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2010年秋の旅 13(ブールジュ~トゥールへ) [2010秋仏のブルゴーニュからロアールのロマネス]

10/2(土)bourges9:00頃(タクシー)→Vierzon11:00頃/11:14(列車)→Chateauroux11:50/14:58→Vierzon乗り換え→Tours17:50

Tours  Hotel De L’univers    1泊175€(朝食別途15€)

昨夜、計画を見直してベリー・ロマネスクをヴィエルゾンまでの2教会に絞り、ヴェルゾンから直通の列車でシャトウルーに入ることにしました。今日はフランスのロマネスク壁画の中でもベストワン&ツーを占めると思われる2教会の訪問です。

まずBrinayへの途中にあるMehun s/YevreAncienne Collegiale Notre-Dameに寄りました。ブールジュから北西に16Kのシェール川の畔の町の旧市街に建っています。すぐ近くに廃墟のお城が見えました。あいにく、教会は閉鎖中なのか鍵がかかっていました。道行く人に尋ねましたが・・・なんか通じませんので諦めました。外観の写真だけです。

↓ 丘の上の駐車場から教会へ。正面扉口は鐘塔の下の玄関ポーチ側にあります。

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↓ 教会からの坂道が街に続いています

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↓ その坂道を少し下ったところから

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↓ 外壁に神の子羊と十字架

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↓ 後陣方向から廃墟のシャトーを撮影

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次はBrinayEglise St-Aignanへ。サン・テニアン教会はベリー地方のロマネスク教会の中でも1913年に壁画が発見され、一躍注目を浴びたところです。教会の歴史は定かではありません。一説にはあのベリー公の田舎の隠れ家がこのあたりにあり、かの有名な「ベリー公の優雅なる時祷書」にも関連があると噂されたりしています。

農家や屋敷が点在している小さな集落の中にひっそりと建っています。前面の張り出しは小さなポーチになっています。正面の切妻が東方的なイメージ。ひなびた周辺の雰囲気(なんと!孔雀が散歩していてびっくり)がなんとも牧歌的でした。

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↓ 教会に入りますと、ちょうど管理人のおばさんがお花を取替え中でした。私はその光景を撮りたかったのですが、さっと身を隠して邪魔にならないようにとの気配り・・・恐縮でした。

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↓ 内陣へのアーチにゾディアック-12ヶ月の労働が描かれています。

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↓ 北と東壁

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↓ 東と南壁

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↓ 北壁上段のマギの旅

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朝の光線が弱かったので、不鮮明な写真ばかりです。相変わらず、どういうわけかフラッシュが焚けません。下は絵葉書(キリストの荒れ野の誘惑)です。

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ポストカードを並べてある机の傍にブリネーのカレンダーとのタイトルで、予想通りベリー公の時祷書との比較画像の説明分。この壁画とは300年の差がありますので、一概にはいえないようですが・・・。素晴らしい壁画をみることができて大満足。気のつく運転手さんが私の嬉しそうな顔を見て、記念撮影してくれました。

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ヴィエルゾンの駅で降車(タクシー代90€)して、駅舎に入りました。日本語が聞こえ、思わず振り向きましたら、若い二人の日本女性が、あらっ!とお互いに驚きました。ヴィエルゾンの方と結婚されてこちらに在住されていらっしゃるそうです。日本人の観光客は滅多に会わないようです。時間もあまりなく詳しいお話は出来なかったのですが、バスの便がなくて不便と言いましたら、私たちも車がない生活は考えられないとおっしゃってました。ですから日本だけでなく、どこも近くの商店より郊外の大型スーパーのほうが駐車場も広く、繁盛するのですよね。

ヴィエルゾンからシャトウルーまで列車(片道15.9€)で向かいました。シャトウルーは大きな町なので降りてみればタクシーも何台か止まっています。ほっとして、駅構内のバールでバゲットにハムとチーズ、コーヒーで軽くランチ。トイレも済ませていざ出発です。タクシーで20分ほどでノアン・ヴィックに到着。

Nohant-VicEglise St-Martinにとうとうやってきました。今回の旅ではここだけがトゥールからもブールジュからも離れていて無理なように思えて、随分迷いました。でもでも移動手段を調べているうちに、多少の時間のロスは大丈夫では?と決心したのです。シャトウルーから30Kとはいえ田舎道で車も少なくスムーズでした。そしてブリネーと同様に独占状態での鑑賞ができました。自力でここまで来れた嬉しさと、ロマネスク壁画の素晴らしさに打たれ至福の時間を過ごしました。

教会の歴史は4世紀にまで遡るようです。11世紀末にクリュニー派のデオル修道院の管理に入りましたが、フランス革命の後は納屋として使用されていました。1849年に漆喰の下から発見され、ジョルジュ・サンドが当時の総監メリメに歴史的記念物として推奨、国家の保存下に入りました。

↓ 外観はあまり特徴のない田舎のシンプルな教会ですが

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↓ 一歩足を踏み入れますと・・・目前に広がる美しき新約の世界。木組み天井、単身廊、方形の内陣。

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↓ 内陣障壁、内陣の四面、後陣に褐色系に白、赤などの色鮮やかなフレスコ画が展開。

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↓ 内陣東壁、南側の窓

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↓ 内陣東壁、北側の窓

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↓ 内陣北壁中段 一段と目を引かれる、ドラマティックな「ユダの接吻とキリストの捕縛」

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↓ 西壁上段「最後の晩餐」

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↓ 内陣南壁上段「エルサレム入城」

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↓ 後陣入り口アーチにセラフィン、後陣上段に「荘厳のキリスト」下段左に「ペテロの殉教」右にヘロデ王の前に立つイエス

