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2011年夏の旅(8)  モンプリエ [2011夏パリとフランス南西部最後はザルツの旅]

7/26(火) モンペリエ(サン・ギレーム・ル・デセールの半日観光)

フランスについてからはモンプリエまで6泊が単泊移動だったので、ここモンプリエでは3連泊と、ようやく落ち着けます。パジャマやジーンズの大物も洗濯できました。

 さて、昨夜から手配を頼んであったタクシーが9時に迎えにきてくれて、出発です。いままではひとつの教会に時間も費用も多くを費やすことはなかったのですが、サン・ギレームはぽつんと孤立した名教会なのでしかたがありません。
ハイウェイは100Kのスピードで飛ばしても片道に1時間かかります。なので、見学は結局1時間しかとれなくて、やや不完全燃焼でした。

↓ 悪魔の橋も道すがらちょっと覗いただけで通過。11世紀初めに建てられたフランス最古の石橋。

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モンペリエから北に55キロのサン・ギレームは村自体もこじんまりと美しい。「フランスの美しい村」に登録されています。民家の建物と教会は赤褐色の屋根や淡い白茶色の壁が同じです。糸杉の緑がアクセント、それに背後に迫る山の岩肌とが相乗効果で特別な景観を作っています。

↓ 村が見えてきました。道端には小さな泉。巡礼者も喉を潤したでしょう。

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↓ 村の入り口の駐車場にタクシーを待たせ、村へ。教会前の広場。

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Ancienne Abbatiale Saint-Guilhem le Desert  カロリング朝の武将だった聖ギレーム(ギョームのオック語)は8世紀の末イスラムとの戦いで武勲の誉高く、宮廷の重鎮でもあったのですが、9世紀初めに宮廷を離れ、この谷の奥に修道院を創建し修道士として生涯を終えました。ロマネスク聖堂の中でも別格の由緒正しい古い歴史を持っています。その後の聖ギレームにまつわる伝説から『武勲詩』が流行し、巡礼者が多く訪れるようになりました。

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↓ 教会の正面。扉口と小さなナルテックスは12世紀後半。

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↓ ナルテックスから広場を見ると、プラタナスの大きいこと!

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↓ 教会内部は三廊式、角柱の大アーケード。かすかな光が後陣からと側廊上部の小さな窓から差し込みますが、かなり暗いのです。フラッシュは遠慮しました。装飾がなく簡素な初期ロマネスクらしい空間です。

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↓ 南扉口から11世紀の回廊へ。オリジナルは2階建の修道院回廊だったのですが、フランス革命で破壊され、現在は1階の北と西だけが残っています。4月にNYのThe Cloistersで観てきたばかりの買い取られ移築された回廊の繊細優美な柱頭彫刻が目に浮かびましたが・・・なぜかマッチしません。その筈です。NYのものは12世紀末に増築された2階の部分なのです。

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↓ いかにも初期ロマネスクらしい下心アーチの連なりが美しく、旅で疲れた心身もなごむひと時でした。

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↓ この回廊の西側に小さな石博物館があります。下の写真は回廊東の一部分です。

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係員のかたがいろいろ説明してくださるのですが、時計を見ると残された時間がありません。「タクシーが待っています~!」と失礼して、クリプトへの階段まで行きましたが、真っ暗で照明の場所も分からず、あきらめ。外に出て右の民家の間の階段を駆け抜けて、後陣へ。

↓ 北の小祭室と直接繋がっているアーチ門

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↓ 中央の大きな後陣。上部の半円アーチの柱廊がおおらかなカーブを描いて、他のロンバルディア帯とのハーモニーが素晴らしい。

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↓ ショップのディスプレーも「フランスの最も美しい村」にふさわしく素敵!

http://www.les-plus-beaux-villages-de-france.org/fr/saint-guilhem-le-desert-0

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ここで、時間切れ・・・モンプリエに戻り、↓ ファーブル美術館で降車しました。予定通りぴったり12:00で、150€のタクシー代を払い、親切で感じの良い運転手さんとお別れ。

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↓ ルドン展@モンプリエ・ファーブル美術館

モンプリエでは音楽祭もさることながら、ファーブル美術館でのルドン展も楽しみでした。

予想以上の規模の大きい特別展です。オルセー、プティ・パレ、オッテルローなどからも出品されていて、ルドンの画歴に影響を与えたE.A.ポー、ゴヤのなどコーナー別になっています。ここのコレクションのドラクロワやクールベなども含め2時間ほど観て歩くと、午前の遠出もあってクタクタ。。。

