SSブログ

2009年初夏の旅16(マッレス→ナトゥルノ→メラーノ) [2009夏仏、伊、スイスのロマネスクを巡る旅]

5/23(土)

Malles[バス]---Burgusio[バス]---Malles13:03[電車]---Naturno13:50/16:17[電車]---Merano16:43

Hotel Residence Flora 1泊

マッレスの鹿ホテル3★は今回の旅では一番安いホテルでしたが、朝食は4★も及ばない美味しさでした。ホテルの前にとても繁盛している肉屋さんがあったのですが、生ハムやサラミは多分ここから購入しているのでしょう。パンやアプリコットのジャム、席についてから運ばれるエスプレッソなど、心のこもった朝ごはんに大満足でした。若主人の趣味で集められたこの地方のアンティークなストーブなどが廊下を飾っています。客層はほとんどが常連客のようで、リタイアしたドイツ人のご夫婦が多く、山歩きを愉しむ方たちです。

P1000764.JPG

↓ 鹿ホテル外観

P1000737.JPG

(i)もホテルの2,3軒隣にあります。モンテ・マリア修道院のクリプトはやはり5時半でなければ入れないそうです。昨日はホテル探しに手間取らなかったら、訪問できたのですが・・・残念。ブルグジオまでのバスの時間や乗り場などを教えてもらい、そのままここから徒歩5分ほどのサン・べネデット教会へ。

町外れに建つ9世紀の小さな教会です。単一窓と二連窓のある鐘塔は12世紀のもの。教会の内部を飾るフレスコ画はカロリング朝のもので、数少ない重要な作品とされています。元はミュスタイアの修道院に属していました。

P1000743.JPG

10:00オープン数分前、既に先客が二人。管理人さんが定時に来て鍵を開けてくれます。(有料)

後からドイツ人の団体客が来たので、狭い教会内は混雑しました。内部はカメラ禁止。

P1000745.JPG

↓ 絵葉書より。東壁の祭壇のニッチは馬蹄形で、とても印象的です。中央のニッチにはキリストが2天使とともに立ち、両サイドのニッチにはグレゴリー大司教と聖ステファノの姿が描かれています。

ユニークなのはニッチの間に描かれた創設に関わった二人の領主の姿です。

2009.6.2 083.jpg

↓ 絵葉書(上の2領主)右の人物は教会のモデルを持ち、左の人物は力のシンボルである剣を持っています。このような宗教とは無関係な世俗の衣装の領主の肖像画はヨーロッパでは唯一の例といいます。優れた写実的な描写、そして色彩もカロリング時代にしてはかなり残っています。北壁にもサン・ベネディクトの生涯などのフレスコ画が認められます。20世紀になって再発見されるまで、倉庫として使われていたそうです。

2009.6.2 084.jpg

マッレスの町にはロマネスク期の教会は他にもあったのですが、鐘塔だけを残し教会は壊れてしまったようです。ブルグジオへのバスが小高いところを走り、サン・ベネディクト教会に似た方形の塔が3~4本見えました。

ホテルの近くの教区教会(ゴシック)の広場からミニバスに乗り、ブルグジオへ。サン・ベネディクトの管理人さんがここから歩いても30分と教えてくれたのですが、暑いので無理と判断しました。

バスで数分も走るとブルグジオの山の中腹にモンテ・マリア修道院が遠望できます。村の入り口付近でサン・ニコラス教会への看板を見つけ慌てて降車。ところが迷ってしまって、暑いさなか坂道を登ったり、降りたり、野良犬に吠えられたり(超怖かった)・・・散々な目に遭いながらようやくたどり着きました。ネットで調べた教会のトップは煉瓦色でしたから、余計に間違えてしまったのです。

サン・ニコラス(二コロ)教会は12世紀末から13世紀初頭にかけて建設された小さな教会です。モンテ・マリアの修道院に属していました。方形の鐘塔の下が後陣で、深いアーケードの祭壇が置かれた付近に壁画が描かれています。

P1000752.JPG

しかし、無常にも扉は閉ざされています。ここで観るべきものは内部の壁画ですから・・・。(涙)扉の右に鉄格子のはまった窓があり、のぞいても中は真っ暗です。

P1000757.JPG

仕方ありません。カメラを差し込んでフラッシュ撮影しましたが、ピンボケです。アーケードの天井に「荘厳のキリスト」、右下の女はセイレーンでしょうか。

P1000762.JPG

P1000763.JPG

↓ 左上にモンテ・マリア修道院が見えます。疲れも吹き飛ぶ美しい景観でした。

P1000756.JPG

↓さきほどのバス停付近から撮影。時間の余裕もありませんが、この暑さでは修道院まで登る気力も失せて、昼ごろのバスでマッレスへ戻りました。

P1000749.JPG

ホテルで荷物を受け取り、来たときは大層難儀した1キロほどの坂道を駅まで歩きました。下りは軽くクリアしました。駅のBARで軽食のランチをとり、電車でナトゥルノへ。↓ はマッレスの駅(終着駅)です。

