。どうやら館内の人数制限をしているようでした。私たちは地上からプラネタリウムのあるビックバンシアターのほうから入館しました。プラネタリウムの予約時間が記入されたチケットをもらいましたが、1時間ほど後なので、バタフライの展示室へ。しかし、ここも予約制で特別料金がかかりますが、せっかくだからと申し込みました。それぞれの時間まで、マンモスや恐竜の骨などを見学しました。
プラネタリウムは宇宙の歴史がテーマでウーピー・ゴールドバークのナレーション。最初の星の誕生から地球の誕生まで30分ほど。小さな青い地球の誕生そのものが奇跡。その太陽系の片隅の星で一生懸命生きる私たち。その誕生からして地球は地震も津波もハリケーンもあって当たり前、「想定外」などありえません。そういって原発の安全を無理に押し通した科学者たちの責任は重いです。それを快適な暮らしのために黙認してしまった自分にも腹が立って・・・涙。カメラ禁止。
さて、楽しみだった蝶のコレクションは予想より貧弱でした。温室での蝶々見学も沖縄の由布島のもののスケールを大きくしたくらいの規模。蝶にまったく無知な私が言う資格もありませんが・・・汗。
まだまだ観たいという長女とはここで別れ、コロンバスサークルに戻りました。ランチはワーナーのイタリアンA Voce Columbus。ここは昨年も来て気に入ったレストランです。2時半近くでしたが、席はちらほら程度にしか埋まってませんでした。
↓ フォカッチョにチーズ風味のソースをつけて
↓ 白身のお魚のカルパッチョ。ウイキョウやセロリの薄切りと淡白なソースが絶品!
↓ 手打ちパスタ(ネッロ・オレキエッテにオマール海老)
↓ 量もほどほどなのでデザートもOK
女性シェフらしく上品で繊細な味、極上イタリアンを堪能した後は宿に帰ってお決まりの仮眠。そして昨年夏から手配済みだったオペラへ。
Gioachino Rossini『Le Comte Ory』8:00~10:45
Conductor:Maurizio Benini Production:Bartlett Sher
Raimbaud:Stephane Degout Countess Adele: Diana Damrau Count Ory: Juan Diego Florez The Tutor:Michele Pertusi Isolier:Joyce Didonato
シャーの演出は2007年のセビリアの理髪師以来でした。あの舞台もかなり面白かったのですが、今回も期待にたがわぬ、ミュージカル&ドタバタ風ながら決して下品にはならず、作品の洒脱さを生かした舞台になりました。音楽も大部分がランスへの旅からの転用が多く馴染みやすく、テーマもフランス貴族の軽い恋愛劇というわけで、最高のキャストを揃えたベル・カントの愉悦にひたりました。
昨年赤ちゃんを産んだというダムラウが一番心配でした。声が気のせいか優しくなったような・・・。でも歌の巧さも体型も美貌も変わらず、ロココ風ドレス姿の綺麗なこと!ヴァトーの雅宴画に出てくるような色っぽさ・・・このエレガントで豪奢な衣装はMETだからこそ!でしょう。6月の日本公演にはぜひ!来てくださいませ。
フローレスは歌はもちろんのこと、コミカルな演技も、以前はハラハラしたときもあったけれど、今回は満点に近く、観客も大喜び(でも笑い過ぎるぅ~)でした。この1週間ほど前に男の子が産まれ、パパになった喜びも伝わってくるような、そんなパフォーマンスに大絶賛の嵐でした。ディドナートも赤い革のジャケットも素敵に似合って、歌唱も演技もかなり完成度が高く、影での努力がうかがえました。
主役3人の満点のパフォーマンスに加えて、注目したのはオリーの仲間ランボー役のドゥゴー。彼は来年春、ウィーンでハムレット(ミンコ指揮)を歌うというので、初めて名前を知りましたが、声も私好みで、演技もスタイルも良く(顔は目が大きいほかは?)、プログラムでチェックしたところすでに大活躍のバリトンなのですね。キーンリーサイドとレパートリーが重なっているのが気になりますが(笑)
追記:コメントをいただいたBowlesさんのご指摘で、ドゥゴーは2003.4にラモーの『レ・ボレアード』(パリ・ガルニエ)で聴いていたそうです。BORILEE:Stephane Degout 全然憶えてなくて・・・汗
