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2009年初夏の旅18(ヴェネツィア) [2009夏仏、伊、スイスのロマネスクを巡る旅]

5/25(月)

VeneziaS.L10:00---Murano10:19/12:19---Brano12:52/13:05---Torcello13:10/15:10---Burano15:15/15:30---Venezia16:40

ヴェネツィアも真夏並みの猛暑で、朝から太陽がぎらぎら照って、そのうえ凄い数の観光客です。ここは不況も新型インフルエンザも、まったく影響なしです。

サンタルチア駅前からの水上バスも大混雑ですが、昨夕3日間のヴァポレット・パスを購入済みでしたから、なんとか乗り込めました。1日でムラーノとトルチェッロを訪れるために、悪い頭を振り絞って、ヴィポレットの時間表をチエックしたのですから、乗れなかったら大変と気迫は充分です。

ムラーノ島は10年前に一度訪れていますが、その時はホテルの勧めで、水上タクシーの送迎つきでガラス工場の見学をしただけでした。今回は見逃していたビザンティン=ロマネスク様式の教会が目的です。

Se.Maria e Donato サンティ・マリア・エ・ドナート教会

MUSEO(V)で降り、運河沿いの小道を辿ります。ヴェネツィアンガラスのショップや博物館も素通り・・・まもなく見えてきました。

創建は7世紀ですが、9世紀には改築され、12世紀の前半に現在の姿になりました。

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まず、目に付くのは上部の小開廊と下部のニッチの施された後陣外観です。鐘楼は南側に離れて建っています。

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↓ 煉瓦色の濃淡と白い大理石の浮き彫りの組み合わせ、三角形の連続するデザインはリズミカルで、華やかな印象を受けました。しかし、暑くて長い時間は立っていられません。くらくらしながら写真を撮りました。

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↓ 内部は三廊式で、木組の天井に半円形の大アーケード。円柱と柱頭は大理石で、アカンサスやパルメット文様のビザンティン風な柱頭彫刻です。

南側から入ったので、カメラ禁止の注意書きに気がつきませんでした。撮影されている方も多くいましたので・・・。

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後陣の半円蓋に残る「聖母マリア」のモザイクは13世紀のもの。青い衣の聖母は両手を小さく広げた祝福のポーズですが、慈母的な表情からは遠く、寂しげに独り立っています。

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↓ 床は12世紀のモザイクで埋め尽くされています。写真は宗教的な寓意を持つ「聖杯から水を飲む孔雀」です。

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↓ 西正面全景 ロンバルディアロマネスクの伝統が見られます。

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↓ 後陣側の橋を渡り全景をカメラに収めました。

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この日はジェラートを食べたり、ジュースを飲んだり、水分補給とこまめな休憩をとることに留意しながら歩きました。Colonna(V)に戻る途中、日陰を求めてたまたま入った教会(サン・ピエトロ・マルティーレ教会)にジョバンニ・ベッリーニの「聖母子と諸聖人」を発見しました。(絵葉書)

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ブラーノで乗り換えて、トルチェッロ島へ上陸。水路の脇の道を歩いていきます。気温は35度くらいはあったでしょう。体の水分がどんどん蒸発していく感じがしました。

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ヴェネツィア最古の教会といわれるCateedral di Santa Maria Assunta サンタ・マリア・アッスンタ聖堂が見えてきました。鐘楼は修復中のようです。

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↓広場の奥がサンタ・マリア・アッスンタ、右はサンタ・フォスカ教会です。

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トルチェッロ島はヴェネツィア本島よりも歴史は古く、5~10世紀は重要な島でしたが、マラリアの蔓延により人々は他へ移住してしまいました。当時の繁栄を物語るのは教会のみです。本島に比べると格段に観光客は少なく静かです。

サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂は7世紀の創建ですが、9世紀に一部改築され、11世紀初頭の拡張工事で現在の姿になりました。

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内部は有料ですが、カメラ禁止なので絵葉書をスキャンしました。三廊式のバジリカ形式で、半円形アーチを頂く大アーケードの円柱と柱頭はムラーノのサンテッシマと同様に大理石が用いられています。

木組天井を仰ぎつつ、内陣の障壁の浮彫、そして後陣中央の窓の上部の半円蓋に青衣を纏った聖母のモザイクがあります。12世紀から13世紀の作品とのこと。12使徒を下段に従え、金のモザイクを背景に幼児キリストを抱く姿はいかにも神々しく、慈愛に満ちていますが、厳粛な表情です。

