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2010年秋の旅 18(アムステルダム) 19&20(帰国) [2010秋仏のブルゴーニュからロアールのロマネス]

10/7(木)

朝食は昨夕のレストランFLOで。残念ながら昨日の美味しいパンは見当たらず・・・。それでもそれなりの美味しい朝ごはんをいただきました。

昼間の観光はアムステルダムに来るまでまったく考えてこなかったのですが、あまり疲れたくないので、慣れたRijksmuseum国立美術館へ行くことにしました。それに改修工事も少しは進んでいるかも知れません。

朝のオープン時は美術館前にはかなりの人が並びますので、のんびり11時過ぎにホテルを出ました。まだ、朝靄の残る運河の向こうにMuziektheater Amsterdamが目の前です。

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300Mほど歩いてムント広場からトラムに乗って(このトラムはHeinekenの横をまっすぐ進み、途中からカーブして、美術館の裏側近くまで行きます)、手前のコンセルトへボウで降車しました。少しの間に靄は晴れて青空の天気になりました。今回も日にちの余裕や聴きたいコンサートなどに恵まれず、↓ コンセルトへボウでの体験はできないままでした。

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↓ 少し歩くとゴッホ美術館

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↓ Rijksmuseum国立美術館  まだ工事中・・・。 

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昼近くなので、すぐ入館できました。少しは展示室も広くなったのではという期待は裏切られました。今回で一部オープン見学は2006、2008と3回目・・・トホホ。入場料もシニア料金の設定はなく12.5€と少ない展示に見合わず高額です。係りの人にいつになったら全面オープンするの?と訊いて見ました。3ヶ月後と言っていましたが・・・次回はいつ来れるのかしら?もしかして、死ぬまで来られないかも知れませんです。今回購入した絵葉書から

↓ フラ・アンジェリコの「聖母子」

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↓ レンブラントの「夜の聖ファミリー」

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それでも1時間ほどフェルメール、レンブラント、ハルツなどの代表作を鑑賞し、ホテルに戻りました。ランチはあまりお腹もすきませんでしたが、ムント広場に面した角の小さなファラフェルサンドの店に寄り、6€のをテイクアウト。ここはお客さんが注文してからパンを焼き、コロッケとキャベツをまず入れてくれて、後は自分の好きなものを10種類くらいのなかから選んで、詰めていくのです。店内で食べることも出来ます。温かいうちに頂こうと、急ぎ足でホテルに戻りました。とても美味しかったです。

ここのホテルの困ったことは、お掃除が遅れたことです。今夜のオペラのためにお昼寝したいのですが、3時まで待っても来てくれません。結局ルームサービスに連絡して、タオルだけ取替えに来てもらいました。連泊の人はそうすると手間が省けると思っているのかしら?不愉快。

30分前にホテルを出て劇場へ。写真ではホテルの目の前ですが、橋までやや遠回りになります。それでも徒歩3分ぐらい。今日が初日なので華やいだ雰囲気の劇場。

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グノー『ロメオとジュリエット』アムステルダム ミュージック・シアター 19:30開演

Conductor  Marc Minkowski
Producer  Olivier Py
Sets, Costumes  Pierre-André Weitz
Lighting  Bertrand Killy
Choreographer  Wissam Arbache
Chorus master  Martin Wright
 ~
Juliette   Lyubov Petrova
Stéphano   Cora Burggraaf
Gertrude   Doris Lamprecht
Roméo   Ismael Jordi
Tybault   Sébastien Droy
Benvolio   Jean-Léon Klostermann
Mercutio   Henk Neven
Paris   Maarten Koningsberger
Frère Laurent   Nicolas Testé
Grégorio   Mattijs van de Woerd
Capulet   Philippe Rouillon
Le Duc/Frère Jean   Christophe Fel
Manuela   Oleksandra Lenyshyn
Pepita   Maartje de Lint
Angelo   John van Halteren
 
New production

ミンコウスキがこのオペラを指揮すると知ったときはすでにウィーンの「セメレ」を観にいくことに決めていましたから、両方は時期的に無理と諦めようとしました。が・・・諦め切れません。ついに夫との約束(今年から15日に旅程を短くする)を反古にしてしまいました(汗)。「お願いします!」ちょっと強気に出れたのは、アメリカまでの遠距離お産扱いがあったから・・・ご褒美ということで、お許しがでました。

やっとこさ強行スケジュールを終えて、体調を気ずかいながらここまで来ることができて、嬉しい気持ちでいっぱいでした。席も平土間の6列目ほぼ中央という素晴らしい位置で、ミンコのお髭姿も良く見えました(笑)。