というわけで、オーケストラ席4列目での耳も目も極楽状態の鑑賞でした。でも、こんなときに限ってカメラを忘れてしまって・・・写真はMETのサイトから拝借しました。
ストレス解消にはロッシーニ!と、笑顔で劇場をあとにしました。
2011年春の旅 14(ニューヨーク&帰国) [2011春東京からNY、母娘の旅]
4/22(金)
ニューヨークも今日が最後の日になりました。母娘して朝に弱いので、今日行く予定のMoMA(ニューヨーク近代美術館)は混むとは思いながらも、のんびり途中のカフェで朝ごはん。イースター休暇の週末のため、カフェはどこも家族ずれや観光客で列ができていました。
ようやくブランチに近い朝食を終え、徒歩10分くらいのMoMAに着いてみれば、今まで観たこともない長い行列ができています。でも私たちはシティパスを持っているので、ここでも並ばずに中のインフォでチケットを引き換え、即展示フロアへ。オーディオガイド(無料)は日本語がありますが、運転免許証の提示が必要とのこと(パスポートは×)です。長女はアメリカでは運転しませんから、免許証は日本に置いてきたと残念がって・・・。
ここの鑑賞は私も何度か来ていますし、娘とは別行動にしました。彼女はこの後チェルシー方面へ。私はオペラがあるので、お一人様ランチの後はホテルに戻りました。
まず最上階の特別展(ドイツの表現主義)へ。ここはカメラ禁止なので、↓ポスターだけ。
3日前に観たグッゲンハイムの特別展と同じく、MoMAのコレクションだけで構成されています。それが凄いコレクションで、何処に隠してたのと思うような一級の作品が並び、思わずゴクリ(笑)
キルヒナー、べックマン、ココシュカ、カンディンスキー、おまけに大好きなエミール・ノルデやケーテ・コルヴィッツまで!
自前でこれだけの企画展ができるのですから、何度来ても(4回目)展示替えで新しいものを目にするはずです。
↓ 人気のロスコは専用の展示室ができてました。
↓ ロスコ初期の作品
↓ アンソール「聖アントニウスの苦悩」1887
↓マレヴィッチ「桶をかつぐ農婦」1912~13
↓ イヴ・タンギー「He did what he wanted」1927 タンギーの絵を見るといつも胸が痛くなるのですが、今回は特に・・・。
↓ MoMAの中庭
↓ カーネギーホール近くのRedeye Grillでランチ。東海岸の生牡蠣。
仮眠の後はメトロポリタン歌劇場の『ワルキューレ』へ。6時半からの開演なので外はまだ明るく、今夜が初日のなんとなく華やいだ雰囲気です。
↓ 4夜連続の簡単プログラム(無料)も今夜が最後です。
Richard Wagner『Die Walkure』 6:30~11:40
Conductor:James Levine Production:Robert Lepage
Siegmund:Jonas Kaufman Sieglinde:Eva-Maria Westbroek Huding:Hans-Peter Konig Wotan:Bryn Terfel Brunnhilde:Deborah Voigt Frika:Stephanie Blythe
リングの新演出は何年ぶりになるのでしょうか?以前のプロダクションのは地元のオペラ教室で、映像は観たことがありました。ワルキューレは生ではミュンヘン(2003)以来です。リングの中では一番好きな作品のうえ、ジークムンドを歌うのがカウフマンというので、前日のオリーとあわせてチケット購入を即決していました。席はオーケストラの10列目右より、222.5ドル。
ニュー・プロダクションを担当したのはRobert Lepage(カナダ)。2006年にパリで観たファーストの劫罰がどうやらこの方の演出だったらしい・・・映像駆使タイプで当時は私の好みでなかったのですが、2008のMETのライブヴューイングで観た劫罰は、グラハムの歌も良かったし、慣れたのか結構良かったのです。アシスタント、衣装、照明もレパージュのチームが担当。
レヴァインが指揮台に上った時点で、立ち上がって拍手をする人も多く、METの顔でもあるマエストロの人気は絶大なものがあります。幕が上がると舞台上の何本かの角材、それが立ち上がると森の木々のようにもなったり、いろいろ変化していきます。その樹の影から現れたのが精悍な狩人スタイルのカウフマン。「ラスト・オブ・モヒカン」のダニエル・デイ・ルイスみたい!!↓
