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2012年冬の旅(17) ソリア [2012冬パリとバルセロナ、スペイン北部のロマネ]

1/31(火) 

10:30頃ホテルを出て、昨日とは反対側の坂を下り、ドゥエロ川畔のSan Juan de Dueroサン・ファン・デ・ドゥエロ教会を目指しました。

↓ パラドールを振り返って写真を撮った時に気がついたのは右のパラドールの看板にあるANTONIO MACHADOの名前。

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ANTONIO MACHADOアントニオ・マチャード(1875~1939)スペインの詩人ということだけで、詳しいことは知りませんでしたので、帰国してから検索して調べてみました。日本語訳の詩集も解説も見つからないので、難航。。。ただ、彼の生きていた激動のスペインを一面からですが、知ることができました。ソリアとの縁はフランス語教師としてここに住み、地元の娘と結婚したことらしいのです。出身地でもないのに?と不思議でした。でも詩人は当時のファシズムのフランコ党に抵抗し、最後は南仏に追われコリウールで客死したという・・・反骨かつ優れた詩を残した英雄的存在だったことが分かりました。またスペイン内戦がもたらしたフランス国境での悲劇は下の記事で新たに知ることになり、少なからず衝撃を受けました。

http://surdepirineos.blogspot.com/2009/04/blog-post.html

道 (アントニオ・マチャド)
放浪の旅人は、道なき道を行く
彼が残した足あとだけが道になる
放浪の旅人は、歩むことによって
道を作って行く
来た道を振返るとき、はじめて
彼は作った道に気がつく
二度と歩むことのない道に。
放浪の旅人の前に、道なんてない
海辺に来て、彼はそのことに気がつく。
(鈴木剛子訳)

なんか寄り道が長くなってしまいましたが、元に戻りましょう。

↓ 途中の展望台からの景色。山の中腹の建物はSan・Saturio礼拝堂ですが、ロマネスク期ではありませんし、遠そうなので行きませんでした。右下の白い道は遊歩道です。ソリアは自然に恵まれているだけでなく、こんな風に整備されていて住環境も良さそうです。

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野鳥の声を聞きながら、つづら折りの道をおりていきますとドゥエロ川の流れが見えました。

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↓ 上の写真にある石橋を渡り、すぐ左の川べりの道を進むと、San Juan de Duero教会と回廊です。

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入口左の小さなブースでチケットをもらい(65歳以上は無料)、まず回廊の見学しました。サン・ファン・デ・ドゥエロの回廊は今まで観てきたどことも違うユニークな回廊で、まさしく異国からきたことを連想させます。

↓ 入口から右方向角の馬蹄型アーチ。アラブの影響のイメージ。

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↓ 逆光ですが、その影も麗しい・・・半尖頭アーチの交差と2本の細い円柱の組み合わせ。

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↓ 「こういうのもありますよ~」と誇らしげに並んでいますから「ホントに素敵ね~」と褒め称えます(笑)。見学者は誰もいませんから・・・。このタイプも見事にイスラムのイメージですね。

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 ↓ 次のアーチ列は途中からロマネスクに変わります。

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↓ 初めに観た馬蹄型アーチを反対側のコーナーから撮影。

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 ↓ 教会前のアーチ列はロマネスク様式で統一されています。

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 ↓ 柱頭彫刻

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スペインロマネスクの魅力を凝縮したような回廊です。ほぼ快晴の天候もここの見学の味方をしてくれて・・・次は教会のなかへ。

↓ 方形の身廊に祭室がひとつのシンプルな構造です。祭室と向かう側には(i)の窓口と写真などが展示されています。

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↓ 祭室入口に二つの天蓋のある祭壇が設けられていて、それぞれの柱頭彫刻には説話的テーマが彫られています。

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↓ 左側の天蓋トップは円形。

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↓ ヘロデ王の饗宴/洗礼者ヨハネの斬首   盃を持つヘロディアス、下方に小さくサロメの姿が見えます。

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↓ 7つの頭の龍と戦う兵士。

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↓ 左にケンタウロス

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↓ 右の天蓋トップは円錐形

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↓ こちらは新約聖書の場面が展開しています。受胎告知とご訪問。

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↓ 悪魔のささやきを受けるヘロデ王(幼児虐殺)