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↓ 内陣から入り口を見る

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↓ 「ご訪問」

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↓ 後背部外観 周りの道路を工事中

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ここから車で数分のところにジョルジュ・サンドの館があるから案内するという商売上手な運転手さんに乗せられて、行ってみました。平野啓一郎の『葬送』にもでてくるショパンも逗留したというメゾンです。ショパンの記念の年ですしね。敷地に入るとホテルやブックショップの建つ観光名所になっています。

↓そのなかに鄙びた小さな教会があり入ってみました。

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↓ ジョルジュ・サンドの好み?のままに遺されているのかしらと思えるロマネスクの小さなチャペル。

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↓ 館は時間がなくてガイドツアーには参加できず、内部は見られませんでした。

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シャトウルーの駅に戻り降車(タクシー代100€)、まもなく来た列車に乗ってヴェルゾン経由でトゥールへ辿りつきました(片道38€)。10日間のロマネスク巡りの最後の宿泊地です。駅から200メートルほどの距離のホテルへ。駅にも近く、Booking.comでも評判が良いので決めたのですが・・・。部屋は広く3人は宿泊できる2部屋続きのファミーリータイプなのですが、古ぼけて薄汚いのです。ベットの脇のスタンドも普通は両脇なのに片側一つだけ。おまけに電球切れ。その電球触ってぞ~、埃だらけ。古くても掃除がキチンとされていれば文句はないのですが。今回の旅では4☆なので、料金は一番高かったのです。もう、がっくりでした。

とにかく氣を取り直して夕食へ。この付近では評判の良いオデオンというお洒落なレストランへ。予約なしでひとりですが、OKでした。ホテルの前の街路樹の並ぶ通り。

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↓ 夕暮れのトゥール駅

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↓隣の席には日本人のシニアのご夫妻。お話してびっくり!北海道の伊達からのフリー旅の方たちで、列車でドイツアルザスからフランスへ1ヶ月の旅の途中でした。お互いに道産子なので打ち解けてお喋り。そのうえ伊達には共通の知人がいることも分かって・・・ホントに世間は狭いです。おかげさまで楽しい夕食になりました。

3コースのムニュにワイン、コーヒー、水で40€

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久しぶりに日本語しかも北海道弁丸出しの会話(笑)をして、疲れも取れた思いでした。

夜のTVでサルコジ夫人の華やかな特集を1時間もしていました。日本の皇室特集と変わらず・・・よいしょ番組。再びゼネストの起きるらしいという情報があるのも気になりましたが、聞き取れません。今日は移動が長かった割りに元気でしたから、この調子で予定をクリアできますようにと、願いながら就寝。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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2010年秋の旅 14(トゥール) [2010秋仏のブルゴーニュからロアールのロマネス]

10/3(日) Tours10:08→St-Aignan-Noyers10:48/14:14→Selles sur Cher14:23/18:19→Tours19:08

Val de Loire ヴァル・ド・ロワール・ロマネスク巡り

今日もまた効率の悪い日になりました。日曜日だったため列車の本数が少なく、一日ががりで列車と徒歩で、2教会を回りました。トゥールの東ロワール河の支流シェール川沿の町にそれぞれ個性的な教会が在るのです。(往復19.8€)

トゥール駅から50分ほどでサン・タグナンの小さな駅に到着しました。駅前にタクシーがいたら乗ってしまおうと思いましたが・・・その姿はありません。ここの駅は丘の上の旧市街から2K離れています。駅前を少し左に行くと大通りがあり、旧市街への看板が見えます。ローターリーのあるところまで真っ直ぐ1キロくらい。朝は寒かったのですが、歩いているうちに日がさし、結構暑くなりました。

このローターリーを越えると右手に広いガーデンのあるロジ・ド・フランスの宿がみえました。カマドマークがついた宿なのでお勧めのレストランもあるようです。↓素敵な建物なので、ランチだけでもここを利用しようと思い、建物(ホテル)に入りますと、レセプションがあり、ランチの予約ができました。   i Padや寒い時用のストールなど邪魔になるものはここに預け、小さなバックとカメラだけで旧市街を目指しました。

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300Mほどで、橋の向こうに教会が見えて来ました。この道はひっきりなしに車が通ります。シャトーも教会に並んで建っています。見所も多いのと日曜日で、かなりの観光客がきていました。ロワール河の支流のシェール川を背景にした旧市街の素晴らしい眺め。橋を渡り、左手に坂を少し登って行くと教会は意外に近くにありました。

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St-Aignan sur CherAnciennne Collegiale St-Aignan 11世紀中頃から12世紀に建てられ、ベリーのサンテニヤン教会として知られていました。その後は多くの改築を経て15世紀には祭室も付け加えられ、鐘楼も14世紀に再建されました。内部には250にのぼる柱頭彫刻が保存されています。ここのクリプトは聖書の物語が描かれていますが、ほかに観られない、例えば荘厳のキリストの足元に不具者が描かれていたり、聖ヨハネに天使がBook(聖書)を与える場面など・・・それでこのクリプトを「Chapel of the Book」とも呼ばれています。

今日は日曜日、ミサの最中なので15分ほど後の壁際のベンチで待ちました。小さな女の子の白い聖歌隊姿が可愛らしい。ミサが終るとぞくぞくグループの見学者が入ってきて、賑やかになりました。そしてそのほとんどがガイドさんの案内で、クリプトに降りていきます。ここはクリプトの壁画が有名なのです。私もくっついて降りていったのですが、真っ暗闇。どうやら照明が故障しているようです。それで、ここでは一番有名な中央祭室の「荘厳のキリスト」が全く見えません。当然ざわざわしているうちに、一緒に入ったグループのなかの私ぐらいの歳の女性が、突然倒れてしまったのです。大騒ぎでしたが、ほどなく眩暈程度の軽い症状だったらしく上に連れて行かれて、騒ぎも収まりました。

