2012年冬の旅(10の1)バルセロナ [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]
1/24(火) バルセロナ(カタルーニャ広場)9:33→タラサ10:16/12:16→バルセロナ(サンツ)13:03
バルセロナから日帰りで見学できるカタルーニャ・ロマネスク。今回はタラサに行くことになりました。アクセスも昨年のレスタニーとかサン・クガ・デル・バリュエスに比べると簡単でした。
カタルーニャ広場の近郊線R4ラインで50分。Googleでチェックしたひなびた駅舎で想像していたのと違って、地下の立派なホームに到着。タラサはバルセロナの衛星都市であり、工業都市でもあるとのこと。そのままエスカレーターで地上へ。少ない時間帯でも30分に1本はバルセロナ間の電車があるようです。
地図で確認しながら駅からまっすぐの通りを500メートルほど進み、左に曲がると橋の向こうに中世の教会が見えていました。小高い丘の上に3つのロマネスク教会が並んでいます。
この石橋は17世紀の建造。下の壕を眺めるとかなりの高さにあり遊歩道も。
教会群の手前は舗装工事中で、チケット売り場を兼ねている美術館は正面からは入れませんで、ウロウロ・・・。結局左手の一番大きなSant Pereの横の柵が開いていたので、構内へ。
2つのロマネスクスタイルのCollegiate Church of Santa Maria とSant Pere教会の間にプレ・ロマネスクの小さなSant miguel教会が建っています。これらの教会群の創立時期については確かなことは分かっていませんが、ローマの征服以前にイベリア人たちがこのEGARAと呼ばれるエリアを占領居住していました。ローマ人たちの占領を受けた4世紀にキリスト教が渡来。450年には司教座がこの地に設けられました。その後アラブの侵略(8世紀)やカロリング時代を経てカタルーニャのほとんどの教会がそうであったように8世紀の終わりから9世紀の初めにかけて建て直されました。
Sant Pere教会 この教会だけが今も現役として使われていて、入場無料(ほかの2教会は美術館でチケット購入)
↓ 橋側からの外観/サンタ・マリア教会の後に12世紀の終わりごろ建てられました。他の2聖堂に比べると図体が大きく、のぺらーっとした感じで何かな~と思いきや・・・
↓ 後陣と南側外観/ 2つの壁式鐘塔
↓ 入ってみましたら、内部は単身廊 素朴な横断アーチ。後陣中央のニッチの素晴らしい装飾が目に飛び込んできました!プレ・ロマネスク時代から生き延びてきたという交差部と後陣(5~8世紀)の眺めに「す、すてき~☆ 」とうっとり。
↓ 祭室は進入禁止のためニッチに並ぶ壁画を近くで見ることはできません。写真もこれが限度。
チケット購入後はSanta Maria教会へ。
↓ 南側から
↓ 5~8世紀の以前の教会は9~13世紀に縮小されて建て直されました。以前の教会のモザイクの床が正面入り口の前に残されています。
↓ 最近修復整備されたような内部。
↓ 身廊部床下には孔雀のモザイク断片と洗礼盤(4~5世紀)
↓ 南側袖廊に半円天蓋に栄光のキリスト、下の部分にトーマス・ベケットの殺害を描いた壁画が残っています(12世紀)。
↓ 後陣外観 交差部の多角形のクーポラの上に鐘塔。
↓ サンタ・マリア(左)とサン・ミゲル聖堂(右)北側
↓ 上の2教会の前景。左がサン・ミゲル右がサンタ・マリア。 西側から撮りましたが、午前中なので逆光。サン・ミゲルの扉口上部の馬蹄型アーチの窓がはっきり写ってなくてショック・・・。
サント・ミゲルSant Miguel聖堂/3つの教会のうち最もオリジナルな建築が残っています。それだけに素晴らしくチャーミング!
↓ サンタ・マリア教会のほうから
↓ 低い鐘塔の外観
↓ 後陣の石彫の窓
↓ 内部はギリシア十字のフロアプラン。8本の円柱で囲まれた安らぎの空間。ドームの上部の小さな窓からの光が柔らか~☆ それぞれ違う形の円柱はローマ時代末期から西ゴート時代のものからの転用。柱頭彫刻はカロリング時代のアカンサスのヴァリエーション。
↓ 後陣の半円蓋にかすかに残るフレスコ画。
地下のクリプトはカメラ禁止。一眼レフをホテルに残してきたので、この辺で電池切れ…涙。
3教会とも見学者は私一人という贅沢な時間でした。効率よく見学を済ませて、徒歩10分程度のタラサ駅に戻り、予定より早くバルセロナに戻りました。 続く。
やはり、先に書かれてしまいましたね。^^
ここ、Sant Pere教会以外は撮影禁止と言われませんでしたか?(と言われても貸切だったので撮影できましたが。。。)時々係の人が様子を見にくるので、ドキドキしながら撮影しました。
Sant Pere教会の祭壇の壁画は私も気に入りました。
サンタ・マリア教会の壁画はやっぱり、ゴートの香りがしました。
by わに子 (2012-02-17 01:26)
素敵ですねぇ。カタルーニャにも、また、ゆっくりと行ってみたいです。ロンバルディアの影響が色濃くて、傾向が好きなんですよね。
クーポラの外観など、ロメッロに似ています。クリプタの質感とか、本当にいいですねぇ。それも貸切…。想像するだに素晴らしい!
by corsa (2012-02-17 05:59)
私たちが4年前に訪れた時は、ちょうど修復作業をしているときでした。でも、幸運にもそんな中でも見学は拒否されることはなく、自由にみてまわることができました。
by hrv2004jp (2012-02-17 19:14)
わに子さま、お先に失礼~(笑)撮影はノーフラッシュでOKだったはずですが・・・クリプトへの階段のところにははっきりカメラ禁止の立札がありました。チケット売り場のある美術館(興味のあるものはあまりありませんでしたが)はカメラ禁止と言ってました。
>Sant Pere教会の祭壇の壁画 彫刻と勘違いしていましたので、訂正しました。ご指摘ありがとうございました。何かありましたら、またよろしくお願いいたします。
by alice (2012-02-17 21:04)
corsaさま、写真にうまく映っていなかったのですが、Santa Mariaの外観はロンバルディア・フリーズが施されて綺麗でした。
タラサはゾディアックの「カタルーニャ・ロマネスク」ではさほど重要視されていなくて、写真もありません。比較的最近になって発掘や修復が進んだようです。スペインで購入してきたロマネスクガイドブックで、3か所の教会が並んでいることを知って訪れたのですが、予想を超えて素晴らしい体験ができました。
愛好者同士でいろいろな情報を交換できて嬉しいです。
by alice (2012-02-17 21:18)
hrv2004jpさま、上のコメントで言及させていただいた修理の時期は、4年前だったのですね。もちろんその前後に渡って長い間のことだったと思います。しかもローマ時代以前からの考古学的なことも含めると大変な発掘作業だったでしょう。美術館のビデオ室でそのことも知ることができたはずですが。。。なにしろ、スペイン語はまったくわからないので、観ないで帰ってきました(汗)
現在は教会前の広場の駐車場や歩道の整備をしているところで、これから観光客も増えるでしょうね。
by alice (2012-02-17 21:30)