2011年冬の旅(2) パリ [2011冬カナリア諸島からカタルーニャの旅]
2/9(水)
パリは思っていたより暖かで、手袋も要らないくらい。朝夕は寒いけれど日中は18度くらいにまで上ります。朝食は地下の食堂でとりましたが、14€の別料金なのに貧弱な品揃え、特にパンとコーヒーが美味しくないのは×でした。
さて今日はノートルダムのクリプトが期間限定で公開とのことで、ホテル近くのバス停から96番のバスで、サンミッッシェル広場まで。ここからノートルダムはすぐです。
↓寺院の前の広場にクリプトへの入り口
入場料を払って見学しました。クリプト=地下聖堂と思っていたのですが、ここの遺跡は古代ローマやガリア時代からの道路や門などの遺跡が主で,ノートルダム大聖堂の建つ前の街の状況が分かるようになっています。公開期間(2/28まで)も限定されているのはまだ発掘途中ということなのでしょう。
写真はフラッシュ禁止なので、良く写りません。
↓ リーフレットより
ノートルダムは観光シーズンではないので、並ばずに入れました。初めてのパリで訪れて以来ですから19年ぶりのゴシックの薔薇窓↓ 曇りの日なので綺麗に撮れません
初訪問のときは素晴らしく綺麗に見えたのに、今は魅力は感じられません。ロマネスクに傾倒しているということもありますが・・・同じゴシックではブールジュやランス、ストラスブールのほうがずーっと美しく、内部の荘厳さも上ではないでしょうか。
サンミッシェル広場からまた同じ96番のバスに乗ってサンシュルピス↓で降車。
サンシュルピスの広場に面する通りに並ぶ古本屋を覗きながら歩いてますと、一軒の店のショウウインドウに何冊かのゾディアックを発見。そのうち1冊を購入。ネットで買うと送料が高いので、まだ欲しかったのですが・・・クレジットカードはきかず、重さも考慮すると、我慢するしかありません。
ここからはリュクサンブール美術館は目の前です。クラナハ展の看板が見えてきました。
ところが今日から開催のクラナハ展は50人ほどの行列。ネットで予約すれば良かったと後悔しながら、結局30分も並んでようやく入館できました。カメラ禁止。
フィガロでも特集雑誌を出して、それを手に鑑賞する人も多かったです。フランスでこんなに人気があるとは知りませんでした。各地から集めた1級品の展示に加えて、こういう時でないと観られない個人コレクションのものやデユーラーの版画(クラナハとの比較)も多数。優れた展覧会になっています。なかにはコールマールやブダペストで観た作品もあり、次女がドイツ文学の卒論でクラナハを採りあげたことなど・・・少なからぬ思い入れの在る画家の作品に囲まれ愉しい時を過ごしました。
↓ パンフレットより 「正義の寓意」
↓ 「メランコリー」 コールマール/ウンターリンデン美術館
↓「聖母子と聖女たち」ブダペスト美術館
外に出ると1時半を過ぎていました。バス停への途中、サンジェルマン・デ・プレのイタリアンでランチ。結構混んでいましたが、味はあまりぱっとしません。野菜色々のグリルとピザなどずいぶん残してしまいました。ピザはもったいないので包んでもらったのですが、薄い紙の箱にポンと入れただけで、アルミ箔にも包んでくれません。帰りのバスでは臭いがプンプンで、肩身の狭い思いをしました。
2時間ほどの仮眠の後、バスチーユへ。
ZANDNAI『FRANCESCA DA RIMINI』 19:30開演 オペラ・バスチーユ
Conductor | Daniel Oren |
Producer | Giancarlo Del Monaco |
Sets | Carlo Centolavigna |
Costumes | Maria Filippi |
Lighting | Heinz Rudolf Kunz |
Chorus master | Patrick Marie Aubert |
~ | |
Francesca | Svetla Vassileva |
Samaritana | Louise Callinan |
Ostasio | Wojtek Smilek |
