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2012年春の旅(4) ブリュッセル~ウィーン [2012春ブリュッセルからスイスとフランスの田舎]

4/26(木) Brussels 10:10→Wien12:00

Hotel Beethoven wien 2泊

 早くも次の目的地ウィーンに移動の日。あいにく8時出発という朝のラッシュアワーの時間にぶつかったので、ホテルのレセプションでは、今は混んでるから駅から拾ったほうが早いと言います。ホテル側からバスターミナルに近いタクシースタンドが見えなかったので、冷たいホテルだわ~とぶつぶつ言いながら行ってみますと、数台が待機していました。状況が分からないと、荷物を抱え不安になります。こういうことが重なり疲れもたまるのでしょう。

 雨が今にも振り出しそうな暗い朝のブリュッセルでしたが、飛行機は順調に気温25度近くの快晴のウィーンに到着。ウィーン・ミッテ駅迄はスカイライナーCATで(往復18eur)。ミッテ駅は昨秋以来ですが、まだ大改装中。メトロに乗り換えするには階段があります。荷物を持っての階段は腰痛のもとですから避けなければなりません。道路を横断したところにTAXIが待っていました。ライラックの花も満開の初夏のようなウィーンの街は華やかにみえました。ユーロ圏内では経済的にも安定している余裕でしょうか。

今年の1月にきた時は、アン・デア・ウイーン劇場ではオペラがなかったので、国立オペラ劇場近くのホテルにしたのですが、やはりこちらのベートーヴェンHの方がリーズナブルで快適でした。レセプションの女性も変わっていないし、裏方を担当しているきびきびした可愛い娘さんも私を見てにっこりしてくれるし。。。2009年以来数回泊まったでしょうか。朝ご飯のオレンジジュース生を頼めるのとコーヒーをポットでいれてくれるサービスが無くなったのは惜しいけれど・・・。

↓遅くなったランチはいつものベトナム料理。暑くなってきたので麦酒と春巻、焼きそば。

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↓ ホテルの前のパパゲーノ通り。右がアン・ディア・ウィーン劇場、つきあたりが食べ物横丁

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 部屋に戻って開演までお昼寝。すっきり目覚めて、今回の旅のお目当てNO1のハムレットの観劇です。チケットは自宅まで郵送してきましたので、15分前に部屋を出てもOKでした。

トマ『ハムレット』@Theater an der Wien 19:00~  
Hamlet
Opéra in fünf Akten (1868)
Musik von Ambroise Thomas
Libretto von Michel Carré und Jules Barbier nach William Shakespeare

Besetzung
Schauspieler Rolle
Musikalische Leitung Marc Minkowski

Inszenierung Olivier Py

Hamlet :Stéphane Degout   Ophélie Christine Schäfer 
Claudius roi de Danmark:Phillip Ens    La Reine Gertrude :Stella Grigorian
Polonius: Pavel Kudinov    Laërte: Frédéric Antoun    Le Spectre :Jerôme Varnier
Horatio / Premier Fossoyeur :Martijn Cornet    Marcellus /Deuxième Fossoyeur :Julien Behr

Orchester Wiener Symphoniker

Chor Arnold Schoenberg Chor (Ltg. Erwin Ortner)

 席は最前列左側、ミンコとこのオーケストラの息もピッタリで、フランス一辺倒ではなくドイツの固さのあるそれでいて華麗 な演奏でした。演出がドイツの美術にも通じるひりひりと血の滲むような痛さのある、死の虚無感が支配する世界なので、そういう意味でも相乗効果倍増の優れた舞台になったと思います。デンマークの古城は大階段とその階段がいくつかに縦に割れて半円アーチの地下聖堂のような空間を造りだします。全般に白、黒、グレイのモノトーンの色調。民衆の勝利を表す旗が真紅。

ハムレットの実舞台は2年前のMETと今回でまだ2回目です。前奏でのメトで面食らったホルンの響きも今回は抑えた響きで及第点。歌手陣もすべて好調で、さすがにドゥグーのフランス語のデクションは素晴らしいものでした。ただMETでのキーンリサイドのハムレットに比べると単調に聴こえたのはキャリアが浅いからなのか?私の好みの問題なのかも・・・。

演出はなかなか考えさせられるもので、そうそうと頷ける場面も多く、ピイの苦手なところがほとんどなかったのは幸いでした。幕が開くと透明なカーテンの奥の高い所で、自傷行為に及ぶハムレット。彼の鬱々した異常な精神のありようが暗く全体を覆う。。。爪をしょっちゅう噛む幼児性、母親との母子相姦的な関係など、入浴シーンではハムレットは全裸で、ここはドキドキ(笑)鍛えられたしかし、マッチョではない男の体は美しいものです。

METのハムレットに比べると知的に練られた舞台はいまいちドキドキ感に欠けてしまいましたが、愉しめました。オフィーリアのシェーファーもとても良かったです。この演出と音楽だからこそ生きる彼女の気品ある歌唱。フランス語のデクションにやや堅さがあるが、それすらも絶望と狂乱の末に自死する哀れさに結びつく。。。このシーンのお人形のように舞台を滑って湖上に消えていくオフィーリア。その死を嘆きながらもオフィーリアの亡骸をかき抱くわけでもないハムレット。冷たい王子様。それでも「お終いだ~!」と悲痛に叫び、血にまみれた終焉を迎えます。王族(独裁者)の滅亡と人民の革命の勝利で終幕。こういう結末であっても、民衆にとってのハッピーエンドには繋がらない・・・そんなことをを胸に・・・そんな時代に生きているんですね。

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アン・ディア・ウィーン劇場はこれで3度目ですが、選択が良いので(エヘン 笑)すべて、私のオペラ歴でも特筆すべき高水準の舞台に接することができました。高揚した気分のまま隣接の宿に戻り、手持ちの簡単夜食を済ませ、眠りに就きました。






 


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