そんな騒ぎのなか、南窓の明かるい祭室はなんとか写真を撮ることができました。他のロマネスク壁画に比べると多彩な色が美しく、かつ独自性に富んでいます。

↓ 「神の子羊」と「聖ジルの物語」

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下の2枚はパンフレットから

↓ 「荘厳のキリスト」マンドーラのなかに使徒たちを包み込んでいる珍しい表現。

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↓ 「ラザロの墓の前のキリストと使徒たち」

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1時近くになり、ロジ・ド・フランスのレストランへ戻ってランチ。さきほどのホテルの建物を抜けると  ↓別棟のレストランです。サービス、味も流石に良いのですが、私には量が多く、半分でお腹がいっぱいになりました。3コースムニュ、ワイン、コーヒー(44€)。時間になり、急ぎ足でも15分かかる道を、ギリギリで駅に戻りました。

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ここから数分列車に乗って隣り町のセルズ・シュル・シェールへ。行く前はサン・タグナンよりも小さい街と思いましたが、駅前も旧市街も比較的大きな町でした。この日は日曜日で列車の便がより悪い日に当たってしまいました。ここでは急いでも仕方がないのです。時間はたっぷり。駅前のバールがあいていたのは本当に助かりました。行き帰りここに寄って休息とトイレタイムがとれました。

駅から旧市街までは1キロくらい。↓シェール川にかかる橋からの左右の眺め。

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橋の向こうが旧市街です。秋の花々が綺麗に飾られた静かな街。日曜日なのでほとんどの店はお休みですから、眠ったような街。歩いている人も極わずかでした。

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Selles-sur-CherEglise Notre Dame la Blanche  5世紀の古い教会が基礎となって12世紀から13世紀にベリー地方の王侯貴族の修道院として発展しました。ロマネスクとゴシックの様式が見られます。宗教戦争によってダメージを受け、またその後2世紀にわたる貧弱な修理も続きました。1882年と1904年に大規模な修理を行い、最終的には20世紀の最後の10年間に屋根の葺き替えを行い完全な教会の姿になりました。後陣に放射状の3つの祭室と袖廊の2つの祭室、三廊式の身廊、北壁と内陣の周歩廊は14世紀と現代の改修。

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内部はそれほどの個性的な柱頭彫刻も壁画も見当たりません。そういえばここは予習は完全ではなく、あまり情報をとらないできてしまったのです。でも、何かありそうな予感が・・・なにげなく壁の案内板を見ましたら、古い写真(ロマネスクのレリーフ)が貼ってあります。お~こう言うものがあるんじゃないか~と勇んで裏に廻ってみました。ここのお宝は後背部にあったのです。3つの後陣に二段にレリーフがビッチリ彫ってあります。そのなかに何度か写真で観たことのある受胎告知やラザロの蘇生が・・・夢中になって眺め、写真を撮りました。

↓ 上下2段に分かれたレリーフ。上はSt-Eusiceの物語、下は新約の物語。

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↓ 下層のフリーズ「ピラトの前に連れてこられるキリスト」

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↓ 左に「サン・ゲオルギウスのドラゴン退治」

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↓ 「弟子の足を洗うキリスト」、右のマグダラのマリア

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↓ 「受胎告知」

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↓ 上層のフリーズ St-Eusiceがどういう聖人かわかりませんので、解析できず・・・。

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見学が終わっても、まだまだ時間があります。また、駅前のバールに寄って、列車の時間迄ゆっくりお茶。これまでフランス国鉄は時間にとても正確だったのですが、この時だけは30分も遅れました。とても疲れてトゥールに戻りました。

夕食はホテル近くのアジアンのレストランへ。ブッフェスタイルで気軽で安いところでした。昨日のフレンチの半額です。席につき食べようとした時です。日本人の50代くらいの女性が現れ、ご一緒しましょうというのです。願ってもないことと早速同じテーブルにつきました。
やはり独り旅の方で、ご自分でおっしゃるには川崎在住の普通の主婦ですが、アルバイトなどしてお金をためては旅を愉しんでいるそうです。今や抱っこにおんぶ状態の私は恥かしい~。ノートパソコンを持参しているというので、私はこれよとi padを見せると実際使っているひとを初めて見たとか。やはり軽いのがその方も魅力ねとおっしゃって・・・無線LANはこのお店にもはいっていてネットに接続するところも見せて、自慢しちゃいました。独り旅同志的親愛夕食でした。食べ放題、ワイン(明日訪問予定のソミールの赤ハーフ)、ジャスミン茶含めて25€

↓ 海老と螺貝もプリプリ。

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餃子、シュウマイなどの点心、お寿司焼き鳥なども・・・。

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ここのひどい4☆ホテルの話から、夕食を共にした彼女は駅の隣の宿で50ユーロで、湯沸かしも付いているそう・・・まだまだ修業が足りない私でした。このホテルは日本人の団体さまも多く、JTBと阪急のツアーが入っていました。トゥールはシャトウ巡りの基点の町です。そういえばシャトウを見る暇はやはり無さそう・・・。


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2010年秋の旅 15(トゥール) [2010秋仏のブルゴーニュからロアールのロマネス]

10/4(月)  Tours9:14→Saumer9:55.....Chinon16:15→Tours17:02

昨夜からの雨が朝になってもシトシト降っています。今日はソミールまで列車(片道10.8€)、それからはタクシーでロワール河沿いのロマネスク聖堂を巡る予定。でも、昨日の疲れも残っていて、お天気が良くないとなると怠け心がむくむく。それで、後半は予定を短縮して早めに帰ることにしましょうと、自分を納得させて出発。