P1000766.JPG

↓ナトゥルノ駅(無人駅)

2009.6.2 030.jpg

さて、これからが大変です。予想通り、駅にはロッカーもなく、タクシーもいません。覚悟を決めて歩き出しました。このとき駅のホーム右側に貸し自転車屋があるのに気がつきませんでした。自転車の一時預かりと思ってしまって・・・。でも、荷物を預かってくれないと、載せては走れませんから無理でした。

橋を渡り、昼下がりの灼熱の太陽(まだ5月ですよ~)が照りつける町を中心街に向かいます。途中でであった年配のご夫婦に(i)はまだ先だし、今日は土曜日で閉まっているからどこかカフェにでも預かってもらったら?というアドバイスです。10mほど進んだところに素敵なカフェバーがあり、テラスでは若いお客さんが楽しそうに座っています。思い切って中にはいりご主人に頼んでみました。二つ返事で快く引き受けてくれて、事務室に預かるよと奥の部屋に荷物を運んでくれました。若いご夫婦で経営しているらしく、とても繁盛しています。サン・プロコロ教会は2時半のオープンなので、生ジュースで喉を潤し、一休みしてから出発です。↓ 町の中心に向かって

P1000768.JPG

さらに進み、突き当たりを右に道なりに進んでいきます。町の中心から数分で、右側に大きなホテル、その前の墓地の駐車場の小道を左折すると見えてきます。

P1000769.JPG

P1000770.JPG

まだオープンまで数分ありましたので、向かいに建つミュージアムへ行ってみました。両方共通の入場券を購入しました。教会だけの見学ですと、教会の中でチケットが買えます。

ナトゥルノは古代ローマからの街道の宿場で、サン・プロコロ教会はヴェノスタ渓谷の最古の教会として7世紀から12世紀に建てられました。20世紀になってゴシックの壁画の下から古い壁画が発見されたのが、「ブランコの聖人」として一躍有名になった8~9世紀の壁画です。この小さな聖堂に壁画目当ての見物客が続々やってきます。見学の終わるころは人数制限をしていました。

写真にははっきり写っていませんが、外壁に15世紀のフレスコ画が残っています。

P1000771.JPG

南側面の中段に「ブランコの聖人」。大胆な線描と色彩ははっとするほど新鮮で生き生きしています。ユーモラスな大きな目の表情もドラマティックです。この作風はアイルランドの細密画からロンバルディアを経て伝播したと言われています。

聖プロコロは4世紀のヴェローナの司教で、異教徒がヴェローナを攻めてきたとき、ロープを伝わって城外に脱出したというエピソードが残っています。決死の脱出行の場面で、遊んでいるわけではないのですが・・・。上は手助けした弟子たち。

P1000772.JPG

↓ 聖人の脱出を見守る女性たち。自分たちも危ないのでは?

P1000773.JPG

↓ 北側面の天使。

P1000774.JPG

内陣側はゴシックの壁画です。

P1000776.JPG

美術館を見学した後は荷物を預けたカフェバーに戻り、ビールで喉を潤し、少しですがお礼をして駅に戻りました。親切な方たちに出会って、無事に念願の壁画を観ることができました。こんなに嬉しいことはありません。にこにこしながら電車に乗ってメラーノへ。

メラーノはPassirioパッシリオ川が町を横切る、緑の多い保養地のような穏やかな町並みが続きます。ホテルはそのパッシリオ川の畔にあるリゾート風のプールつきの宿です。

P1000783.JPG

↓ キッチンと食堂がついてます。ベットルームから出られる広いベランダには洗濯物干しも。

P1000777.JPG

P1000779.JPG

P1000781.JPG

とても快適な滞在が出来ました。川沿いの散策も楽しい素敵な町です。

P1000784.JPG

P1000788.JPG

↓ 町の中心にテアトロ

P1000789.JPG

夕食はホテルに近いカジュアルなイタリア料理店へ。思いがけず、ここはサルデーニャ料理の店でした。懐かしきサルデーニャの薄いパン、ウイキョウの薄切りにボッタルガの前菜、パスタ。とても美味しい食事でした。

2009.6.2 050.jpg

2009.6.2 005.jpg

2009.6.2 065.jpg

寝る前にシャワーを浴びていると肩がひりひりします。今日はかなりの日焼けをしてしまったのです。メガネの縁に汗疹も出来てしまいましたが、充実した一日でした。熟睡。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。