初日でやや固くなっているように見えたのは、動作がどうもぎこちないからなのです。けれども歌唱は特に1幕は素晴らしいできでした。
開幕前にウエストブルックは体調が悪いと説明がありましたが、そんな風には見えず、なんどもジークリンデを歌っているからでしょうか、カウフマンに比べるとヒロインになりきったパフォーーマンスは凄く光っていました。彼女は2006年アムステルダムで初めて聴きました。まだ新人だった頃ですが、すでに大器の風格(体格も立派 笑)でした。次回を楽しみにしていましたが、ようやく・・・でも1幕目で体力を使い果たしたのでしょう。2幕目は代役が歌いました。
次に良かったのはフリッカのブライス。藤村さんのフリッカが理詰めで責める冷たい奥方とすると、こちらは女の情念で訴える怖い奥方。その表現には脱帽でした。ブライスはいままでMETでは何度か聴く機会があったのですが、今回が一番良かったです。
残念だったのはターフェルとヴォイト。ターフェルの声はヴォータンには向いていないのでは?ヴォイトのブリュンヒルデも頑張っているのですが、どこか違うのです。言葉で簡単に説明できないのは残念です。父と娘の別れのシーン、大好きなところですが、何故かこの二人の歌に気持ちが乗って行きません。素晴らしい1幕からはじまるものの2幕、3幕と感動が次第に薄れていくのを止めることができませんでした。
2幕目の騎行の場面、ワルキューレの娘たちが滑り台のようにひとりずつ斜めになった角材を降りてくるシーンは少々エロチックでしたが、意外性があって面白かったです。レパージュはシルク・ド・ソレイユのプロダクションも担当しているそうなので、こういうのはお得意なのでしょうね。メトの大劇場にワグナーの音楽が響き渡り、大掛かりな装置(初日なのでところどころミスったり)のショー的舞台100%ではなくても、それなりに(笑)楽しむことはできました。帰途は深夜12時近くでしたが、週末のニューヨークはまだまだ賑やかでした。
4/23(土) NY(JFK)13:59→
昼過ぎのフライトなので、朝になってから荷物の整理をして間に合いました。あまり物で簡単朝ごはんを済ませ、早めにホテルをチェックアウトして空港へ。搭乗開始も30分以上早く、定刻どおり離陸。来るときもですが、古い機材で(エコノミーはパーソナルテレビがなかったそう)運行されるのは、日本の震災や原発で乗客が少ないからかしら?ビジネスクラスも搭乗口付近のラウンジは閉鎖され、機内食も今までで一番不味いものでした。デルタとはこれで縁が切れそうです。
4/23(日)成田16:30(DL)/18:30(JL)→千歳20:00頃
札幌駅に着いて、タクシー乗り場までの寒いこと!NYも天候に恵まれず、寒い思いをしましたが、まだましだった~と言いながら我が家に辿り着きました。
↓ 札幌駅でお弁当を調達
↓ NY土産のスィート、ブラウニー。日本の甘さ控えめのお菓子に慣れているので、初めは甘すぎると思いましたが、癖になる甘さでパクパク・・・ラベルの太った魔女そのもの(泣)。
健康に不安があり、旅の途中で何度か連絡していた夫も独り暮らしを楽しんでいたみたいで、意外に元気でした。孫たちのことを目を細めて聞く夫の嬉しげな様子にほっとしました。失業中の長女も旅行にためにいったん中断していたキャリアアップのための勉強も再開し、日常の生活に戻りました。
3.11の震災から2ヶ月、旅をしていてもそのことが頭から離れませんでした。原発事故が起きて初めて原発がどういうものなのか調べることにもなりました。そして・・・その恐ろしさを知ったことで、生まれて初めてデモにも参加しました。私の中で何かが変わったようにも思えます。このような状態は少なからず皆さんにも起きていることと推察しています。少しずつでも価値観や意識が変って、後の世代により良く繋がっていきますように・・・って、最後はちょっぴりお堅くなりましたが、これで終わらせていただきます。END
追記 5/12 4PM 管理ページでアクセス数をチェックしたところ、「今日: 351 / 累計: 300,999」となっていました。ありがとうございました!