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↓ エジプトへの逃避

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ロマネスク末期に建てられた建築とはいえ、古風かつ異教的な面影を残した印象的な教会でした。なお、教会内部の彫刻はローカルな石工に任され、回廊のほうは遠くからやってきた熟練の石工が担当したと考えられています。

↓ 川べりの遊歩道の向こうにパラドールの建つ小高い丘が見えました。

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石橋を渡りソリアの旧市街へ。Concatedral de San Pedroは後にすっかり改築されて見るつもりはありません。でも、回廊だけはロマネスク様式が残っていて見学できるのですが、夕方しか開かないのです。午後から徐々に気温が下がり、寒いのと帰りの足が心配で、結局諦めてしまいました。

↓ 迷いながら、豪壮な館のそばを通り

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↓ ようやくSan Juan de Rabanera教会を見つけました。

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事前のチェックではオープンしている時間ですが、扉は固く閉ざされていました。通りががりの人も張り紙を見て駄目だわ~というそぶりで、去っていきました。

↓ ここはファサードが見どころの一つです。タンパンはサン・ニコラスとその弟子たち。

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 ↓ トマスの不信

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↓ 後陣外観

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↓ この近くのバルで軽いランチ。ビールにピンチョス2皿、パン、、コーヒーで8€もしません。オムレツもいろいろな種類があって、旨い、安い、しかも全然言葉の通じない私にも忙しいのに親切!

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この近くにTAXI乗り場があり、昨日と違って素早くホテルに戻れました。

ソリアの旧市街はそれほど広くはないのですが、迷路のようです。かなり歩き、疲れました。夕食は昨夜と同じパラドールのレストランへ。アミューズ、コロッケ、リゾット風海鮮スープ、デザート。

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レセプションに寄って明日のTAXI予約をしました。ベルランガはここから50Kもあって、遠いよ~と何度も言われてしまいました(汗)。


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コメント 4

hrv2004jp

おっしゃる通り、San・Saturio礼拝堂まではかなりの距離があります。川辺の散歩のつもりで行きましたが中へは入れませんでした。オープンしているはずの時間でも開いてないことが時々ありますね。San Juan de Rabanera教会はちょうど朝のミサ行われていたので入ることが出来ました。寒い冬でもあり歩いてまわるには広いですね。妻は脚の具合があまり良くないので、できるだけ車で行くようにしています。それでも、自分の見たいものがあるときは、大抵は元気に歩いています。パラドールでは、郷土料理のコースを食べましたが、私の口には合いませんでした。二日目はバルでタパスを食べて済ませました。
by hrv2004jp (2012-02-28 21:20) 

corsa

こんにちは~。
回廊のアラブ様式、交差アーチ。先日アップしたプーリア・ロマネスクで散々出てきた部分だったんで、あ~、こういうことか~、みたいな納得感をいただけました。
スペインは、アラブ風がかなり前面に出ているのが面白いですね。南イタリアも影響はあるものの、どちらかというと、ロマネスクに取り込まれている感じですから。
もともとカタルーニャは好きなので、やっぱりフランスをすっ飛ばして行きたくなります。
そろそろブルゴーニュの計画もちゃんと立てないと、と思いながら。
by corsa (2012-02-29 06:11) 

alice

hrv2004jpさま、ドゥエロ川辺の散歩、季節の良い時で羨ましいです。San Juan de Rabaneraは全体の姿もこじんまりして、素敵でした。パラドールまで登る道筋にあったので、なんどかTAXIのなかから見えたのですが、反対方向から行こうとすると迷いました。

私は腰が弱いので(この旅でも時々痛くなりましたが)、1時間以上歩くとカフェかどこかで休憩しなければ持ちません。食事も塩辛かったり、脂っぽかったりすると受け付けなくなりますね。次第に制限することが多くなってきました。。。
by alice (2012-02-29 16:04) 

alice

corsaさま、サンファンの回廊は屋根がないので解放感もあり、愉しめました。スペインロマネスクの最大の魅力はこのアラブの異教的なイメージが濃いことでしょうか。。。南イタリアでもシチリアはかなりイスラムの香りが残っていますね。

私ももう一度カタルーニャに行きたいと思います。フランスのルッション、ピレネーも含めて夏の終わりに計画していますが、さて、どうなりますか。。。
by alice (2012-02-29 16:30) 

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