Giovanni Lo Sciancato | George Gagnidze |
Paolo Il Bello | Roberto Alagna |
Malatestino dall'Occhio | William Joyner |
Savastano Biancofiore | Grazia Lee |
Garsenda | Manuela Bisceglie |
Altichiara | Isabelle Druet |
Adonella | Carol García |
La Schiava | Cornelia Oncioiu |
Ser Toldo Berardengo | Alexandre Kravetz |
Il Giullare | Yuri Kissin |
Il Torrigiano | Alexandre Duhamel |
Production from Opéra de Zurich |
『フランチェスカ・ダ・リミニ』の生は初めてです。特に美しいアリアはないのですが、全般にドラマ ティック&ロマンティックな調べでまとめられています。率直に好みとは言えないのですが、アラーニャも出ることですしねぇ・・・旅の日程が決まってからチケットをネットで手配しました。今までは自宅まで郵送してくれたのですが、今回初めてプリントアウトでゲットできました。
舞台設定はプレラファエロ派の絵のようです。このオペラが作曲されたのは1914なので、少し前の19世紀末の設定。幕が開くとその美しさに歓声が・・・。ダンテの『神曲 地獄篇5』にも記された13世紀イタリアの有名な悲恋物語は音楽ではザンドナイ、チャイコフスキー、絵画ではア ングル、フュースリなどがあります。絵画のなかでも劇場の大ポスターにも掲げられ、プログラムの表紙(部分)にもなったアリ・シェーフェル(ルーブル美術館)↓の作品はインパクト大です。
パウロとフランチェスカの出会う短い一幕が終り20分の休憩。一幕終わりにアラーニャが登場した
時、歌うシーンはありませんが拍手が起こり、シーッと制止されました(どうやら熱烈なファングループがきていたようです)。ニ幕の後も20分ほど、また休憩が入りました。場面展開、舞台装置のためなのでしようがないのですが、やや集中度が途切れる感じがしました。
2 度の休みの後は一気に最後の悲劇までの不倫の恋のハラハラドキドキが続きます。フランチェスカのヴァッシリーヴァは見た目はやや地味な小柄な美人で、声量もありまずまずの歌唱。ただ特別印象に残るというレベルではありません。アラーニャはこのところの好調を維持して、兄嫁に惹かれる切なさを彼らしい甘い高音で歌い、演技も 良かったです。舞台姿 の美しさもありブラボー!でした。指揮はオーレンですから、こういうイタリアものはお手の物、安心して聴けました。予習でのDVD(MET)よりテンポ感もあり、あまり上演の機会のない地味な作品をかなり巧くまとめて、良い演奏でした。演出もフランチェスカの恋を手助けするビアンコフォーレを歌手のリー(韓国人)に合わせたオリエンタルな所作演技でぴったり。難しいと思った2幕の戦いの場面もそつなくスムーズで、フランチェスカを騙した兄弟の結びつきと葛藤が良く理解できました。
想像していたより暖かいパリの夜、珍しいオペラも観れました。明日のキーリンサイドのコンサートも楽しみ~♪と気分良く眠りについたのですが・・・。
「フランチェスカ・ダ・リミニ」は、ドミンゴ主演の映像を観ただけですが、ペーザロからバスで30分ほどのグラダーラに行くと、お城にはパウロがここに隠れたという上げ蓋があって、お店で売っているワインのラベルもパウロとフランチェスカ一色でした。珍しいオペラをご覧になれて羨ましいです。
by kikuko (2011-02-27 18:38)
>ノートルダム大聖堂のクリプト
2/28までですか、残念。。。
前回旅の最後にどうしようかと迷い、結局スムーズにルーブルに入れたので行きませんでした。。。
ロマネスクコーナーで一人感嘆を上げながら鑑賞してきました。(とっても空いてるし。。。)
今回も多分懲りずにルーブルへ行きます!