列車でソミールへ。10時頃に到着しましたが、まもなく青空が広がってきました。ここは有名なシャトーのある大きな町なので、タクシーは待機していてすぐ乗れました。珍しく4~50代の女性の運転手さん。青灰色のクールな目が女優のシャーロット・ランプリングに似ていて、働く女のきりっとした感じ。

まずキュノーまでの途中にあるGennesに寄って貰ったのですが・・・Eglise St-Veterin    教会前の説明文によりますと、ここは確かに12世紀の建立で、古い部分(カロリング)もあるようですが、ほとんどゴシックに近く、あまり魅力は感じられませんでした。途中ちらっとほかの看板も見かけたので、まだこの村には違う教会があるのかも知れません。ここは情報が限られたところだったので、帰国してから再度調べてみました。やはりこのGennesには2つのロマネスク聖堂があったのです。もうひとつのほうが上のクラスでした。うっかりして、きちんと調べなかったので失敗しました。

↓ ここは歴史は古く、845年の記録が残っています。それでカロリング時代の遺構があるらしいのですが、その部分は扉に鍵がかかっていて見られませんでした。


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さて、今日の大きな目的のキュノーへ。ロアール河沿いの国道に沿って走って行きます。支流を集めて幅が広くなり、大西洋へ注ぐ大河の趣です。川沿いには丘も広がり、葡萄畑やシャトウ、教会、鄙びた町や村・・・絵のような景色です。ここからは6年前に訪れたアンジェも15キロくらいと近いのです。

CunaultEglize Notre-dame   847年の創設という古い歴史が明らかにされている大きな規模の教会。ロアール河の畔の小さな村にあり、ヴァイキングの襲撃を受け、僧達はブルゴーニュのTournus(10日ほど前に観てきたばかり!)へ移住したりで、一時は衰退したものの11~12世紀に当時のアンジュー伯によって建てられた教会は1838年総監メリメによって国家の保護下に置かれ、オリジナルのプランを今も維持しています。三廊式の身廊、内陣は周歩廊のスタイル。後陣は南北に張り出した2つの祭室を持ち、柱頭は多彩なオリジナリティのある223の彫刻で飾られています。

↓ 北側からの外観。方形の力強い鐘塔。

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↓ 西正面

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↓ 扉口タンパンは13世紀の作。

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↓ 北側祭室

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↓ 迫力の怪物、魔物系も多数 「ドラゴンの闘い」

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↓ 「キリストの鞭打ち」

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↓ 「十字架を運ぶキリスト」

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↓ 「闘う二人の戦士」

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↓ 「受胎告知」

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ここの柱頭彫刻を鑑賞するだけで1時間以上もかかってしまいました。Trevesはカットして、運転手さんもお勧めのFontevraudフォントヴローへ。途中、ソミールの旧市街を通り抜けました。寄る暇がないので、せめて写真だけ・・・。

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さて、葡萄畑の中のシャトウや農家が並ぶ街道を走り、Fontevraudへ。Eglise Notre-Dame au Grand-Moutier ここは輝かしい歴史に彩られた修道院でした。Alienor d'Aquitaine(アキテーヌ王国のアリエノール)から多くの優遇を受けたのです。フランスの中世史で最も有名な女性、アリエノール王妃は2番目の夫であるイングランド王ヘンリー2世と息子のリチャード1世夫婦とともにここに埋葬されています。フランス革命後は1963年まで刑務所として使われていましたが、今はフランス文化庁のもとすっかり整備され、観光客を呼んでいます。

門を入るとチケット売り場とブックショップを兼ねた建物があり、そこから入場します。まず教会が目の前に建っています。

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↓ 内陣の手前にお棺が4個並んでいます。アリエノールとヘンリー2世(イングランド王)、アリエノールは夫の死後この修道院で尼僧としての生活を送り、当時としては超高齢の82歳で逝去。映画『冬のライオン』のキャサリーン・ヘップバーンを思い出しました。封切当時に映画館で1度観たきりでした。帰国後レンタルで観たのですが、物語の始まる前の画面にロマネスクの彫刻いろいろ・・・改めてアリエノールの波乱の人生、そしてプランタジネット朝の時代とロマネスク期の強い関連を想いました。

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↓ リチャード1世(ライオンハート)と3番目の妻アングレームのイザベラ

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↓ 回廊を眺めて

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↓ 野生のシクラメンの群生

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↓ 12世紀建築のキッチン

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この後はChinonの丘の上のお城の近くでタクシーを降車。120€

↓ 丘の上からシノンの町の眺めました。ここまではエレベーターでも昇れます。

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↓ お城は人影も無く柵も閉まっていました。入場不可のようです。このときはまったく気がつかなかったのですが、シノン城は現在ジャンヌ・ダルク博物館になっているようです。私はこのとき博物館の入り口の反対側に居たのです。               

詳しくは     http://www.france-acces.com/chateau/chinon.html

 

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↓ 「ジャンヌ・ダルクの道」という坂道を降りていきますと、古い民家の並ぶ歴史地区にでました。15世紀のハーフティンバーの建築。右が書店、左はレストラン。

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遅めのランチはオテル・ド・ヴィル(市役所)の広場に面したモダンなレストランCafe des Artsで。ここも無線LANが使えました。牛肉の串焼きに地元シノンのロゼ、デザート。雰囲気も味もまあまあで、落ち着けました。

ここからは時間もなかったのですが、シノン駅までの途中にある(i)に寄って確かめたところ、やはりEglise st-Mexmeやアリエノールの壁画が残るChapelle St-Radegondeは見学不可とのことでした。

