2011年夏の旅(14) トゥールーズ [2011夏パリとフランス南西部最後はザルツの旅]
8/1(月)
トゥールーズ9:56→モントーバン10:33/13:19→モワサック13:36/17:42→トゥールーズ18:32
昨日は市内観光のみで、疲労回復に努めたかいがありました。今日は元気に遠出し、今回の旅の最後のロマネスク巡りができました。まず、ホテルの近くから地下鉄でGare Matabiauへ。ここの地下鉄は初めて乗りました。3両編成で、最近札幌でも改造されつつある扉開閉式のスタイルですが、こちらは全面ドア方式です。
トゥールーズからモワサック行きのリターンチケットがterの自販機ではでてきません。モワサックはラングドック地方に入らないからなのかは不明。窓口は行列なので、しかたなくモントーバンまでの往復を購入。18.4€
モントーバンの駅からアングル美術館までは1kほどの距離。タルン河にかかる橋を渡ると右に大きな館が見えてきます。
↓ 反対の方向
↓ アングル美術館(7,8月だけ毎日開館(他は月休)
アングル美術館では予想より彼の作品は少なかったのですが、世界中に散らばったアングルの名作の数々、パリやNYで観た名画がここの落ち着いた佇まいの空間では、懐かしく思い出されました。
↓ 展示室
↓ アングル「博士たちと議論するキリスト」絵葉書です。
↓ アングル「ゴンズ夫人の肖像」
↓ アングル「アンジェリカを救うルッジェーロ」(小品)・・・同主題の大作はルーブルにあります。
アングルの古代の壷やトルソのコレクションやデッサンの部屋を抜け上階に
↓ 思いがけず、マゾリーノの小品「聖ユリアヌスの伝説」(カルセネッキ祭壇画のプレデッラの一部)に出会いました。
階段ホールにアングルが故郷の教会のために描いたと思われる祭壇画のポスターが貼ってあったので、受付で訊いてみました。するとすぐ近くだからぜひ!寄ってみてとのこと。美術館を出て右へ歩き2、3分。
↓途中にメリ(市庁舎)があり、ここに市内観光のインフォ。貸し自転車もあります。
メリの前を通り過ぎるると白いバロック様式の大聖堂が建っています。祭壇に向かって左北側のチャペルにアングルの祭壇画があります。フランス新古典派の重鎮として、ラファエルの影響大の作品。
↓ 「ルイ13世の誓願」絵葉書です。
元きた道を駅に戻って再びterのモワサック往復を購入。30分ほど時間があったので駅構内のカフェでサンドイッチとコーヒーのランチ。
サンピエール教会の近くを列車は過ぎて間もなくモワサック駅に到着。線路に沿った道を戻るかたちで1キロくらいは歩きました。
↓ サン・ピエールの塔が見えるので迷うことはありません。
↓ 教会前の広場脇のインフォ。ここで回廊見学のチケットを買って
Eglise saint-Pieree 創設は7世紀前半でしたが、アラブやノルマンの侵略を受けた後、11世紀にクリュニー修道院の傘下に入り、教会は12世紀に回廊も含め完成しました。13世紀初めのアルビジョワの戦いや14世紀に始まった百年戦争による破壊で、現在残っている建築当初の部分は教会入り口と中庭だけとのこと。
早速回廊から見学。杉の大木が13年前よりびっくりするくらい大きさになっていて、てっぺんまで写真に入りきらないのです。2本と1本が交互に配置されたリズミカルな構成は見事なものと再認識。
始めはインフォで買った解説に従って1本づつ見ていったのですが、途中で疲れてしまってギブアップ。ここの柱頭の説話のテーマは顔が破損していることもあって、難解なものも・・・ブルゴーニュのような明快さやユーモアに欠けていますが、緻密に刻まれた冠板を含めた柱頭彫刻のその格調の高さも好まれる由縁でしょう。対話形式の表現が多いのも修道士たちが回廊を巡りながら瞑想したり、お互いに問答したりという場面にふさわしく思われました。石灰石で刻まれた76の柱頭彫刻で飾られた回廊はフランスで最も美しいと言われています。
↓ 蔦の葉模様&パルメット
↓ 炎のなかのヘブライの三青年&マンドーラの神の子羊を支える天使たち
↓ 獅子の穴の中のダニエル&人間と動物の闘い
↓ 上のダニエルの裏側。「ハバクのお告げ」&人間と動物の闘い
↓ 「奇跡の漁り」&ドラゴン
↓ 絡まる葉模様と動物&グリフォンとライオン
↓ 受胎告知とご訪問&パルメット
↓ 「聖ペトロの殉教」&花と葉模様、上部にMartyr?殉教の文字
↓ 白い馬に乗ったキリスト(聖ヨハネの幻想)&絡み合う動物たち
一回りした後は教会のナルテックス南側門の見学。昼下がりの夏の太陽がぎらぎら照りつけ、あまり長くは観ていられません。
↓ 「荘厳のキリスト」四福音書記者のシンボルと24長老がキリストを囲んで、写実と神聖さが表現された、タンパン彫刻の傑作です。
↓ 右袖壁
↓ 右袖壁の上部
↓ 傍のカフェでフルーツ・ミックスジュース(ビールではありませんよ)を飲みながら眺めました。
↓ 子供たちにとっては教会の石段も遊び場所
↓ ようやく汗も引きナルテックスの見学。預言者エミリヤも暑そうに伸びているよう~笑。
↓ ナルテックス内部。身廊への入り口が三つ葉アーチなのはオリジナルなのかしら?
教会内部は少しだけ観て、列車の時間の30分前に駅に戻りました。雲ひとつ無い快晴の夏の空にサン・ピエール教会が遠ざかっていきます。さようなら~。
ほぼ定時に来た列車でトゥールーズに戻りました。明日のパリまでのチケットも自販機で購入し、メトロで3つ目の駅で降り、ホテル近くのイタリアレストランで夕食を済ませました。
↓ テラス席は満席ですが、なかは空いていました。
↓ 好物のメロンとハムの前菜
↓ 海鮮ピッツア(といってもサーモンだらけ)味は悪くありませんが、4人分くらいの大きさで、到底食べ切れません。
トゥールーズの3泊も瞬く間に終わってしまいました。モワサックも充分に鑑賞できたとはいえませんが、ツアーでの初訪問が短時間だったため、再訪し不満を解消することは出来ました。スーツケースをパリに置いてきたとはいえ、13泊という地方周りは今までで最長でした。最後は息切れして予定のサン・ベルトランド・ド・コマンジュへの日帰りはカット。残念ですが、またのチャンスを待ちましょう。
今日も4~5Kは歩きました。とうとう合わないサンダルで通してしまいましたが、明日からは移動と音楽の旅がメインですから、これでなんとかしのげそうです。安堵と疲れで熟睡。
ロマネスクの回廊の写真を見ると「胸キュン」となります。
オペラの世界ではリチートラのバイク事故が報道されていました。回復を祈るばかりです。
by さくら (2011-08-30 10:57)
さくらさま、モワサックの回廊は以前はテーマが分からない柱頭ばかりでしたが、13年の間に少しは観る目が養われたようで(解説も見ながら 笑)、ここの素晴らしさに目覚めました。
リチートラ、一度は死亡説もでたみたいで、心配です。ボローニャ日本公演は3演目のテノールが2つも駄目になりましたね(涙)
カウフマンも歌手としては大事な部分(良性でも)を手術するわけなので、復帰するまで心配です。
by alice (2011-08-30 13:58)