さて、幕が開きました。上下に分けられたニューヨークの荒廃した街(ウエストサイド・ストーリー風)の舞台に2匹のシェパードが登場。なんか観たことのあるシーン・・・数年前にここで観た「ムツェンスクのマクベス夫人」も二層構造でシェパードが出てきました。6列目なので首を伸ばして、犬が死体を齧っている?様子が見えました。同じシェパードなのかしら?なんてこと考えているうちに、運ばれてきたお棺からロミオとジュリエットが出て行ってしまい・・・劇中劇の様相です。ジュリエットはブロンドのヘヤーにピンクのドレスで登場。掃き溜めに鶴のように美しい姿でした。ジュリエットは「バスストップ」のマリリン・モンローのイメージでしたから、この下町(ギャング街)のキャバレーのマドンナのように見えました。ロメオは敵対するギャング(こちらは麻薬組織)の若親分。そのロメオはジュリエットに逢い恋に落ちるまで、どういうわけか黒い天使の羽をつけています。初期ネーデルランド絵画に多く描かれる黒い翼の悩める天使のようですが・・・薬中の天使ってどおなの~と突っ込みたくなりました。舞台は初夜の場面など、METのロミジュリの華やかな天井吊り下げベットのものとは違い、墨を流したようなモノクロのなかでの悲哀さを強調し、官能的なシーン。優れた照明の使い方も印象的でした。他には和解を勧める総督?を射殺してしまったり、小姓が悩ましげにアリアを歌った後、その男装姿をかなぐり捨てて、ドレスの女装姿になるところ(性転換したの~ 笑)など、ピィらしい冴えた演出が観られました

歌手はほとんどが知らない方たちばかりでしたが、新進?の主役の二人が頑張って、新鮮な恋人たちを歌い演じてくれました。特にロメオのイズマエルIsmael Jordiがブラット・ビットに少し似ているのも好感度大で、切なく歌うアリアのはまっていること・・・うっとりでした。ジュリエットのLyubov Petrova は比べるとやや見劣り(聴き劣り)、初めは良かったのですが、途中で聞き飽きるというか、平凡な歌唱になってしまいました。スタミナ不足かもしれません。他の歌手たちの水準は高く、特に昨年パリでも注目していたSébastien Droyが良かったです。

ミンコのグノーもフランス的叙情とモダンな感覚がミックスされた素晴らしいものでした。11年前、エクサン・プロヴァンスで初めてミンコの指揮に接して以来、毎年のように海外に出かけては聴いてきました。そろそろ、こういう旅も店仕舞いと思いながら、ミンコのスケジュールをチェックしてしまう私・・・(汗)。

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↓ 観客のほぼ全員がスタンディング・オーベーションという熱狂的なカーテンコールでした。ピンボケ写真ですが・・・。最後の幕が降りた後、「わ~っ!!」という歓声があがりました。カーテンの向こうで成功を喜び合うキャストたちでした。

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その喜びの声に、私も嬉しさのあまり、座席の下に置いたプログラムを忘れてきてしまいました。翌朝取りに行ったものの午後からしか窓口は開かないと言われ、新しいプログラムも買えませんでした。昼には出発ですから諦めました。

プログラムには演出家の意図も垣間見ることができますが・・・それもかなわず、独断と偏見に満ちた感想になりました。

夜食は手持ちのもので済ませました。ビールも飲んで、今夜のオペラに乾杯!

10/8(金) アムステルダム15:20→パリCDG16:35/19:25→

朝もこれからの長いフライトに備えて、遅く起床し朝食ものんびり。あとは荷物の整理をして過ごしました。12:00にチェックアウトして空港へ。荷物を預ける人はカウンターが違い、たらいまわしになって・・・空港職員でも把握していないのかしら?

空港で昼食(キャビア・バーで)をとり、Wi-Fiでパソコン遊びをしているうちに搭乗開始。その後は飛行機の遅れもなくスムーズでした。

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パリでは初めての新しいターミナルから(最後にラデュレのマカロンをお土産に)JAL便で帰途につきました。帰りもほぼ満席でした。疲れもあったのですが、今年は初めてのエコノミークラス(往復)だったせいか、帰りは特に息苦しさが付きまとい、かなりハードでした。

10/9(土)成田14:15・・・羽田17:25→千歳19:00

久しぶりの我が家に帰ってきました。夫も長女も私の留守に慣れてますから、特に問題もなく、明日からの私の手料理だけが愉しみな様子・・・あ~あ、早速おさんどん生活が始まります。

20日間の旅も過ぎてしまえばあっという間です。盛りだくさんの日程でしたから100%こなすことは難しいとは予想していました。このくらいが今の私の体力には見合っていたのかもしれませんね。オペラ4、ロマネスク聖堂34、美術館8・・・素晴らしい体験でした。タクシー代も随分かかりましたが、この円高のおかげで、なんとか許容範囲に納めることができました。こうして拙い文章ですが、ブログも書き終えることが出来ました。ただただ感謝!の一言です。END

 


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レイネ

終わりよければ全てよし、といいますから、今回のご旅行も〆がよろしかったようでなにより。
『ロメ・ジュリ』のこのプロダクション、いかにもアムスらしい演出のようですが、どこかとの共同プロかしら?ちょっと、映画の『ロメオ+ジュリエット』(レオ様主演)を思わせる設定ですね。映画では、羽の生えた衣装着てるのはジュリエットのほうでしたが。
ロメオ役の歌手がブラピ似って、じゃあ、マレーナ様にも似てるってことだわ。。。ポスターの写真は、ロビー・ウィリアムスにそっくりですが。
そして、ひげ面のミンコさんって、ちょっとサンタ風。