↓ Eglise st-Mexmeは外観だけ

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ここから駅まで1K近く歩き、列車に乗ってトゥールに戻りました。列車はノアラックへ行ったときと同じような短い編成の窓が大きくて快適な電車。女性の運転手さんでしたが、横に座った同僚とお喋りしたり、何か食べたりしながら運転してました。日本なら首ですぞ~。

夕食は迷った末、また昨夜のアジアン・レストランへ。ブッフェの種類も多く、昨日トライできなかったものもあったので・・・。昨夜はワインやジャスミン茶をシエアできて良かったな~と30€のお支払い。

明日半日を残して、ロマネスクツアーは終了予定です。疲れが相当たまっています。明日もパリまでの移動や途中の観光などが控えていますから、トゥールの市内観光はパスして昼の列車の時間まで部屋でゆっくりしたほうが良さそうです。

 

 

 


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2010年秋の旅 16(トゥール~パリへ) [2010秋仏のブルゴーニュからロアールのロマネス]

10/5(火)  Tours12:31(train)→Vendome13:38/17:48(TGV)→Paris18:30

Paris   Pavillon Saint-Louis Bastille   1泊 132€(朝食込み)

今日も朝からどんより曇った暗いいち日でした。パリにも直通で帰る訳ではなく、大事な寄り道が控えています。体調を整える必要もありますので、トゥールの市内観光はパスして、正午のチェックアウトまで宿でのんびり過ごしました。気に入らなかったトゥールのホテルですが、一応写真を撮りました。

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↓ トゥール駅  ここから自転車で城廻りする人も多いようです。

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ヴァンドームまでは在来線です(11.6€)。かなり濃い霧の立ち込める農地や谷間を抜けて1時間ほどの列車の旅。ヴァンドーム駅は旧市街から1Kあまり離れています。駅前のレストラン(イタリアンのチェーン店/Teatro alla Scala )でランチ。前菜の盛り合わせとパスタ、グラスワイン、コーヒー(21€)。味は悪くはない・・・の程度ですが、結構混んでいました。

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お勘定を済ませ、タクシーを呼んでもらいました。まもなくやってきたタクシーに乗り込み、今回の旅の最後のロマネスク巡りへ。

Montoire sur Loirはヴァンドームから西へ19Kの小さな町。街の中央の広場にある(i)で、2€を払い鍵を借りるシステムになっています。時間に余裕があればブロアやヴァンドームからバスが利用できるのですが、本数が極僅かなので、やはりタクシーになってしまいました。広場から伸びる街路の右横丁から見える白いドアがChapelle St-Gillesへの入り口です。

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サン・ジル礼拝堂はロアール河の支流のル・ロワールの畔に建つ11世紀の小さなお堂です。川の近くで、お城もここから見え、風光明媚な土地柄です。後陣と南北の袖廊が三つ葉のようにこじんまりとまとまって、大きな聖堂では経験できない親密な祈りの空間がありました。サンティアゴ巡礼の道筋でも人気があったのではないかしら。ロマネスクの壁画はいうまでもなく、私たちが一般の絵画を観るのとは異なります。時祷書を壁に映したペインティングであり、字を読めない人たちへの聖書のメッセージであり、窓が小さく壁面の広いロマネスク建築から生まれたものです。柱頭彫刻と同様の多くの制約や年月の重みが、ロマネスク聖堂の壁画を前にするとひしひしと伝わってきます。P1020839.JPG

↓ 扉を開けますと、小さなチャペルの後陣が・・・。

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↓ 正面右に小さなドアがあり、古い鍵なので合わせるこつが難しく、焦りつつガチャガチャ。ようやく開きました。

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↓プラン

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↓ 正面東側の後陣 「荘厳のキリスト」足元に四大福音書記者のシンボルと飛翔する天使たち。  白地に褐色、黄色、淡い緑の色調が爽やかなイメージ。勝利のアーチに神の子羊とセラフィン。

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↓ 勝利のアーチの内側にアルファとオメガを両側に記された全能のキリスト。

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↓ 南袖廊の「荘厳のキリスト」 上の二つとは異なり、ビザンティン風。多彩な画風、厳しい表情のキリストの頭上に「神の手」。上と共通するのはキリストの座る姿勢と上下二つのマンドーラ。

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↓ 飛翔する天使たち

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  次に向かったのはLavardinです。モントワールからは車で数分の距離にあり、セットで訪れるには好都合なうえ、ここは「フランスの美しい村」に登録された街です。しかし、観光客の姿は見当たりませんでした。暗く、たまに雨も降る日だったからということもありますが、近じかゼネストの予定もあり、観光客はかなり減っていると感じました。

↓ ラヴァルダンに入る手前ル・ロワールの川の畔の風景。左は昔の洗濯場、右に木に隠れていますがレストラン。

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↓ 古いお城と橋をバックに記念撮影。

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↓ 橋を渡り、少し坂道を登るとEglise St-Genest です。創立は6世紀ですが、現在の建築は11世紀の建築が大部分。三廊式で、5つの大アーケードを支える太い角柱にもフレスコ画が描かれています。

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↓プラン

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↓ 後陣中央には12世紀の「荘厳のキリスト」

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↓ 祭壇側から見た北側の後陣

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↓ ペロペロキャンディーのような渦巻き文様が素朴な柱頭彫刻が多い。

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↓ 「エッサイの樹」(12世紀終わりごろ)

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↓ 窓の光に顔を向け祈る聖人の姿。清らかな美しさに打たれました。

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ケルトの影響が見られるいくつもの渦巻き、柱にまで描かれた多彩な壁画、魅力的な柱頭彫刻の数々・・・ロマネスクの旅の最後にふさわしい教会を後にして

↓ヴァンドームに戻る途中、気配りの運転手さんが写真ストップしてくれた洞穴住居

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↓ ヴァンドーム郊外のTGV専用の駅でタクシーを降り(120€)、10日ぶりのパリへ戻りました。

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↓ Gare de Vandome Villersからはパリまで40分と近く、あまり本数はありませんが、パリから日帰りもできます。7年前にここに来るつもりで、ポワチエ行きに乗ってしまったという失敗があって・・・ようやくリベンジできました。(TGV1等31€)

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↓ パリのホテルは前と違う部屋で(料金も20€ほど高い)、ここも快適でした。

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↓ 久しぶりのトランクを開けて、レトルトの五目御飯を茹でていただきました。味噌汁も海苔も美味しい~!

