SSブログ

2009年初秋の旅16/続編(ブリュッセル) [2009秋ローマからロンドンまで欧州周遊]

9/22(火)

ルーヴァンから戻り、ベットで横になって休息した後は着替えてモネ劇場へ。劇場はホテルから徒歩2、3分の至近距離にあります。ここは大野和士さんが指揮した『ファルスタッフ』を観るために、3年前に来たことがありました。↓ 今夜の『セメレ』の演出を担当するZhang Huanの巨大な「三本足の仏陀」がお出迎え。

 

P1010602.JPG

P1010606.JPG

P1010605.JPG

ヘンデル『セメレ Semele』 モネ劇場19:30開演

 

direction musicale|Christophe Rousset
mise en scène|Zhang Huan
scénographie|Zhang Huan
costumes|Han Feng
éclairages|Wolfgang Göbbel
chorégraphie et collaboration à la mise en scène|Su Jie
direction des choeurs|Piers Maxim
Jupiter|Jeremy Ovenden
Cadmus, King of Thebes / Priest|Nathan Berg
Semele, Daughter of Cadmus|Ying Huang
Juno / Ino, Sister of Semele|Ning Liang
Athamas, a Prince of Boeotia|David Hansen
Somnus|Kurt Gysen
Iris|Sarah Tynan



 

ここのネット予約は一番簡単でした。バーコードのついたプリントがそのままチケットになり、窓口で引き換える手間もかかりません。

|

Les Talens Lyriques
Choeurs de la Monnaie

ルーヴァンの展覧会を見るついでにオペラもと、モネ劇場のスケジュールを覗いて、発見したのがこの公演でした。『セメレ』はまだ観たことがありませんでしたし、ルセとタランリリクも初めてです。それに中国の演出家が廃棄寸前だった450年前の古い民家(元は寺院)を、ブリュッセルに運んできて舞台に乗せるというのですから、興味津々。前列2列目ほぼ中央というかなり良い席でした。アジア系のお客さんはほとんど見当たりません。目立つ席のせいか関係者と思われたようで・・・注目度大。(汗)

まず、大きなスクリーンが現れ、モノクロの映像が映し出されます。中国のQuzhou地方の中世に建てられた寺院の解体シーンから、そこに住んでいた人たちの話などが続き、最後は演出家の巨大なスタジオ(上海)での組み立てシーンまで。

そして幕が開きますと寺院が門柱部分を中心に舞台に置かれています。完全な姿ではありませんが、それはそれは美しい木造建築です。しばらくは音楽も耳に入らないほど、精巧な木彫装飾に見とれてしまいました。この舞台にルセの指揮するヘンデルがなんとも生き生きと、時間も場所も超越した響きで劇場を満たします。

やや懸念していた中国の歌手たち、セメレとイノーの二人の女性歌手たちも、そんな杞憂も軽く飛ぶほどの見事な歌唱です。また、どこの場面に挿入されたかははっきり覚えていないのですが、中国の少女の姿で客席から現れたモンゴルの歌姫Aruhannoの中国民謡?でしょうか、歌詞のないヴォーカリーズが素晴らしくて、私の中に流れるアジアンの血が騒ぐのでした。(笑)

男性歌手たちはヨーロッパ人が多く、西洋風なコスチューム、チベット?の僧たちの黄色の僧衣、セメレ姉妹の派手なドレスと東西ミックスの形でギリシア神話は進みます。初めはまあこんなものかという感じでしたが、進行につれて過剰な演出が鼻につくようになってきました。特に嫌だなと思ったのは2幕目の終わりに登場したお相撲さんの扱い方です。二人が立会いして相撲を取るまでは良いのですが、勝負がついた後のエロティックな行為に目が点・・・一応相撲は日本の国技ですからね。女好きなジュピターにとことん惚れるセメレの哀れさも影が薄くなるような・・・。官能性は音楽が雄弁に物語っているのですから、そういう場面は適度にして欲しかったと思います。私が古いのでしょうか・・・。