ザルツブルクでもステファーノ役が好評だったコーラちゃん、今回はいかがでした?ボーイッシュで小姓風ルックスの彼女のはまり役だと思うのですが。
by レイネ (2010-11-01 03:38) 

Bowles

さすが初日、ミンコの二人隣は、やはりお髭のピでしようか。彼も以前は髭などなかったのですが、今年6月の来日時には髭姿でした。パリのあっち方面の人たちの間で髭がはやっていたりして...。

このプロダクション、ピ色がエクスのイドメネオより濃厚に出ていて、行かなかったことをちょっと後悔しました。やはりこれにいらっしゃったマイミクさんのお話では、歌手はミンコが選んだ人ではなく、劇場側の選定らしく、ちょっと不満の様子だったとのこと。たしかに、フランス色のある歌ではありませんね(土曜に放送がありました)。
by Bowles (2010-11-01 10:51) 

alice

>このプロダクション、ピ色がエクスのイドメネオより濃厚に出ていて

そうなのですか・・・。シェパード、天使の翼、それにロメオとジュリエットを結ぶ長いリボンもMETのサテグラハに似ていて、寄せ集め的で私は気に入らなかったです。特にリボンは説明的過ぎ。視覚的にも目障りでした。

>たしかに、フランス色のある歌ではありませんね

二人ともフランス人ではないうえに、新人らしいですからそれは無理と割り引いて聴きました。

土曜日の放送、真夜中で聴けませんでしたので、またお願いしていいですか?
by alice (2010-11-01 14:45) 

alice

レイネさん、すみません。順番が狂いました。コーラちゃん、この演出ではやはり(笑)で、ロメオを慕うってことで、かなり重点がかけられていました。歌唱ももちろんよくって、主役並みのブラボーを受けていましたよ。

ロメオの歌手は写真右の黒いベストを着た人です。遠めでもイイ男でしょ?
by alice (2010-11-01 14:52) 

hbrmrs

こんにちは。今回もまた濃密なご旅行とその日記、じっくり拝読させていただきました。最後をちゃんとミンコで締めるあたり、さすがです(笑)。

私も最近はオペラを追っかけてばっかりで、そうするとどうしてもパリなどの大都市やある程度の中核都市に滞在せざるを得ないのですが、写真を拝見して、田舎町の古い教会や修道院など、本当に素敵ですね。いつか訪ねたいと思いました。

テロの危険なども警告されていましたが、お互い無事に帰ってこられてなによりでしたね。

私はまだオリビエ・ピィ演出のオペラを観たことがありません。いわゆる「お騒がせ演出家」と聞いていますが、どうなんでしょう?音楽に敬意を払う演出なら是非見てみたいと思いますが・・。

by hbrmrs (2010-11-06 09:24) 

alice

hbrmrsさま

>私はまだオリビエ・ピィ演出のオペラを観たことがありません

私も多分初めてのはずです。ピィはいつごろから注目されたのかも知りませんが、ミンコとのエクスのイドメネオでの映像を観ました。上のBowlesさんのお話では日本にも来ているらしいのですが・・・。

私は今回のピィの演出はあまり好みではありませんでした。特に後半のロメオとジュリエットを結ぶテープが・・・そのせいで後半は盛り上がりに欠けてしまった感がありました。

狙っているわけではありませんが、初日は演出家がカーテンコールに現れることが多いので、それも結構楽しみだったりします。
by alice (2010-11-07 20:11) 

kikuko

私はロメオの黒い翼を見て、悪魔だと思ったんですよね。同じオペラをご覧になったピィの演出に詳しい方のお話を伺う機会があったのですが、その方は「ロメオはジュリエットにとってある意味で悪魔のような存在だということを暗示している」とおっしゃっていました。
by kikuko (2010-11-22 15:55) 

alice

kikukoさん、

黒い翼は悪魔だけのものではありません。天使にもあります。特にネーデルランド絵画に描かれています。地元ですから、捻ったのかなと思っていました。

おまけにジュリエットに逢って恋に落ちたとたん翼を脱ぎ捨てたのが、薬での天国状態から覚醒したのかと思いました。

あまり演出に捕らわれすぎると、愉しめなくなりますので適当に自分流に気楽に観ています。

どなたさまも私の感想を読んで、参考になさることはないと思いますが・・・(笑)
by alice (2010-11-22 21:05) 

レイネ

先日TV放映でこのオペラを鑑賞しました。9月上演で同年12月にはTV放映というのがうれしいです。演出家、指揮者、出演者のインタビューも交えたメイキング・ヴィデオも長いので、きっとDVDになるんでしょう。
現代的でリアリスティックな演出なので、視覚的にはまるで映画かミュージカルみたいでしたが、それが19世紀的音楽に乗って歌われると、音楽がよりロマンティックに聞えました。
拙ブログに記事アップしましたので、よろしかったらご高覧下さい。
by レイネ (2010-12-08 19:18) 

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