心配なのは明朝の北駅までのタクシーです。夜に予約も済んでいたのですが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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2010年秋の旅 17(パリ~アムステルダム) [2010秋仏のブルゴーニュからロアールのロマネス]

10/6(水)  Paris/Nord 10:01→Brusseles/Midi 11:23 乗り換え11:48→Leuven12:33...14:27→Brusseles/Midi15:12乗り換え→Amsterdam17:43(Tlys)

Amsterdam   Eden Hotel Amsterdam2泊(1泊113€・朝食別途12.5€)

昨夜の杞憂があったってしまいました。今朝になって、タクシーは全部断られたというのです。パリで9時~10時前後にタクシーを頼むのは、最近特に難しくなっているのです。だから昨夜のうちにお願いしたのにぃ~どうすればいいの!レセプションの女性は少しも騒がず、荷物をホテルの人がバスチーユ広場のタクシー乗り場まで運びますから、一緒にそこで拾ってくださいというのです。まあそれなら結構と、朝食の世話をしていた若い女性と徒歩数分のバスチーユ広場へ。なかなか親切なホテルです。初めは広場にはタクシーは居なかったのですが、来たらすぐこの方が走って行って停めてくれました。ああ良かったと乗り込み、彼女にも少しチップをあげてAu revoir。

ところがすぐには走りません。どうやら勤務時間の5分前でメーターも動かないので待っててというのです。さすが、フランスの労働者と感心?しつつ・・・ふと、オペラ・バスチーユを見ると今夜のオネーギンの大きなポスターが・・・悔しいな。

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なにかとお騒がせの割りに、北駅には出発の30分前には到着しました。構内は相変わらず大勢の人々・・・でもなにか緊張した雰囲気が流れています。このとき知らなかったのですが、テロの情報が流れていて、公共の交通機関が狙われてるということだったのです。機関銃を背にした屈強な兵士たちがあちこちに目に付きました。さて、ブリュッセル行きのTGVに乗ろうとホームを歩き出したその時、目に入ったのはTGVの車体の横で数人の兵士さんたちに囲まれ、荷物を開けさせられている30~40代くらいの女性。ちらっとみたところ普通の白人系のようでした。帰国してからかなり具体的な情報があったと知りました。アラブ系の女性が要注意だったそうです。そのときの兵士たちの動きがまさに非常事態の様子で、のほほんと暮らしている身にはかなりな衝撃でした。

さて、この日はアムステルダムに行く前に短時間でしたが、ルーヴァンに寄る予定を組んでいました。まず、ブリュッセル・ミディ駅に到着した後、直ちに地下コンコース中央の荷物預かり所に行きトランクなど小さなバック以外は預け、ルーヴァンへの列車に飛び乗りました。昨年も同じシチュエーションで行動していますから、軽い~はずでした。ところが表示板には国内線なのに、TGV乗り場を指定しているのです。以前と違うので、混乱してうろうろしていたため、1本逃してしまいました。それでも予定の列車には乗れたので、問題はないのですが・・・老いると頭が固くなるので、要注意と思いました。(ルーヴァン往復12€)

ルーヴァンは昨年に続いて2度目です。昨年は迷ってしまった通りを今回は余裕で美術館へ。

↓ 「アンジュー家のバイブル」展のポスター。

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↓ ルーヴァン劇場  オペラのポスターは貼ってありませんでした。

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ブログ仲間のレイネさんとも昨年に続いて、今回もルーヴァン美術館をご一緒する予定だったのですが、突発的な事由ができて、来られなくなりました。レイネさんは装飾写本についてもお詳しい方なので、解説していただけると頼りにしていましたから、困りました。美術館は昨年は新しくオープンしたばかりでしたが、1年たつとちょっぴり落ち着いた雰囲気になっていました。

↓ 美術館ロビーでは今回の催しのヴィデオを流しています。

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特別展の会場に辿りつく前に通過した展示室に、昨年のロヒール・ファン・デル・ウエイデンの展覧会にも出品されていた「七つの秘蹟の祭壇画」がアントワープから貸し出されていました。人気のない部屋でじっくり眺めてから、バイブルの展示室へ。当然ですがカメラ禁止。照明を落とした部屋に一葉ずつはずされてガラスケースの中に展示されています。

『The Anjou Bible - Naples 1340』  14世紀に当時のナポリ王だったアンジュー家のロベール1世によって創られたバイブルはアンジュー家の一族の間で渡り歩いた後は、1509年にブラバント王国にもたらされ、500年の月日が流れました。ところが、このユニークな写本は2008年まで忘れられていたのです。詳しいことは分かりませんが、昨年の地元のマイスターであるロヒール・ファン・デル・ウエイデンの展覧会での研究がこのバイブルの再発見に繋がったものと思われます。

