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2008年冬の旅(ROME 7) [2008冬ローマ、ナポリ、シチリア島の旅]

2/1(金)
  ローマは今日が最終日。お天気も体調も良く、自分で作ったプランどおりに元気に歩きました。

トラステヴェレ地区の3聖堂へはまずテルミニ駅前からバスに乗車。テヴェレ川を渡るとすぐに●s.Crisogono  サン・クリソゴノ聖堂が右手に見えてきます。正面玄関は工事のシートが架かっていますので、横の広場のほうから中へ。5世紀創建の聖堂の上に12世紀に現在の聖堂が建てられました。

内部は意外に広く、今まで見た教会のような立派という感じはなく、古びています。その分観光客の少ない静寂さと地元の<おらが寺>の雰囲気が感じられました。コズマーティ様式の床モザイクが綺麗。

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 この地下の古い聖堂を見学したかったのですが、この日は閉まっていて係りの人も居ません。あきらめて正面の柱廊玄関にまわってみますと、工事をしている様子もなく静かです。玄関脇の煉瓦のロマネスクの鐘楼を間近に眺めてから、PHOTO096.jpg

道路を渡り●S.cecilia in Trastevere サンタ・チェチーリア・イン・トラステヴェレ聖堂へ。
この地区は狭い路地が多く、迷いやすいところですが、下町の風情があり、散策も楽しめます。教会の前景は三角の破風に柱廊玄関、右手に煉瓦の鐘楼と、先ほど訪れたs.Crisogono
に似ています。噴水のある広い前庭がゆったりと明るい日差しを浴びて、好ましい雰囲気。

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教会に入る前に正面向かって左の建物の呼び鈴を押して、「カヴァリー二が観たいです」というと扉を開けてくれます。ポストカードなど並べた机の傍に修道女さんが居て、入場料を払います。2階にPietro Cavallini  (13世紀ローマの代表的画家)のフレスコ画「最後の審判」の一部(1293作 320×1400cm)が残っています。絵葉書は中央部分のマンドーラに座すキリスト。まだ、中世のイメージが残っています。

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ピエトロ・カヴァリー二 はローマに伝わる古典的形態を学ぶと同時に、ビザンティン美術やフランス・ゴシック美術のの最新の図像表現を採り入れ、続く14世紀イタリア絵画の革新に決定的な影響を与えました。同時期の画家ジョットより知名度は落ちるものの、実力はジョットと並び、高い評価を受けています。

地図を見ながらでも、迷ってしまう界隈を10分ほど歩くと●S.Maria in Trastevere  サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ聖堂です。

今回の旅で唯一訪問済み(1991年)の教会です。
初めてのローマで半日フリータイムがあり、なるべく古い教会が観たいと、選んだのがここでした。あれから17年・・・あの古びて崩れ落ちそうに見えた教会は修復を経て、凛とした姿。広場に面した建物や噴水、石畳さえも綺麗に整っています。寂しいような嬉しいような複雑な気持ちでたたずむ私。内部もまた、以前はモザイクの修復中で、ほとんど観られなかったこともあって、初めての教会の気分。

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4世紀の創建で、現在の建築は12世紀のもの。ここも三角の破風、玄関柱廊、右手奥に鐘楼塔が控えています。ここのアプシスの聖母の生涯のモザイクはカヴァリー二の作。奥の礼拝堂には7世紀の聖母子像の板絵があり、王冠を戴く聖母はかなり傷んでいます。初日に観たサンタ・マリア・マッジョーレのモザイクのを想い出す豪奢なイメージの聖母です。
大アーケードの柱はイオニア式で、近くのカラカラ浴場(3世紀初頭)から運ばれたもの。

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 ここトラステヴェレ地区は下町らしい気取らない、良いレストランが集まっています。どこでランチをとろうかと迷った末、参考書の益田先生ご推薦のオスタリア・デル・モーロへ。店先に並んだ手長えびを見て、ここは迷わずScampi alla Grilia。前菜はAntipasto Ltaliana。どちらも美味でした。☆☆☆

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次はアヴァンティーノの丘の2聖堂を目指します。
シスト橋から川沿いに10分ほど歩きますと、パラティーノ橋の向こうに●S.Maria in Cosmedin  サンタ・マリア・コスメディアン聖堂の高い鐘楼が見えてきました。

