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2006夏の音楽の旅~エジンバラ(3) [2006夏2インスブルック、ザルツブルク、エジン]

9月1日(金)   エルスハイマー特別展&BBC響演奏会

朝、雨の音で目が覚めた。気温も昨日より10度くらい低くなり、ぐっと涼しい。さて、今日はナショナル・ギャラリーでのエルスハイマー特別展 に張り切って出発。昨日に続いて11:00からのチェロのコンサートをパス。(汗)音楽会のダブル・ヘッダーをすると、他の観光や美術館などの見学をするのは無理になってきた。もう歳だし、腰痛も抱える虚弱体質なので仕方がない。コンサートのチケットを購入した時は、美術館の情報を取っていなかった。出発間際にこのエキシビジョンがあることをサイトで知り狂喜!!あっさり音楽→美術に鞍替え。(笑)↓展覧会のゲート


 エルスハイマーは日本ではあまり知られていないので簡単にご紹介。

 Adam Elsheimer(独)1578~1610 

フランクフルトに生まれ主にローマで活躍。初期にはマニエリスムの様式が見られるが、1598年にイタリアに渡ってからは「エジプトへの逃避 」に見られるように細密描写的でしかも詩情豊かな夜景表現にすぐれ、名声を得る。小型の銅板に油彩で描かれた作品の多くは、彼自身や弟子たちの手で銅板画にされ、17世紀の風景画の発展に重要な影響を与えている。レンブラントや友人であったルーベンスも「エジプトへの逃避」↓に触発された。
32歳 で夭折。<西洋絵画作品名辞典より>

 

 フランクフルト、ロンドン、サンクトペテルブルグ、ベルリン、コペンハーゲンなどから集められた全作品47点 を展示。図録のカタログにはこのようなエルスハイマーの大展覧会は最初で最後になるだろう とのご挨拶。エジンバラのほかはロンドンとフランクフルトでも開催される。チケットを買うと小さなルーペがついてきた。初めはこれで細部を眺めたのだが、私の場合は近くのものは良く見えるので、そのうち不要となった。この展覧会も2日後には閉幕なので混雑 を一番恐れたのだが、それほどでもなく一点一点ゆっくり鑑賞。エルスハイマー独特のミニァチュール の世界、そして夜景の表現が素晴らしい!!星が降るように輝く金の細かい点描が 魔法のごとく画面を支配。たいていは遠景に描かれている幽玄な青灰色の森の描写にも目が釘づけ。

全世界に散った作品がこうしてスコットランドの地に集まったのは、 ここの美術館の企画によるもの。序に掲げられた「In Memory of Keith Andrews」・・・エルスハイマーの研究で知られているK・Andrews。その業績の出発点となったのがここNationai Gallery of Scotlandという.

ここの美術館が収蔵する「聖ステパノの石打」↓左と、レンブラントの同主題の絵画(リヨン美術館)↓右と較べてみるのも面白い。カタログも充実していて作品の来歴にも詳しい。チェックしたところほぼ予想通り、レンブラントがエルスハイマーの絵画を観た可能性は非常に大きい。「エジプトへの逃避」は1611年か らユトレヒトにあった。 

  

 またパリ・ジャックマール=アンドレ美術館の「エマオの晩餐」↓に 影響を与えたと思われる「レトとリュキアの農夫たちのいる風景」(ドレスデン)も1662年にユトレヒトで売りに出された記録が残っている。謎解きの面白さ。けど素人のたわごとかも知れませんが。おまけに十五夜の月を眺めても「ああ!エルスハイマーの月!!」レンブラントの生誕400年の記念の展覧会(アムステルダム)に続いて、エルスハイマーの展覧会に偶然来ることができたのも何か不思議な縁を感じている。

 

 

↓展覧会で購入した 図録から復習(ワード)

 ADAM ELSHEIMER.docx

さて、夜遅くのコンサートの前にホテルからアッシャーホールの途中にあるイタリアレストランへ。昼間覗いてみたらコックさんを初めお店の全員がイタリア人!美味しいパスタにありつけると期待・・・しかしあまり美味しくない。(泣)でもエジンバラでは立派に通用していて結構な入りで、ほぼ満席。ちょっとイタリア語を喋ってみたら、乗りのいいおじさんが「なんでイタリア語話せる?何処で習った?」と大はしゃぎ・・・(この程度のイタリア語で騒がないでぇ~ )

 9時半からのコンサートはBBC響のブルックナー9番 指揮 : J・ピエロフラーヴィク
ブルックナー 最後の交響曲は、重々しく厳かな中にもブルックナーらしい質実なロマンが 感じられて良かった。この曲 は生で聴くのは初めてだった。この曲を聴くたびにエジンバラを想い出すだろう。席は1階の後方。夜遅くの公演なので私の周りは空席がめだった。Usher hallは古い趣のある建物。内部は正面に歴史を感じるパイプオルガンを備えたコンサートホールの典型。落ち着いた雰囲気が日本のピカピカホールに慣れた身には心地良い。11時を回った街は週末ということもあって、若い娘さんが 平気で歩いている。私も表面は平然と(内心はまだビクビク)雨のなか宿へ帰った。


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コメント 4

yumemi

充実したご旅行の様子を拝読させていただきました。
特に、エジンバラの様子は去年行った時の事を思い出して懐かしく思いました。
主人の父親がグラスゴー郊外の出身なので、過去何回か行っていますけど、
確かに、食事は今ひとつですねえ〜、>スコットランド。
by yumemi (2006-09-19 08:42) 

tina

音楽会も羨ましいけどエルスハイマーが見られたのはもっと羨ましいです。偶然、高階秀爾氏の「バロックの光と闇」を読み返していたらエルスハイマーがでてきて、「エジプトへの逃避」の夜景は星座の様子が正確に描かれていて多分望遠鏡で夜空を観察していたのだろうとありました。満月もクレーターが描かれていて、湖面に映った月にも確かにはっきり判りますね。意外に小さな絵だったのを思い出しました。

イングリッシュブレックファーストと言うくらいですから、スコットランドはあてはまらないのでしょうか。
by tina (2006-09-19 13:16) 

alice

yumemiさま
エジンバラはスコットランドの首都だけあって都会ですね。ですからそれなりに危険度も高いと思い、深夜のオペラがはねた後はかなり緊張しました。それと地下鉄がなくてバスが主要な交通機関なのですが、とても複雑。全然乗りこなせないままに終わりました。見当つけて乗ったバスが中心街に行かないで、反対方向の丘の住宅地を一巡り・・・。(汗)
いろいろ失敗もありましたが、楽しかったです。
by alice (2006-09-20 14:02) 

alice

tinaさま
エルスハイマーの「エジプトへの逃避」(31×41)彼の作品のなかではそれでも大きいほうです。同じミュンヘンの「トロイアの炎上」(36×50)。ほとんどが虫眼鏡が必要なサイズで縦横10センチ前後。そのなかで最後に展示されていた「自画像」(63.7×48)が一番大きかったので、思わずあらら・・・。(笑)
細密画の作業はかなりハードだったようですね。tinaさんが書いてくださった「エジプトへの逃避」の満月や星座のことも、研究熱心かつ厳密さを好む彼の性格を良く表しています。額にくっきり縦皺の刻まれた顔、20代後半には到底見えません。
でも生前から認められ、シアワセな結婚生活を送っていたようです。

スコットランドもイギリスの一部ですからあてはまると考えたのですが・・・。ホテルでもあとから気がついたのですが、特別注文するとそれらしきものを食べられたようです。でもバカ高い!!
by alice (2006-09-20 14:36) 

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