トレチェントのナポリの画壇がどのようなものであったのか。挿絵を観て気がつくことは、すでにルネッサンスの萌芽が極めて色濃く現れているということです。そうなのです。イタリア・ルネッサンスの創始者とも言われるジョット・ディ・ボンドーネ(1267頃~1337)は工房を率いてナポリに赴き、活躍しているのです。ジョットの影響を受けた画家によって描かれたとみられるバイブルは、王家のものにふさわしく、文字の部分や余白を埋めた装飾に金の彩色がふんだんに使われ、その細密な美しさに惹かれました。バイブルですから文章に比べて意外に絵の部分は小さめです。それを拡大した絵葉書を何枚かアップしましょう。主役の王冠姿はロベール1世ですが、各々の場面については良く分かりませんでした。1時間という鑑賞時間に加えて、英文の重いカタログを購入するのは無理でした。適当な薄さのカタログはフラマン語?のでしたし・・・。

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というわけで正味1時間の見学も終わり駅へ。ブリュセッルで荷物をピックアップして、今回の旅の最終地のアムステルダムへのタリスに乗車。(1等61€)今日の難関突破で安堵し、ウトウトしているうちにアムステルダム中央駅に到着。

ホテルは一昨年宿泊したホテルと同じ系列のミュージックシアターの見える側に建つホテルです。二つのホテルは繋がっていて、レストランや朝食室が共用になっています。チェックインのとき再度のご利用ありがとうございますといってくれたのは嬉しかったです。シングルの部屋は入ると長い廊下になっていて、奥はこじんまり。狭いけれど落ち着けました。

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↓ 夕食は前回も美味しかったので、ここのレストランへ。明日はまともな夕食いただけませんから、張り込んでシェフお勧めコースを選びました。今が旬の生牡蠣をはじめ、少量で魚の多い7皿をいただきました。初めに出されるパンが凄く美味しくて、添えられたバターをたっぷり塗ってパクパク。バターをお替りして食べる人も・・・。ワイン、コーヒーも入れて65€。

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これがこの旅の最後の豪華ディナーとなりました。満腹、満足して部屋に帰り、お風呂に入るとバタンキュー。ちなみにここのホテルは無線LANが設置されていません。フランスはその点どんな田舎でもWi-Fiが出来たのに・・・とフランスが懐かしい私でした。

 

 

 

 


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2010年秋の旅 18(アムステルダム) 19&20(帰国) [2010秋仏のブルゴーニュからロアールのロマネス]

10/7(木)

朝食は昨夕のレストランFLOで。残念ながら昨日の美味しいパンは見当たらず・・・。それでもそれなりの美味しい朝ごはんをいただきました。

昼間の観光はアムステルダムに来るまでまったく考えてこなかったのですが、あまり疲れたくないので、慣れたRijksmuseum国立美術館へ行くことにしました。それに改修工事も少しは進んでいるかも知れません。

朝のオープン時は美術館前にはかなりの人が並びますので、のんびり11時過ぎにホテルを出ました。まだ、朝靄の残る運河の向こうにMuziektheater Amsterdamが目の前です。

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300Mほど歩いてムント広場からトラムに乗って(このトラムはHeinekenの横をまっすぐ進み、途中からカーブして、美術館の裏側近くまで行きます)、手前のコンセルトへボウで降車しました。少しの間に靄は晴れて青空の天気になりました。今回も日にちの余裕や聴きたいコンサートなどに恵まれず、↓ コンセルトへボウでの体験はできないままでした。

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↓ 少し歩くとゴッホ美術館

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↓ Rijksmuseum国立美術館  まだ工事中・・・。 

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昼近くなので、すぐ入館できました。少しは展示室も広くなったのではという期待は裏切られました。今回で一部オープン見学は2006、2008と3回目・・・トホホ。入場料もシニア料金の設定はなく12.5€と少ない展示に見合わず高額です。係りの人にいつになったら全面オープンするの?と訊いて見ました。3ヶ月後と言っていましたが・・・次回はいつ来れるのかしら?もしかして、死ぬまで来られないかも知れませんです。今回購入した絵葉書から

↓ フラ・アンジェリコの「聖母子」

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↓ レンブラントの「夜の聖ファミリー」

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それでも1時間ほどフェルメール、レンブラント、ハルツなどの代表作を鑑賞し、ホテルに戻りました。ランチはあまりお腹もすきませんでしたが、ムント広場に面した角の小さなファラフェルサンドの店に寄り、6€のをテイクアウト。ここはお客さんが注文してからパンを焼き、コロッケとキャベツをまず入れてくれて、後は自分の好きなものを10種類くらいのなかから選んで、詰めていくのです。店内で食べることも出来ます。温かいうちに頂こうと、急ぎ足でホテルに戻りました。とても美味しかったです。

ここのホテルの困ったことは、お掃除が遅れたことです。今夜のオペラのためにお昼寝したいのですが、3時まで待っても来てくれません。結局ルームサービスに連絡して、タオルだけ取替えに来てもらいました。連泊の人はそうすると手間が省けると思っているのかしら?不愉快。

30分前にホテルを出て劇場へ。写真ではホテルの目の前ですが、橋までやや遠回りになります。それでも徒歩3分ぐらい。今日が初日なので華やいだ雰囲気の劇場。

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グノー『ロメオとジュリエット』アムステルダム ミュージック・シアター 19:30開演

Conductor  Marc Minkowski
Producer  Olivier Py
Sets, Costumes  Pierre-André Weitz
Lighting  Bertrand Killy
Choreographer  Wissam Arbache
Chorus master  Martin Wright
 ~
Juliette   Lyubov Petrova
Stéphano   Cora Burggraaf
Gertrude   Doris Lamprecht
Roméo   Ismael Jordi
Tybault   Sébastien Droy
Benvolio   Jean-Léon Klostermann
Mercutio   Henk Neven
Paris   Maarten Koningsberger
Frère Laurent   Nicolas Testé
Grégorio   Mattijs van de Woerd
Capulet   Philippe Rouillon
Le Duc/Frère Jean   Christophe Fel
Manuela   Oleksandra Lenyshyn
Pepita   Maartje de Lint
Angelo   John van Halteren
 