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堤防の上から全景を撮っていますと、目の前に若い男性が携帯のカメラで自分を撮っています。こんなところでセルフ・ポートレートは変だとは思いましたが、私自身も写真撮りに夢中。すると、私に自分の携帯で僕を撮ってほしいというのです。それも木の陰のほうへ行って、もっと近づいてというので、近づくと木の影の死角になります。怪しく感じて適当にシャッターを切ると、なんか文句を言うので、携帯を渡して逃げようとしたら、いきなり背の高い背広姿の男性が「ポリスです」と警察手帳を見せて現れました。まず私に「パスポートを見せて」というのです。この手の被害にあった人を知っていましたから、バックは開けずに「ホテルに置いてきたわ」と後ずさりながらいいますと、私のもろに警戒した様子をみて諦めたのでしょう。「行っていいよ」というので早足で逃げました。ほんの10mくらい歩いて、後ろを振り返ったら二人の姿はもうありません。  もしかして本物の刑事さんだったかも・・・だったら危ないところを助けてもらったことになりますね。
コスメディアン聖堂の近くは、賑やかで、近くに人もいましたので、油断してしまいました。観光客の集まるところのほうが狙われやすいのですね。

S.Maria in Cosmedin 聖堂 は柱廊玄関左の真実の口に行列ができています。そのなかには若い日本人(多分卒業旅行)のグループも。
6世紀の創建で8世紀と12世紀に改修されています。ロマネスク時代の説教壇や内陣障壁の柵、モザイク床が時を経た落ち着きを見せています。13世紀の司教座とキボリウムの調和も美しく、観光客で賑やかな柱廊玄関とは隔絶された静謐な空間です。入り口右手のブックショップの壁に8世紀初頭のモザイク。

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ここから丘を登り、(日ごろの運動不足がたたってきつい)●S.Sabina サンタ・サビーナ聖堂を目指します。午後の15:00からのオープンにまだ時間があり、道路側の通路を清掃中です。隣接の公園に入って休憩することにしました。オレンジのたわわに実る木々が植えられ、展望台からのローマ市内の眺望も素晴らしい公園です。近隣は高級住宅らしく、犬の散歩の人がのんびり歩いているくらいで閑静なエリア。公園の治安も問題ありません。

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 さて、時間になりS.Sabina へ 。5世紀前半に建立された貴重な初期キリスト教の建築です。丘の上まで来る観光客は少なく、見学者は私ひとり。入り口付近のベンチに座りぼーっとしていました。

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クリアストーリーと呼ばれる高窓からの光が明るく堂内を照らしています。アーチを支える24本の白大理石の柱はコリント式。これも神殿からの転用でしょう。そのアーチの間の壁面装飾も色大理石のシンプルなデザイン。今まで見てきた聖堂がきらびやかなモザイクで飾られていたり、バロックの重苦しさが残っていたりしたところが多かったので、この聖堂の明るく簡素な佇まいがひときわ印象に残りました。
ところが帰りにゆっくり見学するはずだった木彫の扉(創建当時の作)のことをすっかり忘れてしまって・・・大失敗。(泣)

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坂道を下り、途中からバスでテルミネ駅に戻りました。早いもので明日はナポリです。
ローマ最後の夜は外で美味しいものをいただこうと思いながらも、いったんお部屋でくつろぐと外出は億劫になり、結局手持ちのもので間に合わせました。食いしん坊の私もいよいよ気力と体力が衰えてきたのかしら・・・サビシイ。

 


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コメント 4

tina

二十年ぐらい前に行った事のある教会たち。懐かしいです。四月だったと思うのですが、あちこちで花嫁さんを見かけました。
カヴァッリーニだけは見られなかったので羨ましい。
秋に行けたらと思っています。

by tina (2008-03-13 13:26) 

Bowles

いや〜、危ないところでしたね〜。なんともなくて良かった...。

そのオスタリア、私も行きました、夜に。去年の夏泊まっていたホテルからだと、ほんの5分。値段も安くておいしかった...。

カヴァッリーニ、無事に観られて良かったですね。あれはホント「至宝」という言葉があてはまると思います。コスメディンのすぐそばの、S.Giorgio in Verabroのカヴァッリーニもご覧になりましたか?

教会自体はS.Clementeのほうがずっと好きですが、S.Sabinaはロケーションがいいですよね。あの公園からCosmedinの横へ降りる道も風情があって、大好き。あの横の公園の猫が人なつっこくて、ずいぶん遊んでもらいました。でもaliceさん、

>木彫の扉(創建当時の作)のことをすっかり忘れてしまって

って、これは...。またいらっしゃい、ってことですね。
by Bowles (2008-03-14 09:40) 

alice

tinaさん

秋にはナポリにも行かれるのでしょうか?

次の日記のコメント欄に書きましたが、私のドジで観られなかったカラヴァッジョのウルスラ、ぜひご覧になってきてくださいね。
by alice (2008-03-14 14:38) 

alice

bowlesさん

S.Giorgio in Verabro、行く前は予定に入れていたのですが、CosmedinからS.Sabinaの方角を眺めると、丘の上!きつそうなので直前パスしました。

残念ながらあの道で、可愛いニャンコには巡り合えませんでしたが、ローマもナポリもシチリアも猫だらけ。犬もですが、自由奔放に生活してますね。日本のペットはカワイソウに思いました。
by alice (2008-03-14 14:53) 

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