オディロン・ルドン ODILON REDON(1840-1916)  フランス象徴主義の画家。初めはロマン主義的な油彩画から木版画やリトグラフによる「黒」の世界に没頭。眼球、首、怪物などをモチーフに幻想神秘的な作品を制作。ユイスマン、マラルメらの象徴主義文学者たちによって評価され、その後1890年頃からパステル、油彩による豊麗な色彩で花、女性、神話画などを描く画風に変った。

ファーブル美術館はカメラ禁止のため絵葉書です。

↓ ルドン「青の横顔(黄金の庵室)」(部分)1892または1893 30×24.7 ロンドン大英博物館

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↓ ルドン「ゴーガンへのオマージュ」1903-1904 個人蔵 32.5×38

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↓ ルドン「青い壷のアネモネ」1912頃 63.8×2.6 パリ/プティ・パレ美術館

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↓ クールベ「クールベさん、こんにちは」(部分)1854 ファーブル美術館129×149

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↓ アングル「Stratonice et Antiochus」1866 ファーブル美術館 61×92

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↓ 遅いランチは美術館に併設されたレストランで。

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 海老や野菜のたっぷりのパスタ。こう言うお皿がお昼にはピッタリ。デザートも美味でした。ただ、サービスがいまいち。凄く繁盛していてサービス係も大変だとは思うけれど。。。

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ここからも徒歩数分の宿に戻り、洗濯と仮眠。
♪~Festival Radiofrance
RECITAL M.J. PIRES    Katia et Marielle LABEQUE, poanos & thierry BISCARY,jamixel BEREAU,Xan ERROTABEHERE,chants et oercussions basques

Opera Berlioz/Le Corum20:00  25€

 今夜のピアノの演奏会はピリスが体調が悪くキャンセル。ラベック姉妹とバスクミュージッシャンの打楽器、笛、歌の共演になりました。ラベック姉妹は初めてです。イメージ作戦なのか、彼女たちの趣味なのかわかりませんが、まるで若づくりなコスチュームは似合ってるとは言いがたい。演奏は二台のピアノなので、それなりに迫力はあるのですが、心に響くものがありません。二部になってからのバスクMとのラベルのボレロは面白い取り合わせでした。珍しい楽器を使い、観客も巻き込んでの熱演に大拍手!急な代役ですから、合わせるのも大変だったことでしょう。ご苦労様のねぎらいの拍手も多かったようです。

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ピリスは札幌の演奏会にも震災のためキャンセルで、聴けなかったので、縁がないのですね。体も凄く細いし,病弱なのかしら?

昨夜は夜遅くの塩辛いパスタが胃に悪かったらしく、夜中に逆流性胃炎のような症状で目が覚め胃薬を飲むはめになったので、今夜はランチも遅かったし、部屋でおせんべいを齧っただけで就寝。


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コメント 2

レイネ

辺鄙な所にある修道院(修道院の立地は大概辺鄙ですが)まで、足を伸ばされたんですね。25年ほど前、サン・ギレームから程遠からぬ所にある知人の別荘に滞在したことがあります。写真の悪魔の橋のような橋や山道も狭く、対向車が来ると怖くて怖くて。でも、修道院の中に入って見学した覚えがないのです。ヴァカンスをいっしょに過ごした義父母・義妹は、古い教会などにあまり興味がない人たちだったので。。。それならば、一人旅の方が好きなところを見て回れるし、気が楽かもですね。(一人での外食が侘しそうで、一人旅する勇気がないわたしです)

ピレシュのキャンセルは残念でしたね。
by レイネ (2011-08-17 20:15) 

alice

レイネさま、25年前は今ほどサン・ギレームも有名ではなかったと思います。今は「フランスの美しい村」のなかでも指折りの観光地になって、かなりのツーリストが入っていました。

取り残されたような僻地に建つ教会は鄙びたまま・・・半分忘れ去られていて、そこがロマネスクの魅力でもあるのですが、この翌日の修道院訪問は大変過酷なものになってしまいました。

それでも(いやそれだからこそ)一人は気楽ですよ~一度トライしてみてはいかがですか?絶対病みつきになると保証します(笑)
by alice (2011-08-17 21:30) 

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