2010年秋の旅 15(トゥール) [2010秋仏のブルゴーニュからロアールのロマネス]
10/4(月) Tours9:14→Saumer9:55.....Chinon16:15→Tours17:02
昨夜からの雨が朝になってもシトシト降っています。今日はソミールまで列車(片道10.8€)、それからはタクシーでロワール河沿いのロマネスク聖堂を巡る予定。でも、昨日の疲れも残っていて、お天気が良くないとなると怠け心がむくむく。それで、後半は予定を短縮して早めに帰ることにしましょうと、自分を納得させて出発。
列車でソミールへ。10時頃に到着しましたが、まもなく青空が広がってきました。ここは有名なシャトーのある大きな町なので、タクシーは待機していてすぐ乗れました。珍しく4~50代の女性の運転手さん。青灰色のクールな目が女優のシャーロット・ランプリングに似ていて、働く女のきりっとした感じ。
まずキュノーまでの途中にあるGennesに寄って貰ったのですが・・・Eglise St-Veterin 教会前の説明文によりますと、ここは確かに12世紀の建立で、古い部分(カロリング)もあるようですが、ほとんどゴシックに近く、あまり魅力は感じられませんでした。途中ちらっとほかの看板も見かけたので、まだこの村には違う教会があるのかも知れません。ここは情報が限られたところだったので、帰国してから再度調べてみました。やはりこのGennesには2つのロマネスク聖堂があったのです。もうひとつのほうが上のクラスでした。うっかりして、きちんと調べなかったので失敗しました。
↓ ここは歴史は古く、845年の記録が残っています。それでカロリング時代の遺構があるらしいのですが、その部分は扉に鍵がかかっていて見られませんでした。
さて、今日の大きな目的のキュノーへ。ロアール河沿いの国道に沿って走って行きます。支流を集めて幅が広くなり、大西洋へ注ぐ大河の趣です。川沿いには丘も広がり、葡萄畑やシャトウ、教会、鄙びた町や村・・・絵のような景色です。ここからは6年前に訪れたアンジェも15キロくらいと近いのです。
CunaultのEglize Notre-dame 847年の創設という古い歴史が明らかにされている大きな規模の教会。ロアール河の畔の小さな村にあり、ヴァイキングの襲撃を受け、僧達はブルゴーニュのTournus(10日ほど前に観てきたばかり!)へ移住したりで、一時は衰退したものの11~12世紀に当時のアンジュー伯によって建てられた教会は1838年総監メリメによって国家の保護下に置かれ、オリジナルのプランを今も維持しています。三廊式の身廊、内陣は周歩廊のスタイル。後陣は南北に張り出した2つの祭室を持ち、柱頭は多彩なオリジナリティのある223の彫刻で飾られています。
↓ 北側からの外観。方形の力強い鐘塔。
↓ 西正面
↓ 扉口タンパンは13世紀の作。
↓
↓ 北側祭室
↓ 迫力の怪物、魔物系も多数 「ドラゴンの闘い」
↓ 「キリストの鞭打ち」
↓ 「十字架を運ぶキリスト」
↓ 「闘う二人の戦士」
↓ 「受胎告知」
ここの柱頭彫刻を鑑賞するだけで1時間以上もかかってしまいました。Trevesはカットして、運転手さんもお勧めのFontevraudフォントヴローへ。途中、ソミールの旧市街を通り抜けました。寄る暇がないので、せめて写真だけ・・・。
さて、葡萄畑の中のシャトウや農家が並ぶ街道を走り、Fontevraudへ。Eglise Notre-Dame au Grand-Moutier ここは輝かしい歴史に彩られた修道院でした。Alienor d'Aquitaine(アキテーヌ王国のアリエノール)から多くの優遇を受けたのです。フランスの中世史で最も有名な女性、アリエノール王妃は2番目の夫であるイングランド王ヘンリー2世と息子のリチャード1世夫婦とともにここに埋葬されています。フランス革命後は1963年まで刑務所として使われていましたが、今はフランス文化庁のもとすっかり整備され、観光客を呼んでいます。
門を入るとチケット売り場とブックショップを兼ねた建物があり、そこから入場します。まず教会が目の前に建っています。
↓ 内陣の手前にお棺が4個並んでいます。アリエノールとヘンリー2世(イングランド王)、アリエノールは夫の死後この修道院で尼僧としての生活を送り、当時としては超高齢の82歳で逝去。映画『冬のライオン』のキャサリーン・ヘップバーンを思い出しました。封切当時に映画館で1度観たきりでした。帰国後レンタルで観たのですが、物語の始まる前の画面にロマネスクの彫刻いろいろ・・・改めてアリエノールの波乱の人生、そしてプランタジネット朝の時代とロマネスク期の強い関連を想いました。
↓ リチャード1世(ライオンハート)と3番目の妻アングレームのイザベラ
↓ 回廊を眺めて
↓ 野生のシクラメンの群生
↓ 12世紀建築のキッチン
この後はChinonの丘の上のお城の近くでタクシーを降車。120€
↓ 丘の上からシノンの町の眺めました。ここまではエレベーターでも昇れます。
↓ お城は人影も無く柵も閉まっていました。入場不可のようです。このときはまったく気がつかなかったのですが、シノン城は現在ジャンヌ・ダルク博物館になっているようです。私はこのとき博物館の入り口の反対側に居たのです。
詳しくは http://www.france-acces.com/chateau/chinon.html
↓ 「ジャンヌ・ダルクの道」という坂道を降りていきますと、古い民家の並ぶ歴史地区にでました。15世紀のハーフティンバーの建築。右が書店、左はレストラン。
遅めのランチはオテル・ド・ヴィル(市役所)の広場に面したモダンなレストランCafe des Artsで。ここも無線LANが使えました。牛肉の串焼きに地元シノンのロゼ、デザート。雰囲気も味もまあまあで、落ち着けました。
ここからは時間もなかったのですが、シノン駅までの途中にある(i)に寄って確かめたところ、やはりEglise st-Mexmeやアリエノールの壁画が残るChapelle St-Radegondeは見学不可とのことでした。
↓ Eglise st-Mexmeは外観だけ
ここから駅まで1K近く歩き、列車に乗ってトゥールに戻りました。列車はノアラックへ行ったときと同じような短い編成の窓が大きくて快適な電車。女性の運転手さんでしたが、横に座った同僚とお喋りしたり、何か食べたりしながら運転してました。日本なら首ですぞ~。
夕食は迷った末、また昨夜のアジアン・レストランへ。ブッフェの種類も多く、昨日トライできなかったものもあったので・・・。昨夜はワインやジャスミン茶をシエアできて良かったな~と30€のお支払い。
明日半日を残して、ロマネスクツアーは終了予定です。疲れが相当たまっています。明日もパリまでの移動や途中の観光などが控えていますから、トゥールの市内観光はパスして昼の列車の時間まで部屋でゆっくりしたほうが良さそうです。
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