須賀敦子さんのエッセイに書かれた「・・・これだけでいい、そう思うと、ねむくなるほどの安心感が私を包んだ」との名文で知られた聖母像です。このヴェネツィア湾に浮かぶ離れ小島の古い教会の空間に独り佇む須賀さんの姿がふいに目に浮かびました。残された時間を数える年代になって初めてわかることも多くなります。でも、この聖母を見て「これだけでいい」とは思いませんでしたが・・・。(汗)

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聖母の右頬に大粒の涙

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↓ トルチェッロの「神の子羊」後陣右の礼拝室の天井ヴォールトの中心(12世紀)胸に提げているのは茨でしょうか?聖母と同様に目に涙が・・・。

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↓ 後陣反対側正面の壁には最後の審判のモザイクがあり、下部の扉口タンパンにオランスのポーズの聖母。

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↓ 聖堂正面の玄関柱廊から円形の洗礼堂跡地を見たところです。

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↓ 隣接するサンタ・フォスカ教会は回廊で大聖堂と繋がっています。11世紀にの終わりに建てられた後期ビザンティン=ヴェネツィア・ロマネスクの教会建築です。円錐状の屋根と八角形のポルティコが建物を取り囲んでいます。

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内部はドーム状の天井に大理石の白さが清楚なこじんまりとした空間です。賛美歌がスピーカーで流されていました。

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博物館には入らず、教会広場近くのレストランでランチにしました。ヴェニス風アンティパストの盛り合わせを頼みましたら、量が多いよというので、これだけで良いかしら?といって一皿のみ。デザートはアイスクリームです。広い芝生のテラス席で。日よけはあるものの暑い!!!

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適度な量の海の幸ランチを美味しくいただきました。気がきくカメリエーレ氏に多めのチップを渡して、帰途に着きました。乗り換えのブラーノから直接本島に行く臨時便があり、ラッキーでした。

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↓ 10年前に娘と泊まったホテルがヴァポレットを降りたところにありました。

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この近くのバールで一休みしてから、大運河を周ってサンタルチア駅へ、ホテルに戻りました。暑さと疲れのためでしょう、あまり食欲もなく、夕食は簡単部屋食で済ませました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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コメント 5

Bowles

>(サン・ピエトロ・マルティーレ教会)にジョバンニ・ベッリーニの「聖母子と諸聖人」

おっとっと...。俗に「バルバリーゴ祭壇画」って呼ばれるものですけれど、この祭壇画の右端のカステッロ、仔細にご覧になってきました? この城塞、ペーザロ祭壇画の「グラダーラ城」とされているものとまったく同じなんですよね〜。これに関しては実に面白い話があります。そもそも当時大工房を率いていたジョヴァンニ本人がマルケごときまで出かけて行ったか...ってね〜。
by Bowles (2009-07-10 10:04) 

Bowles

またおっとっと。もう一言コメントさせていただく前に送信してしまいました。

>でも、この聖母を見て「これだけでいい」とは思いませんでしたが・・・。(汗)

ここらあたりがいかにもaliceさんらしい!!


by Bowles (2009-07-10 10:06) 

tina

トルチェロの聖母には確かほほに涙がありましたよね。
何度も通いました。
最後に行ったときはヴェネツィアの空港がきれいになっているのにびっくり。 
その前は管制官のストにあってはるばるボロ―ニャまでバスで運ばれました。
なつかしい。
by tina (2009-07-10 13:18) 

alice

Bowlesさん

>ペーザロ祭壇画の「グラダーラ城」とされているものとまったく同じなんですよね〜。

そうなんですか~全然気がつきませんでした。せめて、絵葉書で見比べてみなければ・・・。(捜索中)

トルチェッロの聖母・・・須賀さんと同じお気持ちであの聖母をご覧になった方も多いと思いますので、一言弁明します。
簡単に言えば今まで見た聖母像は消えていかなかったというだけのことです。決して感銘を受けなかったという訳ではありません。
by alice (2009-07-11 12:31) 

alice

tinaさん

聖母の大粒の涙が、あの聖なる空間では違和感なく見られたのですが、絵葉書ではあまり良く写ってませんね。

マルコポーロ空港は初めて利用しました。上空からの眺めを期待したのですが、生憎飛び立つ頃は雨になってしまいました。

何年か前、トリエステからミラノまでの上空から観たヴェネツィアは素晴らしかったです。途中下車?したくなるほど。(笑)
by alice (2009-07-11 12:43) 

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