演出はともかく、ルセとコンマスの息もぴったりで、かなり高水準のヘンデルを聴かせてもらいました。あの古い寺院の存在感と舞台で繰り広げられた神や人間の愚かな葛藤とヘンデルの音楽。とても刺激的なオペラになったことは間違いありません。モネのお客さんの反応も戸惑いながらも、最後は熱いパフォーマンスにねぎらいの温かい拍手。そして賞賛の熱いブラボーも飛びました。

P1010608.JPG

P1010610.JPG

P1010609.JPG

↓ 寺院の入り口上部の彫刻をアップ。

P1010607.JPG

ホテルの側の小さな食料品店がまだ開いていました。ベルギービールの小瓶を買って帰り、残り少なくなった手持ちのおつまみで晩酌。


nice!(0)  コメント(8) 

nice! 0

コメント 8

レイネ

モネの「セメレ」、結局都合がつかずに見にいけませんでした。だから、アリーチェさんのレポを楽しみに待ってたんです。
なるほど、寺院はデコールとして効果的に使われたんですね。
ルセ・ファンであるブログ仲間から、この「セメレ」へのエキストラ出演を強く勧められたんですが、結局、適当な2人のアジア系女性が見つからなかったようですね。その代わりに、相撲とりのエロチック・シーン演出を変えたんでしょうか。ちぐはぐな感じですね。

今シーズン、ルセは、あと2作品をモネで振りますから、楽しみです。12月にグルックの「トーリードのイフゲニア」と「オーリードのイフゲニア」を続けて上演するもので、そのプロは来シーズンアムステルダムに持って行くようです。
by レイネ (2009-10-21 01:20) 

さくら

TVで放映されたバルトリと同じ「セメレ」だと思うのですが、、、

モネは劇場前から楽しませてくれる中国もの
チューリッヒはロバートカーセン演出でしたが
現代版で全くイメージが違うものですね。


by さくら (2009-10-21 01:23) 

Bowles

音だけでこの公演を聴いていると結構???でしたが、ルセはいつもどおりエッジのきいたいいヘンデルを聴かせていましたね。でも歌手がちょっと弱かったかな〜。

ルセ、写真ではちょっとよくわからないのですが、また光りもの???
by Bowles (2009-10-21 07:25) 

alice

レイネさん

そのアジア系の女性二人がどの場面に登場していたか、はっきり分かりませんでしたが、黄色い僧服の男たちとのエロイ絡み合いのシーンには何人か居たような・・・これだったらレイネさんが出なくって良かったと、ほっとしました。(笑)

それから屋根の上のジュピーターとラブシーンをするアジア系の女性(独り)はお○ぱ○丸出し・・・前に座っていた男性が携帯カメラで写していましたが。(汗)

このプロダクションは2010のエジンバラでやるようです。来シーズン?パリのセメレはマクヴィガーの演出でデ・ニースとR・クロフトとか・・・。
by alice (2009-10-21 22:03) 

alice

さくらさん

バルトリのセメレ、いつ放映でした?観たかったです。
多分、O先生が録画しているはずなので、来年の会ではこれを担当させてもらおうかしら?

ヘンデルは現代演出でも読み替えがはまると、面白いですね。
by alice (2009-10-21 22:09) 

alice

Bowlesさん

ルセの光りものって何でしょう。頭は光ってないですし・・・。

ラジオで聴かれたのですね。あのモンゴルの歌手が歌った中国の歌の題名とかご存知ですか?
by alice (2009-10-21 22:16) 

さくら

今年、ロイヤルシートで放映だったと思います。
2007年1月チューリヒ上演、ウイリアムクリスティー指揮、ロバートカーセン演出、セメレ=バルトリ。
DVDに録画してありますので♪お貸しますね。
(だた最近私が録画したDVDが再生できないと言われすのでそれだけが心配ですが)
by さくら (2009-10-23 11:36) 

alice

さくらさん

ぜひ!!お借りしたいです。セメレの印象が薄れないうちに・・・なんか記憶力減退がドンドン進みます。

今、MIXIの漢字テストやってますが、何回も同じのを間違えて、つくづく・・・ただ単に頭が悪いだけかな。

チューリヒは冬に結構良い公演をしますね。でも寒い時期には行きたくない都市のひとつ。(笑)


by alice (2009-10-23 17:32) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。