New production

ミンコウスキがこのオペラを指揮すると知ったときはすでにウィーンの「セメレ」を観にいくことに決めていましたから、両方は時期的に無理と諦めようとしました。が・・・諦め切れません。ついに夫との約束(今年から15日に旅程を短くする)を反古にしてしまいました(汗)。「お願いします!」ちょっと強気に出れたのは、アメリカまでの遠距離お産扱いがあったから・・・ご褒美ということで、お許しがでました。

やっとこさ強行スケジュールを終えて、体調を気ずかいながらここまで来ることができて、嬉しい気持ちでいっぱいでした。席も平土間の6列目ほぼ中央という素晴らしい位置で、ミンコのお髭姿も良く見えました(笑)。

さて、幕が開きました。上下に分けられたニューヨークの荒廃した街(ウエストサイド・ストーリー風)の舞台に2匹のシェパードが登場。なんか観たことのあるシーン・・・数年前にここで観た「ムツェンスクのマクベス夫人」も二層構造でシェパードが出てきました。6列目なので首を伸ばして、犬が死体を齧っている?様子が見えました。同じシェパードなのかしら?なんてこと考えているうちに、運ばれてきたお棺からロミオとジュリエットが出て行ってしまい・・・劇中劇の様相です。ジュリエットはブロンドのヘヤーにピンクのドレスで登場。掃き溜めに鶴のように美しい姿でした。ジュリエットは「バスストップ」のマリリン・モンローのイメージでしたから、この下町(ギャング街)のキャバレーのマドンナのように見えました。ロメオは敵対するギャング(こちらは麻薬組織)の若親分。そのロメオはジュリエットに逢い恋に落ちるまで、どういうわけか黒い天使の羽をつけています。初期ネーデルランド絵画に多く描かれる黒い翼の悩める天使のようですが・・・薬中の天使ってどおなの~と突っ込みたくなりました。舞台は初夜の場面など、METのロミジュリの華やかな天井吊り下げベットのものとは違い、墨を流したようなモノクロのなかでの悲哀さを強調し、官能的なシーン。優れた照明の使い方も印象的でした。他には和解を勧める総督?を射殺してしまったり、小姓が悩ましげにアリアを歌った後、その男装姿をかなぐり捨てて、ドレスの女装姿になるところ(性転換したの~ 笑)など、ピィらしい冴えた演出が観られました

歌手はほとんどが知らない方たちばかりでしたが、新進?の主役の二人が頑張って、新鮮な恋人たちを歌い演じてくれました。特にロメオのイズマエルIsmael Jordiがブラット・ビットに少し似ているのも好感度大で、切なく歌うアリアのはまっていること・・・うっとりでした。ジュリエットのLyubov Petrova は比べるとやや見劣り(聴き劣り)、初めは良かったのですが、途中で聞き飽きるというか、平凡な歌唱になってしまいました。スタミナ不足かもしれません。他の歌手たちの水準は高く、特に昨年パリでも注目していたSébastien Droyが良かったです。

ミンコのグノーもフランス的叙情とモダンな感覚がミックスされた素晴らしいものでした。11年前、エクサン・プロヴァンスで初めてミンコの指揮に接して以来、毎年のように海外に出かけては聴いてきました。そろそろ、こういう旅も店仕舞いと思いながら、ミンコのスケジュールをチェックしてしまう私・・・(汗)。

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↓ 観客のほぼ全員がスタンディング・オーベーションという熱狂的なカーテンコールでした。ピンボケ写真ですが・・・。最後の幕が降りた後、「わ~っ!!」という歓声があがりました。カーテンの向こうで成功を喜び合うキャストたちでした。

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その喜びの声に、私も嬉しさのあまり、座席の下に置いたプログラムを忘れてきてしまいました。翌朝取りに行ったものの午後からしか窓口は開かないと言われ、新しいプログラムも買えませんでした。昼には出発ですから諦めました。

プログラムには演出家の意図も垣間見ることができますが・・・それもかなわず、独断と偏見に満ちた感想になりました。

夜食は手持ちのもので済ませました。ビールも飲んで、今夜のオペラに乾杯!

10/8(金) アムステルダム15:20→パリCDG16:35/19:25→

朝もこれからの長いフライトに備えて、遅く起床し朝食ものんびり。あとは荷物の整理をして過ごしました。12:00にチェックアウトして空港へ。荷物を預ける人はカウンターが違い、たらいまわしになって・・・空港職員でも把握していないのかしら?

空港で昼食(キャビア・バーで)をとり、Wi-Fiでパソコン遊びをしているうちに搭乗開始。その後は飛行機の遅れもなくスムーズでした。

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パリでは初めての新しいターミナルから(最後にラデュレのマカロンをお土産に)JAL便で帰途につきました。帰りもほぼ満席でした。疲れもあったのですが、今年は初めてのエコノミークラス(往復)だったせいか、帰りは特に息苦しさが付きまとい、かなりハードでした。

10/9(土)成田14:15・・・羽田17:25→千歳19:00

久しぶりの我が家に帰ってきました。夫も長女も私の留守に慣れてますから、特に問題もなく、明日からの私の手料理だけが愉しみな様子・・・あ~あ、早速おさんどん生活が始まります。

20日間の旅も過ぎてしまえばあっという間です。盛りだくさんの日程でしたから100%こなすことは難しいとは予想していました。このくらいが今の私の体力には見合っていたのかもしれませんね。オペラ4、ロマネスク聖堂34、美術館8・・・素晴らしい体験でした。タクシー代も随分かかりましたが、この円高のおかげで、なんとか許容範囲に納めることができました。こうして拙い文章ですが、ブログも書き終えることが出来ました。ただただ感謝!の一言です。END

 


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