by わに子 (2011-02-27 18:41)
お帰りなさいませ。
今回はバルセロナを早く出発しなくてはいけなくなり、申し訳ありません。
ダニエル・オーレンはロンドンで「リゴレット」を聴いたことがあるのですが、トットコ、トットコ・・・そんなに急いでどこへ行く・・・という印象だったのですが、やはり公演によって印象が異なるでしょうね。
最後の文章
>気分良く眠りについたのですが・・・
が気になります。
コンサートやオペラの感想をを含め、続きを楽しみにしております。
by kametaro07 (2011-02-27 18:45)
kikukoさま
私もMETのドミンゴとスコットの映像(1984年収録なので、ドミンゴが若くて素敵!)で予習して行きました。他のDVDはないようですね。
ペーザロに行くことがあったら、グラダーラに行ってみたいですが、もう無理かも・・・。
by alice (2011-02-28 00:35)
わに子さま
ルーブルのクリプトは時間が余ればのレベルだと思います。私はノートルダム寺院の直下の地下聖堂が見られると思い込んでいたので、少々期待ハズレでした。
ルーブルのロマネスク室、あそこはいつもガラガラ(笑)昨秋行ってきたヌヴェールの柱頭彫刻があるのに気がついたので、またまた確認に行かなければと思いながら今回は時間切れでした。
by alice (2011-02-28 00:47)
Kametaroさま
バルセロナではお会いできなくて残念でした。ロンドンのご一行さまたちとご一緒だったのですね。楽しそうで羨ましい~。
オーレン、何度か聴いていますが
>トットコ、トットコ・・・そんなに急いでどこへ行く・・・
そういえば、そうかも(笑)
by alice (2011-02-28 00:55)
お帰りなさいませ。またも充実のご旅行だったようで、ブログ記事を楽しみにしてます。
クラナッハ展は、ブリュッセルでやってたのがパリに移動したのかしら。割と好きな画家なので、まだ長くやってるなら見たいと思います。多作の画家だから、各地の美術館に彼の絵があり、かなりちょくちょくお目にかかれる、っていうイメージでもありますが。
アラーニャのパオロは、颯爽としてかっこよかったことでしょうね。ぴったりの役柄。
ラファエル前派風の舞台デコールというのに興味津々です。「神曲」のフランチェスカとパオロの不倫は、ラファエル前派に好まれたテーマだから、ぴったりはまった雰囲気だろうと思います。
DNOの来シーズン開幕の演目は、ミンコさん指揮でグルックの「イフィゲニア二部作」です。フォン・オッターが母親クリュタイムネストラ役。モネとの共同制作で、昨シーズン見たのですが、配役が異なるのでまた鑑賞しようか、とも思ってます。
by レイネ (2011-02-28 14:43)
今回の旅行記も楽しみに読ませていただいていま~す♪
パリは以外に暖かかったのですね。旅行中の身にはありがたいですね。それにしても、クラナハ展の後にラファエル前派がテーマの舞台美術の『フランチェスカ・ダ・リミニ』とは、何ともお羨ましいです~。クラナハ、確かにヨーロッパ各地で見かけますがいつもあの不思議な世界に惹きこまれてしまいます。
>明日のキーリンサイドのコンサートも楽しみ~♪と気分良く眠りについたのですが・・・。
え、え、どうされたのでしょう?続きが気になります…。
by Sardanapalus (2011-02-28 23:26)
レイネさま
>ラファエル前派風の舞台デコール
アールヌーボーも混ざっていたかも・・・ピエロとフランチェスカがトリスタンとイゾルデやランスロットの物語を読み、文学を介して惹かれあうところなど、このデコールが本当にぴったりでした。
>DNOの来シーズン
9月ですよね・・・ボローニャの日本公演の高いチケットを買ってしまったので、ほぼ絶望的かな~涙
by alice (2011-03-01 23:20)
sardanapalusさま
確定申告用の書類を急ぎ作らなくてはならず、2日ほど穴が開いてしまいました。
>え、え、どうされたのでしょう?続きが気になります…。
明日ブログに書きますが、疲れと食べ過ぎ?で急性胃炎を起こしオルセーに行けなかったの・・・涙
今回もi Padを持って旅をしたので、このこともMIXIでつぶやいていたのですが・・・うかつにもsardanapalusさまとはマイミクになっていなかったのでした。後ほど連絡させてくださいませ。
by alice (2011-03-01 23:32)
ご挨拶が遅くなりましたが、お帰りなさい!!
「フランチエスカ・ダ・リミニ」、美しい舞台でしたね〜。バスティーユのもの、放送されたものを観ました。またねっ(笑)。DVDは他にデッシ/アルミリアートのものがあります。
ミュゼ・リュクサンブール、あそこはやはりいつも混むので、今回もしっかり予約しておきました。あと展覧会はグラン・パレで風景画展(Nature et Ideal)を観ます。
サン・シュルピスの古本屋の名前or場所、教えていただけませんか?
by Bowles (2011-03-02 13:47)
Bowlesさま
もう!「フランチエスカ・ダ・リミニ」放映されたのですね。お言葉に甘えましてと・・・また無心(笑)
行く前はチケットも余っていたようですが(チェーザレと蝶々さんは売り切れ)、行ってみると結構席は埋まっていました。あの官能的な大看板も一役買ったかしら?
>サン・シュルピスの古本屋
名前は分かりませんが教会に向かって3軒ほど本屋がありますが、リュクサンブールに近くの一番古くて小さな店です。まだショーウインドーに飾られていると思います。60€ですが、送料がかからないのでネットよりお得よね。
by alice (2011-03-02 14:44)
古本屋情報、どうもありがとうございます。でも...60ユーロは高い...。ホントに最近値上がりしていますね。トホホです。
パリ、また寒そう。
by Bowles (2011-03-03 09:55)